2001年版「アイヌ民族は同化していなくなった」
という発言に関する新聞記事(同時多発テロ関連記事)

(同時期にあったダーバンの国際会議の動静と、帰属意識に関わる大規模テロ事件の情報を一部含みます)


焦点のムネヲ発言の全容
この発言に対するアイヌ・ウィルタからの抗議文・要望書西日本タケヲとムネヲをケトばす会
発言に関する和人の立場からの抗議文・要望書
国連の会議で発表された声明文oripakEsamanからの呼びかけ
ダーバン2001(国連主催の人種差別に反対する世界会議)
武者小路さんの抗議文(ダーバンに政府代表の一人として参加する人)


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[朝日新聞・2001年7月3日]
鈴木宗男代議士「アイヌ民族はまったく同化」と発言

北海道選出の鈴木宗男自民党代議士が2日、東京・有楽町の日本外国特派員協会での
講演で、「(日本は)一国家、一言語、一民族。アイヌ民族は今はまったく同化され
た」などと発言した。アイヌ民族関係者は「民族を侮辱する同化政策完了宣言に聞こ
える」と反発している。
この発言は、小泉政権についての報道をとりあげて「マスコミは小泉(純一郎)首相
を改革派、反対勢力を守旧派と白黒に分けたがる」と語ったあとに飛び出した。
「(日本は)一国家、一言語、一民族と言っていい。北海道にはアイヌ民族がおりま
すが、今はまったく同化されておりますから」と続けた。
北海道ウタリ協会の吉田昇理事(54)は「情けない。アイヌを一番知るはずの地元
の鈴木代議士が正気で発言したとは思えない。中曽根康弘首相の単一民族発言から
15年たつのに、相変わらずの認識だ」と話した。

86年、当時の中曽根首相が「日本は単一民族」と発言し、アイヌ民族らから猛反発
を受けた。(03:04)
http://wwwld1.asahi.com/politics/update/0702/013.html


[北海道新聞・2001年7月3日]
鈴木宗男氏、平沼経済産業相が「単一民族」発言

自民党の鈴木宗男衆院議員(比例道ブロック)が二日、東京都内で行った講演で
「私は(日本は)一国家一言語一民族といっていいと思う。
北海道にはアイヌ民族というのがおりまして、嫌がる人もおりますけれど、
今はまったく同化されている」と発言。
また、平沼赳夫経済産業相も同日、札幌市内のホテルで開いた自民党の中川義雄
参院議員のセミナーで「日本は単一民族」と発言していたことが、
三日明らかになった。
北海道ウタリ協会の笹村二朗理事長は、「どういう意図で言われたのか、
前後がどういう発言だったのか、きちんと確認してからコメントしたい。
発言が事実であれば、協会としても抗議しなくてはならないだろう」と話している。
鈴木氏の講演は日本外国特派員協会主催。その中で鈴木氏は自らが小泉純一郎
首相の改革路線に対する「抵抗勢力」と位置づけられていることに不快感を示し、
「マスコミは敵と味方、白と黒、タカ派とハト派、善と悪と分けたがる傾向にある」
とマスコミ批判を展開。「アイヌ民族の同化」という発言は、鈴木氏と小泉政権の
間には対立構図はないと強調するため持ち出した。
鈴木氏は三日、北海道新聞の取材に対して
「一般論として言った。一国家一言語一民族というと嫌がる人もいるから、
それを断って言った。差別的意図はなかった」と述べた。

一方、平沼氏はセミナーでの講演で日本の経済成長について触れた中で
「小さな国土に一億一千六百万人のレベルの高い単一民族でぴちっと詰まっている。
この人的資源があったからこそ、あの大東亜戦争に負けて原爆まで落とされて、
いまだにアメリカについで世界第二位の経済大国の座を守っている」などと述べた。

アイヌ民族をめぐっては一九八六年、当時の中曽根康弘首相が「日本は単一民族」
と発言し、アイヌ民族から反発を受けた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/News/Stock/20010703/0023.200107033180.html


[毎日新聞・2001年7月3日]
「日本はレベルの高い単一民族」平沼経産相が北海道で発言

平沼赳夫経済産業相=写真=は2日、札幌市内ホテルで講演し「日本ほどレベルの高い
単一民族で詰まっている国はない」などと述べた。この発言に対し、アイヌ民族でつく
る北海道ウタリ協会(笹村二郎理事長)から問題視する声が上がっている。

平沼経産相は中川義雄参議院議員(自民党)の政経セミナーに講師として出席。
講演では、単一民族のあとに「あの大東亜戦争に敗れ、傷付いて帰ってきた。
惨たんたる状況の中で人的資源を最大限に生かし、歯を食いしばって頑張った」と続けた。

道ウタリ協会の阿部ユポ副理事長は「アイヌ民族が先住民族であるという歴史を知らない発言だ。
一国の大臣がわざわざアイヌモシリ(人間の大地=北海道)で、こうした発言をするのはアイヌ
民族に対する挑戦ではないか」と話している[山田寿彦、高橋宗男]


[北海道新聞・2001年7月4日]
単一民族発言*「痛み」なぜ分からぬ

自民党の二人の有力国会議員が、同じ日に別々の場所で、アイヌ民族の人たちの気持
ちを逆なでする発言をした。
「日本は単一民族国家だ」と。
北海道・沖縄開発庁長官も務めた道内選出の鈴木宗男氏と、平沼赳夫経済産業相。
鈴木氏は「(日本は)一国家一言語一民族と言っていいと思う。北海道にはアイヌ民
族がおりまして、
(単一民族との言い方を)嫌がる人もおりますけど、今はまったく同化されている」と語った。
日本外国特派員協会で行った講演に続く質疑の中での発言。小泉純一郎首相の改革路
線に対する「抵抗勢力」と指摘され、
「自民党は一枚岩」を強調するための例え話として持ち出した。鈴木氏は「差別的な
意図はなかった」と釈明する。
しかし、到底容認されるものではない。鈴木氏は道内で生まれ育った政治家として、
アイヌ民族に一方的に同化を強いた過去の国家政策の過酷さを肌身で知っているはず。
鈴木氏は、アイヌの人たちに直接、真意を説明するべきだ。それが道民から国政を負
託された国会議員の責任ではないか。
一方、平沼氏の発言は「レベルの高い単一民族という人的資源があったからこそ、大
東亜戦争に負けても、世界第二位の経済大国の座を守っている」という内容。
平沼氏は「アイヌ民族に関する法律(アイヌ文化法)」が四年前に制定され
た事実すら知らないようだ。知っているなら、こんな無礼な発言が、まして札幌で飛び出すはずがない。
新法は、アイヌ民族を「民族」として認め、そのうえで「アイヌの人々の民族として
の誇りが尊重される社会の実現」を国の課題として明確に位置付けているからだ。
両氏の発言は、単にアイヌ民族への認識や理解の薄さだけでは済まない問題を含んでいる。

「レベルの高い単一民族」には、優越民族意識がちらつく。他民族を一段低いところ
に位置付ける姿勢には、排外主義につながりかねない危うさと、ごう慢さが潜む。
日本政府は、中国産の農産物に対する緊急輸入制限(セーフガード)を暫定発動中
だ。平沼氏は日中両国間の報復合戦を回避して、解決策を導き出すべき立場にある。
その大臣の口から、中国などに使ってはならない「大東亜戦争」という刺激的な言葉
が公然と出る。こんな反省のなさでは、「国益」を損ねるだけではないか。
アイヌ民族の存在を無視、軽視した二人の自民党政治家の発言には、
日本の針路である「アジアの一員」という意識の欠落も感じられてならない。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010704/0032.200107044098.html


[北海道新聞・2001年7月4日]
コラム・卓上四季

あきれるより悲しい。そして怖い。また単一民族発言である。
二風谷アイヌ資料館長の萱野茂さんが参議院議員として活躍していた時代を知る自民党議員二人が講演を語った

「(日本は)一国家一言語一民族。アイヌ民族も今は同化されている」。
これは北海道選出の鈴木宗男氏の発言。
平沼赳夫経済産業相は、札幌市内で「日本はレベルの高い単一民族で詰まっている」と話した。

どうしても1986年の中曽根康弘首相のことを思い出す。この時中曽根氏は自民党全国研修会で
「米国は知識水準が低い」と発言して批判された。その釈明で「多民族で複合国家の米国に比べて、
日本は単一民族で手が行き届きやすいという意味」と述べ、さらに問題を大きくした

中曽根氏はその後国会で遺憾の意を表明した。が、その後も渡辺智雄副総理兼外相(91年)や
三塚博自民党政調会長(93年)らが単一民族発言を続けた。
この「伝統」はどうも自民党幹部にしみこんだものらしい。

アイヌ民に対する認識の欠如、というだけでなく「根」は相当に深いのではないか。
「孤立した島国、単一民族で、稲作で。日本人はみな同じという感覚。
戦後の歴史学も、この枠組みを出ていない」。歴史家の綱野善彦さんの指摘である。
異質な世界を無理やり一緒にして、多様な個性を認めない。一連の発言は、そんな風潮ともつながる。
だから怖い。


[毎日新聞・2001年7月4日]
アイヌ民族はまったく同化 鈴木宗男議員「日本は一国家、一民族」

自民党の鈴木宗男衆院議員(比例道代表北海道ブロック選出)が、外国人特派員協会で2日
に講演し、「アイヌ民族は、今はまったく同化された」と、アイヌ民族の独自性を否定するよ
うな発言をしていたことがわかった。
鈴木氏は公園で、小泉政権をめぐる報道を取り上げ、「マスコミは、改革派、守旧派など白黒
に分けたがる」としたうえで「(日本は)一国家、一言語、一民族と言ってもいいと思う。
北海道にはアイヌ民族というのがおりまして」と述べ、続いて「同化」発言をした。
鈴木氏の東京事務所は「講演したことは確かだが、内容については担当者と連絡が取れず分か
らない」という。
アイヌ民族については平沼赳夫経済産業相が2日、札幌市内で日本を単一民族国家とみなす
発言をしている。
一方、アイヌ民族で構成する北海道ウタリ協会(笹村二郎理事長)は3日、会合を開き、両氏
に事実確認をしたうえで対応する方針を決めた。
笹村理事長は「重要な問題であり、発言の前後の流れや趣旨を含め総合的に確認しなければな
らない。事実であれば、特に平沼氏の場合は一国の大臣なのだから、それなりの対応が必要」
と述べた。[高橋宗男]


[毎日新聞・2001年7月6日]

平沼赳夫経済産業相が札幌市で2日に日本を単一民族国家とみなす発言をした
問題で、 北海道ウタリ協会(笹村二朗理事長)は6日までに、同相に対し、
発言の事実関係や意図などをただす質問状を送った。
質問状は、86年当時の中曽根康弘首相による「単一民族国家」発言以降、
アイヌ民族が先住民族であることが認知され、単一民族国家論はふっしょくされた
とする見解を提示。アイヌ民族に対する見解も、文書で回答するよう求めている。

また、同協会は鈴木宗男衆院議員が「アイヌ民族はまったく同化された」などと
講演で発言した問題については、 ビデオテープなどで事実確認を急ぐとしている。
( 2001-07-06-13:25 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/828740/83A83C83k814097e996d88f4092j-0-1.html


[朝日新聞・2001年7月6日]
「単一民族」発言で経産相に質問状

平沼赳夫・経済産業相が札幌市での政経パーティーで「(日本は)単一民族」と
発言した問題で、 最大のアイヌ民族団体・北海道ウタリ協会(笹村二朗理事長)は
平沼経産相に対し 「発言の事実関係、意図、アイヌ民族に対する見解」を問う
質問状を4日付で送った。
また、「アイヌは今はまったく同化された」と発言した鈴木宗男・自民党代議士
には近く、笹村理事長が直接会い真意を確かめた上で、理解を求めるという。

 また同協会によれば、北海道選出の鈴木代議士は発言が報道された3日、
笹村理事長に電話して、発言内容を認め
「『同化』とは、現在ではアイヌの人も日本語を共通語として同じ社会の中で働き、
生活していることを言った。差別する意図はない」と説明したという。
協会内の一部では「納得できない」と反発を強める動きも出ている。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=1435


[しんぶん赤旗・2001年7月6日]
アイヌ問題を考える懇話会「単一民族発言」に抗議

自民党の鈴木宗男衆院議員(比例道代表北海道ブロック選出)と平沼赳夫経済産業相が
日本は「単一民族」と発言した問題で4日、アイヌ問題を考える懇話会(原島則夫代表委員)
は、両氏と小泉首相に抗議文を送付しました。

鈴木氏は2日に行われた日本外国特派員協会の講演で、平沼氏は同日、札幌市で開かれた
自民党の中川義雄参議院議員のセミナーで「(日本は)一国家一言語一民族」「日本は単一民
族」という趣旨でそれぞれ発言したもの。

抗議文では「『単一民族国家』発言は、アイヌ民族のみならず、ウィルタ、ニブヒなど国内
少数民族の存在を否定する重大発言で、すでに15年前に物議をかもした破たんした中曽
根発言と同質、同根の問題発言で到底夕任できるものではない」と指摘し、関係諸団体への
謝罪と発言の撤回を求めています。同様の内容でウィルタ協会(田中了会長)も抗議文を
送付しています。


両氏の発言にたいし北海道ウタリ協会の沢田一憲苫小牧支部長は「言語同断の発言。北海道
では来年から第5時ウタリ対策が始まろうとしており、アイヌ文化振興研究推進機構をたち
あげている時期です。大臣や大臣経験者がこういうことを話すのはもってのほか。撤回する
べきだ」と話しています。


[北海道新聞・2001年7月10日]
鈴木氏「同化」発言 釈明受け抗議せず ウタリ協会

[帯広]北海道ウタリ協会の笹村二郎理事長は9日、帯広市内で記者会見し、
鈴木宗男衆議院議員が2日に「(アイヌ民族は)今はまったく同化されている」と発言
したことについて、差別する意図はなかったと理解できるとして、抗議をしない考え
を明らかにした。
笹村理事長は「同化」発言について、鈴木氏から「現代の日本ではアイヌ民族を含めて同
じ教育を受け、日本語を共通語として同じ社会で生活している。報道では趣旨が伝わっ
ていない」との釈明を受けて納得した、と説明した。
一方、「単一民族」発言の平沼赳夫経済産業相に送った質問状については、当面、回答を
待つ考えを示した。

平沼・鈴木両氏の発言をめぐり、道ウタリ協会には同協会支部長らから緊急理事会開催
などを求める動きが相次いでいる。


[朝日新聞・2001年7月13日]
「単一民族」発言にアイヌ民族有志が抗議集会

鈴木宗男・自民党代議士の「アイヌ民族はまったく同化された」、
平沼赳夫・経済産業相の「日本は単一民族」との発言に抗議し、
アイヌ民族の有志が13日、北海道静内町で集会を開き、
民族衣装の約170人が道内全域から集まった。
会場は、1669(寛文9)年、松前藩の圧政に決起したアイヌ民族最大の
武力抗争「シャクシャインの戦い」の記念公園。
集会は「先住民族としての認知に努めるわれわれの取り組みを踏みにじる発言。
容認できない」と決議した。
アイヌ民族最大の団体・北海道ウタリ協会は、平沼氏に質問状を送ったが、
鈴木氏に対しては、「差別する意図はなかった」との説明を受け入れて抗議しない
方針を表明した。集会では本部の方針への不満も噴き出した。
(2001/07/13 22:08)

010815akita.jpg
写真・民族衣装を着て抗議するアイヌの人たち=13日、北海道静内町で

http://www.asahi.com/national/update/0713/032.html


[北海道新聞・2001年7月14日]
平沼・鈴木氏発言「厳重抗議を」アイヌ民族、静内で集会

[静内]平沼赳夫経済産業相の「単一民族」、鈴木宗男衆議院議員の「民族同化」という
アイヌ民族に関する発言問題で、各地のアイヌ民族約百五十人が13日、民族の英雄・
シャクシャイン像が立つ日高管内静内町の真歌公園で抗議集会を開き、両氏に厳重抗議
を行うよう道ウタリ協会本部に求めることを決議した。

同協会日高地区支部連合会(神谷与一会長)が呼びかけ、日高管内八町のほか、札幌市
や胆振、根室管内などから訪れた、民族衣装を身にまとうなどした参加者は、野村義一
理事長らの「ウタリ協会として両氏に断固として強い反省を求めるべきだ」との主張に拍
手を送った。

続いて、両氏の発言に対する同協会の対応を協議する緊急理事会の開催と発言内容への
厳重抗議を行う−の二点を笹村二郎理事長に求める決議を全会一致で採択した。
同協会はこれまで平沼経産相には発言の意図を問う質問状を送り、鈴木氏からは「差別の
意図はなかった」との釈明を受けて抗議しない方針を明らかににしているが、13日まで
に理事の過半数に当たる14人から緊急理事会の開催を求める署名が本部へ出されている。


[北海道新聞・2001年7月17日]
 平沼・鈴木氏発言、厳重抗議を決議 道ウタリ協会日高地区支部連

アイヌ民族に関連し、平沼赳夫経済産業相が「単一民族」、鈴木宗男衆院議員が
「民族同化」などと発言した問題で、道ウタリ協会日高地区支部連合会は十六日、両
氏に対して厳重抗議を行うよう求めた神谷与一会長名の決議文を、同協会本部の笹村
二朗理事長に手渡した。
決議文では、発言に対する対応を協議する理事会の開催、発言への厳重抗議―の二点
を求めている。

