〜ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境〜
機種:ファミリーコンピュータ
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●いまいちやる気の起きるゲームがないって感じで

 最近、なんかゲームやるにしても閉塞し気味です。前も似たような事を言った気もしますが、もしかするとサイクルになってるのかも知れませんね。とにかく、ゲームやるにしてもアーマードコアのフォーミュラフロントかそこから派生してネクサスないしラストレイヴン、あるいはパソでデカロンなりレッドストーンなりを適当に流すくらいです。

 そんな具合なんですが、部屋を片付けていたら先日友達が来た時に出しっぱなしになっていたファミコンカセットが目に入りました。忍者ハットリくんやらガンナックやらいろいろあったものですが、そこにこの「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境」も混じっていたんです。くだくだしいんで、以下鬼太郎としますね。


●なんであんなに進めなかったのだろうか

 このゲーム、最初に会ったのはいつのことだったかなあ。親父の知り合いのところになぜか姉もお邪魔し、そこで見せてもらった、とか騒いでいたような記憶があります。この親父の知り合い、確か私も幾度かお邪魔したことがあるんですが、なんつーか後で聞いた話だといろいろ怪しい人物だったみたいですねー。ん、まあ知りませんけど。

 それで、「ふつうのゲームはタイトル画面でスタートボタンを押すと何か前置きが入るけれど、これは入らない」とかいう今思うとマジで良く分からない理由で買ってもらったこのゲーム。もちろん最終的には私のほうがはまることになってたんですけども、でも最初はこれ全然遊べなかったんですよ。最初はもう2面まで行くのがやっと、進めても3面の雪ん子までだったんです。

 いやー、雪ん子って体力削り切ると最後っ屁みたいな感じで運動性が上がるじゃないですか。あれで慌てちゃってねー。もうやられることやられること。それに目玉の親父(※1)の出し方も場所も分からなかったから、残機もぜんぜん増やせなかったですし。どうしても4面は遠い道でした。


●当時の攻略本って便利だったと思う

 そんな状況を改善してくれたのは、やはり攻略本。近所のダイエーだったかな、その辺で買ってもらったもんですね。これで目玉の親父の出現ポイントもほぼ全ステージにおいて確認しましたし、敵の性質なんかもかなり把握できたんですよ。超ありがたい一品でした。

 正直、攻略本というものは当時のもののほうが役に立った気がしますね、グーニーズといいこれといい。この攻略本のおかげで3面止まりだったものが10面程度まで進めるようになったんですから。絶大な効果があったといってもいいと思います。


●亀の甲より歳の功ってね

 それから長い事経ちました。中学二年くらいのときに受験のせいでファミコンをはるか彼方に送られてしまい、それが帰って来たのは高校に入ってから。そうしてから正面からこれを遊びなおしたのはさらに後のこと、十年近く経ったあとのことです。

 ところがねー、長いブランクもあるというのに、ひさしぶりに遊んでみれば、腕前が逆に上がっているのです。せいぜい10面止まりだったはずの腕前はいつの間にか20面程度まで軽々進めるようになり、残機もうなぎ上りに増えていく有り様。あまりにもあっさりと「ほうこう」が倒れる光景を二度拝めたもので、ちょっと自分でもびっくりしてしまいました。たぶん、ほかにいろいろなゲームも遊んで来てますし、なにより「大人になった」っていうことなんじゃないかな、と思います。ゲームやりとして円熟味を増したというか。ねえ?


●水晶球を最初の祠で取れた場合、いきなりボスの所に行くと2000点もらえます

 でですね。ここで話を最初に戻すと、そんなふうに持て余してしまっていますから、今日また鬼太郎をがちょんと遊んでみたわけです。なんかステージ3までで残機がゼロになったりして、「馬鹿な、この俺が!?」とか青くなったりもしましたが、4面辺りからは調子も戻って来まして。最終的に飲みに呼び出されるまでの一時間、けっこう撃墜されたりもしてますが平均残機20程度まで伸ばし、さらっと14面程度まで進みました。なんか面白いんですよね、これが。

 どういうゲームかといいますと、まあアクションゲームです。ちょっと面白いのはマップ画面があって、そこらにある変な祠に入ることでアクションステージがはじまるという部分ですかね。で、その祠の中で水晶球を見つけることで、面のボスがいる妖怪城に乱入することができるようになると。このボスを倒せば次の面、ゲーム中ではMと書かれているのでおそらくミッションだと思うんですけど、次のミッションに進めるって按配です。……もしかしてモンスターとかマップとかなのかな。マップかな、なんかそんな気がしてきた。


