2024.2.11
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第417回]



●バイナリカウンタ回路の改良(7)

前回の説明に不適切なところがありましたので補足して訂正いたします。

(C)点の波形を見ると発振が始まる直前は大体中間電位(2.5V)近辺にあるようです。
あとで考察しますがGATEがONになってから発振がはじまるまでの期間はQ_〜GATEINのラインの10KΩと22pFの遅延回路による遅延時間と考えられます。
この期間にゆるやかに上昇または下降していくカーブは上記の遅延回路の信号波形を反映していると考えられます。
入力が速い速度でHからLにLからHに変化する場合にはGATE出力もそれに合わせて変化しますがゆっくりと変化する場合にはトランジスタのアナログ的な動きでゆっくりと変化します。

前回はそのように書いたのですが下線部の表現が不適切でした。
はっきり言ってしまえば間違っています。
前回そのように書いたあとで私自身がどうにもすっきりしない気分でありました。
確かに波形の写真を見るとそういう感じがするのですけれど。
そんなはずはないのだが…。
どこか間違っているのではないか?
これじゃまるでアナログではないか。
たとえ入力電圧がゆっくり変化したとしても出力はHかLになるはずです。
入力電圧が2.5V付近でゆっくり変化すると出力は発振するかもしれないけれど、それでもその前後では出力はHかLになるはずです。

前回お見せした写真です。



上側(CH1)はQ_出力((A)点)の波形です。
下側(CH2)はGATE出力((C)点)の波形です。
((C)点)はゆっくりと上昇していますがQ_出力((A)点)は発振しているところを含めてH、Lのどちらかで中間的な値ではありません(そのはずです)。
しかしそれならば同じインバータ回路のはずなのになぜ((C)点)はゆっくりと上昇しているのか?
発振の後ろはGATEはOFFなのでそこは除外するとしても発振前のアナログ的な上昇は一体何なのか?
ひょっとすると(A)点はインバータが2段なのでそうなるのか?
R14がフィードバックすることで整形された波形になるのか?
幾ら考えてもどうにもすっきりしません。
こういう場合にはテスト回路を使って確認してみると何かがわかるかも知れません。
RCによる遅延回路をGATE回路に入力したところその出力がおかしいというところにあるのですから、それと同じ回路を作って試してみれば何かがわかるはず。

あれ?
確か、いつかどこかで同じようなテストをしたような…?

[第239回]でやっておりました。
やっぱり。
入力がゆっくり変化していても出力はHからLへ、LからHへと「急峻に」変化しています。
試作品のテスト基板を入れてある箱を捜してみましたらそのときに使ったテスト基板が出てきました。
念のために試してみましたがそのときの記事と全く同じです。
むむむ。
これとあれのどこが違うねん。

そうか。
ひょっとして。
周波数が違うのかも。
[第239回]でRC回路はR=1KΩ、C=0.1μF、入力周波数は約1KHzです。
それに対して今回の回路はR=10KΩ、C=22pF、入力周波数は1MHzです。
[第239回]のテスト基板を使って今回のRC遅延と同じテストをしてみました。
まずは確認のために少し低い周波数を入力してみました。
下はCLOCK=125KHzをRC回路に入力し、それを受けたインバータの出力を観測した写真です。



上側(CH1)は125KHzのクロック信号をRC遅延回路(R=10KHz、C=22pF)に通したあとの22pFの+側の波形です。
下側(CH2)はCH1の信号をインバータに入力したときのインバータの出力です。
出力波形はH、Lですがカドがちょっとなまっています。
そこだったか!

下はクロック入力1MHzです。



上側(CH1)は1MHzのクロック信号をRC遅延回路(R=10KHz、C=22pF)に通したあとの22pFの+側の波形です。
2Vを中心に1Vぐらいの間を上下しているだけの三角波のように見えます。
1MHzではR=10KHzでC=22pFを充放電するには周期が短かすぎるようです。
下側(CH2)はCH1の信号をインバータに入力したときのインバータの出力です。
かなり波形がなまっています。

水平時間軸を拡大しました(下の写真)。



インバータの出力波形はかなりゆっくりと上昇し下降しています。

下はインバータを2段通したあとの出力波形です。



下側(CH2)は上側(CH1)の遅延信号をインバータに2段通したあとのインバータの出力波形です。
やっと立ち上がり立ち下りがまっすぐな波形になってきました。

下は1MHzの入力クロックとインバータ2段の出力波形です。



上側(CH1)は1MHzの入力クロックです。
下側(CH2)は遅延回路を通した信号をインバータ2段に通した後の出力波形です。
立ち上がりの遅延は250nsほどで立ち下りの遅延は150nsほどです。

下は1MHzの入力クロックとインバータ1段の出力クロックの波形です。



上側(CH1)は1MHzの入力クロックです。
下側(CH2)は遅延回路を通した信号をインバータ1段に通した後の出力波形です。
これを見ると特に前半の波形はゆるやかに下降しているように見えます。

下の写真のインバータ出力は上の写真と同じなのですが見ている位置によって波形が異なっているように見えます。



今回あらためてテストをしてみたことで数百nsという短い時間の遅延回路の出力をトランジスタロジック回路に入力すると方形波として出力されずにかなりなまった波形になることがわかりました。
このあたりのことはよくわからないのですがおそらくトランジスタの入出力特性など普通のロジック回路では気にしなくてもよいようなことが関係しているように思えます。

今回はR14について書くつもりだったのですが予定外の内容になってしまいました。
R14とそのほかのことについては次回に書くことにいたします。

トランジスタでCPUをつくろう![第417回]
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