2015.3.8
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トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第5回]


●NチャネルMOSFETは2N7000に決定

前回までの考察によりまして、MOSFETが断然有利という結論を得ましたので、いよいよ具体的なナンバーの選択にとりかかりました。

Nチャネルにつきましては、2N7000ですんなりと決定です。



[出典:Fairchild Semiconductor社 2N7000 Datasheet]

この石は秋月で扱っていますし、ほかでも比較的楽に入手できます。
小信号用NチャネルMOSFETとしては定番のようです。

次はPチャネルです。
ところが。
ここで、とんでもないことが判明しました。

●PチャネルMOSFETが入手できません!

小信号用のPチャネルMOSFETをネットで検索しましたところ、2N7000とコンプリなのかどうかはわかりませんが、2N7000とペアで割とよく使われていたのがBS250という石であることがわかりました。
ところがあらためてBS250について検索しましたら、なんだか様子がおかしいのですね。
どうやら製造中止のようです。

えっ?
それは困る。
じゃあ、代替品は?
ないっ。ありません。

う。う。う。
じょーだんは止めてくださいよお。
困るじゃありませんか。

いや。
あった。
ありました。
秋月に。
小信号用PチャネルMOSFETが。
しかも、安い!

おお。

えっ。
何だ、これは?

あっ。
TO−92(あの3本足のタイプ)ではない!
SOT−23(チップタイプ)ではありませんか。

チップならあるのですよ。
ほかの型番のPチャネルMOSFETでも。
しかも安い。

じゃあ、仕方がない。
これでいくか。

いやいやいや。
それはだめっ。
ここはあの3本足でなければ絶対にだめですっ。
これだけはどうあっても譲れませんですっ。

あの。
トランジスタ版MYCPU80が完成しましたあかつきには、組立キットで皆様に供給いたしたいと考えております。
なのでチップじゃあ都合が悪い、という理由からでもあります。
しかし。
そもそも。
肝心のトランジスタがチップじゃあ、わざわざ作る意味が全くないじゃありませんか。

いかにもトランジスタという、あの3本足がずらりと並んでいるからいいのですよお。
それがチップになってしまったら、誰がわざわざ作る気になります?
これはもうロマンなのですよ。

鉄人28号はあの巨大な鉄の塊だからよいのですよ。
そこにロマンがあるのです。
あ。
神戸には鉄人28号のモニュメントがあるとかで、ぜひとも行って写真など撮ってきたいと思っているのですが、まだ果たせません。

そうそう。
宇宙戦艦ヤマトだって、戦艦大和だからよいのです。
なんたって戦艦大和じゃなくっちゃお話になりませぬ。

そう。
とにかくロマンでなくっちゃならないという関係上、ここはどうあっても3本足を入手しなくてはなりませぬ。

●BS250がみつかりました!

なにがなんでもさがさにゃならぬ。
もう、必死でネットを検索したら、みつかりましたよ。
BS250が。
国内ではありません。
海外にならまだなんとかありそうです。
しかし、いずれなくなってしまうでありましょう。

さて。どうするか。

検索の過程で現在も製造中のTO−92型PチャネルMOSFETがあることがわかりました。
しかし。高い!
こんなものを2000個も3000個も使ったら、とんでない高価格の組立キットになってしまいます。
もっともそれはBS250だって同じこと。

いっそのことコンプリ(下図左)をあきらめて下図右の回路でいくか。

それも考えましたよ。真剣に。
でもですね。
抵抗でプルアップすると遅くなっちゃうのですよ。
MYCPU80がクロック2MHzなのはそのためなのです。
74HC03、74HC05(ともに出力オープンドレイン)を多用したため(つまり上図右)、R=1KΩにしているのですが、それでも立ち上がりが遅いのです。

上図右でR=1KΩのときの波形です。

上(CH1)が入力(4MHz)、下(CH2)が出力です。
立ち上がりが遅れてつぶれてしまっています。
4MHzではとても使えません。
2MHzならなんとかなりそうなのですが。

MYCPU80は信号の最終段がワイアードORになるところだけがオープンドレインなので、2MHzでやっとなんとかなっているのです。
でも今回はオールトランジスタですから、それをすべてオープンドレインでいくとなると、プルアップ抵抗を流れる電流を考えただけでめまいがしてきそうです。
それにおそらく多くの回路が多段に接続することになりますから、それじゃあとても2MHzどころか1MHzでも無理でありましょう。

なんとも悩ましい問題なのですが、ここをなんとか解決しませんと、トランジスタ版MYCPU80は早くも座礁して沈没寸前の運命となってしまいます。
ロマンを追求するということは、なかなかに苦しいものなのであります。

トランジスタでCPUをつくろう![第5回]
2015.3.8upload

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