●うまくやると横をすり抜けられるときもありますが

 20年近く遊んできて今になって気付いたんですけど、このマップとステージの関係ってけっこう新鮮です。運がよければ最初のステージで水晶球が見つかるわけで、そうしたらいきなりボスのところに行っちゃってもいいんだしほかのステージも潰してエクステンドを狙ってもいいんだし。それに攻める順番も好き勝手でしょ? 当時こういう風に好きなように自分で調整かけられるゲームってあんまりなかったんじゃないかな。

 まあ、マップの地形と毎回ランダムで変わる祠の配置の関係上、最初で水晶球が取れたらほか全部スルーっていうのはあんまりできないんですけどね。ただ、それぞれのアクションステージが割とさっくり終わる程度の長さなのも相まって、けっこうな中毒性を醸し出しているような感じですこの鬼太郎。


●実際、けっこういい出来だったのかもですね

 それとアレですね、全体的な難易度はそんなに高くないってのもミソかも。遊び比べて思ったんですが、エスプガルーダや東方シリーズみたいなシューティングとこの鬼太郎と、プレイ時間そのものは30分そこらとさして変わらないのに、こっちは精神的な消耗が非常に少ないんですよね。各ステージで必ず目玉の親父によるエクステンドが狙えるから立ち居振る舞いに気をつけていれば残機がうなぎ上り、というのもあるんでしょうけど、テンポよく切り替わっていくステージそれぞれの特色の違いが視野狭窄を起こさせない、というような気もします。

 視野狭窄ってのも変な言い方ですけども、どうしてもシューティングやってると後半疲れてきてしまうっていうか。練習不足で余裕がない、っていうのもあるんでしょうが、集中力が切れるんですかね、東方シリーズにしろエスプガルーダ(ご家庭用)にしろ後半まで進むにつれ事故死が非常に多くなる現状があるもんですから、難易度の上昇も非常にゆるくまた各ステージに必ずエクステンドが仕込まれている鬼太郎は非常に遊びやすいゲームだと思うのです。

 実際ある程度の腕さえ備わってしまえば、普通に遊んでいればまず20面前後まででの全滅はありえませんからねこのゲーム。気が向いたら火を入れて、また10面程度なら到達するまで30分しないで行き着けるから耐久レースでもやるんでない限り未練なく電源を落としてしまえる。逆に、どこまでも続きますから耐久レースやるのもよし、おや意外と幅広く遊べますね。そのうち耐久レースもやってみたいんですよね、はてどこまで行かれるのかと。確か以前は三週目の雪ン子辺りまで進めて、すぱっと切っちゃったんですけども。てことは19面そこらか?


●うお、釜鳴りが飛んでる! 釜投げてくる!

 そして私は妖怪も大好きでして、そりゃあ水木しげるロード(※2)を単身見に行ったりOh! 水木しげる展も見に行ったりするくらいですからね、好きで十分通じると思います。私東京在住者でしてね、それで水木しげるロードは鳥取ですよ。ネットで飛行機予約して行ったですよ。境港近辺で壮絶なウォーキングも敢行しましたし、いやアレ単身だったからできた行程だわな。

 んで、このゲームはもちろん妖怪勢ぞろい、さあどんなのが出るかと思うとまた渋いのばかり。まず適当なステージに入って最初に出てきたのが手の目ですよ? 地獄に落ちれば赤舌だし。空にはペナンガランが舞い飛び地面には土転びがごろごろ転がってたりする、そんな世界。好きなら分かる、でもちょっとかじったくらいじゃわからない。そんな連中ばっかりです。

 かと思うと、ボスには悪魔ベリアルとか吸血鬼エリートとか、明らかに漫画から出てきてる人々もいるし。そうそう、その境港に行ったときにもうちょっと南にあるビール工房「ビア・ガッセ」で呑んだんですけども、ここで鬼太郎漫画売ってたんですね。そこで二、三冊買ったんですが、なんかこれが吸血鬼エリートの回は載ってる見上げ入道の回は載ってる悪魔ベリアルの回は載ってる、ファミコン鬼太郎ファンを狙い澄ましたんじゃないかというようなラインアップで感激してしまいました。吸血鬼エリートってこんなやつだったのか……(この漫画読むまでこいつが何者か知らなかった。アニメも見てないし……)。