同協会で八月六日に予定されている理事会の中で、今後の対応を審議することを検討
している。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010717/0022.200107166002.html


[北海道新聞・2001年7月17日]
「誤解生じ遺憾」 平沼経産相がウタリ協会に回答

平沼赳夫経済産業相が今月二日、札幌市内での講演で「日本は単一民族」などと発言
した問題で、平沼経産相は北海道ウタリ協会の質問状に対し「アイヌの方々の誤解を
生じたとすれば遺憾だが、アイヌの方々の民族としての誇りを傷つける意図はみじん
もない」などと回答した。
回答は十二日付。「アイヌの方々がさまざまな障害を乗り越え、アイヌ語やその独自
の風俗習慣をはじめとする固有の文化を発展させてこられた民族と認識している」と
し、アイヌ民族の社会的、経済的な地位向上に努力していく考えを表明している。

同協会は八月六日の理事会で今後の対応を協議する。同協会日高地区支部連合会は、
平沼経産相のほか、同時期に「アイヌ民族は同化されている」などと発言した鈴木宗
男衆院議員の両氏に協会として厳重抗議するよう求めている。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010717/0022.200107176190.html


[北海道新聞・2001年7月19日]
アイヌ民族団体、鈴木議員に抗議 同化発言で

自民党の鈴木宗男衆議院議員(比例道ブロック)が「(アイヌ民族は)今はまったく同化さ
れている」と発言した問題で、首都圏のアイヌ民族五団体の代表が17日までに、東京・永
田町の衆議第一議員会館の鈴木氏の事務所を訪れ、発言に抗議するとともに討論に応じるよ
う申し入れた。

申し入れたのは、
「レラの会」「関東ウタリ会」「ペウレ・ウタリの会」「東京アイヌ協会」「ヌプリの会」。
レラの会の長谷川修事務局長が五団体を代表して鈴木氏と面会。鈴木氏の発言はアイヌ民族
の存在を否定するもので容認できないとして、五団体と鈴木氏が話し合う場を求める文書
を提出した。

鈴木氏は「私は『単一民族』とは発言しておらず、報道は趣旨をよく伝えていない。
(この件で)道ウタリ協会の笹村二郎理事長とも話しはついている」と説明し、
文書は受け取らなかった。


[北海道新聞・2001年7月19日]
アイヌ民族発言で平沼経産相、鈴木議員に辞任要求−市民グループ

【小樽】アイヌ民族に関連し、平沼赳夫経済産業相が「単一民族」、鈴木宗男衆院議
員(比例道ブロック)が「民族同化」などと発言した問題で、小樽と札幌の市民グル
ープは十九日、両氏に辞任を求める要望書を、また、小泉純一郎首相に平沼経産相の
罷免を求める要望書を、連名で郵送した
。送ったのは、「アイヌ民族の自治区を取り
戻す会」の北川しま子副会長(札幌在住)と、日本基督教団小樽望洋台教会の柴田作
治郎牧師、小樽の「米空母に反対する市民の会」。要望書は「アイヌ民族を民族と認
めず、日本から消し去ろうとするもの」と批判。「発言を取り消し、謝罪し、直ちに
辞任することを求める」などとしている。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010719/0022.200107198674.html


[朝日新聞・2001年7月28日]
アイヌ民族団体 国連で抗議声明(ジュネーブ27日=小林伸雄)

ジュネーブ国連人権小委員会先住民作業部会
27日、アイヌ民族団体「レラの会」長谷川由希さん(24)
自民有力政治家の「単一民族」「アイヌ同化」発言に対し、
民族差別、民族優越意識の表れとして抗議声明。
「琉球弧の先住民族会」と共同声明。


[毎日新聞7月28日]
人種差別会議:シオニズム非難や奴隷制度謝罪で米反発、欠席も 

【ワシントン布施広】米政府は27日、8月末から国連主催で開かれる人種差別に関する
国際会議が、イスラエル建国の原動力となったシオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別
主義とみなす提案などを盛り込んでいると批判し、議題などが修正されない限り、参加を
ボイコットする方針を明らかにした。
会議は8月31日から9月7日まで南アフリカのダーバンで開かれる。議題などは30日
からジュネーブで開かれる準備協議で決まる。フライシャー大統領報道官によると、会議
では「シオニズム非難」のほか、奴隷制度を持っていた国々の公式謝罪と補償を求める方
向で根回しが進んでいる。

報道官は「そうであれば、米国は出席しない」と明言し、一部の国々が会議を
「ハイジャック」して「反ユダヤ主義の会合」に変えようとしていると強い調子で非難した。

国連は75年にシオニズムを人種差別主義とする決議を採択、イスラエルとアラブの和平
の動きが強まった91年12月、同決議の撤回を採択した。報道官は今回の会議の方向性
について「10年前に否定された立場に逆戻りするもの」と批判、根本的な見直しを求めた。

しかし、中東・アフリカ諸国には、対アラブ強硬派のシャロン・イスラエル政権と、これ
を積極的に支援するブッシュ政権への反感が強い。国務省は27日、30〜40カ国の駐
米大使を招いて米政府の立場を説明したが、関係国が議題の見直しなどに応じるかどうか
は微妙で、30日からの準備協議は紛糾も予想される。 ( 2001-07-28-10:09 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-11.html


[朝日新聞2001年8月5日]
人種差別撤廃会議を前に、米国とアラブ、アフリカ諸国が対立

【カイロ4日黒田理】今月三十一日から南アフリカのダーバンで開かれる
国連主催の世界人種差別撤廃会議の宣言案をめぐり、米国など先進国と、
アラブ・アフリカ諸国との意見対立が激化している。米国はシオニズム
(パレスチナでのユダヤ人国家建設運動)を人種差別とみなす場合には、
会議への出席拒否も辞さない構えだ。

シオニズムについてはアラブ諸国が人種差別と位置づけ、
「イスラエル政府は人種差別政策をとっている。これは新しい形のアパルトヘイト
(人種隔離政策)だ」との文言を宣言案に盛り込むよう求めている。

これに対し、親イスラエルの米国は真っ向から反発、ロビンソン国連人権
高等弁務官は「この問題を蒸し返すと、会議を失敗させる」として、
アラブ側に「現実的対応」を呼び掛けている。

ジュネーブで一日に開かれた準備会合では、エジプトが必ずしもシオニズム
にこだわらない柔軟対応を表明したが、強硬派のシリアは譲歩の姿勢をみせていない。

一方、アフリカ諸国は、黒人奴隷制度や植民地支配への賠償を議題とする
よう要求している。これに関しても、国内の人種差別への「飛び火」を恐れる
米国は「過去ではなく、未来に焦点を当てるべきだ」と主張、議題化される
場合には欠席の意向を示している。

アラブ・アフリカなどを支配した英仏をはじめとする欧州諸国も植民地問題の
討議には反発しており、近現代史をめぐる深い溝は容易に埋まりそうにない。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010805/0026.200108054067.html


[朝日新聞・2001年8月5日]
問題発言巡り 揺れる道ウタリ協会 「同化」「単一」発言巡り 抗議せず態度不鮮明

アイヌ民族の最大組織・北海道ウタリ協会が揺れている。
鈴木宗男・自民党代議士と平沼赳夫経済産業相が相次いで民族の存在を否定するような発言した
にもかかわらず、協会が1カ月以上、抗議もせず態度を決めかねているからだ。執行部の姿勢に
は賛否が分かれ、札幌市内で6日開かれる理事会は波乱含みだ。

shizunai713.jpg

政治家の発言に抗議し、アイヌ民族の人たちは民族衣装を着て集会を開いた
=7月13日、日高支庁静内町で

「どうして緊急理事会を開かないんだ」
詰め寄る幹部に、笹村二朗理事長が答えた。
「参院選の期間中に動いちゃ選挙妨害になる」

7月16日、札幌市中央区のウタリ協会本部の理事長室。両氏に抗議するため理事会の招集を求
める主張は激しいやりとりの末、却下された。両氏の発言に対し、どう対処するのか、方針決定
は選挙後に先送りされた。

協会が沈黙する間、首都圏のアイヌ民族団体は活発に抗議を続けた。
ある協会幹部は「本家本元が声をあげないのは情けない」と話した。

平沼氏は「遺憾」と釈明する文書を出し、鈴木氏は口頭で「差別の意図はなかった」と弁明した。
なぜ、アイヌ民族の怒りは収まらないのか。

協会理事の沢井アクさん(55)は「平沼氏の釈明には、『発言の撤回』も『謝罪』もない。
鈴木氏の弁解も看過できない」と批判する。

笹村理事長によると、鈴木氏は発言の事実を認めたうえで、次のように弁解したという。
「『同化されている』は、現在の日本がアイヌの人たちも含めみんなが同じ教育を受け、日本語を
共通語として同じ社会の中で働き、生活していることを言った」

99年の道の調査では、アイヌ民族の大学進学率は和人の半分以下の16・1%だ。沢井さんは
「背景には所得格差がある。『同じ教育』を受けたくても受けられない子どもが大勢いる」と憤る。

ウタリ協会は、アイヌ語を含む独自の民族教育を受ける権利も政府に要求している。

「問題は、86年の中曽根康弘首相の『単一民族国家』発言以来、日本の政治家の感覚が進歩し
ていないことです」
道ウタリ協会の代表とともに3月、国連・人種差別撤廃委員会(CERD)に出席したNGO市民
外交センターの上村英明代表は、指摘する。

86年当時、アイヌ民族の存在を公式に認めなかった政府は91年、国連への報告書でアイヌ民族
を少数民族と認めた。95年には人種差別撤廃条約を批准した。
上村氏は「両氏の発言は明らかに条約に違反する。2人は現職閣僚と与党の有力代議士。
放置すれば国際社会での日本の信用を損なう」。条約に法的拘束力はないが、政府は2年ごとに
国連に報告書を出す義務を負い、CERDが日本の民族政策の現状を審査する。

今月末、南アフリカで開かれる国連の反人種主義・差別撤廃世界会議でも、
2人の発言を取り上げる動きがある。

上村氏は「こうした発言が繰り返される土壌を改める責任が政府にある」と強調する。

    ----------------------------------------------

 【問題発言】 鈴木代議士の「(日本の特性は)一国家、一言語、一民族。アイヌ民族は今はも
うまったく同化された」、平沼経産相の「(日本は)レベルの高い単一民族できちんとしまってい
る国」。7月2日、それぞれ東京・有楽町の外国特派員協会での講演と、札幌市内でのパーティー
の席で飛び出した。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=1603


1998年8月2日、十勝毎日新聞・笹村二朗氏(取材当時64)の取材記事。

[朝日新聞・2001年8月6日]
笹村理事長を解任 北海道ウタリ協会

鈴木宗男・自民党代議士の「アイヌ民族同化」発言と平沼赳夫・経済産業相の「単一民族」発言に
対し、アイヌ民族最大組織の北海道ウタリ協会・笹村二朗理事長が抗議に消極的な態度をとってい
ることについて、6日札幌市中央区で開かれた理事会に解任動議が出され、賛成多数で同理事長が
解任された。理事らは「理事長は民族の代表に不適格」とする緊急動議を提出、採決した結果、
理事27人中18人が解任に賛成した。

笹村理事長は「みんなが辞めろというのであれば、辞めるしかない。鈴木代議士には電話で、差別
の意図はないと確認したが、認めてもらえないのであれば致し方ない」と話した。

また、理事らは、副理事長や常務理事などほとんどの執行部役員の解任も要求した。(16:59)
http://www.asahi.com/national/update/0806/014.html


[北海道新聞・2001年8月6日]
道ウタリ協会理事会が笹村理事長を解任 政治家発言問題対応で

北海道ウタリ協会は六日、札幌市内で理事会を開き、平沼赳夫経済産業相や鈴木宗男
衆院議員のアイヌ民族にかかわる発言への対応が不適切だとして、笹村二朗理事長ら
四人の役員の解任動議を賛成多数で可決した。笹村理事長は報道陣に「辞めろと言う
ならば辞めざるをえない」と述べ、解任を受け入れる考えを示した。
平沼経産相は七月二日、「日本は単一民族」と発言。鈴木議員も同日、「アイヌ民族
は今はまったく同化された」と述べた。これに対し同協会は平沼氏に質問状を送り
「誤解を生じたとすれば遺憾」と釈明する回答を得た。鈴木議員からは笹村理事長が
電話で「差別する意図は全くない」との説明を受けて了承し、それ以上の抗議はして
いない。

理事会で、一部の理事は「笹村理事長らのこうした対応は不適切で、協会内部の不信
を買い、アイヌ民族の代表の資格はない」と主張し、笹村理事長のほか、飯田昭市、
阿部一司の両副理事長、江戸市郎常務理事の解任を求める動議を緊急提出。出席した
二十七人の理事の過半数が動議に賛成し、可決された。

解任された笹村理事長は報道陣に「平沼経産相の発言は言い過ぎだが、きちんと謝罪
している。鈴木議員の説明も電話で確認したが、(他の理事が)認めないと言うなら
ば仕方がない」と述べ、自らの対応に問題はなかったとの認識を示した。

また、江戸常務理事は道から派遣されているため、今回の解任問題は、ウタリ協会と
道との関係にも影響を与えそうだ。

協会の定款によると、理事解任には総会で三分の二以上の賛成が必要だが、解任を求
めた理事らは「理事長ら役員は理事の互選で選ぶため、理事会で解任できる」として
いる。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010806/0022.200108065537.html


[朝日新聞・2001年8月7日]
新理事長に秋田氏を選出 北海道ウタリ協会

鈴木宗男・自民党代議士の「アイヌ民族同化」発言などへの対応が消極的だとして理事長を解任した
北海道ウタリ協会は6日、秋田春蔵新理事長(74)を選出した。秋田新理事長は記者会見で、
「前理事長の対応は遅く手ぬるかったために協会員が怒った。早急に上京し、厳重抗議する」
と明言した。 (02:36)
http://www.asahi.com/national/update/0806/026.html


1998年8月2日、十勝毎日新聞・笹村二朗氏(取材当時64)の取材記事。

[朝日新聞・2001年8月7日]
道ウタリ協会、「同化」発言に抗議へ

アイヌ民族の最大組織・北海道ウタリ協会は6日、鈴木宗男・自民党代議士の「アイヌ民族同化」
発言や平沼赳夫・経済産業相の「単一民族」発言への対応が消極的だとして、笹村二朗理事長
(67)を解任した後、秋田春蔵副理事長(74)を新理事長に選出した。
秋田新理事長は会見で「早急に上京し、鈴木、平沼両氏に、厳重に抗議する」と明言した。
また、北方領土の問題や民族自立化基金の設立についても、アイヌ民族の代表として積極的に主張
していく考えを述べた。

理事会では、笹村理事長のほか、秋田副理事長を除く2人の副理事長、常務理事1人の計4人の解任
を求める緊急動議が出され、賛成多数で4役員が解任された。新たに3人の副理事長に、秋辺得平氏
(57)、椎久忠市氏(66)、上武やす子氏(66)を選出。
道庁の出向職員である事務局長が兼任する常務理事は当面空席とすることを決めた。

理事会後の会見で、秋田新理事長は、鈴木、平沼両代議士の発言に言及し、「前理事長の対応は遅く
手ぬるかったために協会員が怒った。新執行部でできるだけ早く両氏に会い、厳重に抗議する。
小泉純一郎首相にも会って、アイヌ民族について理解を求め、支援、協力をお願いする」と述べた。

北方領土の問題については、これまで同協会は「権利を留保する」としていたが、秋田新理事長は
「現在、元島民の土地売買が進んでいるのを許すわけにはいけない。
留保を解除して、積極的にアイヌ民族の権利を主張する」と話した。

また、協会運営の透明化や、アイヌ文化振興法に盛り込まれなかった民族自立化基金の設立、札幌
地裁で係争中のアイヌ共有財産訴訟の支援にも取り組む方針を明らかにした。

協会の定款では、役員解任には総会で3分の2以上の議決が必要だが、解任動議を出した理事らは
「理事長職は理事の互選で選ぶため、理事会の過半数で解任もできる」としている。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=1609


[毎日新聞・2001年8月7日]

 平沼赳夫経済産業相は7日の閣議後会見で、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題につ
いて「終戦記念日に英霊を慰めるために、一国民として参拝したいという小泉首相の気
持ちは理解できる。自民党総裁選の時からの主張であり、参拝されるのがいいのではな
いか」と予定通りの参拝を支持した。また、「私もこれまで8月15日に、一国民とし
て参拝を続けており、今年も同じ形で参るつもりだ」と語った。

 中国や韓国が強く反対していることに関しても「通商問題も含めて、一時的に外交関
係がぎくしゃくしても、日本が率直に(参拝の真意を)説明すれば、長期的には問題は
収束するはずだ」と述べた。
[2001-08-07-11:10]


[北海道新聞・2001年8月7日]
国連差別撤廃世界会議の政府代表団にアイヌ民族参加

政府は六日、八月末から南アフリカのダーバンで開かれる国連の「反人種主義・差別
撤廃世界会議」へ派遣する政府代表団にアイヌ民族を加える方針を固めた。アイヌ民
族を取り巻く問題が国際的にも広く知られていることから、政府としての取り組み姿
勢を示すために必要と判断した。アイヌ民族が、政府代表の一員として国際会議に参
加するのは初めて。
同会議には各国政府や先住民族、非政府組織(NGO)が参加して、人種差別をなく
すための教育や救済方法などについて話し合い、国連宣言や行動計画を採択する予定。
現在、ジュネーブで開催中の準備会合で詳しい内容を詰めている。

