
Album Review
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かしぶち哲郎SONGBOOK |
1.砂丘 |
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2.Beep Beep Be |
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3.ハバロフスクを訪ねて |
作詞: |
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4.オールド・レディー |
作詞: |
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5.トラベシア |
訳詞 |
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| 6.バック・シート |
作詞: |
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| 7.狂ったバカンス |
作詞: |
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| 8.スカーレットの誓い |
作詞: |
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作曲: |
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| 9.気球と通信 |
作詞: |
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| 10.二十世紀鋼鉄の男 |
作詞: |
作曲: |
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| 11.S・E・X(個人調査) |
作詞: |
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| 12.D/P(ダム/パール) |
作詞: |
作曲: 白井良明 |
鈴木博文 |
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| 13.さなぎ |
作詞: |
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| 14.Frou Frou |
作詞: |
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| 15.CLINIKA (UnreleasedVocalVersion) |
作詞: |
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| 16.プラトーの日々 |
作詞: |
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| 17.ガールハント |
作詞: |
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1.砂丘【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『ムーンライダーズ』収録1977)
ピアニスト哲郎氏が堪能出来る逸品、クラウン少年合唱団の「響き」がかしぶち哲郎の「幻惑ボイス」と
妙にマッチしてしまう。「響き」と言えば、こんなにも澄んだ武川雅寛のバイオリンのそれと言ったらないだ
ろう。「澄んだ」と言えばその後聴くことになる「スタジオ・ミュージシャン」でのストリングスの音色をふと
思い出してしまう。それにしても、その昔、音楽の授業で歌ったことが有りそうな気がするのは僕だけだ
ろうか。確か「おぼろ月夜」の次のページに載ってたような気が..。
いずれにせよライダーズの作品では文部省推薦の唱歌に一番距離が近いと思われる。演奏形態とし
ては、きっとかしぶち哲郎本人にしてみれば、この作品は理想型なのだと思われるが、その後こういう路
線の作品を耳にしていないことを考えると、作風が変わったのか、はたまた鈴木慶一独裁によるバンド事
情なのか。今だから言えるけれども、何れにせよ20年以上演り続けるってのは大変なことで、簡単には
真似出来ない。チューニング調整しているようなエンディングがプログレっぽくて耳に残る。
2.Beep Beep Be オーライ【作詞・作曲:橿渕哲郎】(Single
Version)
(『イスタンブール・マンボ』収録1978)
前作「砂丘」が「静」とすればこちらは「動」。導入部で聴かれるモジュレーションが少し深めのコルグの
シンセ・サウンドが実に気持ちいい。この気持良さは、ゴダイゴの「モンキー・マジック」の導入部でも聴
いたような気もするが、時間的にはゴダイゴの方が遅いんで、パクられたかしらん。3曲目にしてかしぶ
ち哲郎は「太鼓屋」であったことを確認。テンション高くシャウトする鈴木慶一をよそに武川雅寛のボー
カルは妙に「平常心」だ。間奏のサウンドは、まさに細野晴臣のエキゾチック・ワールドが出張してきて
いる。あっ、そういやぁ、このアルバムには本人も参加されてましたっけ。いけねぇ、いけねぇ、忘れてま