●ケルシュがお勧め。飲み口いいからねー

 ところでこのビアガッセ。基本ドイツ系の料理らしくて、ブルストとかおいしかったです。あとここでやってる鬼太郎ビール、これは高いけれど非常においしい。2リッターで3,000円そこらでしたっけ? 通販もできるから買いたいんだけど、金がなあ……。

 なんでここ行ったのかというと、ちょっと話ずれますけども境港行ったって言ったでしょ? そのときに、予定として初日で米子、二日目で出雲と松江、三日目で境港というふうに考えてたんですよ。ところがこの境港、マジで閑静な住宅街って感じで古きよき匂いのする雰囲気はいいんですが、いかんせん観光スポットがない。まだ鬼太郎記念館も完成してない時分でしたし、困り果ててしまったのです。

 それで一時間早く宿に入り、そこで買っておいたガイドブックを見るに、電車で境港駅から三つくらい行ったところかな? 海浜公園があるというのです。ガイドには「駅からタクシーで10分」とあったので「じゃあ比較的大きな駅なのかな」と思ったんですが、甘かった。境港に行くときに周囲の様子をよく見ておくべきでした、そこは田んぼの真ん中の無人駅。誰だタクシーがどうとか書いた奴ぁ? こんなところにタクシーなんざ来るわけねぇだろうが!


●途中で家の新築祝いをやっていたのが印象深いですね

 しかし歩くのは私の数少ない楽しみにして誇れる能力(二時間くらいならまったく苦にならず)、歩くのなら任せろや! とて海浜公園目指して歩きだす私。実際ちょっと歩けばすぐに地図上での大通りに出られ、遠くに海浜公園のシンボルタワーも見えているんですが、ここからが長かった。見通しいい分、遠くにあるものがなまじ見えてしまうから思考が「もう近い→まだ着かない!」になってしまうもんでね、結局最初にタワーを見つけてから30分近く歩いたんじゃないかな。

 で、とりあえず海浜公園に着いたは着いた、しかし時間が午後6時。

 閉園時間でした。

 目の前で次々閉まって行く公園施設、夕食にしようと思ってたレストランも基本が海産物ばかりでちょっと割高。私海産物はあまり好きなクチじゃないんで「こりゃいけねえなあ」と思ったんですが、そこでひらめいたのが公園へ向かう途中に眼に幾度となく入ってきた看板、「地ビール工房 ビア・ガッセ」。

 しばらく海を眺めてぼんやりしてから再び歩き出す私、所在地は看板に書いてあったからもうばっちり。まあそんなわけで予期せぬいい夕食にいいビール、いやマジおいしかったんだって! 一口飲んですぐ友達にかけちゃいましたもんね、電話。送ってやるから住所教えろって。あとで呑もうと思って実家にも送ったんですが、これは親父が「珍しいから客に持っていく。一本よこせ」ときて持ち去られてしまったんですけどね、ケッ!! てめえのために買ったんじゃねえや!!


●ちぃと遠いのがちょっとアレなんだけどね

 この後、駅まで戻るのもかったるいし同じ歩くんなら直接境港に戻ったほうがいいや、と思って会計のときに店員さんに聞いてみました、「ここから境港は歩いてどのくらいかかるか」。

「歩くんですか!? 一時間以上かかりますよ!?」

 そんなに驚くなよ、実際そのくらい歩いてきてるんだしさ。しかしこれが効いたようで、「送迎バス出しますから乗って行ってくださいな。お宿はどこですか?」と来たもんです。うわサービスいいなあ!! 出雲の快晴とこの送迎バスがこのときの一番いい思い出のような気がします。基本好き勝手やってるからどれもいい思い出なんですけど、特にね。このビアガッセ、飲み食いイケてるしこんな感じでサービスもよさげなんで、鬼太郎記念館を見に行った暁にはまた訪れたいと思っています。もちろん徒歩でな!


●この脚は歩くためにあるのだ!