政府は、代表団(団長・丸谷佳織外務政務官、計十四人)の編成に当たって「民間人
枠」を二人設け、このうち一人をアイヌ民族から選ぶことにし、道ウタリ協会に打診
している。

同協会では六日、国会議員のアイヌ民族にかかわる発言への対応をめぐって理事長ら
が解任され、新役員が選ばれたが、代表を送る方針は変わらないといい、具体的な人
選を進めている。政府も「ウタリ協会の意向を尊重し、アイヌ民族に代表団入りして
もらう方針に変更はない」(外務省)としている。もう一人の民間人は中部大の武者
小路公秀教授が選ばれる見通しだ。

これまでもアイヌ民族は国連の関係会議に参加してきたが、日本政府とは一線を画し
てきた。政府筋は今回の方針について、「国連の関係会議では、民間人を政府代表団
に入れるのが世界的な潮流になっている。アイヌ民族の意見もできるだけ採り入れて
いきたいと考えた」と説明している。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010807/0022.200108065895.html


[北海道新聞・2001年8月7日]
秋田理事長を選出 ウタリ協会理事会 平沼経産相らに再抗議へ

北海道ウタリ協会は六日、札幌市内で開いた理事会で、アイヌ民族に関する平沼赳夫
経済産業相や鈴木宗男衆院議員の発言に対する対応が不適切だとして解任された笹村
二朗理事長の後任に、秋田春蔵副理事長(同協会静内支部長)を選出した。秋田新理
事長は、平沼経産相と鈴木議員にあらためて抗議する考えを表明した。
解任されたのは笹村理事長のほか、飯田昭市、阿部一司の両副理事長、道から派遣さ
れている江戸市郎常務理事(事務局長)。四氏とも理事の互選で決める理事長などの
役職を解任されたが、理事解任には総会で三分の二以上の賛成が必要なため、理事や
事務局長の資格は残る。

理事会はこの後、新たな副理事長に秋辺得平、椎久忠市、上武やす子の各理事を互選
し、常務理事は当面空席とした。

記者会見した秋田理事長は、平沼経産相と鈴木議員に早期に面会して厳重抗議するほ
か、小泉純一郎首相にもアイヌ民族の現状について理解を求め、民族自立に国の強い
支援を求める考えを明らかにした。

また、アイヌ民族共有財産返還処分の無効確認を求めた行政訴訟について「行政、司
法の対応を見守る」としてきた方針を転換し、協会として積極的に支援すると表明。
北方領土の土地所有権などにも積極的に発言することや、透明な協会運営を図るなど
の方針を示した。

秋田理事長は日高管内静内町在住で七十四歳。同町議を務める。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010807/0022.200108076069.html


[北海道新聞・2001年8月8日]
「解任は不本意」 道ウタリ協会、笹村前理事長が反論

北海道ウタリ協会理事長を解任された笹村二朗理事は七日夜、東京都内のホテルで北海
道新聞のインタビューに応じ「解任は不本意。間違ったことは何もしていない」と話す
一方「今後も理事にとどまり、運営に携わっていく」と述べた。
副理事長を務める財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構の予算陳情で上京した笹村前
理事長は、平沼赳夫経済産業相や鈴木宗男衆院議員の発言への対応が不適切だったとさ
れる点について「解任されなければ、今回、陳情とともに両議員に釈明を求める予定だ
った」と説明。また、解任の背景として「アイヌ民族施設の整備をめぐり、帯広や静内
などが誘致しており、理事たちの間で競争意識が高まっていることや、倫理面で厳しく
した私の運営に不満があったのではないか」との考えを示した。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010808/0022.200108087177.html


1998年8月2日、十勝毎日新聞・笹村二朗氏(取材当時64)の取材記事。

[北海道新聞・2001年8月8日]
アイヌ民族代表団入り白紙に

政府は七日午前、国連の「反人種主義・差別撤廃世界会議」に派遣する政府代表団に、アイヌ民族
を加える計画について、「白紙に戻す」ことを道ウタリ協会に通知した。会議は八月末から南アフ
リカのダーバンで開かれるが、人選を協議していた同協会が、六日の理事会で候補者を急きょ差し
替えたことに対し、調整に時間がかかるとして断念する方向だ。
国連会議への政府代表団にアイヌ民族を加えるのは初の試みで、代表団に二人分の「民間人枠」を
設け、そのうち一人を充てる計画だった。

これまでの政府と同協会の協議では、六日の理事会で解任された前副理事長を代表団入りさせる手
はずだったが、解任に伴って協会側が別の候補者に代えた。

政府側は、当初の候補者のこれまでの活動などを評価したうえで調整を進めてきた経緯から、急な
変更は難しいと判断、ウタリ協会に対して七日午前、「今回の計画は白紙に戻す」と通知した。

代表団編成を担当する外務省は「人種差別撤廃の関係会議でアイヌ民族を政府代表団入りさせる方
針は今後も変わらないが、今回の会議では非常に難しい状況だ」としており、事実上断念となる見
通しだ。

一方、同日、外務省と連絡をとった道ウタリ協会事務局は「キャンセルではなく、仕切り直して再
度検討していると聞いている」としている。


[北海道新聞・2001年8月9日]
外務省がアイヌ民族の政府代表団入りを正式断念

外務省は八日、国連の「反人種主義・差別撤廃国際会議」に派遣する政府代表団にアイヌ
民族を加えないことを正式に決めた。同日、人選をめぐって北海道ウタリ協会と協議した
が調整がつかず、アイヌ民族を初参加させる当初方針の撤回はやむを得ないと判断した。
同日、外務省を訪れた道ウタリ協会の秋田春蔵理事長らは代表団入りする候補として、あ
らためて秋辺得平副理事長を推した。これに対して外務省は強く難色を示し、同協会の前
副理事長を代表団メンバーとする従来の方針への理解を求めた。結局、双方の主張は折り
合わず、協議は決裂した。
協議後、外務省は「想定していた人選をウタリ協会が認めない以上、アイヌ民族の代表団
入りはあきらめる」(泉裕泰人権人道課長)と述べた。道ウタリ協会も外務省の姿勢は変
わらないとみて、今後、秋辺副理事長の代表団参加を働きかけることは断念するとしてい
る。

国際会議は南アフリカのダーバンで八月末から開催され、外務省は前副理事長を政府代表
団に加えることを予定していた。しかし、同協会が六日の理事会で、この前副理事長を解
任し、代わりの候補として秋辺副理事長を選んだため、外務省は調整の時間が足りないこ
となどを理由に計画を白紙に戻す姿勢を示していた。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010809/0023.200108098473.html


[北海道新聞・2001年8月10日]
道ウタリ協会、差別撤廃NGO会議に代表派遣へ

【釧路】国連の「反人種主義・差別撤廃国際会議」の政府代表団にアイヌ民族を加えるかど
うかの問題で、北海道ウタリ協会の秋辺得平副理事長は九日、釧路市民文化会館で開かれた
同協会主催の「フォーラム・アイヌ古式舞踊公演」のフォーラムの中で「政府代表団として
は国際会議に参加しないが、南アフリカのダーバンに行き、NGO(非政府組織)のフォー
ラムには参加する」と述べ、関連のNGOフォーラムに同協会が独自に参加団を派遣する意
向を明らかにした。
反人種主義・差別撤廃国際会議は八月末からダーバンで開かれる。
アイヌ民族の同会議への初参加について、人選をめぐって外務省と同協会との間で調整がつ
かず、協議は決裂していた。

また、同じ席上で新任の秋田春蔵理事長は「平沼赳夫経済産業相と鈴木宗男衆院議員が行っ
た差別発言は断じて許せず、厳重に抗議する」と強調した。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010810/0023.200108109527.html


[毎日新聞8月11日]
反人種主義会議:入植政策批判にイスラエル反発 準備委会合

 【ジュネーブ大木俊治】「中東紛争は政治問題で、人種差別問題ではない」。
国連主催の「反人種主義世界会議」に向けて作業を進めていた準備委員会会合で10日、
イスラエルのレビ大使が、宣言案に自国の入植政策批判が盛り込まれようとしていること
に反発、「世界会議への参加を考え直さねばならない」と述べて退席した。米国も同じ理
由でボイコットを示唆しており、パレスチナ問題の位置付けが世界会議の成否を左右しか
ねない要因になっている。
世界会議は、地球上の人種差別をなくすことをテーマに南アフリカのダーバンで31日か
ら9月7日まで開かれ、差別撤廃に向けた宣言と行動計画を採択する。これまでアフリカ
諸国が、過去の植民地政策に対する欧米の謝罪と補償を宣言に盛り込むよう要求し、大き
な対立点となってきた。

しかし、これに加えてアラブ諸国などがイスラエルのパレスチナ占領政策への非難を盛り
込むよう要求し、糾弾されたイスラエルと「特定の国を非難すべきてはない」とする米国
が反発。イスラエルのレビ大使は10日、「このまま宣言案がダーバンで採択されるなら、
国連の信用と世界会議の道徳性を損なう」と国連のあり方にも矛先を向けた。

準備委員会は同日、植民地問題とイスラエルの扱いのいずれも解決を先送りしたまま閉会
した。米国、イスラエルとの非公式協議は今後も続けられるが、解決の見通しは立ってお
らず、世界会議の成功に黄信号がともっている。 ( 2001-08-11-11:05 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-10.html


[北海道新聞・2001年8月14日]
外相に文書で抗議へ 国連会議問題で道ウタリ協会

【静内】外務省が八月末から南アフリカで開かれる国連の「反人種主義・差別撤廃世界会議」
の政府代表団にアイヌ民族を参加させることを白紙にした問題で、道ウタリ協会の秋田春蔵
理事長は十三日、田中真紀子外相に対し、近く文書で抗議することを明らかにした。
秋田理事長らは八日に外務省を訪れ、政府代表団メンバーに改選された新役員を参加させる
よう要請したが、同省幹部に拒否されたという。
このため「ウタリ協会の推薦を尊重すべきだ」として十七日の同協会総務部会で抗議文を作り、
田中外相へ送る。

また、秋田理事長は二十日以降のできるだけ早い時期に上京し、「単一民族」発言の平沼赳夫
経済産業相と「同化」発言の鈴木宗男衆院議員に直接抗議する一方、小泉純一郎首相に会い、
アイヌ民族の現状への理解と政府の支援を求める意向も表明した。

いずれも十三日に日高管内静内町で行った記者会見で明らかにした。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010814/0022.200108132984.html


[朝日新聞2001年8月15日]
「ひと」 アイヌ民族最大組織の新理事長 秋田春蔵さん

ウタリ(仲間)から「シサム(和人)顔のアイヌ」と呼ばれる。母方は淡路島出身の和人。
本人は「おれは50%のアイヌさ」と屈託がない。「でも心は100%アイヌ。中身が大事なんだ」
7月2日、北海道選出の鈴木宗男・自民党代議士が「アイヌ民族は今はまったく同化された」
と発言した。同じ日、別の場所で、平沼赳夫経済産業相は「(日本は)単一民族」と述べた。
アイヌ民族の存在を無視した発言に、民族の最大組織・北海道ウタリ協会は揺れた。

前理事長は鈴木氏の後援者で、抗議に及び腰だった。有志が抗議集会を開き、約一ヶ月後、
前理事長は解任された。新理事長に選出され「両氏には協会として厳重に抗議する」と言い切った。
文書を持って近く、両氏に会いたいという。

母は津軽海峡を渡る船上で生まれ、生後すぐアイヌ家庭に預けられた。
伝統の踊りや歌の達人ぶりは今も語りぐさだ。父は生粋のアイヌ民族で教育熱心だった。
しかし同化政策の名のもと、両親はアイヌ語を教えなかった。

戦後間も無い46年、前身の北海道アイヌ協会が設立された。
記念弁論大会で「アイヌに生まれた悲しさに」の論題で、差別の実態を訴え優勝。18歳だった。

現実に混血は進むが、民族の自覚をもつ若者はむしろ増えた。
一方で、北海道できアイヌ民族と和人には所得格差が残り、大学進学率も半分の16%。
だから「同化」発言は見過ごせない。
「シサム顔の理事長だからこそ、民族の代表として堂々と主張したい」

文:小西正人 写真:佐藤慈子

010815akita.jpg
あきた・はるぞう。「筋の通らぬことは嫌い」。抗議集会でも先頭に立った。74歳。


1998年8月2日、十勝毎日新聞・笹村二朗氏(取材当時64)の取材記事。

[朝日新聞2001年8月18日]
発言巡る質問状 鈴木宗男氏にも

アイヌ民族の最大組織・北海道ウタリ協会(秋田春蔵理事長)は17日、札幌市内で総務
部会を開き、民族の存在を否定する発言をした鈴木宗男・自民党代議士と平沼赳夫経済産
業相に、発言の真意をただす質問状を週明けにも送ることを決めた。

「アイヌ民族は今はまったく同化された」と発言した鈴木氏に対して、解任された前理事
長が電話をかけ、差別の意図がなかったことを確認したとして、協会はこれまで質問状を
送っていなかった。「(日本は)単一民族」発言の平沼氏には2度目の質問状。(8/18)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=1656


[朝日新聞2001年8月18日]
アイヌ民族除き政府代表団 ウタリ協会抗議

南アフリカで8月末開幕する国連の反人種主義・差別撤廃世界会議の政府代表に、アイヌ
民族の最大組織・北海道ウタリ協会の副理事長を加えることを外務省が拒否した問題で、
協会側は「民族の代表を選ぶのはわれわれ」と反発し、17日、田中真紀子外相に文書で
抗議することを決めた。

外務省は当初、政府代表団に設けた非政府組織(NGO)の代表枠2人の1人に前副理事長
をあてることを決めていた。しかし、6日のウタリ協会理事会で前理事長とともに解任され、
本人も出席を辞退した。

協会は新たに選出した副理事長を推薦したが、外務省人権人道課は「面識がなく、代表団に
入れるには不安が残る。会議まで時間もない」などを理由に拒否。協会幹部との協議も不調
に終わり、政府代表団にはアイヌ民族を参加させないことを決めた。

NGO枠で政府代表団に加わる反差別国際運動事務局長の武者小路公秀・中部大教授は「ウ
タリ協会の代表と参加して欲しいとの要請を評価したからこそ引き受けた」と再考するよう
求めたが、外務省から17日、決定を覆さないとの連絡を受けた。「外務省はいったん評価
に値する決断をしたのに、人が代わるとダメというのでは首尾一貫しない」と批判した。
(8/18)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?kiji=1657


[北海道新聞2001年8月21日]
平沼・鈴木発言に旭川のアイヌ民族団体が抗議文

【旭川】アイヌ民族に関連し、平沼赳夫経済産業相が「日本は単一民族」、
鈴木宗男衆院議員(比例道ブロック)が「今は全く同化されている」などと発言
した問題で、旭川市内のアイヌ民族団体、旭川アイヌ協議会(間見谷喜昭会長)
は二十日、両氏に発言の撤回と謝罪を求める抗議文を送付した。

抗議文では「誠実に自らの発言を検証・反省し、謝罪する態度が見受けられない」と、
両氏の態度を批判。日本は複数民族国家であるとした上で、アイヌ文化法に明記され
ている「民族としての誇りが尊重される社会」に触れ、アイヌ民族の苦難の歴史や、
アイヌ民族の現在の状況への理解を求めている。

間見谷会長は「指導的な立場にある方々だけに、アイヌが和人に侵略された歴史を
しっかり踏まえてほしい」と話している。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010821/0022.200108209545.html


[朝日新聞2001年8月21日]
政府代表受け入れ拒否、外相に抗議 北海道ウタリ協会

南アフリカ・ダーバンで8月末から始まる国連主催の反人種主義・差別撤廃
世界会議の日本政府代表団に、アイヌ民族最大の組織、北海道ウタリ協会が
推薦した秋辺得平・副理事長を受け入れることを外務省が拒否した問題で、
協会側は21日、田中真紀子外相あてに「人選手続きは不明確で担当課長の
説明は一方的、高圧的だった」とする抗議文を送った。

同世界会議で外務省は政府代表団に反差別国際運動事務局長の武者小路公秀
・中部大学教授と同協会の前副理事長に参加を要請。その後、鈴木宗男・自
民党代議士の「アイヌ民族同化」発言への対応をめぐって前副理事長が解任
されたため、協会は新たに選出された秋辺副理事長を推薦した。しかし外務
省は「会議直前に人柄がわからない別の人物に代えるのは困難」(人権人道
課)として拒否していた。

協会の秋田春蔵理事長は「民族の代表を決めるのは我々で、外務省ではない」
と批判し、今後はNGOとして秋辺副理事長をダーバンに送り、アイヌが日
本の先住民族であることを訴えるという。(23:04)
http://www.asahi.com/national/update/0821/031.html


[北海道新聞2001年8月22日]
道ウタリ協会が田中外相に抗議文 国連会議の政府代表団入り拒否で

北海道ウタリ協会(秋田春蔵理事長)は二十一日、田中真紀子外相に対し、外務
省が今月末から南アフリカのダーバンで開かれる国連の「反人種主義・差別撤廃
世界会議」の政府代表団に、同協会の副理事長を加えることを拒否したことにつ
いて「人選に協会の意向が尊重されなかった」などとする抗議文を送った。
同協会は、代表団に内定していた前副理事長が六日に解任されたため、代わりに
秋辺得平新副理事長を推薦。八日に外務省と協議したが、同省は「(派遣者変更
には)協議の時間が少ない」などとして見送りを決めた。

