≪特集≫ 藤内遺跡の土器 (2013年に町で取得したものを紹介いたします)



発掘風景
(区画文筒形土器)

 藤内遺跡はJR信濃境駅の北、500mほどのところにある、今から約4500年前の遺跡です。これまでに
神像筒形土器をはじめとする石器・土器199点が、国の重要文化財に指定されています。

 そして平成25(2013)年、個人が開墾と農作業の際に発見された石器・土器など合わせて231点を
町で取得しました。今後新たな指定に向けて資料の調査・研究を進め、さまざまな場所で活用していきます。

 井戸尻考古館では平成26年(2014)年4月より、月替わり展示で数点ずつご覧いただけるよう展示
いたします。それとともに、主要な土器を中心に紹介することにいたします。
このページでは、現在常設展示しているいくつかの土器をご覧いただきます。





双眼五重深鉢
(町指定有形文化財)
藤内T式  高さ57.6cm
第14号住居址出土。五段に重層する器 
形と絵文字を思わせるような文様、濃茶
褐色の重厚な器膚は、思わず感嘆の声を
漏らしてしまう絶品である。
重要文化財級、いや国宝級との呼び声も
高い。


縦帯区画文筒形土器
(町指定有形文化財)
藤内T式  高さ48.0cm
  第14号住居址出土。すらりとした身に 
  流麗にして繊細な文様は比肩するものが
  なく土器造形の頂点を示す作品である。
  双眼五重深鉢とならび、国宝級とも言わ
  れる土器である。
  それにしてもスキのない、見事な文様の
  配置である。

双眼深鉢

藤内T式  復元高24.0cm
  第16号住居址出土。小ぶりな土器で、
  口縁に双眼を戴く。胴部には神像筒形
  土器に由来する、くるりと蕨手に巻い
  た腕の文様が見られる。
  肌は荒れているが、その胴はすらりと
  してバランスが良い。

双耳峰状口縁深鉢

藤内T式  高さ13.5cm
 手のひらにちょこんとおさまる小さな土
 器。口縁が左右からせりあがった双耳峰
 のようになっている。
 正面と背面にJ字状の、左右の面にはまっ
 すぐ垂下する隆線がつけられている。
 まったく壊れることなく出土した。





半隆起線文深鉢

藤内T式  復元高27.7cm
 あまり類例を見ない器形。太めの半截
 竹管でひかれた縦線は、所々で磨り消
 されている。
 口縁には小さな環が3つあったらしい。  




有孔鍔付壺

藤内T式  復元高12.0cm

小形の有孔鍔付土器で、精製された粘土  
を用い、滑らかに仕上げられている。
上部には漆とみられる黒い塗料と、そこ
に重ねて塗られた赤彩色がのこる。




双眼深鉢

藤内U式  復元高36.7cm

 第12号住居址出土。口縁に双眼を戴くが、 
 右眼はつり上がった雫形をしている。
 これは重要文化財の神像筒形土器と同じ眼
 の造形である。

人面系大深鉢

曽利T式  復元高61.0cm

 大型の深鉢。素文で内湾する口縁には大柄 
 な渦巻きとW字形の文様が施される。
 藤内・井戸尻期に盛行した人面深鉢の系譜
 を引く土器である。


え!? 解説“裏”バージョン
期間限定・・・のはずでしたが 
好評につき、こっそり片隅に残しておきます。



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