 ……徒歩つうとさ、アレなんですよね。この旅行なんですが、出雲で出雲大社からなんとか資料館みたいなところまで行ったんですよ。これはバス、と思ったら廃線になったとかでタクシーで。そしたら運ちゃんに名刺渡されて、「電話くれ」って言われたんですよね。交通機関がねえから利用してくれと。ええもちろん徒歩で帰りましたよ、駅まで。あちこち寄り道してたから、その分を考えてもだいたい一時間半くらいかけたか? それに松江でも酒呑んでたら目の前で市内バスの最終が行っちゃったから結局徒歩だったしさ。宍道湖だっけあそこは? 田沢湖か? なんにしろ湖のほぼ北端から駅までだから、これもまた歩いたもんですよ。

 私ゃこんな人間ですからね、私と旅行するんだったら徒歩強行軍の覚悟は要るかと思います。変にタクシーとか使うんなら、歩いたほうがマシ。そういう考えしてますから。いやさ、観光名所巡るのもいいんだけど、そればっかりじゃなくて町の中歩くのも好きなのよ。面白い店があるかも知れない、面白い光景があるかも知れない。こんなのは観光ガイドにゃ載せないでしょ? 何かを期待すると九割九分九厘まで外れるけども、目的地まで歩くその道のりで面白いものがあったら拾い物じゃない。だから私はどこかに行くときは歩くことが多いんです。気持ちいいしね。

(注意:田沢湖は秋田県)


●アレどうなのかな、映画の「妖怪大戦争」

 だいぶ長くなりました。またぞろゲーム、そして妖怪の話に戻しましょうグヘヘ。最初のうちはどのステージも難易度が初期段階ですから登場する妖怪も多くはないんですが、3面から登場妖怪の入れ替わりが始まり、12面を超えた辺りから顔ぶれがどんどんすごいことになっていきます。たとえば、妖界魔境で出てくる青くて変な形した、ぐねんぐねんしながら横に飛んでいくのはのびあがり。漫画だと妖怪じゃなくて未確認生命体になってましたね。妖炎魔境で骸骨の次に出てくる白い狐みたいなのは白蔵主。遠野を初めとしてあちこちにある、化け狐化け狸の類が人に成りすましてなおかつ非常に立派な人柄を見せた、というような話ですな。

 それに妖炎魔境で皿ビーム飛ばしてくるのは皿小僧、ふらふら飛んでるのはおとろし。鳥みたいのは最近映画のタイトルにもなった姑獲鳥(ウブメ)です。あとあれか、妖奇魔境で突然出てくるのは泥田坊、妖空魔境で出てくる黄色いのはけうけげん&ふらり火。さっと見ただけで分かってしまう、俺はよっぽど妖怪好きなんだな、と思ってしまった瞬間でした。でも、水木しげるロードは半分くらいしか分からなかったんでちょっとショック。もうちょっとしたら、ステージごとに出てきた妖怪なんかも適当にならべてみますね。

 攻略サイトがあったんで敵の名前調べてみたら、この狐白蔵主じゃなかったよ。なんと白山坊、これも漫画ベースの妖怪でした。鬼太郎よりも砂かけ婆が活躍している、面白い話です。やっぱり渋いところから取ってきてるな、このゲーム。


●夢子ちゃんなんて、当時のアニメ見てないと分からないんじゃないか?

 そうそう、このゲーム隠しキャラの類もかなり多いんですよ。特定ポイントの通過や毛針何発発射、などの条件でカラスや座敷ワラシ、石臼やらシーサーなど鬼太郎に縁のあるキャラたちがわんさと登場。役に立ったり立たなかったりはそれぞれですが、まあファンならにやりとするものが多いんじゃないかしら。

 あとはレアものとしてぬらりひょん、さらに極レアとして猫娘&夢子ちゃん。確かぬらりひょんは高次ステージで時間かけると上から降ってきたような。猫娘&夢子ちゃんは地獄で文字通り地獄の敵討伐レースを行い、確か25回くらいをマークすれば出てきたような気がします。さすがにこれはおいそれとチャレンジできるものではないですね、ここまででも数回しか見たことはないです。夢子ちゃんに触れると地獄から脱出できて、猫娘に触れると高得点がもらえるかわりに少し後ろに飛ばされるという。


