JSA東海支部第一回例会セミナー

アルザスワインを探るを受講して

1998年2月4日

東 博子



 今までワインの本によく書いてある"Vendanges tardives =遅摘み中甘口"とか、 "Selection de grains nobles =粒選り摘み貴腐ぶどう又は房選りの貴腐ぶどう" 位の知識しかなかった私にとって、講師にエティエンヌ・ヒューゲル、セルジュ ・デュプス(オーベルジュ・ド・リル、シェフ・ソムリエ)両氏を迎えての今回 のセミナーは改めて勉強する良い機会になりましたので以下にその内容をまとめ てみました。

 ヒューゲル家では1959年まではドイツ語で Auslese , Beerenauslese と 表記していたが、アルザスがドイツから返還されるとフランス語で Vendanges tardives , Selection de grains nobles と表記を改め、法的な規制もした。

 Selection de grains nobles は貴腐葡萄を一粒一粒手で摘み取ったもので、 Gewurztraminer では3〜5年に一度くらい貴腐菌が付きリースリングではほとんど 付かない。

 Vendanges tardives は貴腐菌がブドウの一部に付いたものを房ごと貴腐菌が付いて いないものと一緒にワインにすることで、貴腐菌が20%のときもあれば40〜50 %の年もある。そのため完全な甘口という訳ではなく辛みも残りヴィンテージによ って味わいも変る。

 この日、Gewurztraminer "Hugel 1989 Selection de grains nobles" をティステ ィングしたが、造った人の気持ちまでもが伝わるとても素晴らしいワインで、 デュプスさんは「樹齢を感じる申し分ないワインでパイナップル、アプリコット、 砂糖漬けのフルーツの香りがし、エレガントな余韻も長いワインだ」とコメントした。

尚、89年の次には97年まで Selection de grains nobles はなかったそうです。

参考
Vendange(女)ぶどうの収穫
tardive(形)遅い
selection(女)選択、選抜
grain(男)粒状の果実
noble(形)高貴な