〜レイディアントシルバーガン、斑鳩〜
機種:サターン他(シルバーガン)、ドリームキャスト他(斑鳩)
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●怒首領蜂もよかったですよね、破壊衝動を煽るような音楽が

 これまでもいくつかすでにまとめていますが、私下手なくせしてシューティングが好きだったりします。かといってなんでも好きかというとそうでもなくて、主に音楽が綺麗か否かによって変わってきてますね。レイフォースなんかは音楽とゲームのストーリー、それに実際のゲーム内容が非常によくかみ合っていてしかもどれもよく出来ている、これ以上ないくらいの名作だったと思っておりますが。

 ということで、全然脈絡も何もあったもんじゃないですが今日は名作と名高い「レイディアントシルバーガン」とその姉妹作「斑鳩」のお話。


●弾が、弾が多い!!(ステージ3−2にて)

 もともと近所のゲーセンに唐突に入荷しているのを見かけたのがレイディアントシルバーガン(以下シルバーガン)との最初の出会いでした。いや、出会いなんて大層なもんじゃないですが。んで、そのときは「音楽すごいけどなんか妙に難しいなあ」というのが第一印象。その後、うまい人のプレイ光景をみてチェーンを真似してみるもこれがさっぱりうまくいかず、素敵な音楽だけを胸に刻んで遊ばなくなっていきました。

 それからしばらく、サターンに移植されているのを見かけまして。ちょうど友人であるところのワダ氏がサターンを持っていることだし、どうにか頼んで借りるなり譲ってもらうなりできまいかと思ったんですね。そしたら「譲ってもいい」という返事をもらえまして、そこで即座に譲ってもらうことにしました。3,000円くらいだったかな。ついでにシルバーガン本体も中古3,000円程度で購入できまして、このお値段は今の相場を考えると想像を絶する安価です。いやあ、いい買い物ができました。今これ買おうとすると、なんかえらく高いそうじゃないですか。なんですか、12,000円? ねえ。よかったぁ、買っておいて。

 ちなみに言っておくと、このシルバーガンの購入価格は近所のゲーム屋でのものです。当時この近所にはたぶん世間の評価なんて伝わってきてなかったんでしょうね、田舎ですから。今覗いてみれば、同じ店でも中古12,000円とか付いてますし、いやほんとに良かったな、と思います。


●目映く輝けり 白銀の銃

 まずはレイディアントシルバーガン、簡単にシステムとかの説明。見た目は普通の縦スクロールシューティングですが、なんか自機の「シルバーガン」、戦闘機のクセに武装を7種類も装備してます。全て使いこなせば全方位攻撃可能、中には白兵戦(白兵戦、というのは日光を照り返して『白く輝く兵器』で斬り合うから白兵戦というそうですが、当然戦闘機にこなせる芸当ではありません。戦闘機が普通剣持って斬り合いますか?)仕様の兵装まであり、しかも単独での大気圏離脱を可能とする出力を持つ超高性能機ですが、それゆえにプレイヤーは3つのボタンの組み合わせでこれらの武装を使い分けてゆかねばならず、これが慣れるまでちょっと大変。かつてゲーム雑誌で見かけた「こんなゲーセンはちょっと嫌」というような企画で「シルバーガンの全武装に対応したボタン7つを全部用意しているゲーセン」というのが挙げられていましたが、そういうお店が秋葉原に本当にありますね。まあ私は3ボタンで遊びますが。しかし、平和な世界で何と戦うつもりでこんな高性能を持たせたのかな。そういや白兵戦の話ですが、白く輝くと言えばシルバーガンが装備している光の剣、「レイディアントソード」っていうんですよね。目映き剣、おお、白兵だ。

 んで、これがこのゲームのキモですが、敵には3種類の「色」があります。で、ゲーム中に同じ色の敵を撃破し続けることで、敵の撃墜スコアがすごい勢いで上昇(3機撃墜ごとに上昇)していくんですね。これを「チェーン」といいます。実はこのゲーム、パワーアップは得点の加算によってのみ行われますんで、このチェーンが非常に重要だったりします。これをやらないと、武器のパワーアップ具合が極端に違いますし。慣れるまで、というか慣れてもたぶんかなり大変

 こんなわけですから、このシルバーガンはあちこちで「難しい難しい」という評判になってますね。私もそう思います。ただ、間違っちゃいけないのは「難しい=つまらない」ではないということ。やればできる、しっかり遊べばそれだけ結果として返してくれるゲームですから、機会と興味のある人はガンガン遊びましょう。……大きいゲーセンでもないともう置いてないし、サターン版はものすごく高価な一品になってしまってますけど……。


