飾り職人 指輪やペンダントなどのジュエリーを作る職人です
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飾り職人



富貴福堂(ときふくどう)
愛知県名古屋市昭和区
    五軒家町27-15
TEL (052) 831-9479
info@tokifukudou.com
定休日 水曜・祝日
月に2度土日も休ませて
いただいております


労働大臣認定
貴金属装身具製作一級技能士
愛知県知事交付
職業訓練指導員
愛知県技能士会連合会
功労者表彰受賞
名古屋市技能職団体連合
優秀技能者受賞
愛知県貴金属工芸品
  商工協同組合  理事長

【 指輪やネックレスの加工・修理 】

職人が言いたい放題のページとなっております。<(_ _)>

指輪のサイズ直し→
プラスマイナス10号以上でもサイズ直し出来る例→
ブランド指輪のサイズ直し→
シルバー製品のサイズ直し→

何でも作れるからこそ、何でも直せます。
加工できる、出来ないの判断は、素材が何であるか。構造はどうなっているのかです。

よくお問い合わせであるのが、ブランドですけどできますか?という問い合わせです。
ブランド品とノンブランドで違うと思われているお客様がほとんどです。一般的に宝石店に問い合わせると、ブランド品、シルバー製品というだけで断られる事が多いのが現状ですから。
特にシルバーは完全拒否。
お店側の知識不足が本来の原因ですが。
宝石店ですと、地元の、昔からやってみえる年配の店主の方々は、街中の華やかな店の店員より、知識も豊富で相談にも乗ってくれるはずです。
職人はそれ以上の知識を必要としますし、経験も必要です。
私自身、お断りする場合は、特定の道具に依存しなければ修理できない場合。構造上どうにも手が付けられない場合のみです。

道具に依存する場合は、カッティングマシンが無ければ柄を再生できないとか、エナメルの表面処理が施されていると、当店ではエナメルの機器を持ち合わせていないため無理といった場合くらいです。

構造に依存する場合ですと、チェーンのフック金具のバネそのものが折れてしまっている場合のように、専用のパーツになってしまうと取り寄せが出来ないです。量産パーツから外して使う場合もありますが、なかなかサイズが合うものではないです。
その他にはメッキ処理の色が特殊である場合。これも無理があります。当店で扱っているのはホワイトロジウムメッキだけです。
普通はこれだけで済むのですが、オリジナリティを出すために無茶苦茶な事をやられてしまうと、お手上げです。製造工場でしか修理ができません。

ピンクゴールドのサイズ直しや修理も場合によりお断りしております。
ピンクゴールドはメーカーにより微妙に色が違っているのが現状です。そのためサイズを小さくする場合はいいのですが、大きくする場合、継ぎ足す金の色合いが違っているのです。それくらいの事構いませんとおっしゃって頂ける場合は引き受けていますが、こだわる方だとお断りしております。

こんなお断りするような修理は全体の1割にも満たないものですが、増加の傾向にある気がします。
どんどんオリジナルブランドを立ち上げて、真似できない物を作るのもいいですが、それはサイズ直しや修理、ちょっとした小傷とりすらできないような製品を排出する背景になっています。

指輪のサイズ直し

こちらはサイズ直しの写真ではありませんが丁度説明に良いリングが映っているため使用させて頂きます。
サイズ直しはリスクを伴いますので、プラスマイナス3号までしかお引受けしませんなどと言っている所をよく見かけますが、本当に良く指輪の事を知っている人ならそんな事言わないでしょと、思ったります。
参考に載せました立爪リングですが、Afterの方ですと、10号から20号にサイズ直ししても真ん丸に綺麗に直すことができます。Beforeの方でも上の部分の曲りが少し残りますが、ほとんど真ん丸に直せます。こういった判断は職人さんしかできません。

ホームページ上で3番までなんて書いているのは、判断できない人が受け付けているため、引き受けたけど出来ない、真ん丸に出来ると言ってうまく出来上がらなかった等のトラブルを防ぐための一番の方法だからです。

