平成6年以来、度重なる渇水に我々松山市民は悩まされ続けています。松山市の水瓶は雨が頼りの脆弱なダムと重信川水系の地下水しかありません。あの未曾有の大渇水・断水を余儀なくされて15年が経ち途中変遷はありましたが、西条工水からの一部転用を最優先と議会決定して早3年が過ぎました。

毎年新年のご挨拶ということで中村市長とその時の議長が西条市を訪問致しております。
しかし、西条市では地下水への影響を心配する声が強く、各種団体が分水反対を決議しており、伊藤宏太郎市長も一貫して強い反対姿勢であります。私が議長職の折、中村市長にお供して行った平成191月に伊藤市長より提案のあった新居浜市を交えた三市での意見交換会も6回を数えますが、分水問題は依然として膠着状態のままであり個人的にも非常に残念であります。

あの日、市長車の後続を議長車が少し離れて走っており、ちょうど西条20号線の市役所前交差点を左折する所に横断歩道がありましてその横断歩道を渡ろうとされておる高齢のご婦人がおられました。
議長車は一旦停止し、その方が横断歩道を渡るのを待った分けですが、渡らないので左折して市役所の玄関前へ付けたのであります。中村市長は玄関前で待っていてくれて私が車から降りた瞬間でしたか、そのご婦人が何か叫ばれていたらしいのですが、市長と共に庁舎の中に入った次第です。
会談を終えて帰路につき仄聞したわけですが、そのご婦人は議長車と市長車とを間違えて塩をまきに来られたとのこと、また市役所玄関に到着した際に叫ばれたのは抗議であったと知らされたのであります。今頃この話をなぜするのかと申しますとあのご婦人が怒られている内容を聞いてあげても良かったのではないかなと今更ながら考えるからであります。

西条市民の方々は名水百選にも選ばれたうちぬきの自噴井(じふんせい)を非常に大切しております。
『名水百選』とは昭和60年3月、全国各地の湧水や河川の中から100ヵ所を選んだものであり、愛媛県では3箇所、西予市の観音水、松山市の杖ノ淵も選ばれました。
西条市の「うちぬき」は、江戸時代中期に始まったと言われ、河川河口部に位置し、用水路の末端にあたる禎瑞地区が発祥地であろうとされ、清涼で豊富な自噴水であることから、古くから住民の飲用水、生活用水、農業用水、工業用水などのあらゆる水として利用されてきました。今でも合併前の西条地域の中心部には水道施設がなく、地域住民の73%が地下水を飲用水、生活用水として利用しており、昔ながらの「うちぬき」の自噴井も約2,000本あるとのことであります。

昨年西条市に行く機会がありました。1116日おりしも西条市長選挙投票日でありましたが、愛媛県サイクリングラリー西条大会が行われ、主会場が総合文化会館でありましてここの西側にアクアトピア水系の噴水があり、うちぬきの水を飲むことができる水飲み場が設置されておりました。
その水飲み場にはひっきりなしにポリ容器に水を入れる人たちが訪れ、中には150lくらいの水を持ち帰る人も・・・その横で勢いよく吹き上げる噴水を眺めながら本当に市民の方に愛されている「うちぬき」の水なのだと実感致しました。以前会社勤めをしていたころ西条出身の先輩がおられましたが「うちぬき」のことをよく自慢されていたのを思い出した次第であります。

私の住む家は市内中心部ですが、昭和50年代まで石手川の伏流水が豊富な地域で井戸水つまり地下水をポンプでくみ上げておりました。昭和48年に洪水調整と利水目的の石手川ダムが完成して当時は梅雨時や台風シーズンとなるとダムのコンジットゲートから放流が始まる前に石手川の警報のサイレンが良く聞こえてものでしたが、いつの頃からかそれもなくなり石手川は水無し川と呼ばれるようになっていきました。
我が家も昭和63年までは井戸水でありましたが度重なる地下水位の低下で上水道に切り替えました。ですから西条の方々がうちぬきの水が枯れたことがあると言われてましたが、その心配も良くわかるのです。

愛媛新聞の昨年3月5日付の「松山分水問題、結論ありきでなく徹底検証を」という社説で更なる節水策や水源の確保策がないのかとまた本年2月9日付の愛媛新聞のインタビューでも伊藤宏太郎西条市長は「松山市長には県都の自覚を持つべきだといいたい。西条を含め多くの自治体から人や物が集まる県都の優位性と財政力を生かして自前で水を確保すべきだ。西条市にとって水は将来の希望。その希望を失いかねない施策を押しつけないで欲しい。」と応えられ松山市に自助努力を求めているようにも思えるのです。

例えば松山市は絶対必要水量48000tであるならば、たとえ海水の淡水化にコストがかかろうとも自助努力で2万tくらいの水はなんとか用意して西条市は地下水源の調査に取り組んでいますが、それらの結果も参考に、分水の影響を見通していただいてなんとかなるなら西条市から毎年600人前後の人が転入し、平成になってからでも1万人以上の方が移り住むこの松山市に残り28000tの水を頂くことができないものかと私は考えます。

三者の意見交換会で西条市より「新規水源開発策について、単独の方策ではなく、19方策のうちの複数のものを組み合わせることはどうなのか」という質問があったと仄聞致しております
既に平成17年12月議会で海水淡水化策も視野に入れながら黒瀬ダム工業用水の一部転用を最優先に、関係機関とも協議を進める段階に至っており、大局的観点に立ち、理事者側とも相協調を図りながら市民への安定的な水供給に邁進すべきであるとの方向性を確認したところではありますが、松山市はそのような研究を内部的にはどのようにしてきたのかまた研究していたならその内容をご説明いただきたいと思います。

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