抗議文では「一方的な説明に終始し、人選に係る諸手続きも不明確」
「(協議の場で)課長の接応態度がデスクをたたいて大声で威圧するなど極めて
高圧的だった」などとして、「厳重に抗議」するとしている。

同協会は、今回は政府代表団入りを見送り、NGOとして世界会議に秋辺副理事
長を派遣する予定。

また、同協会は二十二日、「日本は単一民族」「アイヌ民族は同化されている」
などと発言した平沼赳夫経済産業相、鈴木宗男衆院議員に質問状を送った。
質問状は「(発言は)当協会会員や家族をはじめ多くの関係者に失望と混乱を招いた」
として反省を求め、アイヌ民族に対する認識などを詳しく説明するよう求めている。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010822/0022.200108220723.html


[朝日新聞2001年8月23日]
「あなたは何民族?」鈴木宗男議員らにウタリ協会が出題

アイヌ民族の存在を無視する発言をしたとして北海道ウタリ協会は22日、
鈴木宗男衆院議員と平沼赳夫経済産業相あてに質問状を発送した。「(日
本は)一民族」「アイヌ民族は同化された」と発言した北海道選出の鈴木
氏には、協会側が問題視する部分をとりあげ、「議員は何民族ですか?」
などと試験問題風に回答を求めた。鈴木氏への質問状は初めて。

鈴木氏は7月2日、東京都内で、「(日本は)一国家、一言語、一民族と
言ってもいい。北海道にアイヌ民族というのがおりまして、まあ嫌がる人
もおりますけども、今はもう同化されておりますから」と述べた。

会見した秋田春蔵理事長は「やみくもに抗議するのではなく、具体的に指
摘して真意を確認したい。返事がなかったり、誠意が感じられなかったり
すれば、次の行動も考える」と語った。(00:16)
http://www.asahi.com/national/update/0822/036.html


[朝日新聞2001年8月24日]
NGO、日本国内の少数派差別を国連世界会議で告発へ

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記者会見で「日本にはいろいろな民族の人がいる」と、
民族などの「旗」を示す参加者ら=22日午後、東京・衆院第2議員会館で

31日から南アフリカのダーバンで始まる国連主催の反人種主義・差別撤廃世界会
議に、日本からアイヌ民族、在日韓国・朝鮮人、被差別部落、沖縄、外国人労働者
などのNGO(非政府組織)の代表らが100人規模で参加する。参加NGOを統
括する「ダーバン2001」(武者小路公秀・共同代表ら)は、日本国内での少数
派への差別を国連会議を舞台に告発する。

会議は国連全加盟国と各国連機関、地域機関、人権機関などが参加対象。外務省は
丸谷佳織・政務官らを代表に10人規模の政府代表団を内定している。

NGO側は、鈴木宗男代議士の「アイヌ民族は全く同化されている」などの発言や
石原慎太郎・東京都知事の「三国人」発言、同知事が新聞に執筆したコラムの
「(中国人の犯罪は)民族的DNAを表示するような犯罪」との表現などは
「明らかな人種差別撤廃条約違反だ」としてダーバン会議に報告する。

また、(1)アイヌ民族に先住民族としての固有の権利があること(2)部落差別
が同条約の対象となる「世系に基づく区別=差別」にあたる(3)沖縄への米軍基
地の偏在集中などの状況が差別につながっている(4)国会議員や知事などによる
人種差別発言についてはその意図にかかわらず規制する−−などの点を日本政府が
認めていないことを厳しく批判する構えだ。

これらは、国連の人種差別撤廃委員会が今年3月、日本政府の報告書を審査した最
終所見で勧告した内容とほぼ一致するが、日本政府側はその多くに反論し、同意し
ていない。(15:53)
http://www.asahi.com/national/update/0824/022.html


[朝日新聞2001年8月24日]
アイヌ民族同化発言で鈴木宗男代議士が弁明

自民党の鈴木宗男代議士は24日、札幌市で開いた後援会の総会で、先に外国人
特派員協会でアイヌ民族の存在を否定した発言をしたと批判されている問題に触
れ、「私の言った『一国家一言語一民族』の一民族とは国民のことで、英語で言
えば『ネーション』。日本人、アイヌ人、パキスタン人という時の民族は『エス
ニック』で私の言った『民族』とは違う」と反論し、「差別を意図したものでは
ない」と弁明した。

また、「今は全く同化された」との発言についても「血の同化をしたと言ったの
なら批判されてもしかたがないが、『仲間』と言う意味、一緒に生活をしている
という意味で言ったものだ」と説明した。(20:50)
http://www.asahi.com/politics/update/0824/006.html


[北海道新聞2001年8月24日]
鈴木宗男氏が講演で道ウタリ協会に反論

アイヌ民族について「(日本は)一国家、一言語、一民族と言っていいと思う」
などと発言し、道ウタリ協会などから抗議を受けた問題で、鈴木宗男衆院議員
(自民)は二十四日、札幌市中央区の札幌プリンスホテル国際館パミールで開か
れた同氏の後援会総会での講演で、「一民族とは国民のこと。アイヌのみなさん
は日本語を使っている。日本の国民じゃないですか」と釈明した。

鈴木氏は発言について、講演録を基に釈明。「平沼(赳夫)経済産業相が言った
『単一民族』という言い方と『一国家、一言語、一民族』とくくった言い方とは
全然違う」との見解を示した上で、道ウタリ協会に対し「もう少し新執行部には
勉強してもらいたい。何をもって抗議するのか。私の講演を全部聞いて、ものを
言うならいいけれど」と反論した。

また「(アイヌ民族は)まったく同化されている」との発言については、
「『血の同化』と言ったのなら批判されて結構だが、そういう差別の意図はなかった」
と強調した。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010824/0022.200108243087.html


[毎日新聞8月25日]人種差別会議:イスラエル非難続くなら、会議不参加 米大統領

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は24日、南アフリカのダーバンで31日から
開かれる世界人種差別撤廃会議(国連主催)について、イスラエルを批判する議題を変
えない限り「米国は代表を送らない」と言明した。一方で大統領は、テロ抑止に関する
アラファト・パレスチナ自治政府議長の努力不足を指摘、米政府は「イスラエル支援」
の姿勢をさらに強めている。

会議は、黒人奴隷への賠償問題とともに、イスラエル建国の原動力となったシオニズム
を人種差別として討議することを予定。米国務省は先月末、議題を変更しなければ参加
をボイコットする方針を表明している。

ブッシュ大統領は24日の会見で、イスラエルを「米国の友人であり強固な同盟国」と
呼び、イスラエルを孤立させる会議には出席しないと強い調子で語った。国務省が会議
の運営国と議題修正の交渉を続けているが、時間切れで米国が参加をボイコットする可
能性も強まっている。

国連は75年にシオニズムを人種差別主義とする決議を採択、91年12月に同決議の
撤回を決めており、国連主催の会議が再び「シオニズム=人種差別主義」の図式を持ち
出すことには問題もある。しかし、国際社会にはイスラエルと米国への反感が強く、議
題修正を求める声はさほど大きくならないのが実情だ。

またパレスチナ情勢に関して、ブッシュ大統領は会見で、パレスチナが対話を求めるな
ら「テロの解決に100%の努力を傾けるようアラファト氏に強く要望する」と語った。
イスラエルの大規模な武力使用については、型通り「抑制」を求めるにとどまった。
イスラエルの過剰な武力使用を批判する国際社会とブッシュ政権の温度差はさらに拡大
しつつある。 ( 2001-08-25-18:23 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-9.html


[北海道新聞8月27日]
佐久間さんの曲が日本のNGOイメージ曲に-江別

【江別】南アフリカのダーバンで開かれる反人種主義・差別撤廃世界会議に参加する日本
の非政府組織(NGO)のイメージソングに、野幌屯田町のピアノ講師佐久間則子さん(51)
作曲の「やさしい気持ちがやさしい心に」が選ばれた。佐久間さんは「自分なりの方法で
会議のお役に立つことができ、うれしい」と喜んでいる。同会議では、二十八日から九月
一日まで、各国のNGOが人種差別の現状や差別撤廃のための活動を紹介する「NGOフォーラム」
が開かれる。日本からは、「ダーバン2001」が参加を予定しており、五日間の会期中、
ブースで流すイメージソングを募集していた。「やさしい気持ちがやさしい心に」は昨秋、
札幌市豊平区の人形劇団員荒井あいさん(32)が作詞。佐久間さんが電子オルガンで曲を付け、
今年二月と七月の公演で使用された。
歌詞に「独りぽっちでさまよっていると だれかに愛される喜びも どこかに置き忘れてしまう」
と差別される人の悲しみが描かれ、会議のテーマにぴったりだったことから、佐久間さんが
アレンジを加えて応募。今月十八日、優秀賞選出の通知を受けた。

人々が他人に優しくなれば差別はなくなる、との思いを歌詞に込めたという荒井さんは
「受賞は思ってもみなかった。アフリカの地で多くの人にメッセージが伝わるといいですね」
と話していた。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010827/0021.200108264450.html


[毎日新聞8月27日]人種差別撤廃:国際会議にパウエル長官は欠席の方針 米紙報道 

【ワシントン布施広】26日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、米高官の話として、31日から
南アフリカで開かれる世界人種差別撤廃国際会議(国連主催)に、パウエル国務長官が出席しない
ことを決めたと報じた。国務省当局者は毎日新聞に対し、米政府は出欠について最終決定していな
いと述べる一方、出席しても「低いレベルの代表団」になる可能性を強く示唆した。
同会議はイスラエル建国の原動力となったシオニズムも人種差別主義として討議することを計画。
ブッシュ大統領は同盟国イスラエルを孤立させる会議には代表を送らないと述べ、議題の変更を強
く求めていた。
米政府は会議を完全にボイコットして抗議の意思を示すか、実務担当者を送って議題に反対意見を
述べるか、で揺れている模様だ。
同紙によると、黒人のパウエル長官は出席に前向きだったが、ライス大統領補佐官らが出席に強く
反対しているという。( 2001-08-27-10:12 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/8d918ddb89ef8bc-0-14.html


[北海道新聞2001年8月28日]
鈴木氏、受け取り拒否−道ウタリ協会質問状 平沼氏は回答

「日本は単一民族」と発言した平沼赳夫経済産業相、
「(日本は)一国家一言語一民族。アイヌ民族は同化されている」と述べた
鈴木宗男衆院議員に質問状を送っていた北海道ウタリ協会の秋田春蔵理事長
は二十七日、道庁内で記者会見し、平沼経産相からは同日回答が届いたが、
鈴木議員は質問状の受け取りを拒否したとし、同議員の姿勢を「断じて許す
ことができない」と強く批判した。

同協会によると、鈴木議員に郵送した質問状は同日、開封されないまま
「受け取りを拒否します」という付せん付きで返送された。秋田理事長は
「北海道選出でアイヌ民族をよく知っているはずの鈴木議員がこういうこ
とをするとは、アイヌ民族に対する挑戦状だ」と述べた。

平沼経産相の回答は「単一民族」発言について「本意は『日本国民』」と説明、
アイヌ民族について「独自の言語などの文化とともに、民族としての帰属意識
を有する集団で、一つの民族である」とした。この回答について秋田理事長は
「すぐに答えた誠意は認めるが、謝罪が一つもないのは遺憾」と述べた。

同協会は九月十一日に緊急理事会を開き、鈴木議員らへの今後の対応を決める。
秋田理事長は「相当、厳しい抗議になるだろう」と述べた。

鈴木議員は二十七日、北海道新聞の取材に対し
「私が言った一民族とは、あくまでも国民という意味。
笹村二朗前理事長はこの説明で納得しており、この問題は決着済みだ。
執行部が変わったから見解が違うと言われても、(質問状は)受け取れない」と話した。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010828/0022.200108276099.html


[朝日新聞2001年8月28日]
アイヌ団体からの質問状、鈴木宗男代議士が受け取り拒否

アイヌ民族の存在を無視する発言をしたとして、最大の民族組織・北海道ウタリ
協会が出した質問状に対し、鈴木宗男・自民党代議士は受け取りを拒否した。
質問状は27日、未開封のまま同協会に送り返された。同時に質問状を出した
平沼赳夫経済産業相からは「発言は不本意」とする回答が同日、郵送で届いた。
同協会の秋田春蔵理事長は「平沼氏が即時に返答した誠意は認めるが、鈴木氏の
対応は挑戦的。抗議団組織もやむを得ないだろう」と話した。

鈴木氏は7月2日、東京都内で
「(日本は)一国家、一言語、一民族」「アイヌ民族は今はまったく同化された」と発言。
批判に対して今月24日、札幌市内で
「一民族とは国民のこと」「もう少し(協会の)新執行部は勉強してもらいたい」
と反論していた。

秋田理事長は
「回答を冷静に待つつもりだったが、質問状に答えず『不勉強』とは、断じて許せない。
鈴木氏はどれだけ勉強しているのか」と憤っている。(20:18)

http://www.asahi.com/national/update/0827/024.html


[毎日新聞2001年8月28日]
鈴木宗男氏への抗議団結成へ ウタリ協会 

 鈴木宗男・自民党衆院議員の「アイヌ民族同化」発言や平沼赳夫・経済産業相の
「単一民族」発言の真意をただす質問状を両氏に送付していた北海道ウタリ協会の秋田春蔵
理事長は27日、記者会見し、受け取りを拒否した鈴木氏に対する抗議団を結成する考えを
明らかにした。来月11日に同協会の緊急理事会を開いて決定する。
 秋田理事長はさらに、鈴木氏が24日の講演で「『血の同化』と言ったのなら批判されて
結構だが、そんな意図はない。私が言った一民族とは日本の国民のことだ」と反論したうえ
で「もう少し(ウタリ協会の)新執行部には勉強してもらいたい」と発言したことに触れ、
「アイヌ民族に挑戦状をたたきつけてきた。国民と民族は違う。もう少し勉強してもらわな
いと困る」などと反発した。

 一方、平沼経産相からは27日、「『単一民族』の発言は不本意で、私が主張しようとし
た本意は『日本国民』」などとする回答が郵送で届いた。これに対し、秋田理事長は「謝罪
がないのは不満だが、即座に回答した誠意は認めたい。対応については理事会で協議したい」
と語った。 【武藤佳正】( 2001-08-28-00:44 )

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/832866/83A83C83k-0-1.html


[毎日新聞8月28日]
米国務長官:世界人種差別撤廃会議を欠席 国務省報道官が発表 

【ワシントン布施広】バウチャー米国務省報道官は27日、パウエル国務長官は南アフ
リカ・ダーバンで今週開幕する「世界人種差別撤廃会議」に出席しないと正式に発表した。
イスラエルを批判する議題の修正が絶望的になったことを受けた対抗措置だが、米政府
として代表を送るかどうかの検討は続ける。
報道官は「パウエル長官は会議に出席しない」と明言し、米国が出席する場合の
「代表のレベルや性格は明らかでない」と述べた。国務省当局者は先週末、米マスコミ
などに対し、長官が欠席を決断したと語っていた。

同会議ではイスラエル建国を後押ししたシオニズム(ユダヤ人の祖国建設を目指した運動)
を人種差別主義として批判する見通しで、米政府は7月末から、議題が修正されない限り、
会議をボイコットすると表明していた。 ( 2001-08-28-10:07 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-8.html


[毎日新聞8月30日]
米国務省報道官:世界人種差別撤廃会議に代表団送ると明らかに

 【ワシントン布施広】バウチャー米国務省報道官は29日、南アフリカ・ダーバンで
31日から開かれる世界人種差別撤廃会議に、サウスウィック国務副次官補を首席と
する代表団を送ることを明らかにした。
同会議は黒人奴隷に対する賠償問題のほか、シオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差
別主義として討議する見通しで、パウエル国務長官は同盟国イスラエルへの配慮から
出席を取りやめた。

米政府内には会議を全面ボイコットすべきだとの声もあったが、これまで議題修正の
交渉に当たってきたサウスウィック副次官補らが会議に出席、最後まで議題や宣言草
案の修正に努めることになった。 ( 2001-08-30-09:49 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-7.html


[毎日新聞8月31日]
世界人種差別撤廃会議:ダーバンで開幕 紛糾は必至の情勢

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】世界各地の差別撲滅を目指す「世界人種差別撤廃会議」(国連主催)
が31日、南アフリカのダーバンで開幕した。アフリカ諸国が欧米諸国に対し、過去の奴隷制度と
植民地支配への謝罪と補償を求めている問題が焦点だ。
また、米国やイスラエルが、シオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別と位置付けようとする
アラブ・イスラム諸国の動きに反発、閣僚の派遣を取り止めており、最終宣言や行動計画の策定
をめぐり紛糾は必至の情勢だ。

会議は9月7日までで、約150カ国から元首級10人をはじめ、多数の閣僚やNGO(非政府組織)
メンバーら総数約6000人が参加。パレスチナ自治政府のアラファト議長やキューバのカストロ
国家評議会議長も姿を見せた。日本からは丸谷佳織・外務政務官が出席した。
開幕のあいさつで、アナン国連事務総長はシオニズムの問題に言及、パレスチナ、イスラエル双方
の立場に理解を示しつつ、「互いに非難し合うのではなく、多数の犠牲者を救うのが会議の目的だ」
と双方の歩み寄りに期待を表明した。また、同会議事務局長を務めるロビンソン国連人権高等弁務官
も会見で(宣言文書には)「シオニズムを人種主義と見なす」という文言は盛り込まないとの考えを
明らかにし、妥協点を探る決意をにじませた。

