ワンボードマイコンをつくろう!(パソコンの原点はここから始まった)
TK80ソフトコンパチブル!8080、Z80マシン語からBASICまでこれ1台でこなせます
[第153回]
●新ND80Z(ND80Z4E)
仕入れパーツの価格高騰を受けてその影響をできるだけ最小限にとどめるべく現在新しいND80Zを試作中です。
下は試作中の新ボードND80Z4Eです。
●キースイッチの変更
仕入れパーツの中で最も価格高騰が著しいのが5X5キー回路に使っているキースイッチです。
ND80ZVを開発した当初に比べて仕入れ価格は倍額以上になってしまいました。
今回の設計変更を決めた最大の理由です。
原価低減の柱とするために今回開発中のND80Z4Eでは小型のタクトキースイッチを採用しました。
キートップには従来と同じキーシールを貼ることができてその上からアクリルの透明キャップをはめてシール面を保護しています。
従来のキーに比べると押したときの反応がちょっとペコペコする感じなのとキートップが完全に固定していなくて遊びがあって左右に少し傾きますが実用上は問題ありません。
●キー入力回路に82C55を使う
ND80Z3.5からの大きな変更点の2番目はキー入力回路と7セグメントLED表示回路のLSI化です。
ND80Z3.5ではここにHCMOSロジックICとLSTTLICを使っていました。
そのロジックICも生産終了が相次いでいて僅かに生産を継続しているものも価格は軒並み従来の倍以上になっています。
そこでキー入力回路にはND80Z3.5では完全にユーザーに開放していた82C55を使うこととしました。
実はこれはかってのTK−80で使われていた回路そのものです。
TK−80では8255の機能の半分ほどをキーボード回路およびスピーカー出力、カセットテープインターフェース回路に割り当てていました。
ND80Z3.5ではその部分をロジックIC回路で代行することによってボードに実装している82C55の全機能をユーザーに開放しました。
今回のND80Z4Eは上記回路についてはTK−80に回帰することになります。
ND80Z3.5の82C55を利用する27C256WRITERなどの増設基板に対してはND80Z4Eの外部に82C55回路基板を増設することで対応します。
●7セグメントLED表示回路にPICを使う
ND80Z3.5では7セグメントLED表示回路にも多くのロジックICを使っていましたがこの回路もICの価格高騰による原価高を回避するためとLEDをドライブしていた74LS145の生産中止などの理由で40pinのPICで置き換える設計としました。
上記のキー入力回路および7セグメントLED表示回路の変更はND80Z4Eに搭載されているTK−80モニタ、ND80ZモニタプログラムROM内のシステムルーチンの変更によって対応しています。
モニターサブルーチンをコールしているユーザープログラムはND80Z3.5と同じまま使えますが回路に直接アクセスするようなユーザープログラムではその部分の一部変更が必要になる場合があります。
●RS232C回路を省きました
ND80Z4EではND80Z3.5に搭載されていたRS232C回路を省きました。
かってのシリアル通信の主力であったRS232CはUSBに代わって久しく今ではパラレルインターフェースとともに完全にレガシーなものになりました。
ND80Z4Eではコスト削減の意味もあってRS232C回路を省きました。
●+5V電源は附属しません
ND80Z3.5では+5V電源として+5V定電圧電源をキットに附属していたのですがもともとND80Z3.5でも消費電流は200mA程度と小さくそれはND80Z4Eでも同じ程度で従来キットに附属していた+5V2A電源は過大であることとこれも仕入れ価格が高くなってきていることなどの理由からキットに附属しないこととしました。
ND80Z4Eでは+5V電源はUSBから給電します。
ND80Z4EはND80Z3.5と同様に通常はWindowsパソコンとUSB接続してZB3BASICを使うことが多いはずでその場合にはUSBケーブルをパソコンと接続することで必要な+5VをUSBによって給電します。
ND80Z3.5ではパソコンの保護の観点からボード回路の+5V電源回路はUSBの電源ラインには接続されていませんでした。
長年使用してきた経験とパソコンのUSBの電源供給容量の強化から見てND80Z4E程度の電源をUSBから供給しても問題はないと考えND80Z4Eの電源はUSBケーブルから供給することにしました。
ND80Z4EはND80Z3.5と同様にTK−80モニタ互換モードやそれを強化したND80Zモニタを使う場合にはパソコンと接続することなく単独でレガシーなマイコンボードとして使うこともできます。
その場合には携帯電話などの充電に使うACコンセントに接続できるタイプのUSB充電器を利用します。
なおND80Z4EにはUSBケーブルは附属しますがACアダプタ型USB充電器は附属しません。
必要な場合には携帯の充電に利用しているものを流用するか百円ショップなどで売られているものを使用するなどしてください。
●RAMバックアップ回路はありません
ND80Z3.5ではRAMのデータをバックアップしておくためのボタン電池回路を搭載していましたが回路を簡略化するためとコスト削減のためにND80Z4EではRAMバックアップ回路は省きました。
電源を切る(USB接続を外す)とRAMのデータやプログラムは消えてしまいますがパソコンとUSB接続している場合にはND80ZモニタやZB3BASICのSAVE/LOAD機能によってパソコンのハードディスクにバイナリファイルやテキストファイルとして保存しておくことができます。
以上ND80Z3.5とND80Z4Eの主な相違点についてざっと説明をしました。
ただ上記の変更点のうち従来のキースイッチについては「操作しているときのカチャカチャ音がいかにもレガシーで楽しい」という感想をユーザーからいただいていることをふまえて価格高にはなりますがND80Z4Eのキースイッチ部分のみ従来のND80Z3.5で使用しているのと同じキースイッチを使うタイプも用意することにしました。
下はそのイメージ写真です。
キースイッチはハメコミ合成です(少しサイズが大きくなってしまいました)。
こちらは製品名をND80Z4にしました。
ND80Z4EのEはエコノミーの意味です。
ND80Z4Eの設計変更に着手した当初は従来品のND80Z3.5は廃品種にするつもりでした。
ところが思いも依らぬことでND80Z3.5の製作記事がラジオの製作の特集号に掲載されました(前回参照)。
ひょっとすると「価格は高くなってもよいから記事で紹介されているND80Z3.5と全く同じものが欲しい」というご希望をいただくかもしれません。
そのように考えたのでND80Z3.5も価格は高くなりますが当分の間は販売を継続することにしました。
使用しているICの入手が困難になってきていますから入手不能になった時点で販売中止になる可能性があります。
もしND80Z3.5をご希望でしたらお早目のご購入をお勧めします。
下はND80Z3.5の写真です。
価格と供給開始時期について書く予定だったのですが本日は時間がなくなってしまいました。
次回に書くことにいたします。
ワンボードマイコンをつくろう![第153回]
2025.9.10upload
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