それくらいサイズ直しの判断でも難しいものがあります。経験しないと判断できない物もあります。
当店は職人の経営する工房ですから、そんな判断は確実にできます。10号サイズアップでも出来るのでしたらお受けしますし、丸く出来るかどうか、どの程度残ってしまうか、きちんと説明し納得して頂いております。
逆に、サイズ直しのまったく出来ない指輪も存在します。典型的な例ですと、ブルガリのB-ZERO1です。こちらは構造上サイズ直しは出来ません。内側を削れば0.5号くらいアップは出来ますが、刻印はすべて無くなります。

プラスマイナス10号以上でもサイズ直し出来る例



こちらのデザインですと10号以上大きくでも小さくでも、完全な円の状態でサイズ直しできます。
腕の部分を曲げてもダイヤの枠に全然影響が出てこない構造の為、極端なサイズ直しも可能になります。プラチナ製ダイヤモンドの指輪の多くは意外と極端にサイズ直ししても丸くできる傾向にあります。

一般的には丸み加減を変えるときに、実際には石枠にひずみが出ますし、宝石にも力が加わりかねないため注意して丸みを変えていくのですが、ダイヤモンドの硬い特性の為、少々の事では割れる心配が無いために、多少強引に直せるからです。

しかし、このデザインでしたら、他の宝石でも10号直すことは普通にできます。

これがK18で作られていた場合はどうなるのか。鋳造(キャスト)製品ですと10号は多少リスクが伴います。地金にヒビ割れが出る場合がありますのでも注意しながらの加工になります。特に腕が太くなるほどリスクが高くなります。
それが当店で作った手作りリングですと(このリングは実際に私が作ったものです)材料としてK18の角材を用意する段階で金をしっかりと叩き伸ばし、曲げ伸ばしに強くなった状態のK18を使用して作りますので、10号程度の曲げ伸ばしにリスクが伴うことはありません。

サイズ直しは簡単そうに見えて、様々な要素を考慮しなければなりません。
そのため研修で教えてもらった程度の店員では、3号までしかお引き受けできないといった、マニュアル通りの返事しかできません。

ブランド指輪のサイズ直し


最初書きました通り、ブランドだからと言うことは全く関係ありません。
職人が出来る出来ないを判断する材料にブランドはほとんど関係ないからです。

ただ、ブランドによっては材料に特徴があったりしますので、材料の判断に多少貢献するかなと言う程度です。
例えば、海外ブランドのホワイトゴールド製品は、硬めのホワイトゴールドを使用しています。
国産品は比較的柔らかいホワイトゴールドを使用しています。
なぜ違うの。??とお感じになるはずです。

この違いの根底にあるのはアレルギーです。
K18は75パーセントの純金と25パーセントの他の金属を混ぜて作ります。
海外の硬めのホワイトゴールドは25パーセントの部分にニッケルを使用する傾向にあります。国産のホワイトゴールドはパラジウムを使用する傾向にあります。
アレルギーを引き起こす金属のリストの中にニッケルがあるために国内の製造メーカーはニッケルを使用しなかったのです。お客様のアレルギーに対する反発を避けるためでしょうね。。

海外で使用されているのは、体液と同じ電解質に一定期間入れておき、どれくらいのイオンの流出があるのか、その基準があるためにそれをパスした材料を使用しています。
ですから、ニッケルが入っていても基準以内のため使用されています。

そのため海外製品のサイズ直し、特にホワイトゴールドの場合は、どの程度サイズ直しが出来るかどうか、判断に苦しむときがあります。太い部分は全然曲がらず、細い部分しか直せないため、極端な横楕円になる時があるからです。

そのためにも、どのブランドだからと言うわけではありませんが、海外ブランドを修理するときは注意しています。

硬さが違うという点ではハードプラチナというのもありますが、説明はまたの機会にさせて頂きます。

サイズ直しした実例

実際にサイズ直ししたブランドリングを書き留めていきたいと思います。
ティファニー  アトラスバンドリング 1号までのサイズアップはその場でお直し
1837リング 1号サイズアップはその場でお直し \3,000
小さく、2号以上大きくはお預かり \4,000〜
パロマ クラウン オブ ハート リング 8号→9号にアップをその場でサイズ直し \3,000 
パロマ・ピカソ
ダブルラビングハートリング
このデザインは何の問題も無くサイズ直しできます
パロマ・ピカソ
ラビングハート リング
インフィニティ リング
オープンハートリング 1号程度の調節は、隙間で調節
ドッツリング
カルティエ ラブリング Pt、K18、WG、ダイヤ入り、無し、各種経験
価格は条件により様々。\4,500〜
価格は税別になります