また、奴隷制度や植民地支配などの問題で、アフリカ諸国には「貧困の根は過去の歴史にある」
との思いがあり、7月のアフリカ統一機構(OAU)首脳会議で採択した復興計画を支援する形で
先進国に補償を期待する。だが、膨大な金銭負担を懸念する先進国は補償自体を拒否する構えだ。
韓国代表団は日本の従軍慰安婦や歴史教科書の問題を取り上げる方針で、日本代表団も対応を迫られそ
うだ。( 2001-08-31-21:51 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834132/83_815b83o8393-0-6.html


[朝日新聞2001年9月1日]
アイヌ差別、阪神震災後の救済などに懸念 国連社会権委

 国連の社会権規約委員会は31日ジュネーブで、雇用や福祉、住宅、教育などの「社会権」
をめぐる日本国内の状況について、日本政府が提出した報告書に対する最終所見を公表した。
アイヌなど少数グループへの差別に懸念を表明し、阪神大震災後の復興対策でも老人や貧し
い人々ら弱者に対する配慮が乏しい点に懸念を示した。

 所見は日本の社会問題について広範な問題点を指摘、30項目の勧告を行った。ホームレス
問題については、大阪を中心に膨大な数のホームレスの人々がいると指摘、この問題解決に対
策が講じられていない点に懸念を表明した。阪神大震災後の復興では、家族を失ったお年寄り
が不慣れな環境で精神的なケアを受けられないでいると指摘、貧しい人々がローンなどで苦し
み、新しい住居を建てられない状況に懸念を表明。お年寄りや身障者、貧しい人々に援助やサ
ービスを提供するよう政府や兵庫県に求めた。

 また、戦時中から京都府宇治市のウトロ地区に暮らす在日韓国・朝鮮人らが、土地所有権を
持つ不動産会社から立ち退きを迫られている問題を個別に取り上げ、簡単な手続きによる立ち
退き命令が裁判所によって理由も挙げられずに出されたことに強い懸念を表明した。

 このほか、雇用面では賃金など労働条件の男女間格差解消に向けた法的措置や時短の促進を
促した。教育問題では、在日韓国・朝鮮人ら少数者に対する母国語教育の導入を強く促した。

 社会権規約の正式名称は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」で、人権の
世界基準ともいえる国際規約だ。締約国には国内状況について報告する義務があり、日本政府
が98年8月に提出した報告書に対し、8月21日に審査が行われていた。(10:24)

http://www.asahi.com/national/update/0901/011.html


[毎日新聞9月1日]
人種差別撤廃会議:米代表、閉幕前に帰国も 最終宣言文めぐり

【ワシントン布施広】米政府当局者は31日、南アフリカで開幕した世界人種差別撤廃会議につい
て、最終宣言から反イスラエルの文言が削除されない場合、米代表団は7日の閉幕前に帰国し、
会議を事実上ボイコットする方針を明らかにした。
当局者によると、サウスウィック米国務副次官補ら3人の代表団は、最終宣言の文言を修正する
ために出席しており、討議自体には参加していない。いわば「出席すれど参加せず」の状態で、
米国の意に添わない宣言の採択が必至になれば、代表団は席を蹴って退場する構えだ。

同会議はイスラエル建国の原動力となったシオニズムを、人種差別やアパルトヘイト(人種隔離)
政策との関連で討議する方針。黒人奴隷への賠償問題も話し合う。アラブ・イスラム諸国には
シャロン・イスラエル政権への反発が強く、米国が文言修正に成功するかどうかは微妙だ。
米政府は当初、パウエル国務長官の会議出席を予定していたが、同盟国イスラエルを批判する会議
に外交首脳が出席するのは好ましくないとの声が強まり、長官は欠席を決断。
代わりにサウスウィック副次官補を送り、とりあえず出席した形を取っていた。
( 2001-09-01-15:34 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-13.html


[朝日新聞2001年9月3日]
教科書問題で日本を批判 人種差別反対会議で韓国女性相

南アフリカ・ダーバンの「人種差別反対世界会議」で2日、韓国の韓明淑・女性相が
演説し、日本の文科省が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書を検定合格に
した問題について、差別を正当化する行為だと批判した。

女性相は、従軍慰安婦問題にふれながら「隣国に言葉に表せない痛みを与えながら、
事実を覆い、わい小化するのみならず、過去の過ちを正当化、美化する教科書を日本
が認定したことを憂慮している」と演説。「歴史は過去を語るだけのものではなく、
未来を形づくる。若い世代が事実をわい曲した教科書で誤った歴史を学べば、過去の
過ちが繰り返される恐れがある」とも述べた。

これに対し、日本の丸谷佳織・外務政務官は「過去の植民地支配と侵略に対する深い
悔恨の念に立ち、独善的なナショナリズムを排除、国際協力を進め、平和と民主主義
の原則を広めることに努める」と表明する一方、韓国女性相の演説について「政府は
学校教育を通じ、第2次世界大戦が人類全体に惨事をもたらしたことを、生徒が学ぶ
よう求める」などと反論した。

また、同政務官は今も日本国内にある差別として「同和地区、アイヌの人々、在日韓
国・朝鮮人に対する差別」を挙げた。相互理解の不足や言葉の違いから、外国人の人
権を踏みにじる事件も報告されているとした。(11:17)

http://www.asahi.com/politics/update/0903/003.html


[毎日新聞9月3日]
人種差別撤廃会議:韓国代表の批判に対し反論 外務政務官 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】丸谷佳織・外務政務官は2日、南アフリカ・
ダーバンで開催中の世界人種差別撤廃会議(国連主催)で演説した。丸谷政務官は
同会議で韓国代表が歴史教科書問題に言及して日本政府を批判したことに関連して、
「(日本は)過去の植民地支配と侵略に深い自責の念があり、独善的な国家主義を
排除することを決めた」と強調した。
丸谷政務官は、「近隣諸国が示した懸念については、日本政府としてはいま説明し
た歴史認識を堅持していると繰り返し示しておきたい」と述べた。第2次大戦前の
日本によるアジア諸国侵略を謝罪した村山富市首相談話(95年)を念頭に反論し
たものとみられる。( 2001-09-03-10:51 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-5.html


[毎日新聞9月4日]
人種差別撤廃会議:米国とイスラエルが代表団を引き揚げ 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開催中の世界人種差別撤廃会議
(国連主催)に参加している米国とイスラエルの両国政府は3日、派遣していた代
表団を引き揚げると発表した。米政府は会議で採択予定の政治宣言と行動計画に、
アラブ・イスラム諸国がシオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別として固執する
非難文言の撤回が困難と判断し、7日までの会期を4日残しての離脱を決定した。

激化するパレスチナ情勢のあおりを受けた米国の離脱決定だが、「強国」の論理に
根差したブッシュ米政権の姿勢に、批判が高まりそうだ。

パウエル米国務長官は「人種差別との闘いと会議での貢献の重要性を考えれば遺憾
だが、政府代表団に帰国を命じた」との声明を発表した。

一方、イスラエルのペレス外相も「ダーバンでの奇怪なショーを極めて遺憾に思う。
人権を擁護するはずの重要な会議が嫌悪の源泉となった」と述べるとともに、
パレスチナ住民側の人種差別主義だとする主張を批判した。

同会議は準備会合の段階で、イスラエル建国の原動力となったシオニズムと人種差別
を同一視する文言が提案されたため、イスラエルに同調する立場の米政府は国務長官
の出席を取りやめ、イスラエル非難の文言削除を主目的とする実務担当者を代表団と
して派遣していた。

しかし、パレスチナ自治政府のアラファト議長がイスラエルを「人種差別主義国家だ」
と非難したほか、政治宣言などの詰めの作業段階でもイスラエルを非難する文言が多数
残っているため、イスラエル代表団は2日、
「会議は(パレスチナ側に)ハイジャックされている」
「イスラエル攻撃の部分が削除されなければ、引き上げを検討する」とけん制していた。
会議は約150カ国の政府、非政府組織(NGO)関係者ら約6000人が参加して
先月31日に開幕した。( 2001-09-04-10:06 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-4.html


[北海道新聞9月8日]会議紛糾、協議を継続 反差別世界会議

南アフリカのダーバンで開かれている「人種差別反対世界会議」(国連主催)は最終日
とされていた7日、差別をなくすための政治宣言と行動計画を大会文書として採択する
はずだったが、紛糾の結果、8日も協議を続けることになった。

170カ国とパレスチナ自治政府の代表団が参加した会議は、パレスチナとアラブ諸国
によるイスラエル非難に抗議し、米国などが会期半ばで代表団を引き揚げた。
米の主張は、欧州連合(EU)が引き継いだ。過去の奴隷貿易に対する謝罪を明文化す
るよう求めるアフリカ諸国の主張と合わせ、EUは懸案となっている交渉すべての矢面
に立つ形になっている。

7日夜に記者会見したEU議長国ベルギーのミシェル外相は「交渉は続いている。
難しいがチャンスはある」などと語ったが、大会文書採択の見通しについては明言を避けた。
(13:27)
http://www.asahi.com/international/update/0908/004.html


[北海道新聞9月8日]
奴隷制は「人道への罪」 人種差別反対世界会議が閉会

ダーバンで開かれた「人種差別反対世界会議」(国連主催)は8日、各国の利害対立から
7日までの会期内に採択できなかった「政治宣言」と「行動計画」を採択して閉幕した。
この中で、奴隷貿易・奴隷制を「人道に対する罪」と確認した。奴隷制や植民地支配の
被害側にいる国が求めた明確な「謝罪」については、名誉回復策を関係国に求めながら、
「会議全体が心より遺憾の意を表明する」とするにとどまった。

採択文書は、アフリカ諸国などが求めていた「補償」にも触れなかった。
過去の不正が、いまの貧困につながったことは認め、先進国による債務の軽減や、
貧困打開策への新たな資金協力が必要だと指摘した。

米国などの撤退につながった中東紛争をめぐる項目では、イスラエルへの名指しの非難を
避け、占領下のパレスチナ人の抑圧や苦しみ、自決権に焦点を当てた。

8日の最後の全体会議では、採択文に含まれる中東紛争関連の項目などについて、
留保の表明が相次いだ。差別からの決別を全人類に呼びかける会議の趣旨から、
会期を超えて各国の合意を目指したが、溝は完全には埋まらなかった。
準備段階からかかわる西側外交官は「(会議は)失敗だ」と語った。

会議は、先住民族、外国人労働者や、出自などによる差別、障害者、エイズなど、
多様な差別とその被害者に焦点を当てようとする初めての試みだった。
170カ国とパレスチナ、約950の非政府組織(NGO)が参加した。(01:20)
http://www.asahi.com/international/update/0908/007.html 2001/09/09 01:20


[毎日新聞9月8日]
人種差別撤廃会議:「謝罪」盛り込みで合意 決裂回避も 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開催中の「世界人種差別撤廃会議」
は最終日の7日、奴隷貿易と植民地支配について、アフリカ諸国が求めていた「謝罪」
の文言を最終宣言に盛り込むことで旧宗主国側の欧州諸国側が同意した。補償問題に
言及するまでには至っておらず、最終決着の行方は不透明だが、会議は土壇場で決裂の
危機を回避する可能性も出てきた。
奴隷制度などの「過去の清算」の問題をめぐっては、会議議長のズマ南アフリカ外相の
委任でケニア、ブラジルの両国代表が仲介役として調整を図ってきた。

「謝罪」や「遺憾」などの表現について、経済のグローバル化の下、深刻な貧困にあえぐ
アフリカ側、金銭的負担を警戒する欧州側に議論のスタート時から距離が大きく、
6日から具体的文言の検討に入り、閉幕予定の7日になっても、ぎりぎりの調整が続いていた。

「欧州の発展の踏み台にされた」との被害意識が強いアフリカ諸国は正式な謝罪を受けた
上での欧米諸国の経済開発支援、債務帳消しなどの形で補償を要求。特に奴隷貿易を
めぐっては「人道に対する罪に値する」との主張も出始め、
「準備会合に比べ、元首自らが出席した本会議で要求がエスカレートした」(西側外交筋)という。

これに対し、欧州諸国は「(奴隷制度が行われれた)過去の世代の行為をどの範囲まで
さかのぼって償うのか」と巨額の金銭補償要求になりかねない議論への戸惑いや不信が広がり、
補償問題をめぐって詰めの議論が続けられている。

一方で、シオニズム(イスラエル建国の原動力となったユダヤ民族主義)に関する宣言案
の文言をめぐり、フランスのジョスパン首相が5日、
「(アラブ・イスラム諸国が)イスラエルを人種差別国家として非難する表現にこだわるなら、
離脱を考える」と警告、先に退席した米国、イスラエルに追随し、欧州連合(EU)諸国が
退席する恐れも出ており、宣言文作りを一層複雑なものにしている。

南アがイスラエルの名指し非難を削除した文案を提示し妥協点を探っているが、
逆にアラブ側の抵抗を招いている状況だ。( 2001-09-08-02:05 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-3.html


[毎日新聞9月9日]
人種差別撤廃会議:閉幕 最終宣言で奴隷貿易に深い遺憾の意

 【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】南アフリカのダーバンで先月31日から開かれ
ていた世界人種差別撤廃会議(国連主催)は8日、アフリカ諸国の要求を受け、過去の
奴隷貿易や植民地支配について深い遺憾の意を表明し、中でも奴隷貿易については
「人道に対する罪」と認める最終宣言と行動計画を採択して閉幕した。この認識に立ち、
先進国などがアフリカへの経済支援策を講じることも盛り込まれた。
アフリカ諸国が求めていた金銭的な補償にまでは踏み込まなかったものの、欧州諸国が自らの
「過去の汚点」と初めて向き合い、その清算に乗り出した歴史的意味は大きい。

一方、イスラエルを名指しはしなかったものの、最終宣言には衝突激化に伴うパレスチナ人
の窮状を訴える文言も盛り込まれた。

最終宣言は
(1)悲劇を生んだ奴隷貿易や奴隷制度は「人道に対する罪」だ
(2)アフリカやアジアの人々やその子孫が犠牲となった植民地主義は非難されるべきだ
(3)債務救済、貧困撲滅、投資促進、エイズやマラリアなどの撲滅、
   子どもと女性の人身売買根絶などに向け、先進国や国連が支援する――などをうたった。

宣言は従来、奴隷貿易を行った責任を回避し続けてきた欧州諸国が、15世紀から19世紀
に侵した「汚点」を認め、虐げられた奴隷やその子孫の「尊厳」回復に向け、一歩を歩み出
した点で画期的といえる。「人道に対する罪」の概念は、第2次世界大戦後のニュルンベル
ク裁判でナチスのユダヤ人虐殺などを裁いた際や、ユーゴスラビア連邦コソボ自治州の紛争
で起きたアルバニア系住民の集団虐殺などでミロシェビッチ前ユーゴ連邦大統領が旧ユーゴ
国際戦犯法廷から起訴された際にも提起された。

会議は、冒頭からアラブ諸国がイスラエルを人種差別国家と非難する文言を要求、米国と
イスラエルの代表団が引き揚げるなど紛糾した。反イスラエル感情の高まりを受け、アラブ
諸国は南アフリカが示した妥協案にも激しく反発、一時は決裂の危機に直面した。
世界中のあらゆる差別撤廃を掲げ、日本を含む150カ国からの約6000人が、
会期を1日延長して9日間にわたり議論を重ねた会議は、終始、国際政治の荒波に揺さぶられた。
( 2001-09-09-01:04 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-2.html


[北海道新聞9月10日]
「前執行部で決着済み」-アイヌ同化発言で鈴木宗男氏

【釧路】自民党の鈴木宗男衆院議員(比例道ブロック)が「(日本は)一国家一言語一民族。
アイヌ民族は同化されている」などと発言し、道ウタリ協会が抗議、している問題で、同氏は
十日午前、釧路市役所で記者会見し、「前執行部の時に決着済みで、執行部が変わったから
といって一々対応すべき問題ではない」と述べ、同協会に真意を説明する考えのないことを
あらためて強調した。
鈴木氏は「一国家一言語一民族とは、日本国日本語日本国民の意味だ。差別する意図はなかった」
と説明。「私から(真意の説明を)申し出る話ではない」と述べた。

これに対し、北海道ウタリ協会の江戸市郎事務局長は、「十一日に協会の理事会を開く。
鈴木氏の一連の発言についても、理事会の場で協会としての対応を決めたい」と話した。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010910/0022.200109108630.html


[毎日新聞9月10日]
人種差別撤廃会議:宣言作りに「時間を浪費」 米大統領補佐官 

【ワシントン中井良則】ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は9日、米テレビ番組で
南アフリカで開催されていた「世界人種差別撤廃会議」閉幕を受け、「過去をいかに認識するかという
本質的ではない問題に多くの時間を浪費し、将来に向かってどう行動するかは取り上げなかった」
と述べ、シオニズム(イスラエル建国の原動力となったユダヤ民族主義)などをめぐる最終宣言作
りに長時間を要したことを批判した。
米国は途中から会議をボイコットしたが、同補佐官は「会議はイスラエルだけを特定して非難する
ために時間を費やした。米国が退席したのは正しい決定だった」と述べた。
さらに「この会議は(イスラエル非難派に)乗っ取られ、扱うべき問題を取り上げなかった」と
アラブ諸国の強硬な反イスラエルの動きを批判した。

