トランジスタでCPUをつくろう!
トランジスタで8080をつくってしまおうというまさにびっくり仰天、狂気のプロジェクトです!
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見事にできましたら、もちろんTK−80モニタを乗せて、それからBASIC、CP/Mを走らせましょう!
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[第46回]
●果たして真犯人は?
大抵の推理小説ではお話の最後に近いあたりで名探偵が颯爽と登場して、それまで謎だらけだった事件を見事に理路整然と推理して、真犯人を特定してしまいます。
しかし。
多くの読者はそのようにして真犯人が明かされても、まだ得心がいきません。
犯人が余りに意外な人物であれば、なおさらです。
一体動機は何なのか?
そしてその手口は、彼はどのようにして犯行をやってのけたのか。
名探偵は読者の疑問に答えるべく、最後の最後に全ての謎を明きらかにします。
さて。
当推理ドラマの場合、残念ながら名探偵は不在であります。
なにしろワトソン博士が孤軍奮闘しているばかりでありますから、とてもとても快刀乱麻を断つごとくにはまいりません。
読者の欲求不満はつのるばかりであろうかと拝察いたします。
さぞやもどかしくお思いとは存知まするが、まま、ここはぐっと我慢していただきまして、ワトソン博士の拙い推理とめちゃくちゃな実験手法に、今しばらくおつきあいをお願いいたします。
そこで、また、推理小説のお話に戻りますが、お話の展開につれて怪しい人物が何人か登場します。
大抵はそのうちの誰かが犯人なのですが、大体において一番怪しくない人物が犯人だったりします。
最初からばればれだったりしたら、ばかばかしくてだれも最後まで読んだりしませんものね。
中には全く想定外の、容疑者にもなっていなかった意外な人物が犯人であることもあります。
しかしこの場合にも作者は用意周到にこの人物が犯人であることをにおわせるシカケ、伏線をずっと以前にそれとなく忍ばせておきます。
そうしておかないと意外な犯人が明かされた場合にアンフェアではないかと読者から一斉にブーイングの嵐を受けてしまうからです。
当ドラマでいきますとさしずめ犯人は抵抗だったとか電源だったとかというようなオチでありましょうか。
ここまでひっぱってきて、そんなことになりましたら、読者様から抗議のメールの集中砲火を浴びてしまいますでしょう。
ええ。
いくらなんでも、それはないです。
犯人は、トランジスタです。
それは間違いありません。
では、どのトランジスタなのか。
前回も書きましたように最も怪しいのはBS250です。
しからば、その疑いの根拠は。
そもそもあのおかしな波形はコンデンサ入力に特有の波形です。
BS250はコンデンサ入力ですが、もう一方のトランジスタ2N7000は抵抗入力です。
それともうひとつの根拠は、おかしな信号がLからHに鋭く立ち上がる波形であることです。
これもBS250が瞬間的にONになったときに出そうな波形です。
しかし2N7000がONになったときは、それとは逆にHからLに落ち込むような形になるはずです。
ところが、前回私は、その2N7000も怪しいのではないか、と書きました。
上に書きました道理からしますとまったく理屈に合っていません。
なぜか?
むむ。
なんとなくクサい。
におう。
名探偵の勘なのぢゃ。
いえ、それは冗談。
実は、当初はただなんとなく、怪しい、というだけのものだったのですが、今、こうやって整理をしておりますと、それにも立派な根拠があることが見えてきました。
たとえば連続殺人事件が発生したという筋立てがありまして、容疑者が何人かにしぼられたとしましましょう。
そして、そのうちの一人が犯人であるとしましょう。
もし容疑者のうちの一人だけがいずれの現場でも目撃されておりましたら、そいつが犯人である可能性が非常に高いということなります。
そこで、また当推理ドラマに戻ることにいたします。
名づけてトランジスタ怪事件であります。
このところ容疑者はずっとBS250と2N7000にしぼられておりますが、実はもう一人容疑者が存在していたのであります。
その事件につきましては[第42回]および[第43回]で本件との手口の類似性に言及しております。
[第38回]で発生した怪事件であります。
当時は原因不明ということで迷宮入りとされていたのでありますが、当事件が発生したことによって、これが同一犯人によるものではないか、との疑いがにわかに浮上したものであります。
[第38回]で発生した事件の容疑者は2SA1015と2N7000であります。
今回の事件の容疑者はBS250と2N7000であります。
両方の事件に関与しているのは、2N7000のみであります。
勿論、たまたま手口は似ておりますが、前の事件の犯人が2SA1015で、今回の事件の犯人はBS250である、ということも当然ありうるでありましょう。
しかし。
こういうことになりますと、やっぱり2N7000も当然疑ってしかるべきでありましょう。
実は。
その後に判明した新事実があります。
実はここまで書いてきまして、[第38回]の事件のウラを取っておこうと思い立ちまして、あらためて証拠写真を撮ってみましたところ、なんと今回の事件と完全に手口が、じゃなかった、波形が一致したのであります。
下は[第38回]で使った回路です。
この回路図そのものは[第34回]、[第35回]にあります。
図の出力(OUT)には何も負荷はついていませんが、以下の写真では出力に負荷抵抗1KΩをつけてテストをしました。
上側の入力端子に125KHz(黄色クリップ)を接続し、下側の入力端子に250KHz(白色クリップ)を接続しました。
そのときの出力波形(下側、CH2)です。
上側の入力端子に250KHz(白色クリップ)を接続し、下側の入力端子に125KHz(黄色クリップ)を接続しました。
そのときの出力波形(下側、CH2)です。
なんと。
BS250+2N7000のときと全く同じ異常パルスが出ているではありませんか。
こういうことになりますと、2N7000も容疑者として調べないわけにはいきませんでしょう。
果たして2N7000が連続事件の真犯人なのでありましょうか。
それともこれは冤罪事件に発展するのでありましょうか?
トランジスタでCPUをつくろう![第46回]
2015.4.23upload
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