北海道旧土人保護法
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明治の終わり頃、生活環境の変化などに伴い、多くのアイヌ民族の生活の維持が大変困難になってきており、
その窮状に対する保護を与える事を目的として、この法律は制定されました。実のところは、アイヌ民族の間での極端な貧困や疾病の流行の原因は、この法律が主張する「優勝劣敗の理勢」ではなく、
政府による長年の強制移住や、狩猟や漁労の禁止、農業化・和人化の強制、開拓による生活圏の破壊によるものであって、
(簡単に言えば「和人の侵略」)アイヌ自身の原因によるものではありません。勝手にアイヌを追い出して、入植して開拓して、生活に困らせておいて、
挙句の果てには「困っているようなので保護を与える」とは、誠に「盗人猛々しい」話しといえると思います。しかも、実際のこのこの法律で「下賜」された給与地というのは、開拓民や屯田兵の数10分の一の面積で、
しかも耕作に適さない土地ばかりでした。
アイヌの多くは、農業に従事した事が無いものが多く、成功を収めたアイヌは殆どおらず、多くの給与地は四散してしまいました。実際には、この法律は「これをして適富の産業により、その生を保ち、その家を成すを得せしむ」
為の法律ではなく、最初から勝てないレースにムリに参加させて、
「やっぱりおまえの努力が足りない」と言って、さらに貶める為の法律であったのではないでしょうか?}{}{ 共有財産とは何か? }{}{この法律の土地給与以外の内容としては、主に漁業の援助による利益や、宮内省からの教育資金などで「保護」政策を行ってきました。
この財産を「アイヌ民族は頭が悪いから管理できない」と一方的に決めつけて、勝手に北海道知事(長官)が預かる法律が出来ました。この法律の示すアイヌ民族全体の「共有財産」とは、現金、債権、株券、漁業、海産物の干し場、倉庫、宅地畑地、山林などで、
知事(長官)が預かって「保護政策」の資金に使ってきました。アイヌ民族の共有財産であるにもかかわらず、その財産の管理について、
アイヌには一度も相談したこともなく、100年間、管理の状況を報告したこともありませんでした。北海道旧土人保護法と、旭川市旧土人保護地処分法の廃止に伴い、今まで北海道知事によって管理されてきた
アイヌ民族の「共有財産」を共有者に返還することが決定しました。
しかも「一定期間に申告」されない財産は、文化振興財団に組み入れられる事が定められました。
また、返還を求めた場合も、当時の額面(現在の額面にすると数千倍)で返還しようとするなど、問題が沢山出てきました。
この共有財産の返還と補償巡って闘われているのが「共有財産裁判」です。}{}{ より詳しい情報や支援については、下記を参照下さい }{}{アイヌ民族共有財産裁判を支援する全国連絡会事務局:札幌市東区北31条東6丁目3-21 大脇方 TEL:FAX 011-743-0755
どうもHPは不調のようですね(4/11現在)
アイヌ文化振興法・
旭川市旧土人保護地処分法・
アイヌ民族に関する法律(案)アイヌに関する法律を巡る政府の対応や問題点については、
国連での第四回政府報告に対する日弁連のカウンターレポートも大変参考になります。
また、法律関連の資料は、手塚利彰さんのアイヌ民族資料室/法律・法案が大変有用です。