トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
[第304回]
●TR04を使ったシュミットトリガ回路
TR04を使ったシュミットトリガ回路については[第239回]で書いています。
シュミットトリガ回路の動作については[第238回]で説明をしています。
念のため[第239回]を読み直してみましたところ、その時点ではまだTR04のプリント基板ができてきていないので試作基板を利用してテストをしています。
そのときテストを行なった回路はTR04基板そのものではありませんでしたので入力にプルアップ抵抗はついていません。
同じテストをTR04基板を使ってやるとすると入力にはプルアップ抵抗とLED表示回路がついています。
回路図で示すとこのようになります。
はて?
こんなに抵抗などがついていてシュミットトリガになるのか?
さすがにちょいと疑問です。
まあしかし。
回路の動作についてあれこれ検討しているよりもとりあえずは試してみたほうが早いです。
ということでさっそく試してみました。
写真右下はTR04基板です。
左側の2枚の基板は[第239回]で使ったクロック発振回路基板とジャノメ基板に組んだRC回路です。
まずは[第239回]のテストと同じようにシュミットトリガ回路ではない通常のTR04のゲートを2つ接続してそこにRC回路を通したあとのクロックパルスを入れました。
オシロスコープの同期の関係でTR04からの出力波形がCH1(上側)、信号入力がCH2(下側)になっています。
ちょっと出力信号の立下りの遅れが大きいのが気になります。
このぐらいの水平時間軸でははっきりとは見えませんが出力信号の立下り、立上りのところにヒゲが見えます。
時間軸を拡大してみました。
やっぱり立上り部分に高速のパルスが乗っていますねえ。
シュミットトリガ回路はこれを除去するのが目的で使われます。
こちらは立下りの波形です。
立下りのほうが入力波形がゆるやかなだけに出力波形の乱れも大きくなっています。
今度は上でお見せしたシュミットトリガ回路につなぎました。
ヒゲはなくなったようですがやっぱり出力信号の立下りの遅れが大きいのが気になります。
時間軸を拡大しました。
出力波形の立上りの乱れはなくなったようです。
こちらは立下りです。
こちらも出力波形の立下りの波形の乱れはなくなりました。
見たところプルアップ抵抗やLEDがついていてもシュミットトリガとして動作しているようですが、詳細に検討するとやっぱりプルアップ抵抗の影響が出ているようです。
出力波形が特に立下りのときに大きく遅れているのはおそらくプルアップ抵抗のせいだと思われます。
また上の写真はなんとかきれいな波形になるようにあれこれ調整して撮影したのですが、かなり不安定で出力波形の乱れをなくするのに苦労しました。
おそらくこういうことだと考えられます。
上図の左側のRC出力はなまってはいますがVccからGNDまでフルスイングする波形です。
もしもプルアップ抵抗がなければA点も10KΩと100KΩによるヒステリシスの影響を受けながらそれでもVccからGNDまでフルスイングするはずです。
しかしプルアップ抵抗があるために図に記入した波形のようにLレベルが0Vにならずに浮き上がってしまうと考えられます。
入力に直列に入れた10KΩの左側が0VになってもA点はR3でVccにつながっているため、そこに100KΩの影響があっても0Vにはなりません。
またそのため入力信号の立下りの波形もゆるやかになってしまい、結果として出力信号の立下りが大幅に遅れることになると考えられます。
プルアップ抵抗のために[第238回]で説明をしたようなシュミットトリガとしての正常な動作にならないためにどうしても不安定な動作になってしまったとも考えられます。
ううむ。
やっぱりプルアップ抵抗がついていてはまずいようです。
そこでテストのためTR04基板を使ってプルアップ抵抗やLEDはつけないでシュミットトリガ回路をつくりました。
下の回路です。
これなら大丈夫でしょう。
もう一度テストです。
写真の右側に見えるのが新しく組んだシュミットトリガ回路です。
その基板のところだけを拡大しました。
入力回路に直列に入れる10KΩの抵抗も100KΩの抵抗も基板上に実装しました。
ミノムシクリップではさんでいるのが10KΩの抵抗です。
TR04基板の左側にもパーツを実装していますがこれは別のテストのためのものです。
CH1(上側)がシュミットトリガ回路の出力信号でCH2(下側)が入力信号です。
立下りの大きな遅れがなくなりました。
時間軸を拡大しました。
きれいな立上り波形です。
こちらは立下り波形です。
こちらもきれいな波形です。
時間軸をもっと拡大しました。
出力波形に乱れはみられません。
立下りもきれいな波形です。
以上のテストを通して得られた結論です。
残念ながらTR04をそのまま使ってシュミットトリガ回路をつくるというのは実用的ではないようです。
TR04を使ってシュミットトリガ回路を作る場合には、上で最後にお見せした回路図のように入力回路のプルアップ抵抗とLED表示回路は実装しないでそこに入力に直列に入れる10KΩ抵抗と100KΩのフィードバック抵抗を付加して作ることをお勧めします。
ああ。
いっそのことシュミットトリガ回路基板も作ってしまうのがよいかもしれませんね。
74LS14のトランジスタ版です。
そうすると名前はTR14ですね。
考えてみることにいたします。
ともあれこれでトランジスタ4個でシュミットトリガ回路が作れることは実証できたと思います。
トランジスタでCPUをつくろう![第304回]
2021.2.25upload
前へ
次へ
ホームページトップへ戻る