した。それにしても「もう、恋いはいらない」なんて一度でいいから吐き捨ててみたいもの。
3.ハバロフスクを訪ねて【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『イスタンブール・マンボ』収録1978)
前曲とはテンポが一変して、広大な地平を一歩一歩踏みしめていくような曲想。武川雅寛の「独唱体勢」
が雄大で果てしないこの曲の奥行き感を演出している。東海林太郎よろしく、多分背筋を伸ばして歌っ
ているレコーディング風景が目に浮かんでしまう。歌詞に「恋」が出てこない曲でもある。幻聴か?バッ
クコーラスが「七人の刑事」を彷彿とさせてくれた。果てなき旅情の中途。鈴木慶一はシンセ・ベースに
廻っている。おそらくは、ユーラシア3部作の中核的な位置にある楽曲だろう。
4.オールド・レディー【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『ヌーベル・バーグ』収録1978)
ライダーズとワルツとの記念すべき接近遭遇。極北へ誘われるうちに、忘れていた懐かしい「響き」。そ
の昔若かったバレリーナは今何処に。「スタジオ・ミュージシャン」という曲は、70年代ライダーズにとっ
て一つの雛形だったのか、この曲で聴かれるストリングスにも一点の曇りがない。4分弱の間に展開さ
れるあまりにもドラマティックな昂揚感。かしぶち哲郎以外の誰に出来るというのか。
5.トラベシア【訳詞:橿渕哲郎/作曲:Milton Nasciment】(『ヌーベル・バーグ』収録1978)
かしぶち哲郎訳詞 Milton Nasciment
作曲によるカバー。『ヌーベルバーグ』まで、ライダーズは3曲ほ
どカバーをしているが、なんの因果か、奇しくもそのうち2曲でかしぶち哲郎が関わっている。国際派か
しぶち哲郎の面目躍如といったところだろうか。乾いた歌詞の内容に対して、サウンドは湿りっ気がある。
「ハバロフスクを訪ねて」に続いて、この楽曲にも「恋」という歌詞が出てこない。
6.バック・シート【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『モダーン・ミュージック』収録1979)
一時期、コンサートで「BACK SEAT」から「鬼火」に繋がる構成があって、プログレ・メドレーなんて呼ば
れていたが、この曲には暗黒の中で時たま顔を出す一筋の光みたいなものが感じられるトリッキーとさ
え言えるコード使いが聴かれ、楽曲に奥行きを与えている。正に全編に展開するかしぶちワールド。
7.狂ったバカンス【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『カメラ=万年筆』収録1980)
アップ・テンポな曲だ。「3週間のアンニュイな情事」とか「30秒のキッスの斜面」などの言葉に凄く映像
を感じてしまうが、じゃぁ、撮ってみろと言われると、やっぱり難しいと思ってしまう。別に「スタッフ以外
立入禁止」の看板が立っている訳でもないのに僕みたいな人間には目に見えない障害物が立ちはだか
っているようで、撮影現場までの距離は遠く感じる情けなさ。それと、こんなすげぇ詩なんか10年逆立
ちしても自分からは出てこないことを確認。低音屋博文氏の速度感あるベース・プレーが実はこの楽曲
のグルーブ感を決めていることにも注目したい。んー、かしぶち作風恐るべし。
8.スカーレットの誓い【作詞:橿渕哲郎"薔薇":佐藤奈々子/作曲:橿渕哲郎】
(『マニア・マニエラ』収録1982)
もはや、薔薇がなくちゃ生きていけない、ってのはムーンライダーズの鋼のコンセプトになった感があるが、
その総本山的な楽曲。かしぶち作品というよりも、ムーンライダーズの代表曲にも数えられるのではない
だろうか。とかく実験性を強調される『マニア・マニエラ』の楽曲群にあって、なんのなんの、本作品は
「工場と微笑」などと並んで、非常にグルーブ感あるムーンライダーズの大合唱ポップスに仕上がってい
る。白井良明と鈴木慶一によるアコースティック・ギターの調べが非常に印象的。ベースを鈴木博文の他
に岡田徹や武川雅寛も演っている等、楽器の担当を決めない所も面白い。
9.気球と通信【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『マニア・マニエラ』収録1982)
なんとアコースティック・ピアノを紡いでいるのはピアニストのかしぶち哲郎であります。「砂丘」から何度も
何度も時代と通信していたかしぶち哲郎が気球に乗って帰ってきたのか。『青空百景』よりも先に録音され
ていた『マニア・マニエラ』では80年代初期のこの時期に、その後の「キック」の時代を予見していたのか、
「ドラム」ではなく「キック」とか、「タム」とか「スネア」「ハイハット」等、早くもリズムの解体が見られていて
非常に興味深い。隠し味としてローランドのTR808(ヤオヤ)が活躍している。
10.二十世紀鋼鉄の男【作詞:橿渕哲郎/作曲:橿渕哲郎・ムーンライダーズ】(『青空百景』収録1982)
「狂ったバカンス」のエッチっぽさから一転した、かしぶち哲郎重厚長大タイトルシリーズ。全員合唱による
ムーンライダーズの面目躍如的ポップス。左右にパンするコーラスも好き。モータウンみたいなこういうド
ラムは気持ち良い。ドラムと言えばこの『青空百景』辺りから徐々に低音(特にバス・ドラム)に音の比重