●アニメ第二期の鬼太郎は超好戦的だったそうですね

 説明が超遅れた、つうかもうどうでもいいような気もするんですが。各アクションステージをこのゲームでは「魔境」と呼び、それぞれのクリア条件に合わせて四種類の魔境があります。で、それらのクリア条件を達成すると脱出用の扉が二つ現れまして。もちろん、片方はダミーです。ダミー扉に接触すると「地獄」というステージに落とされ、ここはてっぺんに鎮座するボスの弱点を潰すか先にお話しした夢子ちゃんに触るかしか脱出方法はありません。言うまでもなく、前者のほうが圧倒的に楽です。

 この地獄なども出てくる妖怪の取り合わせや背景などが漫画ベースになっていて、いやー漫画だと見上げ入道って実は完全な被害者なんだよな。入道の住処を便所代わりにするほうが悪いわけで。あとあれです、私は漫画では「だるま」の話がすごい好き。引越し人足の笑顔が荒んだ心を癒してくれます。あれも別に悪いことしてないのになあ……。察するに、人間界に無闇に進出してしまった妖怪を実力で排除するのが鬼太郎の役目なんでしょう。

 ちなみに、漫画に登場してきた妖怪たちの実力などを見るにつけ、鬼太郎って世界最強クラスの実力を持ってますね。閻魔さまに直接掛け合って要求通したりもしてますし。そうでもなければ、妖怪スイーパーなんてできないか。まあその実力も仲間たちや親父殿の苦心があってのもの、ってことで仲間は大切ですね、と。ええ、とても大切です。


●「終わらない冒険」の楽しさ

 なんかゲームそのものの話よりも違う話のほうが多いような気もしますが、これは思い出の品でありそして今でも起動する、まさに一生もののゲームとなりました。今手元にあるのも、幼いころに買ってもらったまさにその現物です。あとそういうのって何があるかな、ソロモンの鍵もそうだしレイラもそうだし。ああ、グーニーズもそうだな。そう考えると、うちってかなり物持ちがいいのかも知れません。

 何にしても、そういうゲームがあるのっていいことだよね、と苦しい締めにします。ほんとにさ、最近のゲーム見てると派手なばっかりっていう気がするのよね。少なくとも、プレステの棚を見てると、これや影の伝説、グーニーズみたいに延々とゲームが続くものって一本もないですもの。みんな必ずエンディングが装備されてます。アクションゲームといえば、たとえばクロノアもすごいいいゲームだったけど、これみたいに延々続くわけじゃなし、エンディングを迎えてたぶんみんな泣きますよね。けれどそうやってエンディングで区切りを「用意されてしまう」。今のゲームやる子供たちって「エンドレスの楽しみ」を知っているのかな、と思ってしまいます。

 別にエンドレスだから楽しい、ってんじゃないけれど、エンドレスだからこそ好きなだけ手をかけられて好きなときに切ることができる。目標も区切りも、自分でつけるもの。ファミコンにはそんなゲームが多かったように思います。エンディング目指して徹夜徹夜のまた徹夜、なんてのもいいかも知れませんけども、やっぱり私はこういう昔のエンドレスなゲームもいいなあと思うのです。



●魔境と地獄、ボスなど

 以下のような構成になってます。まずは魔境から。

 これは魔境も地獄もそうですが、全体に共通してるのは高次ステージに進めば進むほど敵の性能、移動速度や連射速度なども上がっていくということですかね。特定種類の敵は出現間隔も短くなっていきます。地獄では同時出現数なども増えます。

  • 妖奇魔境

     飛び回る人魂を10個集めるというのが目的ですね。人魂はなぜかこちらから逃げようとするので、追いかけっこになります。地面は土転びやだるまがごろごろ転がりまわっており、また一定時間経つと朱の盆やのっぺら坊、枕返し、あとあれは……覚えあるんだけどなんだろう、あまめはぎかなんかだったと思うんだけど。とにかくその手の妖怪が攻撃をかけてきます。キジムナーも走ってますね。

     背景は森、墓場、土蔵前、堀の4パターン。ステージが先に進むにつれて土転びなどのスピードが上がっていき、また一定範囲を同一方向に進み続けることで泥田坊がぬーっと現れるようになります。こうなると行動範囲が非常に狭くなるので危険になってきますね。特に土転びなどのスピードの上昇はギャグの域に入っていますので、必見と申し上げておきましょう。ジェット噴射か何かでもしてるのか、みたいな感じ。

  • 妖界魔境

     うろつく妖怪を10体倒すのが目的。ここはやることが単純な分さして難しくなく、高次ステージに進んでも大きな障害はないかと。ただ、ときどきねずみ男がたたずんでいて、こちらに口臭をびしびし飛ばしてきます。ここは確か長いこと居続けることでぬらりひょんが落ちてきたような。

