標準TTLだけ(!)でCPUをつくろう!(組立てキットです!)
(ホントは74HC、CMOSなんだけど…)
[第38回]

●水晶発振回路

第28回]に水晶発振回路について説明をしました。
そのときの回路図です。


その後に[第30回]で、水晶発振には74HC04ではなくてアンバッファタイプの74HCU04のほうがよい、と書きました。
この部分はICソケットにしましたので、ICを交換してテストすることが可能です。
74HC04と74HCU04とで発振波形にどのような差が出るか、差し換えて試してみました。
74HC04のpin13の波形です。

少しギザギザしているところもありますが、でもきれいに発振しています。

pin12(インバータ出力)の波形です。

少しリンギングがあります。これが余り大きくなると誤動作につながります。

ダンピング抵抗を通した後の波形です(pin11の入力)。

リンギングが取れてきれいになりました。

次は74HCU04です。
pin13の波形です。

やあ。やっぱりきれいですね。

pin12の出力波形です。

リンギングといえるほどのものはありません。これならダンピング抵抗も不要です。

それでも、ダンピング抵抗は、ついてしまっていますから、通した後のpin11の入力波形です。


こうやって比べてみると、できるならば、水晶発振回路にはHCUタイプを使った方がよいでしょうね。
でも、74HC04ではダメ、というほどのこともないと思います。
それはそれでよいのですけれど、この写真、ほぼ同じ時刻に同じ状態で撮影したはずなのですけれど、どうしてこんなに色が違うのでしょうね。

●やっぱりHCは電流を消費しませんでした

気になる、基板全体に必要な電流を、電流計で計ってみました。
RESETをONにして、ほぼLEDが全点灯(120個)の状態での電流を計りました。
約350mAでした。
LED点灯時における電流制限抵抗(1KΩ)の両端電圧は約3Vでした。ということはLED点灯時にLED1個に流れる電流は約3mAです。
すると計算上はLEDが点灯していることによる電流は、3×120=360mAということになりますから、実測値が350mAであったということは、基板に流れる電流のほとんどはLEDの点灯によるものであることがわかります。

基板には74HCが82個も(!)実装されているのに、その分の電流は多分無視できるほど、であることが、あらためて確認できました。
これは、ほぼ、予測していた通りでしたが、いやあ、HCってほんとに優等生です。
HCを使う最大のメリットは、なんと言っても、電源ラインが細くて済む、ということに尽きます。
私はあの太いベタアースが大嫌いなので、これはほんとに助かります。

ことのついでに一言。
アナログ回路ならばいざしらず、今日のCMOS回路でも、バカのひとつ覚えのように、基板全体をベタアースにしてしまわないと気が済まないという困ったお方(なのか、自動配線ソフトなのか)が多いようなのですけれど、いかにも自信の無さを露呈しているようで見苦しい限りですね。
これはまあ、なんでもかんでもベタアース、と主張する「技術書もどき」にも問題はあるのですけれど、初心者はすぐにそうかと信じてしまいます。それは、基板に1Aも2Aも流れた30年前の設計のお話なのではございませんか?
ま、これは好き好きですから、ご自由にどうぞ、ということですけれど、たかだか数mAしか流れない回路に数センチ幅のベタアースが必要なものかどうか、ちょいと立ち止まって考えることから、回路設計ははじめるべきだと思うのですけれど、ね。

ひとつ書き忘れたので、追記しておきます。
ベタアースにも効用があって、ムダなエッチングを避けるためには有効です(だから回路のために必要なのではなくて、基板屋のエッチングコストの削減と、ひいては地球温暖化対策への貢献ですね)。
もうひとつ、広大な荒野の中をひたすら続く、細く長い一本道、のような配線ですと、エッチングすると痩せてしまいます。これは基板屋泣かせで、断線という不始末を招くことになりかねません。それを避けるためには、何も無い荒野をベタまたはアミ(必ずしもアースである必要はない)で埋めるのが有効です(ま、これも回路のために必要なのではなくて、基板を仕上げる上で必要なものですね)。
しかし、基板屋もプロですから、たいていは技術と経験でカバーしてくれます(多分、現場では「下手くそな手抜き配線をしやがってぇ!」などと毒づきながらエッチングしているのでしょうけれど)。
どうしてもまずければ、基板屋さんが電話をしてきます(え?何も連絡してこない?そりゃあ、あなた。一見さんにまで、そんな配慮をしてたらきりがないでしょう。むこうだって、商売なんですから)。

●STEP回路は削除

1命令ごとに実行するステップ回路も実装していたのですけれど、前回の外部クロックを入力しての動作テストによって、ステップ回路などをあらためて使わなくても、外部クロックを1パルスずつ入力することで、十分ステップ動作以上の機能を実現できることがわかりましたので、ステップ回路は、基板には実装してしまいましたけれど、使わないことにしました。
ということで、ステップ回路は回路図から削除、です。

●2枚目の試作基板も発注予定

今回、3枚組の基板のうち、最初の1枚目の試作基板を作ってテストした結果、期待通りにうまく動作しましたので、次は2枚目の試作基板を発注する予定です。
今回作った1枚目の基板だけでは、なにしろMOVとHLTしか実行できないものですから、まともな動作テストができません。
せめて、INRと条件JP命令ぐらいは使えないとなにかと不便です。
なので、できるだけ早く発注するつもりです。
2008.8.16upload
2008.8.17追記

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