●ボスの名前が……名前が……

 おうちで遊んでみた感想としては、やはり見こんだとおりに音楽が非常に美しいということと、やはりゲームとしての出来も素晴らしいということ。特に音楽については「綺麗」とかそういう話ではなく、すでに「荘厳」という表現が相応しいくらいのものでして、いやあこればかりは「聞け」としか言えません。サターンモード、衛星軌道上の曲と「光の巨人」戦の曲がすごいです。宇宙の波間を漂いながら、また安らぎさえ覚えそうな静寂の中で、神とも思える存在と繰り広げる激戦。そうだ、あのラスト60秒の直前、スコア計算のときに空を見上げるでしょ。黄金の雲の向こうに見える、澄み切った星空。あの光景が、心の底から好きです。実際にあの光景が見られる場所があったら行ってみたいものですよ。

 ゲームについても、最初はチェーンがよく分からずほとほと困っていたんですが、いろいろ試していくうちにそこそこつなげるようになってきましてね。すると武装の威力もガリガリ上がっていきますから、先に進める可能性も上がっていくわけですよ。進めるようになれば、面白さの見え方もまた変わってきます。演出なども実にかっこいいですしね。シルバーガン対シルバーガン、堪能させてもらいました。きっちり7種類全部、武装を使ってくるんですよねこれが。もう感心しどおし。

 まあ今でも下手糞なことに変わりはないですが、ゲーセンではステージ2ルート(ここらがへっぽこ)でステージ5終盤まで、サターンモードも一応エンディングまでは見ております(大量にクレジットを消費しているのがイタい)。面白かったのは、ゲームをあまり知らない友人にかの「プラネットジョーカー」とこのレイディアントシルバーガンをたて続けに見せたところ「同じハードで同じコンセプトのゲームで同じような技術使って、それで何この完成度の違いは?」という感想がもらえたことでしょうか。


●「私のこと……愛してる?」

 さてこのシルバーガン、サターンオリジナルモードにおいて最終局面まで辿りついたとき、謎の物体の攻撃を避け続けるなかで不思議なメッセージが流れます。人の業を感じさせるそのメッセージの裏側に、実は「ゲーム」というものへの製作者の強い想いが込められている、とのこと。ゲームを作る人、売る人、遊ぶ人。これらの立場、認識の違いを嘆きつつ、「いつか気付いてくれることを願って」と昔の「ゲーム」を再生し、未来につなぐ。こんな感じだったかな。これを知ったとき、共感というか寂しさというか、なにか不思議な感覚を覚えたものです。残念ながら私には再生元となったであろうゲームたちにはほとんど触れていませんのでさほど思い入れもなく、ために製作者の方の願いなどは強い実感としては感じられないのですが、それでも込められた気持ちを感じ取ることはできたように思います。

 このメッセージについての詳細や正確なことは、私が語るよりも余所のファンページを当たってもらうほうがいいと思うんで、興味のある人はリンクから飛んでみてください。読む価値という意味では、私のまとめた文面などよりもはるかに高いものですから。というか、最初にこの文面を書き始めたのもずいぶん昔のこと(もう2年くらい前のはず)で、そのときはそのサイトさんにもこちらからリンクを出しているだけだったのですが、現在ではちょっとしたやりとりの後、先方からこのサイトにリンク出してもらえたんですよね。まさか相互状態になろうとは夢にも思っていませんでした。……先のことはどうなるか分かりませんけれども。要望がない限りこちらからは切らない、とだけは申し上げておきましょう。


●天高く舞えり 美しき斑鳩

 んで、ここから斑鳩の話。シルバーガンも今では割と昔(4、5年前かな)のゲームなんですが、ここ最近になってその血脈を受け継ぐシューティングが発売されるとのこと。それがプロジェクトRS2、斑鳩でした。まあなれ初めはシルバーガンとまったく同じです。ゆっくりと戦闘艇に歩み寄る男の姿が、音楽とあいまってえも言われぬ凄みを滲ませていたのをよく覚えています。ゲームの仕組みも似たようなもんですね、さすがは姉妹作。極まった人のプレイを見ると、シューティングっつうか別のジャンルに見える、というとこも一緒です。とか思っていたら、ラストで謎の物体の攻撃をひたすら避けつづける、というところまで同じでかなり驚きました。もっとも、最後の最後は大爆砕が待っていまして、そちらでもまた驚いたものですが。「え? ……こ、壊せたのか!?」