シルバー製品のサイズ直し


シルバー製品は、宝石店としては無視する素材の一つです。
修理をお願いしたいのですが、と、お願いすると、いいですよと返事が来ながらも、いざ素材はなんでしょう。シルバーです。では無理です。で一蹴される製品の一つです。

実際にシルバーのサイズ直しが100パーセント出来ないわけではありませんし、修理も同じです。

作ることができるのですから、修理も当然出来ると言えるのですが、そこに出来ない場合の条件が多く、加わってしまうのです。

【一番単純な出来ない場合】
熱を加わえなければならない加工であるのに、宝石類が入っている。

熱を加える作業で一番多いのはサイズ直しです。


小さくする場合は切り取り、大きくする場合は継ぎ足します。切り口を繋ぐのにロウ付けをするのですが、これは本体より低温で溶ける金属(ロウ材)を隙間に流し込んで接着する作業ですから、当然幾ら低温でも金属が溶ける温度ですから、400度とかというけっこうな温度になります。
金、プラチナの場合は、この熱が宝石に伝わらない様に、宝石の部分を冷却しています。しかし、シルバー製品で同じように冷却しますと、熱を上げなければならない部分が冷えたままで、ロウ材が隙間に流れ込みません。つくりくっつかないのです。
そのために冷却せずに加熱しなければならないため全てに熱が伝わります。
つまりは宝石類が入っていると加熱され、ヒビが入ったり、割れたりします。
そのためシルバー製品のサイズ直しの場合に宝石類が入っていると出来ない事になります。

それでもなんとかしようと考える訳ですが、もし簡単に宝石類を外せれば、いったん外してサイズ直ししてから、留め直せばできます。
シルバー製品の場合外せる留め方をしている場合が少ないので、出来る確率は低いです。

その他にはあるのか。指輪に厚みがある場合は、内側を削る事で大きくできます。その代り内側に入っている刻印がすべて消えてしまいます。

もう一つ、厚みがあれば、下の部分を薄く伸ばすことで大きくできます。

更にもう一つ、内側から全体を押し広げる器械で広げる。ちょっと変わった器械ですが、当店は持っております。シルバーに限らず、ブランド品など、1号程度まで大きくする場合、この器械を使用することが出来る場合があります。、指輪そのものが厚みや幅が一定していて部分的な強度不足が無いデザインしか使えません。弱い所が集中的に伸びてしまうためです。結婚指輪のようなプレーンなデザインのリングにはほとんど使用できます。ティファニーの1837や、カルティエのラブリングなども、1号程度なら切り継ぎ無しで、この器械で伸ばすことで、簡単にサイズ直しできます。


以上は大きくする場合で、何か別の方法が存在しますが、小さくする場合は必ず切って繋ぎ合せなければなりません。そのため、石の留め直し以外の手段はまったく使えません。

つまりシルバーリングで宝石類が入っている場合、小さくすることはほぼ不可能で、大きくする場合は条件次第で何とかなるということです。

むろん、宝石類が入っていなければサイズ直しは問題無くできます。

シルバー製品のサイズ直しは、こういった諸条件を考慮する事は職人以外ではほとんど出来ません。そのため店頭では一律お断りになってしまいます。

自分では判断できないけど、こういった事が判断できる職人さんを知っているお店ですと、お預かりして聞いてみましょうかともなりますけど、少ないでしょうね。

シルバーのネックレスも同様に、石さえ入っていなければ直せます。


色々と書かせて頂きましたが、たかがサイズ直し。
でもその実、ものすごく考えなければなりません。

修理だから作るより簡単そうに思えるかもしれませんが、実は修理の方が手間取ります。ですから、複雑な修理ほどベテランの職人さんが必要になるのです。

ネックレスにつきましては後の機会に書かせて頂きます。