さらに、米国内で、黒人奴隷制に対する補償を求める運動が黒人に広がっていることについて
「現在の問題にどう対応すべきかを考えるべきだ。特に貧しい黒人の子供の教育を考えるべきだ」
と述べ、補償には同調しない立場を示した。( 2001-09-10-09:56 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-4.html


[毎日新聞9月10日]
人種差別撤廃会議:「差別終了への一歩」 国連弁務官が総括 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開かれていた世界人種差別撤廃会議
(国連主催)は8日、奴隷貿易について「人道に対する罪」と認めるなどの最終宣言と
行動計画を採択し、閉幕した。記者会見したロビンソン国連人権高等弁務官は
「この会議は差別を終わらせる長い道のりの一歩になるはずだ」と総括した。
最終宣言は
(1)アフリカやアジアの人々や子孫が奴隷貿易や植民地支配で被った多大な苦しみと
   悲劇を認め、深い遺憾の意を示す
(2)債務救済、貧困撲滅などで先進国や国連が支援する――などとうたった。

アフリカ諸国が求めた奴隷貿易などへの明確な謝罪や金銭的補償にまでは踏み込まな
かったが、会議の議長を務めた南アフリカのズマ外相は「最も大切なのはお金ではなく、
人間としての尊厳だ」と述べ、歴史的意義を強調した。

会議は、冒頭からアラブ諸国がイスラエルを人種差別国家と非難する文言を要求、
米国とイスラエルの代表団が引き揚げるなど紛糾した。イスラエルを直接非難する文言が
削除され「外国の支配下にあるパレスチナ人の窮状」を訴える妥協案を示し、最終的に
アラブ側が応じた。

あらゆる差別撤廃を掲げ、日本を含む150カ国からの約6000人が、
会期を1日延長し9日間に渡り議論を重ねた会議は終始、国際政治の荒波に揺さぶられた。
( 2001-09-10-15:33 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-1.html


[朝日新聞9月11日]
■《天声人語》 09月11日

壮大な失敗だったか、ささやかながらも一歩を踏み出したのか。この国際会議についての
評価は分かれる。何しろテーマが大きかった。たとえば「奴隷貿易や植民地支配について
欧米は謝罪すべきかどうか」が議論になった。
国連が主催した「人種差別反対世界会議」である。南アフリカで開催された。
「謝罪」という言葉を宣言に盛り込むかどうかをめぐって紛糾した。かつての奴隷貿易・
奴隷制について、欧米に「謝罪」を要求するアフリカ諸国にたいし、当初西欧側は足並み
がそろわなかった。
英紙によると、ポルトガル、スペイン、オランダの支持を得た英国が「謝罪」に反対した。
なるほど、かつて順番に「世界支配」をした「帝国」連合である。ベルギーを中心にした
11カ国は「謝罪やむなし」の方向だった。ところが途中アフリカ側が要求をエスカレート
させたため、反発を強めて英国案に傾いた。
米国は、といえば「途中退場」だ。イスラエル非難の動きに反発したといわれるが
「奴隷問題」への思惑もあったようだ。この退場がアフリカ側を刺激して、要求強化に
つながったともいわれる。
コンゴから来たピグミーの女性は「私たちは人前で裸にされ踊りをさせられた」といまも
続く差別を訴えた。そうした様々な訴えがあった。しかしそれらは大テーマの前にかき
消されていく。
「謝罪」の件は、結局「遺憾」という妥協の表現に終わった。いろいろあいまいさを
残したが、奴隷貿易など人類史の「汚点」を国際会議で論議するところまで来たのか
という感慨も深い。 2001/09/11 07:00
http://www.asahi.com/paper/column2.html


[朝日新聞9月11日]
狙われた?アメリカの象徴 NYビル激突

ニューヨーク・世界貿易センタービルで、11日、航空機2機が、110階のビルに
突っ込んだ。93年2月には、イスラム過激派が爆弾テロ事件を起こし、1000人
以上が死傷している。この超高層ビルは様々な意味でアメリカの象徴だ。アメリカを
「悪」とみるテロリストたちに再び、標的にされたのだろうか。

航空機が衝突して炎上したニューヨークの世界貿易センタービルに、現地法人が入居
している日興証券幹部は現地職員らの安否を気遣っている。

同ビルに入居している日興の現地法人「日興証券インターナショナル」は、資産運用
などを手がけている。約30人の社員のうち、日本人社員が5人前後いる。

日興証券の金子昌資社長は11日夜、朝日新聞社の質問に対して「偶然とは思えない
出来事だ。現地社員全員の無事を祈る」と答えた。
また、金子社長は「至急、現地の情報収集を始める」との考えを明らかにした。(22:55)
http://www.asahi.com/international/update/0911/017.html


[毎日新聞9月11日]
対米大規模テロ:ブッシュ政権に大きな衝撃 対外姿勢に発展も

 【ワシントン布施広】米国の政治経済の中心、ワシントンとニューヨークで11日、同時多発的に
起きたテロはブッシュ政権に大きな衝撃を与えた。ブッシュ政権は国際的に反発が強いミサイル
防衛構想を推進する一方、中東和平には消極的な姿勢を取り、特にアラブ・イスラム世界には
「米国憎し」の感情が高まっていた。米国の中枢部で起きた今回の同時テロは、ブッシュ政権の
対外姿勢に関する論議にも発展しそうだ。
テロの背景は不明だが、米国内では国際テロの黒幕とされ、アフガニスタンに滞在している
サウジアラビア出身のウサマ・ビン・ラディン氏傘下の組織か、パレスチナ過激派の犯行との見方が強い。
パレスチナ急進派のパレスチナ解放人民戦線(PFLP)は、先にイスラエルのミサイル攻撃で
議長を暗殺され、イスラエルと米国に対する報復を明言していた。

また、ビンラディン氏は、アフリカの米大使館同時爆破やイエメンでの米艦爆破事件などへの
関与が指摘されている。米大使館同時爆破事件に対して、当時のクリントン政権はアフガニスタンと
スーダンを巡航ミサイルで攻撃。これを遺恨とするビンラディン氏は、大規模な対米テロを計画
しているとの情報がしばしば流れていた。

ブッシュ政権は発足以来、国益重視の立場を取り、特にミサイル防衛構想を通じて国際的な
反発・摩擦を引き起こしてきた。先月31日から南アフリカで開かれた世界人種差別撤廃会議では、
イスラエル批判の宣言は容認できないとして途中退席。一方、パレスチナには一貫して厳しい姿勢
を取り、中東和平の「公平な仲介者」を自認してきた米国への疑問が強まっていた。

こうした外交姿勢の背景にちらつくのは、再選への思惑だ。きわどい選挙で当選したブッシュ
大統領にとって、再選を果たすのは最優先課題。イスラエル寄りの姿勢は米国内のユダヤ票の
取り込みを意図したものとの見方も強い。
第3世界から見ると、ブッシュ政権は「国益」と「再選」のために、露骨な外交政策を推進して
いるように見えても不思議ではない。

テロは言語道断としても、イスラム世界に対する姿勢や国際社会との協調という点で、
ブッシュ政権への疑問を改めて提起する事件と言える。( 2001-09-11-23:56 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-2.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】NYビル、国防総省に旅客機 米で同時多発テロ

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航空機が激突し、空に煙が立ち昇らせ崩れ落ちる世界貿易センタービル=AP
国防総省ビルにも飛行機が突入し炎上した=AP

米国のニューヨークやワシントンなど3都市で11日午前(日本時間同日夜)、ハイジャック
された旅客機4機を使った同時多発テロが発生し、政治、経済、軍事の中枢が史上最悪の被害
を受けた。少なくとも数百人の死者、数千人規模の負傷者が出ている模様だ。ワシントンでは
非常事態が宣言され、ブッシュ米大統領は「明らかなテロ行為」と断定。米軍は国内外で厳戒
態勢に入った。旅客機2機が激突して炎上し、上層階が崩壊したニューヨークの世界貿易セン
タービルは11日午後6時(同12日午前7時)現在、なお黒煙を上げて燃え続けている。
ビル内に事務所を構える日本企業の東京本社などでは、社員らの安否を確認する作業が夜を徹
して続けられた。

ニューヨークでは同日午前9時(日本時間午後10時)ごろ、マンハッタン南端の世界貿易セ
ンタービルの南北両棟(それぞれ高さ約430メートル、110階建て)の上層階に旅客機2
機が相次いで突っ込んだ。2機ともビルに衝突したあとに爆発、炎上した。この衝撃で両棟と
も上層階が崩壊した。崩壊直前にビルの地下で爆発があったとの情報もある。

首都ワシントン郊外の国防総省では同日午前10時前、旅客機が突入し、炎上した。ペンシル
ベニア州ピッツバーグ付近では旅客機が墜落した。

世界貿易センタービルに激突したのは、アメリカン航空のボーイング767とユナイテッド
航空の同767で、いずれもボストン発ロサンゼルス行き。ペンシルベニア州で墜落したのは、
ニューアーク発サンフランシスコ行きのユナイテッド航空機。国防総省に突入したのは別の
アメリカン航空機という。 4機の乗客乗員は計266人で、生存は絶望視されている。

世界貿易センターでは5万人以上が働いているほか、1日平均15万人以上の来訪者がある。
今回の同時多発テロによる犠牲者数は日本時間12日午前7時時点で明らかになっていないが、
数千人規模の死傷者が出ている模様だ。

米民主党のジム・モラント下院議員は米フォクス・テレビに対し、米当局はニューヨークだけ
で死者が1万人にのぼると見ていると語った。ニューヨークのジュリアーニ市長はCNNテレ
ビに「膨大な数の命が失われた」と話した。
米連邦航空局は同時多発テロを受けて同日、米国内の空港から飛行機が出発するのを史上初
めて全面的に禁止した。
フロリダ州で遊説中だったブッシュ大統領は事件発生後、ルイジアナ州の空軍基地に移って
声明を発表し、「米国に対する重大な挑戦で、断固として容認しない」と語った。
「米国民を守るためにすべての治安対策をとる」「米軍は国内外で厳戒態勢に入った」とも宣言。
ネブラスカ州にある戦略軍司令部を経てワシントンに向かった。
一連の同時多発テロを受けて、ニューヨーク証券取引所は同日、取引を無期限延期すると発表した。
このほか、外国為替市場でドルが急落するなど金融市場も混乱している。

今回の同時多発テロをめぐっては、反米国際テロ活動の黒幕といわれるサウジアラビア出身の
富豪オサマ・ビン・ラディン氏の関与が取りざたされている。中東紛争でイスラエル寄りの
姿勢を鮮明にしてきたブッシュ政権に対するパレスチナ過激派の犯行との見方も一部で出ている。

米CNNテレビが日本時間の12日午前7時ごろに伝えたところでは、ラディン氏が潜伏してい
るとされるアフガニスタンの首都カブールで爆発があった。同時多発テロに対して米国が報復を
開始したかどうかは不明。

在ニューヨーク日本総領事館は事故対策本部を設置し、日本人の安否確認に追われている。
小泉純一郎首相は11日夜、事件に対する「対策室」を首相官邸に設置。12日午前には全閣僚
が参加する安全保障会議を招集し、対応を協議する。
http://www.asahi.com/national/ny/index.html


[毎日新聞9月12日]
対米大規模テロ:強力な反米組織が関与しているのは確実

【エルサレム海保真人】世界随一の超大国の軍事力の要・国防総省と世界経済の中枢
ともいえる世界貿易センタービルなどが相次いで、国際テロの標的になった。背景に
は今月末で発生以来まる1年を迎えるパレスチナとイスラエルの衝突泥沼化などの影
響を受けた反米感情があり、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏のグ
ループなどの世界的規模で同時多発テロ事件を起こせる強力な反米組織が関与してい
るのは確実とみられる。

今回のテロの背後でウサマ氏の関与が疑われる最大の理由は、全米で多数の航空機を
ハイジャックし、その一部を超高層ビルに突っ込ませるという、計画的で手荒なテロ
を敢行できる能力を持つ組織が限られるためだ。サウジアラビアの富豪出身のウサマ
氏は豊富な資金を背景に、アラブ・イスラム世界の過激派組織との連携を図り、対米
テロを狙い、4000〜5000人規模の軍事メンバーを訓練しているとの情報がある。

昨秋以来のパレスチナ情勢の悪化に伴い、中東地域では、占領者であるイスラエルば
かりか、その最大の同盟国・米国に対する反発はパレスチナだけでなく、
アラブ・イスラム諸国全体に急速に広がっていた。特に先月27日、
パレスチナ解放機構(PLO)の反主流派、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)の
ムスタファ議長がイスラエル軍に暗殺され、イスラエル当局が公式にこれを認めたことや、
犠牲者700人にのぼる衝突激化にもかかわらず、唯一の仲介者といえる米国が調停に
消極的だったことで、中東ばかりか南アジア、中央アジアなど世界中のイスラム地域で
怒りが頂点に達していた。

今回、一時、犯行声明を出したとされたパレスチナ解放民主戦線(DFLP)や
パレスチナ解放人民戦線は70年代には過激なテロを繰り返したが、93年のパレスチナ
暫定自治合意(オスロ合意)締結後は組織がしぼみ、小規模な銃撃や爆弾テロを敢行
するのが関の山だった。

だが、昨年9月末以来の衝突激化とともに、パレスチナ勢力を支援するイスラム過激派
の輪は世界的に広がってきた、と専門家に指摘されていた。特にインターネットという
仮想世界では、世界中のイスラム・ハッカーグループが連帯、イスラエルだけでなく米
の関係サイトをハッカー攻撃、社会問題化していた。衝突の泥沼化はユダヤ対イスラム
という宗教戦争の様相を示し始めていた。

今回の犯行グループの正体は予断を許さない。だが、今回のテロの規模があまりにも大
規模なことから、一部ではイラクなど反米国家自体が関与していると疑う見方もある。
イラクは98年末以来、米英両軍による断続的な空爆を受け、多数の民間人が死傷。
また、米国などが対イラク国連経済制裁全面解除に強く反対し、アラブ諸国ではイラク国民
の窮状への同情が強く、シリア、リビアなどの強硬アラブ諸国はもちろん、最近では
サウジアラビアなど親米国も米国に批判的だった。

イスラエルの民間シンクタンク「対テロ国際政策協会」のシャハル研究員は、
今回の同時多発テロを「極めて周到に連携された手口で、世界中でも実行できる組織は
限られている。ウサマ・グループは筆頭候補だが、パレスチナ過激派の一部が何らかの
関与をした疑いを捨て切れない」と指摘した。 ( 2001-09-12-01:33 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20010912k0000m030235000c.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】数千人の命失われた ブッシュ米大統領がTV演説で

ブッシュ米大統領は11日午後8時半(日本時間12日午前9時半)から米国民向けにテレビ演説
し、「一瞬のうちに数千人の命が失われた。我々はその行為をした者を捕らえ、裁かねばならない。
行為した者も、それをかばう者も区別しない」と報復する姿勢を示した。
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091200683.html


[朝日新聞9月12日]
「テロ超えた戦争行為」12日の米大統領の声明(要旨)

同時テロについて、ブッシュ米大統領が12日午前、発表した声明の要旨は次の通り。

昨日の計画的で多数の死者を出した行為は、単なるテロを超えた戦争行為だった。
我々は断固とした決定と解決のために団結しなければならない。自由と民主主義が攻撃されている。
米国民は、これまでとは違った敵と対決していることを知る必要がある。敵は隠れ、人命を何とも
思っていない。しかし、いつまでも隠れおおせることはできない。この敵は、我が国民だけでなく、
世界中の自由を愛する人々すべてを攻撃した。
米国は、総力を挙げてこの敵を捜し求める。全世界に協力を呼びかけ、忍耐強く焦点を定め、断固
たる決定をする。この闘いには時間がかかるだろうが、間違いなく我々が勝利する。
連邦政府は、高度の警戒の中で業務を続けている。米国は前進しており、これまで通り我が国への
脅威を注視していかなければならない。
議会に対し、ニューヨークとワシントンの救出作業や国家安全保障などのための緊急支出を要請する。
議会の団結と支援に感謝したい。米国は団結している。世界の自由を愛する国々は我々の味方である。
これは善と悪の歴史的な闘争となろう。しかし、善が圧倒するであろう。
(01:32)
http://www.asahi.com/international/update/0912/035.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】証拠あればラディン氏引き渡しも タリバーン大使発言

アフガニスタンを実効支配するタリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は12日、
朝日新聞記者などのインタビューに応じ、米国が同時多発テロの有力容疑者とみている
国際的テロリスト、オサマ・ビン・ラディン氏について、「米国が犯行について公正な
証拠を示すならば、それを十分検討したうえで引き渡しも考える」と述べた。
だが、大使は、「ラディン氏は私たちの管理下にあり、電話もインターネットも使えない
状況にある。そんな人物があれほど巧妙な(テロ)事件を実行できるわけがない」と強調、
今回の事件への関与を否定した。
また、米国のアフガニスタンに対する報復措置については、「捜査もしていない段階で、
そんなことは出来ないだろう」と、けん制した。
一方、12日発行のパキスタンのハブライン紙によると、タリバーン関係筋の情報として、
ラディン氏が犯行容疑を否定し、
「今回のテロは米国人グループの犯行であり、私は関係がない」と発言していることを伝えた。
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091203450.html