 敵の色は白と黒、自分も白と黒の属性を使い分けて同じ色の敵の弾を吸収しつつ道を切り拓くという辺りは明らかに前作シルバーガンと違いますが、やはり最大の違いは「チェーンを組まなくても、腕さえあればクリアできる」という点に尽きますか。いや、一応シルバーガンもチェーンなしクリアは可能らしいんですが、これはパワーアップが全部チェーンに依存しているおかげで攻撃力がさっぱり上がらず、ためにシューティングに関する相応の腕前を要求されるとのこと。ですが斑鳩にはパワーアップは存在しませんので、属性のことさえ理解してしまえばチェーンはやらなくてもいいのです。ただしスコアを稼がないとプレイヤーストックは増えず、そしてチェーンを組まないとスコアは伸びませんから、チェーンを無視する場合プレイヤーストックを増やせないという問題も出てきますが、それは要するに「うまくなれ! 死ぬな!!」ということでいいでしょう。


●「貴様には何を言っても分かるまい。……分からんだろうさ」

 繰り返して言っていますが、このゲームも音楽が実に綺麗で、大いに好評だったそうですね。サウンドテスト出現の条件を満たしたときは、朝から感激にうち震えたものです。もう、その後は音楽聴いてしびれっぱなし。で、スタッフロールを見ると、なんと音楽もプロデューサーの方が手がけたとのこと。これ、一部のひねくれ者がスタッフロールを見てから「どうりで素人くさいと思った」などとうそぶいていたという話を遠くから耳にしていますが、なんともあほらしいというか、何者が作ろうがいいものはいい、悪いものは悪い。それだけの話じゃないんですか?

 こちらは先日(2002.09.05)ドリームキャスト版が発売されました。当然、発売日に購入。数ヶ月前に予約を入れました。それと、今ではゲームキューブ版も発売されてるそうです。いやあ、このサイトにもゲームキューブなんて名詞が入るようになったか。このゲームについても、ゲーセンでぽへぽへと遊んでいるうちに少しずつ進めるようになっていき、一応イージーモードでラストまで行くようにはなりました。でも、結局解いただけ。イージーに慣れすぎてもうノーマルなんか遊べませんものね。ハードは論外、お試しモードで一度やってみて即座に諦めがつきました。無理です、あんなの。プロトタイプモードだって、ノーマルで解けないから一向に出てくる気配がないしさ。20時間プレイは一度の通しで20分そこそこという状況ではきつすぎです……。


●「目に見えるものを感じずに……目に見えぬものを信じられるというのか?」

 ところで。斑鳩のラスト、謎の物体(シルバーガンと同じ形。実はシルバーガンと同じ『石のような物体』であると明言されています)の攻撃を避けるのも同じ、と今言いましたが、ゲーセンで見かけてからこっち、あれこれ見たり読んだりしていくうちに、シルバーガンと斑鳩とで似て非なる点を見つけたような気がします。っていうか、まずストーリーの違いとかを話さないとダメか。

=シルバーガンの場合=

 未来の話。繁栄を続ける社会において、軍部ははるか昔の地層から「石のような物体」と、なぜか今の時代の形式と同じ、昔になど存在するはずのないロボットの残骸を発掘。とりあえずロボットのメモリーを再生してみたところ、突如として「石のような物体」が活動を開始し、ほんの30分程度で地球上の人類は総て消滅させられてしまう。生存者は、いち早く大気圏外に退避した巡洋艦「テトラ」のクルー数名と、一機のロボットのみだった。

 人類消滅から一年、大気圏外にいたテトラは逼迫していく艦内の状況を改善するため、性能テストのために搭載してあった最新鋭戦闘機「シルバーガン」とともに決死の大気圏再突入を敢行する。

=斑鳩の場合=

 昔の話。田舎国家だった「鳳来ノ国」は、「産土神黄輝ノ塊」(ウブスナガミ オウキノカイ)と呼ばれる物体を掘り出したことをきっかけにして急に勢力を強め、近隣の国々を武力で制圧していく。その過程で抵抗勢力だった「天角」も壊滅させられたが、その中で一人生き残った青年「森羅」は「鳳来ノ国」に追いやられた老人たちの集う斑鳩の里に偶然辿りつき、そこで老人たちの意地の結晶「飛鉄塊・斑鳩」を受領する。森羅は「命尽きようとも、後悔のない生き方をする」という想い、それに拠る「打倒鳳来」の目標を胸に、超高性能飛鉄塊「斑鳩」を駆って飛び立つ。

