アイヌ民族に関する法律(案)
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北海道ウタリ協会(注:アイヌが構成する最大の民族団体、成員は北海道在住者のみ)が、
それまでの第一次、第二次ウタリ福祉対策によっても、十分に差別と貧困の解決が進んでいない事を憂慮し、
問題の抜本的解決の為、1979年に「特別委員会」を設置し、1984年に取りまとめた、
「アイヌ民族自身からの法律の要請書」です。


この法律の特筆すべき点は、まずアイヌ自身が立案した法律であるというのは当然ですが、内容的にも(当時としては)
画期的なものが含まれます。
アイヌを取り巻く問題(経済格差や差別、民族的アイデンティティの問題)を、単に北海道の問題として捕らえるのではなく、
日本の近代化の過程でアイヌのおかれてきた立場(つまり「先住民族」としての立場)を理解し、福祉優先の政策から脱却し、
アイヌ民族としての自立を基本とした諸方針が設定されている点です。


この法案は、道庁や国会に提出され審議されました。
それは1997年、大きく形を変えて
「アイヌ文化振興法」として結実しました。

差別は貧困を拡大し、貧困は差別を拡大します。
そして、まずもってアイヌにもたらされた「経済格差」の根本的原因は、
「北海道旧土人保護法」制定以前より、何度も繰り返されてきた日本政府の同化政策にあります。


確かに、文化教育は差別の克服、民族としての誇りの育成の一助になりますが、
そもそも、日々の生活に追われている人が、文化を修得する余裕を持つのは、なかなか出来る事ではありません。


アイヌ民族に対し、ここは「多民族国家日本」であると唱える前に、
この法案が訴えかけている現実を、切実に考える必要があるのではないでしょうか?


アイヌ文化振興法・北海道旧土人保護法・旭川市旧土人保護地処分法


アイヌに関する法律を巡る政府の対応や問題点については、
国連での第四回政府報告に対する
日弁連のカウンターレポートも大変参考になります。
また、法律関連の資料は、
手塚利彰さんのアイヌ民族資料室/法律・法案が大変有用です。


このページは、アイヌ民族の生活と現在を考えるHP、Ainu puyarA上にあるページです。}{}{}{Ainu puyarA}{}{}{へ戻る



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