[北海道新聞9月12日]
道ウタリ協会、理解求め直接抗議へ 同化発言の鈴木議員らに

北海道ウタリ協会(秋田春蔵理事長)は十一日、札幌市内で緊急理事会を開き、
「日本は単一民族」と発言した平沼赳夫経済産業相と「アイヌ民族は同化されている」
と述べた鈴木宗男衆院議員への対応を協議。二十七日開会の臨時国会の会期中に協会の
役員らが国会を訪れて面会を申し込み、発言への抗議とアイヌ民族への理解を直接求め
ることなどを決めた。
協会は同時に、自民党総裁の小泉純一郎首相と、南アフリカで八日まで開かれていた
国連の「反人種主義・差別撤廃世界会議」の政府代表団に同協会の副理事長を加えるこ
とを拒否した外務省を訪れ、田中真紀子外相にも面会を求めるほか、全国会議員を対象に、
アイヌ民族への理解を求める文書を配る。

理事会後に会見した秋田理事長は「争いを避け、話し合いで解決方法を探るのが、
本来のアイヌ民族の精神。『同化した』という言葉で民族の誇りがどれほど傷ついたか、
認識のズレを直接話し合って理解してもらうつもりだ」と述べた。
国会には、民族衣装をまとった同協会の約百人が出向いて、アピールする。

また、同世界会議に独自に参加した秋辺得平副理事長は、会見で
「外務省は日本から参加したNGOに『政府代表団の一つの席はウタリ協会から』と説明
しながら秋辺を受け入れなかったのは不思議」と、あらためて外務省を批判した。
この日の理事会では、八月上旬に常務理事を解任した道派遣の江戸市郎事務局長を再び
常務理事にすることも決めた。

一方、鈴木氏は北海道新聞の電話取材に、「私はアイヌ民族を否定したり、おとしめる
ような発言をしたことはないつもりだ。ただ、協会が真剣な話し合いをしたいというこ
とであれば、喜んでお会いしたい。笹村二朗前理事長も参加してくれれば、なおうれしい」
と話した。15:33:00
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010912/0023.200109120795.html


[朝日新聞9月17日]
米でついに「反中東」殺人 しかもインド系を誤解する

米アリゾナ州メサで15日夜、インド系住民を射殺したとして、地元の男(49)が逮捕された。
テロ事件でイスラム過激派に怒りを募らせ、被害者を中東出身者と早とちりして撃った疑い。
地元紙アリゾナ・リパブリックが16日報じた。
犠牲になったのはガソリンスタンド経営者バルビル・シン・ソディさん(49)。
シーク教徒で、ターバンを頭に巻き、ひげが長かった。
店内は荒らされておらず、容疑者と面識もなかった。
容疑者の男は同じ日の15日、レバノン系住民が経営するガソリンスタンドとアフガン系住民宅
でも相次ぎ発砲。駆けつけた警官に向かって「米国を断固支持する」と叫んだという。
テロ事件が起こってから、米国ではイスラム過激派に対する敵意が異常なほど高まっている。
あおりで中東系市民が様々ないやがらせを受けている。(09:51)
http://www.asahi.com/international/update/0917/003.html


[朝日新聞9月18日]
【米国同時多発テロ 】「ギタリスト」を「テロリスト」に聞き違いで拘束される

18日付のシンガポール紙ストレーツ・タイムズによると、同国チャンギ空港で15日、
インド人2人がテロリストと間違えられ、当局に身柄を拘束される騒ぎがあった。
空港ラウンジで、インド人の1人が米国人と会話した際、自分のことを
「ベースギター奏者(ベース・ギタリスト)」と言ったのを、
米国人が「ボスニアのテロリスト(ボスニアン・テロリスト)」と聞き間違え、
空港の警備員に通報。シンガポール航空の香港行きの便に乗り込もうとしていた2人は直ちに
身柄を拘束された。その後、誤解は解け、2人は無事香港に向かったという。(09/18)
http://www.asahi.com/national/ny/others/K2001091801335.html


[朝日新聞9月20日]
ビンラディン氏に国外退去を要請 タリバーン聖職者会議

アフガニスタンのイスラム聖職者会議は20日、イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏が
自主的に国外退去することを促すようタリバーン政権に勧告した。米国の強硬な身柄引き渡し要求
をかわす狙いとみられる。しかし、退去の期限や出国先は示しておらず、米側は引き渡しを求める
姿勢を変えていない。
聖職者会議は、宗教指導者や教師ら約1000人を集めた同国の最高意思決定機関。
アフガン・イスラム通信などによると、会議では身柄の引き渡しへの反対意見が相次いだ。
決定は「ファトワ(宗教見解)」と呼ばれ、最高指導者のモハマド・オマール師は事前に従うこと
を表明している。
決定は「混乱を避けるため、ビンラディン氏に適切な時期に自主的にアフガンを出国し、
彼の選んだ場所へ行くように説得するべきだ」と表明。同氏の国外退去を望む姿勢を初めて示した。

また、同時多発テロの真相解明について、国連とイスラム諸国会議機構(OIC)による調査を
提案。米国以外の第三者の関与を求めた。
一方で、アフガンへの攻撃準備を進める米国に対しては「国連とOICはブッシュ大統領が
『十字軍』という言葉を使い、イスラム信者の怒りを買ったことを留意すべきだ」と批判。
米国が攻撃に踏み切った場合は「ジハード(聖戦)が発動され、全世界のイスラム信者がアフガン
を支持するであろう」とけん制した。(21:14)
http://www.asahi.com/international/update/0920/010.html


[朝日新聞9月21日]
タイムズスクエアで反戦集会 NYは平和を望む

int092204.jpgタイムズスクエアを占拠して、反戦を訴える市民たち=21日午後9時40分
index092602.jpg「われらの声は戦争を求める声にあらす」というゼッケンを身につけアピールする芸術家達

同時多発テロ事件でブッシュ大統領が強硬姿勢を示していることに対し、反対の声が出ている。
21日午後9時(日本時間22日午前10時)すぎ、マンハッタンのタイムズスクエア周辺に若者
たち数百人が集まり、プラカードを掲げて「ニューヨークは平和を望んでいる」と叫んだ。
週末が始まった夜の繁華街で通行人が徐々に参加していき、通りを埋めるほどまで膨らんだ。
ニューヨーク市立大学生のキャロリン・ブレットさん(19)によると、口コミや大学仲間の
呼びかけで集まったという。
「法的証拠がないまま、(イスラム過激派の指導者の)オサマ・ビンラディンの仕業と決めつけ、
アラブ系住民に対する差別が広がっている。暴力に暴力でこたえても、新しい暴力を呼ぶだけ」
と話した。「世界貿易センタービルで亡くなった人々の死を、戦争で汚すな」という声もあった。
通りがかりのタクシー運転手らのなかには、クラクションを鳴らして「連帯」を示す人も。
一方で、通行人には「戦争でしか解決できない」と激しく反論する姿もあり、周辺は一時、
騒然とした。混乱や小競り合いを避けるため、多数の警察官が集会の参加者を取り囲んだ。(13:41)
http://www.asahi.com/international/update/0922/015.html


[朝日新聞9月21日]
パキスタン全土で反米デモ 大統領を「裏切り者」と非難

int092104.jpgペシャワルのモスクで21日、「反米」スローガンを掲げるイスラム教徒たち=AP
米国での同時多発テロに対するアフガニスタンへの報復攻撃への動きをめぐって21日、
パキスタン各地でイスラム原理主義の宗教団体や政党が主導する反米デモが行われた。
デモ隊は、米ブッシュ政権に協力姿勢を示しているムシャラフ大統領に厳しい批判を浴びせた。
カラチでは警官隊が発砲し、死傷者が出た。今後、米軍がパキスタン領から出撃するような場合、
国内外の過激派によるテロや反政府暴動も懸念され、米軍の動静はムシャラフ政権の基盤を揺る
がしかねない。
人口1200万の南部の商都カラチでは、朝からタリバーンと同じ民族のパシュトゥン人を中心
にした約3万人の反米・反政府デモがあった。
暴徒化したデモ隊に対する警官隊の発砲などで、マドラッサ(宗教学校)の神学生ら4人が死亡、
10人が負傷した。デモ隊は「ブッシュ米大統領のタリバーン敵視や攻撃は許せない」
「オサマ・ビンラディン氏に勝利を」と叫び、ブッシュ大統領の人形や星条旗、タイヤなどを路上
で燃やして気勢をあげた。
アフガン国境、北西辺境州のペシャワルでは、約7000人がデモに参加。
口々に「ジハード(聖戦)だ」と叫び、対米協力を表明したムシャラフ大統領にも「裏切り者」
「米CIAの手先」などと容赦なく非難した。
デモ主催者は商店に抗議ストライキを強要。営業中の店を見つけると、店の壁を棒でたたき、
大声で怒鳴って、強引に店を閉めさせた。政党関係者以外の参加者も目立ち、教師のムハマド・
カミルさん(46)は、「明確な証拠を示さずに犯人扱いして引き渡しを求める方が常識外れ。
対米協力に応じる政府もどうかしているよ」と話した。
やはりアフガン国境のクエッタでもパシュトゥン系民族がデモをした。 
首都近郊ラワルピンディでは約2000人がデモをした。「アフガン問題が終わったら、
パキスタンは米国に見向きもされなくなる」。イスラム協会の呼びかけで参加したデモ隊は
「オサマは英雄。ユダヤ人は最悪のテロリストだ」などと、反米とビンラディン氏擁護の
スローガンを叫び行進した。
モスクのすぐ近くで宝くじ店を経営するマンスール・エハメットさん(32)は
「イスラムは本来平和主義。私は扇動的なことは嫌い。店を閉めて、昼飯を食って帰るよ」
とうんざり気味に話していた。(23:42)
http://www.asahi.com/international/update/0921/020.html


[朝日新聞9月24日]
【米国同時多発テロ 】米国務省が圧力 オマール師インタビュー放送中止に

米国政府系の海外向け短波放送「アメリカの声(VOA)」が、アフガニスタンのタリバーン政権
の最高指導者モハマド・オマール師との電話インタビューに成功したが、21日に予定されていた
放送が土壇場で中止に追い込まれた。「米国民の税金で成り立つ放送が、テロ事件の容疑者たちを
かくまう勢力の宣伝に使われるのは不適切」と判断した国務省が圧力をかけた。
23日付のワシントン・ポスト紙(インターネット版)が報じた。
オマール師はインタビューで「米国は、自らを攻撃する邪悪をつくった。私や(米国が同時多発
テロの首謀者とみる)ビンラディン氏らが死んでも、その邪悪が消えることはない」と述べ、
テロ事件を招いたのは米国自身の政策だと指摘した。インタビューはアフガンの主要言語、
パシュトゥー語で12分間行われた。
VOAにオマール師側からインタビューの申し入れがあったのを国務省が把握したのは21日。
その時はスタッフがすでにインタビューを終え、ブッシュ大統領の議会演説に対するアフガン側
からの反応をテーマにしたニュースの一部として同日夕に放送する予定だった。
アーミテージ国務副長官らがVOAを監督する理事会に中止を働きかけ、現場のスタッフたちに
伝わった。(09/24)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/us/K2001092301541.html


[朝日新聞9月25]
【米国同時多発テロ 】テロ後方支援犯見つからず、米捜査当局に焦り 米紙報道

米紙ニューヨーク・タイムズは25日、同時多発テロのハイジャック犯19人を助けたはずの地上
の共犯グループが一人も見つかっていないと報じた。米司法当局者が同紙に明かした。
テロ実行犯19人は全員死亡している。連邦捜査局(FBI)は、後方支援をしたはずの地上班を
割り出すことで、イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏と実行犯グループとを結びつける
人的な証拠にしようと努めてきた。
地上班は、実行犯に訓練の機会を与え、乗っ取る旅客機を選び、当日は4組にわかれて行動した
実行犯の連絡調整役をしたというのが捜査当局の読みだった。
係官7000人を投じた大規模な捜査で、FBIはこれまでに352人を逮捕・拘束したが、同紙
によると、その中に地上班らしき容疑者はいなかった。実行犯と面識がある人物はいたが、いずれ
もテロの全容を知る立場にはなかったという。
FBIは、米国内に地上班の拠点を発見することができず、ドイツ・ハンブルクなどに係官を急派
して調べを急いでいる。FBI内では今のところ、「ビンラディン氏の組織アルカイダは米国内に
拠点を置いていなかった」という見方が優勢らしい。(09/25)
http://www2.asahi.com/national/ny/us/K2001092502437.html


[朝日新聞9月29日]
「西欧文明はイスラムに勝る」伊首相発言に関係国猛反発

西欧文明はイスラムに勝る−−イタリアのベルルスコーニ首相がこう発言し、イスラム諸国
が猛反発している。首相は28日、「文脈をそれて一部の言葉が曲解された」と苦しい釈明
をしたが、米国でのテロ事件後、イスラムへの偏見が広がることに神経をとがらせる関係国
の怒りはまだ収まりそうにない。
首相はドイツ訪問中の26日、「私たちの文明は繁栄をもたらし、人権尊重も保証している。
優越性を意識しなければならない」と語った。「こうした価値はイスラム諸国にはない」
「(イスラム諸国は)1400年前の段階にとどまっている」とも続けた。
これに対し、アラブ連盟のムーサ事務局長は「人種差別的な発言だ。10億人のイスラム教徒
に謝るべきだ」と抗議。イランやエジプト、レバノンなどの各政府が相次いで説明を求めた。
欧州連合(EU)のプロディ欧州委員長は「我々はみな平等だ」と火消しに回った。
ベルルスコーニ首相はイスラム諸国の大使と近く会談し、「真意」を説明するという。(09/29)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/others/K2001092900339.html


[朝日新聞9月30日]
反戦訴え、全米各地で「同時多発デモ」

int093001.jpg
武力行使への緊張が高まる中、全米各地で9月29日、反戦デモがあった。
首都ワシントンでは「戦争しても犠牲者は生き返らない」などと訴えるプラカードが掲げられた=AP

同時多発テロに対する報復として米国政府が軍事作戦を準備する中、ワシントンや米国西海岸
のサンフランシスコ、ロサンゼルスなどで9月29日、平和解決を求める市民の「同時多発デモ」
が行われた。
ワシントンでは約1万人が、テロ事件後では最大規模の「反戦デモ」を繰り広げた。
武装警官が道の両わきを警備、上空では警察のヘリコプターが旋回する中、
「戦争では何も解決しない」と訴えながら行進した。
この週末、ワシントンでは国際通貨基金(IMF)と世界銀行の総会が予定されていたが、
テロ事件のため中止された。デモの参加者の多くは、この総会への抗議行動を予定していた。
サンフランシスコでは町はずれの公園に、市民約5000人が集まった。手作りのプラカードには
「アフガニスタンを第2のベトナムにするな」などと書かれていた。
主催したのは「戦争をやめ人種差別をなくすため、いま行動を」という名の市民団体のネット組織だ。
学生が多いが、ベトナム戦争の帰還兵ら年配者も目立った。アラブ系の顔立ちの人々も多かった。
参加者は次々に前に立ち、「戦争は罪もない人々を殺すことになり、新たな敵を生み出すだけだ」
などと訴えた。
サンフランシスコや隣接したバークリーなど一帯は、ベトナム反戦運動の中心となった地域だ。
今回のテロ事件でも発生直後から様々な市民団体が生まれ、平和解決を求める小規模な集会を連日
のように開いてきた。そうした組織がまとまっての大集会となった。
ロサンゼルスでも中心部の連邦政府ビル前で約300人が同様の集会を開いた。(00:14)
http://www.asahi.com/international/update/0930/010.html


[朝日新聞10月1日]
米軍の基地使用、サウジ王家内で対立続く

湾岸での米軍作戦に不可欠となるサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地の使用許可をめぐって、
サウジ王家内部の意見統一が遅れている。同時多発テロ後に訪米したサウド・サウジアラビア外相は、
米作戦への全面的な協力を約束した、と伝えられたが、同国のスルタン国防相が
「基地使用許可の報道はナンセンス」と否定するなど、揺れ動いているのが実情だ。
湾岸戦争以来、同基地はイラク上空からの偵察行動を中心とする指揮統制センターを完備し、空中
警戒管制機(AWACS)などによる情報収集・分析の中枢となってきた。米がアフガニスタンへ
の本格的な作戦を開始すれば、同基地からの米軍機の発進に加え、前線での作戦指揮に重要な役割
を果たすことになる。だが、いまのままだと米軍の活動が制約される恐れも出ている。
スルタン国防相は9月30日、「モスレムもしくはアラブ人との戦争に、(異教徒の)兵士一人で
あっても我が国を使うことは許さない」と述べ、メッカ、メディナの2大聖地を抱えるイスラム
国家サウジの立場をサウジ紙に説明した。
さらに「サウジ領空の通過は認めるが、地上施設は使わせない」とも付け加えた。
サウジ各紙は、基地使用の合意を伝える米報道に対し、「サウジを困惑させる意図で流された」
と一斉に反発、パレスチナに対するイスラエルの「国家テロ」を引き合いに出して反米ムードを
あおっている。
スルタン国防相の息子であるバンダル駐米サウジ大使は、父親の発言後、
「(反テロ作戦に関する)米とサウジの立場は一つである」と米国で釈明した。
しかし、サウジ政府の意図は、米国向けとサウジ国内向けで大きく隔たりがあり、米を含めた西側
政府の「頭痛の種」となっていることは否めない。(19:57)
http://www.asahi.com/international/update/1001/013.html