     背景はすすきの原、建物内部の2パターン。初期は水虎や手の目がうろつくだけですが、そのうち磯女や狐火、邪魅やのびあがり、天邪鬼などが出現するようになります。

  • 妖空魔境

     脱出条件は妖界魔境と同じですが、名前の通りこちらは空中戦。ペナンガランが飛び交う中、一反木綿に乗っての出撃です。ということでこのステージではジャンプはできません。また、一反木綿の挙動に微妙な慣性というかクセがあり、制御はなかなか難しいのが実情ですね。一定時間過ぎることで、大首や魔女、釜鳴り、雷様にけうけげん&ふらり火、こうもり猫(!)などが出現します。なさけなーい。

     背景は山脈上空、海上、鍾乳洞、枯れ森上空の4パターン。高次ステージになることでペナンガランの速度が上昇し、また釜鳴りや魔女の出現間隔が短くなっていきます。そのうち倒しても倒してもまた出てくる、なんてことになります。そうだ、あと大首とかがつけてる回転シールドの数が増えた。

     ここのペナンガランの速度上昇も土転びなどと同程度でして、そのうちまるで光に向けて突っ込むカマスみたいな様相を呈し始めます。スキューバやってる友人に聞いたんですけど、夜潜るときに人にライト当てたらいけないんですって? そこめがけてカマスが突撃するから。人なんか軽く貫通する勢いだそうですよ。怖いです、自然。

  • 妖炎魔境

     ろうそく10本に火をつけるのが目的。鬼太郎の後ろにつるべ火がつくので、彼をうまく誘導してろうそくに触らせます。ところがコレが意外に難しく、慣れないうちは苦戦すること請け合い。

     背景は骸骨宮殿、土蔵内部の2パターン。この土蔵内部というのが落とし穴の存在に強力な敵の出現とかなり危険な構成になっており、作中で一番てこずる作りなのは間違いないかと。最初は骸骨やさざえ鬼が遊んでいるくらいですが、高次ステージになることで白蔵主白山坊や蛟、おとろし、皿小僧、姑獲鳥(ウブメ)などが出現するようになります。特に皿小僧とウブメの複合攻撃は危険極まりなく、地形とあわせてだいぶ泣きが入ります。ミニバックベアードもいるよ。


 次に地獄。扉に入ってからすぐの「デュー」という落下音はけっこう忘れられないインパクトがあるんじゃないでしょうか。

  • 見上げ入道

     漫画の状況を再現しているようで、山のてっぺんに巨大化した見上げ入道が待ち受ける、というような光景。口から秘法・霊界流しを吐いてきて小さい見上げ入道が襲ってくるのもお約束、しかし最初期配置の団三郎狸はどういう関係なんでしょうねえ。

  • たんたん坊

     これも漫画。妖怪城のエピソードですね。背景はあまり関連が感じられませんが、二口女にかまいたち、たんたん坊の取り合わせはまさに漫画そのもの。注連縄かけて石にもどしてしまえば楽なんでしょうけども、これはゲームなのでそうはいきません。いきなり投げ落とされた二口女がちょっと気の毒。

  • 赤舌

     これは漫画とは関係ないのかな。となると、なんで赤舌とどくろ、ついでに骨女がつるんでいるのかが今ひとつ分かりません。アニメが元ネタなのかな。高次ステージでは狙い澄ましたようにこちらの上めがけて落ちてくる骨女が困り者です。骨投げてくるしさ。

     ちなみにこの赤舌、一般的には「水争いで殺されてしまった人の亡霊で、水をけちる人の田んぼから水を持ち出して困っている人のところに回す妖怪」という解釈になってますが、実際のところは鳥山石燕の一種のユーモアで、別に水は関係ないそうです。ついでに言えば、石燕師匠の完全オリジナル妖怪。この水争いで〜、てのは純粋に絵の感じからする連想にすぎないみたいです。いろいろ本読まないと駄目ですね、やっぱ。

     これは絵解きとして描かれた絵だそうで、どうも私は頭悪いんでよく分からんのですがいろいろ解いていった果てに「万事凶」という解釈になるのだとか。絵解きってのは寓意画みたいなもんだと思います。赤は垢、穢れに通じとか。詳しく知りたい人は「妖怪辞典」という書籍を探すとよいですね。妖怪好きなら一読の価値ありですよ、あれは。

