これは,最大のアイヌ・コレクションである児玉コレクションを中核に,あらゆる民具・工芸品を集め,昔のアイヌの世界に迫る一大企画です.
別にいまの多くのアイヌ(特に都会のアイヌ)は,アイヌ語で日常的に話しているわけでも,こういった工芸品に囲まれているわけでもないのですが,今回の展覧会の事業の元となっているアイヌ文化振興法に,「民族の誇りの源泉たるアイヌ語やアイヌの伝統文化」と謳われているように,心の拠り所として,民族の自覚のもととして,大変大切なものであります.
私(oripakEsaman)のような,伝統文化をさほど身につけていないアイヌにとっても,こういった展覧会を通じて先祖の偉業に触れる機会がある事,そして多くの和人の方にも,我々の素晴らしさを理解していただくきっかけになる事と思いますので,大変嬉しく素晴らしいことです.
ですが,そこで一つ忘れてはならないことがあるのです.
児玉教授の残した膨大な数の資料「児玉コレクション」は,たしかに素晴らしいものです.
どのような経緯であれ,いまここにこれらの品々が残っていることは凄いことだ.
それは確かに偉業かもしれない.
しかし,いかに貴重で偉大なコレクションとはいえ,彼の名前を堂々と冠し,何の批判も経緯の説明もなく,展覧会を開くのは,果たして良いことでしょうか?
あのコレクションの価値が高ければ高いほど,展示内容が素晴らしければ素晴らしいほどに,私はアイヌの一人として,恥ずかしく思います.
まして,何の経緯の説明も無く,ただ「素晴らしいコレクション」という側面だけ紹介されるのは,とても腹立たしい.
児玉教授は一体何をしたのか,「児玉コレクション」が成立した背景には何があったのか,そして,いまここにこうしてその収集物を公開するにあたり,何について考えねばならないのか?
そこには,和人とアイヌの関係をよりよいものにしていくために,決して忘れてはならない大切なものが含まれていると思います.
この特別展を見,素晴らしいアイヌの世界に触れるだけでなく,こういったコレクションが成立した時代には何が起こっていたのかを学び,そして,これからのアイヌと和人の関係だけではなく,異なる民族や人々が,御互いの世界を尊重し「共に生きる21世紀」を望むために,みなさんと考えていきたいと思います.
15:00 名古屋市博物館(地下鉄桜山駅,市バス「博物館前」052-853-2655)にて,アイヌ特別展見学.
閉館時間である17時までを予定.
18:30 東別院会館,地下第四会議室にて,「考える集い」.
出来れば,「見て考える」事がいいのは当然のことですが,アイヌ特別展自体は10月9日まで開催していますので,
昼の見学に参加できない人も遠慮無くご参加ください.
また,当日の見学会以前に展示を見られた方も奮ってご参加・ご発言下さい.
みんなで,それぞれの立場から,考えましょう.
問い合わせ
携帯:070-5441-4532
FAX:052-681-4532
imeru-kampi:esaman@anet.ne.jp
それぞれ,「特別展を考える会」担当者まで.
支援URL: http://www.alles.or.jp/~tariq/
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(2000 9/9-10/9)馬場・児玉コレクションにみる北の民アイヌの世界
(2000 9/10)「考える集い」呼びかけ文
本集会に寄せられたアイヌからのメッセージ
協力団体・支援者よりのメッセージ
(2000 9/13)『馬場・児玉コレクションにみる北の民アイヌの世界』展開催に関する財団としての考え方について
(2001 2/3)考える会を終えて、ご参加いただいた皆様からのメッセージ
(2001 9/15)「アイヌ特別展」を色々な立場で考えた結果の、要望と意見。
「児玉コレクション」の収集者,児玉教授の「業績」に関連する新聞記事
衝撃の映像!これが児玉作左衛門教授だ!!
「アイノの人類学的調査の思ひ出」を読んで−アイヌ墓盗掘の先達・小金井良精の日誌−
(2002 8/2)第19回、北海道大学・アイヌ納骨堂イチャルパ・参加報告
(行方不明の盗掘品・北大にて発見さる!!)児玉教授の『業績』に関する新聞記事・雑誌記事