を移しはじめていると思われる。最後のフレーズなんて、カラオケで皆で大声で合唱すると滅茶苦茶気
持ち良いのだろう。
11.S・E・X(個人調査)【作詞・作曲:橿渕哲郎】(『アマチュア・アカデミー』収録1984)
凄く刺激的で直接的な詩が淡々と「朗読」されているかのような曲。この独特なテンポが逆にエロティッ
クなムードに拍車をかけているようだ。ホント淫らこの上ない。このまま一気に昇天しそうだ。ソロ・アル
バム『彼女の時』では石川セリとまた違った雰囲気でセルフ・カバーしている。
12.D/P(ダム/パール)【作詞:橿渕哲郎/作曲:白井良明・鈴木博文】
(『アマチュア・アカデミー』収録1984)
OKパドゥドゥでも鈴木慶一、かしぶち哲郎、岡田徹3名による「合作」の前科があるが、本楽曲も白井
良明と鈴木博文の曲にかしぶち哲郎が詩をつけるという「合作」。というか、実質アートポートと言って
も良いかも知れない。でもこの曲は一体誰の匂いがするのだろうか。曲の合間合間に白井良明や鈴
木博文、そしてかしぶち哲郎が顔を出しているような気もするし、合作なのにムーンライダーズの数多
い楽曲の中でも珍しいくらい「単色」なような気もする。不思議な音触感がひろがる。
13.さなぎ【作詞・作曲:かしぶち哲郎】(『アニマル・インデックス』収録1985)
アルバム全編を貫くタイトな音触感と工場というか金属を感じさせる楽曲の持つ温度の低さは『マニア・
マニエラ』以上のインパクトを感じる『ANIMAL INDEX』という作品。この作品をメタル・ライダーズと勝手に
呼んでいるのだけれども、『青空百景』からぼちぼち始まったリズム隊に於ける「キック」の独壇場。本作
でもって早くも頂点にかかりつつある記念碑的意味をもつ曲。セカンド・ソロ・アルバム『彼女の時』をリリ
ースした時期でもあって、耽美派かしぶち磐石なりといったところではないか。
14.Frou Frou【作詞・作曲:かしぶち哲郎】(『アニマル・インデックス』収録1985)
ムーンライダーズで好きな曲は?と聞かれたらまずこの曲を挙げる人が多いのではないだろうか。「スカ
ーレットの誓い」と共にムーンライダーズの代表曲と言っても過言ではあるまい。リリースされている音源
の中でも、特に『Dream
Materializer』で聴かれる「Frou Frou」はベスト・テイクだと思う。タイトなバス・ド
ラに抜けの良いスネアが完璧なまでに曲の骨格を固めている。『THE WORST OF MOONRIDERS』収録
の、白井良明と鈴木博文のツイン・バトル・ギターによる「Frou
Frou」も良い。とにかく良い。こういう曲が
書けてしまうかしぶち哲郎に僕は一生ついていく決心をした。跳ねるスネア!タイトなバス・ドラ。もう居
ても立ってもいられないほどファンキー。もう1回言っちゃう。もう居ても立ってもいられないほどファンキー、
ファンキー、ファンキー。
15.CLINIKA【作詞・作曲:かしぶち哲郎】(Unreleased
Vocal Version)
(『Don't Trust Over Thirty』Vocal Version収録1986)
ちょっとアクが強いペンギン・カフェ・オーケストラか。アルバムのオープニングを飾る曲としては初のイン
ストとなった。何でもかしぶち哲郎が『ドントラ』録音中にぶったおれたらしくて、急遽インストになったとされ
る曰くつきの曲がこれ。大都会のマンションの1室に置かれた大画面モニターに何となくBGMとして流
れてもいそうだし、大自然にも合いそうな、シチュエーションには困らないなかなか重宝な曲。今回本作
『かしぶちSONGBOOK』リリースにより、初めてヴォーカル入りヴァージョンが12年ぶりに我々の耳に届
くことになった。こっちのヴァージョンに慣れてしまうと、歌詞がないと違和感を覚えるようになってしまう。
ファンとは実に勝手なものだと思う。
16.プラトーの日々【作詞・作曲:かしぶち哲郎】(『最後の晩餐』収録1991)
復活なったライダーズの第一弾アルバム『最後の晩餐』より、これまた「CLINIKA」以来のご無沙汰だっ
たかしぶち作品。まさに満を持しての登場といったところ。NHKホールで見たかしぶち哲郎にストーンズ
のチャーリー・ワッツを重ね合わせたのは僕だけではあるまい。ドッコイ生きてる「かしぶち節」。この『晩
餐』自体かなり重厚な音作りとなっているのだが、ドラムとバトルしているかのようなストリングス・アレン
ジが非常にスリリングかつ軽快。この印象的なストリングスであるが、「パーリー・スペンサーの日々」と
いう60年代のヒット曲のフレーズをどうしてもサビに入れたくて、再度ストリングスの動きをチェックしたん
だとはかしぶち哲郎。90年代を代表する曲。
17.ガールハント【作詞・作曲:かしぶち哲郎】(『Bizarre Music For You』収録1996)
何て言ったって、かしぶち哲郎のソロ・ボーカルが聴かれる逸品。武川雅寛との共作は「Highland」以来か。
いまだに96年クリスマスの渋公の光景が焼き付いている僕。あの目線の角度といい、ミラー・ボールと
いい。まさに予期せぬ贈り物。やっぱりもっと歌わってもらわないとなぁ、かしぶち哲郎には。どうか宜し
くお願いします、慶一さん。
(樫の会 KRAFT.WARTZ)
(文中敬称略)
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