  • バックベアード

     これはアニメベースでしょうね、背景は特に関係ないんでしょうけども。子分のフランケンシュタインの怪物に狼男、もう非の打ち所のない「外国からの侵略者」組です。しかし、バックベアードってはっきり言っちゃうとべとべとさんと大差ない妖怪なのに、なんで海外妖怪の元締めみたいな扱いになってますかね。アニメだとけっこう回数来てるんじゃないですか? 日本ではぬらりひょん、海外からはこんなのが来るんだから妖怪スイーパーも大変です。


 こちらは高次ステージになるとまず敵の数が増え、次に種類が変わります。次いでその二種類が同時出現するようになったりさらに数が増えたり、どんどん大変になっていきます。あまり地獄には行きたくないですね、高次ステージでは。

 最後に、ボス。だいたい同じルーチンを幾種類かで使いまわしています。基本的に、危険なのはほとんどいませんね。5面のエリート兄に関してだけ毛針を下に逸らす能力を持っているので、♪が飛んで来る前に片をつける自信があるのなら密着して猛連打、でもなければおとなしく塗り壁を呼んで指鉄砲で始末しましょう。

  • 吸血鬼エリート

     なんかオタクつうか根暗つうか、そんな容貌のこのお人。漫画ではまあ……似たような感じで、でももっとしっかりした顔してます。水木御大の知り合いである、これも漫画家のつゆきサブロー師がモデルだとか。求人広告の面接場所、「銀座のいちばん高級な喫茶店で日本一のコーヒーをすすりながらその横に世界一のギターを置いている日本一の男前」って、いい度胸してるよなあ。1面と5面に出るけれど、5面のは兄貴なんだとか。アニメには出たのかな? どっちにしても弱いですわ。ジャカスカジャカスカ、ジャンガモンガジャガモンガ。

  • 髪さま

     これ、漫画ベースですね。たぶん「麻桶の毛」をベースにしてアレンジした妖怪だと思うんですけども。神として崇拝される髪、というものです。漫画ではご神体の鏡を割られて退散、だったような感じで、だから弱点も鏡。飛ばしてくるのは髪房であって茄子ではないのであしからず。それと、このゲームのエクステンドアイテムである目玉の親父、これといっしょに出てくるマイナスアイテムの毛目玉。このゲームのおかげで有名すぎるくらい有名になったと思うんですが、漫画ではこの髪さまの下僕でした。

  • 雪ン子

     こいつは印象薄し。アニメは見てないし、漫画も供給がなかったんでほとんど知らんのですよ。体力を削りきったところで変身して運動性を上げますが、買った当時はこの速度にテンパってたんだよなあ。今見るとスローすぎてあくびがでるぜ。移動範囲が広いので、とりあえず火の玉を使うのが弱点というところからもナイスです。

  • 悪魔ベリアル

     これも漫画ベース、そしてアニメで強烈なアレンジがかかりましたね。漫画だとわざわざ南蛮人に化け、船に乗って来日するという牧歌的なお人。しかも仲間におごるとか言っちゃってるし。結局最後まで牧歌的な感じで通していたのが、アニメだと大変貌。これ、ちょっと見ただけなんですけど、山道を超人のごとく疾走する紳士服の爺さん、そしてその勢いで塗り壁もぶち抜く光景は忘れようがありません。倒したときに分裂するのは、漫画、アニメともに手なら手、目なら目だけを切り離して巨大な塊に変形させ、押しつぶすような感じで攻めてきたことに由来します。

     ちなみにゲームだと激弱。倒したときの分裂さえ知っていれば以上です。ていうか、ベリアルって聖書にも名前が残る大悪魔のはずなのに……。なんだよ「明治維新のどさくさにまぎれて日本に来た」って。

  • 輪入道

     アニメには出たのかな。片輪車(資料によって片車輪)と同じく、通るところを見ると子供をさらわれたり殺されたり、といいことがありません。というか見るな、というものなんですが、こういわれると見たくなるのが人の常

