
Album Review
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リラのホテル HOTEL LILAS |
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1.ひまわり |
作詞・作曲 |
編曲: |
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2.リラのホテル |
作詞・作曲 |
編曲: |
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3.Frinds |
作詞・作曲 |
編曲: |
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4.冬のバラ |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 5.屋根裏の二匹のねずみ |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 6.Listen to me now ! |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 7.堕ちた恋 |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 8.恋ざんげ |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 9.憂鬱な肉体 |
作詞・作曲 |
編曲: |
| 10.春の庭 |
作詞・作曲 |
編曲: |
Co-Producer
としての矢野顕子氏の存在がそうさせたのか、ドラマーのソロ・アルバムといったら
無味乾燥でテクニックの応酬に終始している作品である、という勝手なイメージが払拭された作品。
さて、この『リラのホテル』、敢えて言えば、バックがほぼYMOといえ無くもない。同アルバムが録
音された1983年頃というのは、一聴して思わずニンマリとするようなYMO的音触感が音楽界に
幅を利かせていたのはご存じの通り。
事実、細野さん作の「赤道小町ドキッ」(山下久美子)のヒットを皮切りに、「YMOサウンド」は着実に
歌謡界に接近していったのであり、YMOのアルバム『浮気なぼくら』がオリコンのチャート1位となっ
た象徴的な出来事は、以降の歌謡曲製造の方法論に風穴をあけたことは間違いない。
だとすれば、そのあたりの影響がサウンドにどのくらい反映しているものなのかというのも本作品の
聴きどころだと思うのである。例えば、YMOと並びムーンライダーズも参加した大貫妙子氏の『RO
MANTIQUE』を聴いてみると、YMOがバックを固めた楽曲はいかにもといった音触感で、玉砕されて
いることがわかる。
さて、話を『リラのホテル』に戻すが、坂本龍一・細野晴臣、おまけに矢野顕子という時代の寵児が
クレジットされている以上その音触感は、聴くまでもないような気もするのであるが、本作品を聴く限
りかしぶちワールドは健在であり、時代の潮流さえ寄せつけないバリアというか、聖域が歴然と存
在している事に気付かされる。
いくら自身のソロ・アルバムでセルフ・プロデュースしているからとは言え時代のサウンドと対峙する
場合、そのミュージシャンに余程の世界観がない限り、ゲストに喰われておしまいなどと思ってしま
うのだ。鎌倉時代の元寇ではないが、かしぶち哲郎は外国からの脅威に立ち向かった執権北条時
宗の心境ではなかったか。少し大げさか。
まぁ盟友白井良明氏、旧友矢野誠の起用はそのあたりの防御線だったのかも知れないし、坂本龍
一氏はと言えば、サントラ『戦場のメリークリスマス』に入れ込み、テクノというよりは、アカデミックな
サウンドを指向していた時期でもあり、まともな「YMO」の攻撃は運良く避けられたと見るのは考え
過ぎか。
そのあたり、危機感を持って臨んだのか否かはともかくとして、何れにせよかしぶち哲郎というミュ
ージシャンはなんなくこなしてしまった訳だ。ただ、この『リラのホテル』についてかしぶち氏は、その
イメージとしては、「南フランスの荒れ果てた庭」、音楽はイタリア、映像的にはフランス映画がクロス
オーバーしているアルバムである、と語っているが、「南フランスの荒れ果てた庭」というアルバムイ
メージは非常に意味深なものを感じてしまう。
(Text by
KRAFT.WARTZ)
(初稿に加筆修正 2001.1.22)
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