 ……どうでしょう、分かります? 要約すると、シルバーガンでは「生きるため」に戦いに臨み、斑鳩では「目的のために死を厭わない」、つまり命を捨てる覚悟で戦いに臨んでいるんです。この姿勢はそれぞれ最後まで変わらず、シルバーガンでは主人公であるテトラのクルーたちは生きる「活路」を見出すために戦い、結果物体の放つ光に巻き込まれて倒れてしまいます。最後の発光を確認した瞬間から回頭して全速で離脱にかかる、最後のメッセージは「生き延びるんだ……」であるなど、最後の瞬間まで「生きる」ために生きた人たちでした。

 逆に、斑鳩において主人公の森羅は言わば「死に場所」を探して戦い、その果てで物体を前にしたとき、何のためらいもなく安全制御を解除し、機体の崩壊を伴う「力の解放」を物体に撃ち込んで散っていきます。「死ぬため」に生きた人にいちばん相応しい最期でしょう。どちらの生き方が素晴らしい、などと言うつもりはありませんが、私は斑鳩のように、後悔のないように、死の瞬間も笑っていられるように。もうちょっと言えば死に秋(しにどき)を見極めて死ねたら、と願い続けています。


●「これで一気に眷族を倒して……寿命を取り戻してやる! ……うおッ!!」

 生きるために戦う。死ぬために戦う。難しいものですね、何か成すべき目的ややりたいことなどがあれば、生き残ること最優先で戦うようになるでしょうし、逆に自分の役割はここまでだと見切りがついたのであれば、死に花を咲かせるために戦うということも考えられるでしょう。「戦う」という言い方で分かりにくければ、そのまま「生きる」に置き換えてもいいかも知れませんね。生を謳歌するために生きる、自分の存在を刻むために生きると。このどっちがいいのか私には分かりませんが、少なくとも私自身に関して言えば、長生きしても仕方ないなとは思っています。どうせ何にもないし。デカダンな人間ですから。

 ただ、「死ぬために」よりは「生きるために」のほうが前向き、という感じはしますよね。個人的に好きな漫画の主人公は、とある場面で「汝のもっとも大切なものを答えよ」と言われて「パソコンにゲームに家族に友達、それにやりたいこともいっぱいあるし……『未来』ってのが一番正しいかな」と答えたために残り一年まで寿命を縮められてしまい、しかも人知を超えた怪物どもと戦わなくてはならなくなったという悲惨な状況に置かれてしまいましたが、それでも彼はめげずに戦いに身を投じて行きました。彼のような性格ならば、きっとテトラのクルーたちが置かれたような状況においても最後まで戦い抜くのでしょうね。大切なのは、生きていること。生きてさえいれば、あらゆることが成せるから。ほかのことは、歩きながら考えればいいのだから。……自分で言っておいてなんなんですが、私はここまで前向きにはなれません

 どうでもいいんですが、先ほど引き合いに出した漫画での、「汝のもっとも大切なものを答えよ」という問いかけ。これも難しいものですよね。ちょっと私にはコレ答えられそうもありません、いや多すぎるからではなくて何もないから。これまでいろいろありましたものでね、自分の手元にはもう何も残ってないのですよ。まあどのみち、幼いときからほとんど何もなかったということに変わりはなかったんですが。ハァー、最近ほんとにネガティブになってますねえ……。前はこんなに気にならなかったのに。あーあ、なんか面白いことないかなー。

 関係ないついで。寝言でまで「妖介はん、アホやでェ〜」などと言い出すなんて、……よほどお前の頭の中では彼はアホなんだな……。


●「しゃあねえな、……行くか!!」

 ほかにも、打ち砕けぬ輪廻の象徴として描かれる「石のような物体」を、斑鳩において爆砕させたということは、なにかその輪廻を断ち切る手がかりでも感じられたのかな、とかいろいろ考えさせられたゲームでありました。「いつか、分かり合えるときが来るから……」という言葉に、その手がかりを手に入れたという希望が感じられます。

 シルバーガンと斑鳩のどちらもハードルは高いと言えますが、それでも私にでさえある程度なりともどうにかできるんですから、要はそのゲームが好きかどうかということと、繰り返して遊んでいるかどうかということが上達のための鍵なんでしょう。映画のトイストーリーでもやっていましたが、おもちゃは遊んでもらえてこそ幸せなのだと思うようになりました。新しいゲームばかりじゃなくて、手元にあるゲームを見直してみるのもいいかも知れませんね。間違っても収集しておくだけのものではないのだよ、と。でも、うちだともうデータの保存が利かないからサターンモードのエンディングが限りなく遠いんだけどね……。