
 
「筋肉反射」
ダウンジングとか、Oリングテストとか、イデオモーターシグナルをご存知ですか。どれも筋肉反射を使って、潜在意識の答えを得ようとする手法ですね。
ヒプノの来談者に筋肉反射を紹介すると、「当たらない」「自分が望んでいる答えがでるだけ」という感想を聞くことがあります。
そういう気持ちはわたしにもわかります。ヒプノを始めるよりずっと昔、飼っていたインコがいなくなったときにダウンジングを使ったことがあります。当時は本で読みかじっただけで、5円玉に糸を通して振ってみました。
インコがいなくなる前に窓が開いていたので「ひょっとしてもういないかも」と不安だったのですが、振り子は「家の中にいる」といいます。部屋も特定できました。ところが探しても見つかりません。そこでもう一度ふりました。すると今度は「隣の部屋にいる」といいます。そうやってダウンジングの示す部屋はじゅんぐりに移っていき、けっきょく家中の部屋を探したあと、最初の部屋に戻りました。ほんとうは外に飛んで行ってしまったのでしょう。そのときわたしは「なんだ当たらないじゃん」と思って、やめてしまいました。
ヒプノを始めてから、もういちど筋肉反射を学ぶ機会がありました。今では日常生活でもわりとよく使います。試行錯誤していくなかで、コツがあるとわかってきました。
その1)筋肉反射は微細な心理状態に反応する。
たとえば「うまくいきますか」ときくとき、その後ろには「ぜったいにうまくいってほしい」という願望や「うまくいかなかったらどうしよう」という不安があったりします。筋肉反射はそういう心理状態にも反応します。「絶対こうであるはずだ」「こうあるべきだ」という思い込みや信念にも反応します。インコがいなくなったときのわたしは「窓から飛んでった」という答えを受け取れない気持ちだったので、どのような答えでも許すニュートラルさはありませんでした。
いきなり「うまくいくかどうか」をきくよりは、自分の気持ちを整理するために筋肉反射を使いましょう。「自分がそれを願っているか」「不安があるか」「YESという答え以外受けとれない気持ちなのか」などを調べます。
その2)自分のいろいろな部分を考慮にいれて、一致するように工夫する。
「いろいろな部分」や「内在者理論」で書いたように、自分の中にはさまざまな意志や願いがあります。たとえば不登校の子どもが「じぶんは学校に行きたいですか」ときいても、「行きたくないですか」ときいても、答えはYESになりえます。むりやり「学校に行けますか」ときけばYESになるかもしれません。でもそれは「行くべきだ」と感じていたり「行きたい」と思っている部分もあるということを反映しているのであって、現実を反映したものとはいえません。質問の仕方が不十分なのです。
そこでこのようなきき方をします。
「自分は○○することを望んでいますか」
ときいてYESとでても、つぎに
「自分のなかに、それに反対している部分がありますか」
とききます。
反対している部分を無視しないで、理由を調べていきます。反対する理由を理解したうえで、より本質的な対処方法を用意してあげると、反対する部分はおさまります。
ハイアーセルフの意向もききます。
「ハイアーセルフは望んでいますか」
「ハイアーセルフはどちらでもいいと思っていますか」
その3)関係している人の思いについてきく。
わたしたちは心の中でつながっているので、本来なら自分の気持ちをこまかく調べてみるだけで、そこに人の気持ちが反映されます(事情により例外もあります)。相手の意向をただ無視しておしきることは、わたしたちが望んでいるような、共に生かしあう統合された状態を生み出しません。関わっている人の願いと、その人のハイアーセルフの願いについてききます。
「わたしはインコにこの家にいてほしいと思っていますか」
ということだけでなく
「インコはこの家にいたいと思っていますか」
「インコにとっては飛んでいくことも喜びですか」
とききます。
その4)筋肉反射が慣性で返事をしているわけではないことを確認をする。
おなじ答えがたてつづけにでるとき、ま逆の質問をすることで、違う返事のし方をするかどうか確認します。
「○○を望んでいますか」
ときいてYESとでたら
「○○を望んでいませんか」
でNOとでることを確認します。
続けてYESとでるなら、「どちらでもいい」か「反対している部分がある」か、そうでなければ慣性で反応していると考えられます。しきりなおしですね。
その5)願いや不安の奥にある信念や思い込みをしらべる。
こだわっている願いが叶ったり叶わなかったりすることが、自分にとってどういう意味を持っているのか調べます。それができる(できない)ことで、自分がどうなると思っているのか。なにが確定するのか。その思い込みや信念をしらべて、その思い込みがほんとうに正しいのかをききます。
その6)いろいろわかって最後に「うまくいくかどうか」きく。
不純物をとりのぞいたうえでなら、現実を反映していることが多くなります。潜在意識がだす答えは、究極の真実ではないかもしれません。「いまの時点で自分はほんとうにそう思っている」ということです。無意識でもそう信じているなら、そうである確率が高いというだけです。決めてというよりは、判断材料のひとつとして、使ってください。
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