     どうでもいいんですが、漫画「帽子男は眠れない」で自動車の話をしたときに、「タイヤが悲鳴を上げる」のカットのところにこの輪入道がひぃぃぃぃ〜と悲鳴を上げる絵が挿入されており、以来彼は「悲鳴を上げるタイヤ」というイメージになってしまいました。あと、車輪の裏面はどうなってるのかなと思ったら、水木しげるロードに置かれている銅像で新事実発覚、なんと両面に顔がありました

  • 日照り神(実際は『魃』、読みは同じくひでりがみ)

     これも……原作に出たのかどうか。旱魃を呼ぶ存在ですな。なんか地味な感じでエピソードとしての印象は薄いんですが、敵としては割と面倒。雪ン子の上位互換みたいな感じで、体力がまだ残っている段階から変形します。ひだる神とは別物なので注意、って言うまでもないか。

     行動パターンが今も言ったとおりに雪ン子と同じなんですが、こいつはその性質上火の玉を打ち込むと回復するので毛針で攻撃するのがナイスです。

  • ほうこう

     彭侯。千歳の木には精あり。状(かたち)黒狗のごとし。尾なし。面(おもて)人に似たり。又山彦とは別なり。(角川ソフィア文庫、鳥山石燕『画図百鬼夜行全画集』より抜粋)

     これは漫画ベースですね、エピソード覚えてないけど漫画に登場したのは覚えてます。ゲームではパカパカ色を変え、それにつれ有効な武器も変わるようですが共通して毛針へのブロックをかけてないという原初の大ポカをやらかしているので激弱です。行動ルーチンほかすべて悪魔ベリアルと同じ、倒したときに分裂するのも同じです。大トリを飾るにはふさわしくないボスですな。





※1 目玉の親父

 文字通り、鬼太郎の父親。鬼太郎の両親は鬼太郎が生まれる直前に亡くなってしまい、知り合いの人間の手によって母親は埋葬、父親は腐敗、というか溶け方が酷くて移動が不可能だったので放置という状況だったのだが、鬼太郎自身は自力で土中から這い出し、同時に父親の目玉がそれ単体で動き出して鬼太郎の面倒を見るようになった。息子が妖怪スイーパーを営む現在では、その豊富な知識とコネクションを以って息子を強力にサポートする。

 ゲーム中ではエクステンドアイテムとして登場。特定のポイント(たいていは空中)で毛針を撃つことで毛目玉と同時に出現する。出現の仕方によっては毛目玉と完全に重なっていることがあり、こういうときは残念ながら見過ごすしかない。取ってもいいが、プラスマイナスゼロでいいこともない。なお彼らは毛針ですら貫通してしまうので、手前にいる毛目玉を排除して親父だけ取ろうとするとまとめて消滅させることになってしまい、ちょっと哀しい。

 ところで原作ではよく踏み潰されてぺたんこになっていたが、自転車の空気入れでどうにかなってしまう。実に頑丈なお方だ。生前の姿はミイラ男をほうふつとさせる、包帯ぐるぐる巻きの容貌。生前からあんな甲高い声で「トホホー」と言っていたのかどうかは定かではない


※2 水木御大関連のことごと

 水木しげるロード、というのは御大の故郷である鳥取は境港の駅前商店街のこと。ここにかなりの範囲にわたって妖怪の銅像が並んでおり、妖怪好きとしては一度訪れておきたい場所と思える。また、数年前に鬼太郎記念館だか水木しげる記念館だか、そういう名前の施設が建設された。これは残念ながら二度の訪問においても未だ落成しておらず、未見である。

 Oh! 水木しげる展は2005年の明けごろまで東京の江戸東京博物館にて開催されていた、御大のこれまでの生涯や作品などを展示した展覧会。私は一度ここに行く気で友達に呼び出されて呑んでしまい、酔っ払いながら訪れるも入り口の看板にて「閉館:午後6時」とあるのを見て引き返してきてしまったことがある。もう少しよく見ていればよかった、ちょっと後に「水・木曜は午後8時まで」とあったのに……。

 仕方ないのでその週の土曜に再度訪れるも、これは休日に直撃してしまったおかげで大混雑。特にアベックや若い女性単身、という客が多く、特に前者は場にふさわしくないと思えることしきり。デートはよそでやれ、よそで。漫画に登場した品物などが模型化されて展示されており、いろいろと楽しい展覧会であった。

 なお、御大が居を構えてらっしゃるという都内調布の辺りに、これも水木しげるロードができたらしい。情報を集めて、ここも訪れてみたいものだ。