トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
[第8回]
●CMOSFET回路
ND80ZVやMYCPU80などをご購入いただいた、昔からのお客様からメールをいただきました。
[第6回]をお読みになって、CMOSFET回路がバイポーラトランジスタで言うとPNPトランジスタとNPNトランジスタのコレクタ同士を接続した形になっていてとても恐ろしい回路のように思えるが大丈夫ですか?壊れたりしませんか?
というご心配のメールでした。
私の説明がちょっと舌足らずだったかもしれません。
ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
MOSFETとバイポーラトランジスタは使い方がよく似ています、と書きましたが、実はコンプリメンタリ回路については全く逆の使い方になります。
下は[第6回]でお見せしたCMOSFETインバータ回路です。
MOSFETのコンプリメンタリ回路です。
これに対してバイポーラトランジスタのコンプリメンタリ回路は下図のようになります。
別名プッシュプル回路です。
ND80ZV(ND80Z3.5)やMYCPU80のスピーカー出力回路にも使っています。
MOSFETの回路とはトランジスタの上下の位置が逆になっています。
バイポーラトランジスタはCMOSFET回路のようには配置できません。
そのように置くと下図の矢印のようにPNPのエミッタ→ベース→NPNのベース→エミッタの向きに電流が流れてしまい、2つのトランジスタが常時ONになってしまいます。
MOSFETの場合にそのようにならないわけは回路図記号に表されています。
MOSFETではソース、ドレインとゲートとの間が絶縁されていて、ソース、ゲート間には電流は流れません。
MOSFETの回路図記号はそのことを強調しています。
ですからCMOSFETの回路のように接続しても、バイポーラトランジスタの場合のような電流は流れません。
ところでバイポーラトランジスタのプッシュプル回路は入力と出力が同相です。
つまり入力がHのとき出力がHで、入力がLのとき出力もLです。
単なるバッファにしかなりませんから、この回路でロジック回路を作ることはできません。
ロジック回路を作るにはインバータ回路が必要なのです。
MOSFETを使うと2個のトランジスタを使ったシンプルなコンプリメンタリ回路で簡単にインバータを作ることができます。
電圧動作なので消費電流が少なく、電流制限抵抗が不要なので高速動作が可能ということに加えて簡単にインバータを作ることができる、ということが広くMOSFETがロジック回路に使われるようになった理由であると思います。
さてそれはそれとしまして、CMOSFET回路で入力が1/2Vdd付近のときに両方のトランジスタがONになってしまうことについては、じつは私もちょっと心配ではありました。
そこで本当のところがどうなのかということを実験で確認してみました。
●電流を測定してみました
下図の簡単な回路でゲート電圧を変化させたときにドレイン電流がどれくらい流れるかを測定してみました。
ドレインソース間が完全にONになったときにショート状態になるのがちょっと恐かったので10Ωを直列に入れました。
仮にドレインソース間が完全に導通したとしても流れる電流は最大500mAです。
絶対最大定格を越えますが短時間なら多分大丈夫でしょう。
最悪の場合破損しても実験のための尊い犠牲であります。
まずは2N7000で実験したところ下の結果になりました。
ゲート電圧 ドレイン電流
2.5V 0mA
3V 100mA
3.5V 200mA
4V 350mA
5V 375mA
次にBSS84で実験したところ下の結果になりました。
ゲート電圧 ドレイン電流
0V 230mA
1.5V 200mA
2V 150mA
2.5V 100mA
3V 20mA
3.2V 0mA
うーん。
ちょっと測定が雑っぽかったですねえ。
まあ、でもざっと見たところ両方のMOSFETがONになるのは2.5Vから3Vの間で、そのときに流れる電流はせいぜい数10mA程度のようです。
もっともdatasheetによるとかなりばらつきがあるようですから、なかにはもっと流れる組み合わせもあるかも知れません。
しかしCMOSFET回路は入力電圧が1/2Vdd近辺でも、当初考えていたほど大きな電流は流れないらしいということのようで、ちょっと安心しました。
実はCMOSFET回路の電流については、今回とは別の実験も行なったのですが、本日は時間がなくなってしまいましたので、そのことにつきましては次回に説明することにいたします。
トランジスタでCPUをつくろう![第8回]
2015.3.11upload
前へ
次へ
ホームページトップへ戻る