(ホントは７４ＨＣ、ＣＭＯＳなんだけど…）
［第２０４回］
●ＣＭＰ命令のクロック毎の動作の写真です
ＣＭＰ命令はＡレジスタと、レジスタ、メモリの値とを比較する命令です。
Ａレジスタと定数値とを比較するＣＰＩ命令も、同じ動作をする命令です。
比較は、Ａレジスタから、レジスタ、メモリ、定数値を減算することで行われます。
ＣＭＰ命令の動作はキヤリー（ボロー）無し減算命令のＳＵＢと同じです。
唯一、異なっているのは、ＣＭＰ命令もＳＵＢ命令と全く同じ減算を行いますが、その結果によってフラグのセット、リセットのみを行い、計算結果をＡレジスタに書き込むことはしないで、結果の値は捨ててしまうことです。
ＣＭＰ命令は比較の結果が等しいかどうかを確認するために、Ｚ（ゼット）フラグがセットされるかどうかを見ることと、大小を比較した結果、Ｃ（キャリー）フラグがセットされるかどうかを見ることが、主たる目的として使われます。
前回のＳＵＢ命令、ＳＢＢ命令のテストの結果、レジスタには次の値が入りました。
Ｈレジスタ ３４
Ｌレジスタ ８９
Ｄレジスタ １２
Ｅレジスタ ＣＤ
Ｂレジスタ ２１
Ｃレジスタ ＢＣ
Ａレジスタ ２１
今回は、それらの値をそのまま利用して、ＣＭＰ命令を実行してみます。
前回のプログラムの続きにＣＭＰ命令を追加しました。
１１５ ４７ ＭＯＶ Ｂ，Ａ
の続きです。
１１６ Ｂ８ ＣＭＰ Ｂ
１１７ Ｂ９ ＣＭＰ Ｃ
１１８ ＢＡ ＣＭＰ Ｄ
１１９ ＢＣ ＣＭＰ Ｈ
１１Ａ ７６ ＨＬＴ
Ａレジスタの値は２１です。
そのＡレジスタと、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｈレジスタの値を比較してみます。
なお今回のプログラムはＣＭＰ命令の動作と、結果のフラグを、クロック毎に動作させることで確認することが目的ですから、プログラムとしての意味はありません（全く無意味なプログラムです）。
ＣＭＰ命令はＳＵＢ命令の動作と同じですから、説明は極力省略することにします。
最初のＣＭＰ Ｂから、動作を見ていきましょう。
ＣＭＰ Ｂは、Ｂレジスタにも同じ値が入っていますから、結果は、Ｚ（ゼロ）フラグがセットされるはずです。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ０の写真です。
ＡレジスタもＢレジスタも２１です。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ４の写真です。
Ａレジスタの値（２１）が内部データバスに読み出され、ＡＬＵのレジスタ”Ａ”に書き込まれています。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ５の写真です。
ＡＬＵｒｅｇ”Ａ”ＷＲ（緑ＬＥＤ）が消灯しました。
ＡＤＤレジスタの右にある、下位４ビットの７４ＨＣ２８３のＣ０に加える、桁上げのキャリー（減算のときはボロー）を示すＬＥＤが点灯しました。
ＣＭＰ命令はＳＵＢ命令と同じ動作なので、必ず桁上げの＋１が加算されます。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ６の写真です。
Ｂレジスタの値、２１が内部データバスに読み出されました。
Ｂレジスタの左にある、ＢｒｅｇＲＤ（黄ＬＥＤ）が点灯しています。
内部データバスも２１になっています。
ＡＬＵのレジスタ”Ｂ”には、内部データバスの２１ではなくて、ＤＥという値が書き込まれています。
ＤＥは２１を反転させた値です。
ＡＬＵレジスタ”Ａ”とＡＬＵレジスタ”Ｂ”の値は即座に加算されて、ＡＤＤレジスタに表示されます。
２１＋ＤＥ＋１＝１００の計算が行われて、ＡＤＤレジスタの表示が００になりました。
加算の結果、上位桁への桁上げが発生しますから、上位桁への桁上げを示す左側のＬＥＤが点灯しています。
減算のときは、この桁上げの有無を逆転させた値が、上位桁へのキャリー（ボロー）になります。
ですから、今回の計算の結果、キャリーフラグはクリアされることになりますが、まだこの段階では、キャリーフラグへの反映は行われません。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ７の写真です。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ８の写真です。
ＡＤＤレジスタのＬＥＤ表示の左側にある、ＡｄｄＲＤ（黄ＬＥＤ）が点灯して、加算の結果（００）が内部データバスに出されています。
しかし、Ａレジスタには書き込みは行われず、Ａレジスタはもとの値を保持しています。
フラグレジスタは、左端のＳ（サイン）フラグが消灯、その右のＺ（ゼロ）フラグが点灯、その右のＨ（ハーフキャリー）フラグと、右端のＣ（キャリー）フラグが消灯しました。
［第１９９回］で、ＣＭＰ命令は減算の結果の値は捨ててしまうのだから、計算結果を内部データバスに出力する必要はない、と書きましたが、それが間違いであることに気がつきましたので、そこのところを訂正いたしました（［第１９９回］訂正＆追記）。
ＣＭＰ Ｂ命令のＴ９の写真です。
今回は時間がなくなってしまいました。この続きは次回にいたします。
２００９．４．１５ｕｐｌｏａｄ
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