[毎日新聞10月2日] ( 2001-10-02-23:00 )
米同時テロ:NATO、アルカイダの犯行と断定 米が証拠提出

【ブリュッセル森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)は2日、大使級理事会で、同時多発テロが、
ビンラディン氏と同氏が率いるテロ組織「アルカイダ」の指揮によるものと断定。条約第5条に
よる「集団的自衛権」の発動条件を満たしたことを確認した。同理事会の席上、米国務省の専門官
がビンラディン氏らの事件関与を示す証拠を開示し、これを受けて判断した。NATOの集団的自
衛権が発動されれば1949年の設立以来初めてとなる。
NATOは9月12日に憲章第5条の集団的自衛権について、
(1)攻撃が外国からの指揮によることが明確である(2)米国の要請がある――の2条件を満た
せば発動する方針を示していた。米国の説明を受けたロバートソンNATO事務総長は
「テロがアルカイダによって引き起こされたことは明らかだ。
ビンラディン氏をかくまっているタリバンの関係も立証された」と語り、攻撃の責任がタリバン
政権にも及ぶとの見解を示した。
この日、米国からの第5条の発動要請はなかったが、今後、要請を受ければ自衛権を発動し、
NATOとして攻撃に参加することになる。

■北大西洋条約第5条 NATO加盟19カ国(米国、カナダ、欧州各国)の、1カ国もしくは
複数の国が外部から武力攻撃を受けた場合、加盟国全体に対する攻撃とみなし、国連憲章にある
集団的自衛権として軍事行動を含めた支援を認めた条項。


[朝日新聞10月2日]「ポリティカにっぽん」(コラムニスト早野透の連載コラム)
アフガンの民衆と文明の逆説

アメリカでの同時多発テロの報復でアフガニスタンが攻撃にさらされるのかどうか、その緊迫の
地から帰った日本人医師、中村哲さんの話を聞く集会が9月26日、衆院議員会館の会議室で
あった。中村さんの旧知の社民党の阿部知子さんの企画だった。

「アフガニスタンでは全土から集まるには、歩いて1週間、ラクダで3日間かかるんですよ。
タリバーンが聖職者集会で時間かせぎしているとか言われたけれど、時間の流れが違うんです」
中村さんはもともと山好きでこの地に縁ができて、以来17年間、パキスタンのペシャワルを
本拠にアフガニスタン各地にらい診療所を開いて治療にあたってきた。中村さんは、差別の根底
に触れずに代用語を使うのはよくないとハンセン病という呼び方をしない。病気と貧困に苦しむ
下層の人々に長く接して来ての考え方なのだろう。
「新聞記者の情報は雲の上の話です。貧富の差が激しくて貧民は外国へ逃げるカネもない、
まともな医者にはかかれない。大干ばつ、飢餓、難民、マラリア。冷たくなっていく子どもを
抱いて離さない母親の悲しみ」中村さんはそこまで話して言葉を詰まらせた。

『アフガニスタンの診療所から』(筑摩書房)や『医は国境を越えて』(石風社)など中村さん
の著書を読むと、アフガニスタンがいかに長い間、戦乱のちまたにあったかがよくわかる。
19世紀から20世紀にかけて南からイギリスが侵食した。3次にわたる戦争でアフガニスタン
はこれを撃退した。1979年からはソ連がアフガニスタンに10万の軍隊を送って親ソ派政権
に肩入れした。対抗するイスラムゲリラにアメリカがパキスタンを通じて武器供与した。
アメリカがつくった土壌の中から、ゲリラを組織したビンラディンも、内戦を制したタリバーン
も育ったともいえる。

「なんで我々がおたがいに殺し合わねばならないんだ。コサックとカウボーイを直接シベリアで戦わせろ」
中村さんの著書には、反英闘争以来の老闘士の葬列に居合わせ、
そんな声があがるのを聞いたと書いてある。

いま、アメリカのブッシュ大統領の「善と悪の戦いだ」との大義のもとに、テロリストの
ビンラディンをタリバーン政権がかくまっている、タリバーンも同罪だ、テロ支援国家はやっつ
けろという論理だけでいいのかどうか。タリバーンに対抗する北部同盟にまた外国が軍事的応援
をするというならば、もう外国に翻弄(ほんろう)されたくないというアフガニスタンの民衆の
思いも募ることだろう。

昨今のテレビでは、タリバーンが女性を閉じこめて教育の機会も与えないなどの抑圧をとりあげて、
石原慎太郎東京都知事をはじめ「われわれの文明では許されない」とさかんに論難している。

それはその通りだが、だからといってただちに「文明十字軍」ともいうべきものに、わが自衛隊
を派遣する理由になるとは思われない。われわれの敵は憎むべきテロリズムの犯人と組織である。
アフガニスタンの地に根を下ろした中村さんの著書は、人々が外圧に果敢に武器をとり、
それが終わると農作業に戻る姿を描いている。「近代文明」の側がアフガニスタンの打ち首処刑
や復讐(ふくしゅう)の残虐性を非難しながら、その一方で戦争をいとわず民衆の膨大な死をも
たらし、それが一段落すると「人道的援助」を口にする、こうしたことに偽りを感じていること
もうかがわれる。「文明の逆説」というべきか、考えるほど悩ましい問題提起である。

ニューヨークの摩天楼とアフガニスタンの山地をさまよう難民。かたや自由と民主主義、貿易や
金融の世界。かたやアラーへの信仰を重んずる宗教的社会。文明とは何かと考えあぐねていると、
作家の小田実氏が慶応義塾大学で9月28日から半年間、「現代思想」というテーマで講義する
ということを聞いたので、取材にでかけてみる。
かつてベトナム戦争に反対し、阪神大震災の中で市民立法をてがけた彼がいま何を考えているか、
それは次回でたどってみたい。(2001.10.02)
http://www.asahi.com/column/hayano/ja/index.html


[朝日新聞10月2日]
「パレスチナ弾圧に利用の声も」 国連反テロ決議に懸念

国連総会は1日、米国での同時多発テロを受けたテロ撲滅策討議に入り、米国、
ロシア、英国など30カ国の大使らが一様にテロを非難した。この中で、穏健アラブ
諸国のリーダー格のエジプトは、28日に安保理で採択された「テロ包囲網強化決議」
を支持しつつも、その施行の細部があいまいだと懸念を示した。
エジプトのアブルゲイト国連大使は、決議について「重大な懸念を持っている」
として、決議内容の履行をどう監視するのか、違反した場合はどうなるのか、と疑問
を呈した。さらに、イスラエル内の一部に、今回の事件で国際社会に反テロ機運が高
まっていることを利用し、パレスチナの抵抗を弾圧しようという声があると指摘した。
また、キューバのパリーラ国連大使は、テロは過激派や個人によるもので自衛権行使
にはそぐわないと指摘し、「大国(米国のこと)が自衛権をたてに、単独行動で戦争
を起こしてはならない」と力説した。また、安保理決議についても、テロリストや
テロ行為をどう規定するのか、疑問を表明した。
総会の討議や決議は拘束力を持たない「意思表明」だが、今月半ばに始まる包括的
テロ防止条約の論議の「地ならし」となる。
発言希望国はさらに増えて160カ国を超えた。(15:56)
http://www.asahi.com/international/update/1002/008.html


[朝日新聞10月3日]
タリバーン排除までは正当化せず 国連決議で事務総長

アナン国連事務総長は2日、米ABCテレビに出演し、同時多発テロを受けて国連安保理が採択
した一連の決議は、アフガンを実質支配するタリバーンを排除することまでは正当化していないと語った。
司会者の「テロリストの排除にタリバーン政府を倒す必要がある場合」という前提の質問に答えた。
アナン氏はしかし、
「飢餓と干ばつのために、アフガンの人々自身が変革を求めていると承知している」と付け加えた。
アナン氏はさらに、米国が新たな国連の決議なしに軍事力を行使できるか、との問いに、
「(9月12日と28日に採択された)安保理決議は、テロ攻撃を世界の平和と安全への脅威
として、個別及び集団的な自衛の権利を再確認している」と述べた。(10:09)
http://www.asahi.com/international/update/1003/005.html


[朝日新聞10月7日]
東京で相次ぎ報復攻撃反対の集会

nat100704.jpg
集会に参加した市民グループの人たち=AP
米国の同時多発テロをめぐり、米国の報復攻撃や日本政府のテロ対策に反対するグループが
東京都内で7日、相次いで集会を開いた。
有楽町の路上では、沖縄の米兵による少女暴行事件を機にできた
「NO!レイプ NO!ベース女たちの会」が呼びかけたリレートークがあった。
10数人が「報復が報復を呼ぶ連鎖を断ち切ろう」などと訴えた。
渋谷の宮下公園では、「許すな!憲法改悪 市民連絡会」(代表・奥平康弘東大名誉教授ら)
など約150の団体が集会。1500人が集まった。
国会に提出されたテロ対策特別措置法案について
「専守防衛が火事場泥棒的に崩されるのを防がなければ」と訴えた。(19:39)
http://www.asahi.com/national/update/1007/012.html


[朝日新聞10月8日]
米、アフガン攻撃を開始 タリバーン防空施設空爆か

int100705.jpg
テレビ演説するブッシュ米大統領=AP
ブッシュ米大統領は7日、テレビ演説で「タリバーン政権は代償を払うことになった」と述べ、
米英両軍によるアフガニスタンへの攻撃開始を宣言した。攻撃開始は現地時間7日午後9時
(日本時間8日午前1時半)ごろ。カブールやカンダハルのタリバーン政権の軍事拠点やテロ組織
アルカイダ施設などを空爆した。米国を狙った9月11日の同時多発テロ以降、イスラム過激派
指導者オサマ・ビンラディン氏の引き渡しをタリバーンに求めてきたブッシュ政権は、テロ組織
壊滅を目指す「新たな戦争」の一環として、軍事行動に踏み切った。

5500人以上の死者・行方不明者を出した史上最悪のテロ事件は、新たな局面を迎えた。

米CNN放送によると第1陣の攻撃は巡航ミサイルによるもので、タリバーンの防空施設の無力化
と、オサマ・ビンラディン氏の訓練拠点破壊をねらったという。
ロイター通信によると、アフガニスタンの首都カブール中心部で7日夜(日本時間8日未明)、
4回の爆発音が聞こえ、煙が上がっているのが目撃された。米国防総省は米軍の軍事行動が開始
されたかどうかについて確認も否定もしていないとしている。
三つの大きなせん光が7日夜、カブールから40キロ北方の上空で見られたと目撃者は語った。
ロイター通信が伝えた。また、ロイターのカメラマンは、カブール近郊のバグラム空軍基地方面の
上空で、青いせん光を見たと話した。カブール中心部近くで4回の大きな爆発音が聞こえた。
カブール住民は、電気供給が停止したとAFP通信に語った。
今回の攻撃について、ブッシュ政権は「アフガニスタン国民を標的とするものではない」と強調
している。だが、イスラム過激派の反発は必至で、米国内では報復テロに対して警戒を強めている。

米軍は今回のテロ発生以降、空母機動部隊をペルシャ湾、インド洋周辺に配備。
300機以上の戦闘機や爆撃機も湾岸地域に展開。周辺国に領空通過や基地使用などを要請して
攻撃を準備していた。
ブッシュ大統領は最大5万人規模の予備役を招集、NATO(北大西洋条約機構)加盟国をはじめ
とする各国から支持・協力を取り付けると同時に、タリバーン政権にビンラディン氏の引き渡し
などを要求。パキスタンをはじめ隣国にも外交圧力を強めていた。パキスタンは、米国の武力
攻撃を回避するため、ビンラディン氏を引き渡すようタリバーンの最高幹部らと接触。
タリバーンは米国にビンラディン氏関与の証拠を求めるなどとして、身柄引き渡しを拒否していた。
ブッシュ大統領は9月20日、議会の上下両院合同会議で演説し、タリバーン政権を「殺人者」と非難。
あくまでビンラディン氏とその組織「アルカイダ」の全幹部を引き渡すよう要求する一方、
テロ組織の壊滅へ米国の総力を注ぐ決意を宣言していた。

事件は9月11日、米旅客機4機がハイジャックされ、うち3機はニューヨークの世界貿易
センタービルとワシントン近郊の国防総省に相次いで突入し、1機が墜落。
米国の中枢を標的にしたみぞうのテロとなり、死者、行方不明者は5500人以上にのぼっている。(06:17)
http://www.asahi.com/international/update/1007/022.html


[朝日新聞10月8日]
「ムスリムの偉業」ビンラディン氏、テレビでテロを称賛

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは7日、米英軍によるアフガニスタンへの攻撃開始直後、
オサマ・ビンラディン氏の映像を放映した。ビンラディン氏は米国での同時多発テロについて
「神はムスリム(イスラム教徒)先兵による米国の破壊を祝福し、彼らを天国へ招く」と述べた。
テロへの直接関与は明言していないが、「ムスリムたち」の犯行だと初めて言及、事件を称賛した。
撮影日時、場所は不明だが、同テレビ局は攻撃後に放映することを確約し、ビデオテープを入手
したとしている。ビデオでは、ビンラディン氏が率いるアルカイダと共闘する過激派組織ジハード
団のリーダー、アイマン・ザワヒリ氏の姿もあった。

オサマ・ビンラディン氏の発言要旨は次の通り。

巨大なビルが破壊され、米国は恐怖におののいている。
米国民が味わっている恐怖は、これまで我々が味わってきたものと同じだ。
我々ムスリム(イスラム教徒)は80年以上、人間性と尊厳を踏みにじられ、血を流してきた。
神は米国を破壊したムスリムの先兵たちを祝福し、彼らを天国に招いた。
今もイラクでは罪のない子供たちが殺されているのに、それを糾弾する声は聞かれない。
イスラエルの戦車がパレスチナで破壊行為を続けているのに、だれもそれを直視しようとしない。
なのに剣が米国に振り下ろされると、偽善者たちは悲しみを表明する。
米国はテロに立ち向かうとうそをつき続けている。
(原爆を投下された)日本をはじめ、世界中で何十万人が殺されても、米国はこれを犯罪とは呼ばない。
(98年に米国大使館連続爆破のあった)ナイロビとダルエスサラームで米国人が殺されると、
アフガニスタンなどに爆弾を落とす。
世界は今、信仰をもつ者と、異教徒に分かれようとしている。すべてのムスリムは信仰を守るため、
立ち上がらなければならない。預言者ムハンマドの地、アラビア半島から悪魔を追放する風が吹いている。
米国民よ、私は神に誓う。パレスチナに平和が訪れない限り、異教徒の軍隊がムハンマドの地から
出ていかない限り、米国に平和は訪れない。
(10/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001100801230.html


[朝日新聞10月8日]
【テロ報復】「最後の血の一滴まで戦う」 タリバーン大使

アフガニスタン・タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は7日、
「オサマ・ビンラディン氏と(タリバーン最高指導者)オマール師は無事だ」と述べた。
「我々は最後の血の一滴まで戦う」と、聖戦(ジハード)として臨む姿勢を鮮明にした。
アフガン・イスラム通信(AIP)によれば、タリバーン政権はカブールでの8日の緊急閣僚会議
で、徹底抗戦することを決議。ムタキ報道官は、米国が求めるビンラディン氏の身柄引き渡しにつ
いて、「われわれの(引き渡し拒否の)姿勢は変わらない」と述べた。

米英軍の攻撃は首都カブールに3度、ジャララバードに2度あるなど、7日夜から8日未明の約8
時間に3波にわたった。
同通信は、カブール空港周辺で10人、カブール中心部にあるタリバーンのラジオ局
「シャリア放送」の近くで10人が死亡したほか、アフガン西部ヘラートの軍用空港でタリバーン
兵士5人が死亡したと報じた。
ザイーフ大使は8日、
「米軍は住民と軍事目標を区別して攻撃していると言うが、実際は区別されていない」と、
死者に子どもや女性ら民間人が含まれているとした。
カブールからの情報によると、空爆開始から一夜明けた8日朝、数千人の市民が居住地から避難を
始めたという。カンダハルでは郊外の空港にある軍事施設が主要な標的になった。
オマール師はミサイル攻撃の約15分前に執務室から退去。同室は壊れたという。

西部のファラーでは、米英軍側の軍用機1機を撃墜したとしている。
一方、ラムズフェルド米国防長官は1機も撃墜されていないとした。
ジャララバード南方約65キロのトラバラも空爆を受けた。
ここはビンラディン氏が出入りしていた軍事基地だった。(10/09)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001100802052.html


[朝日新聞10月8日]
【テロ報復】イラン「容認できない」 米報復攻撃を批判

米国がタリバーンに攻撃を行ったことについて、イラン政府は批判を強めている。
イランの最高指導者ハメネイ師は8日の演説で
「本当の目的はテロの根絶でなく、地域での影響力拡大なのに」と米国を非難した。
ハラジ外相は同日の記者会見で、
「攻撃はテロの根絶につながらず、かえって過激主義を伸長させる。容認できない」と批判した。
また、タリバーン政権崩壊を前提に、
「アフガニスタンの将来は同国民自身が決めることで、他国が押しつけるべきでない」と述べ、
ザヒル・シャー元国王を復帰させる動きをけん制した。(10/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001100801467.html


[朝日新聞10月8日]
【テロ報復】自治政府の過剰反応に、学生が暴徒化 パレスチナ騒乱

米英軍のアフガニスタン攻撃で、イスラム世界に反米感情が広がる中、パレスチナ自治区ガザで
8日、攻撃に抗議する学生が警官隊と衝突し、死傷者が出た。民衆の「ビンラディン支持」が
欧米にメディアで広がるのを恐れたパレスチナ警察が銃撃で過剰反応し、学生を暴徒化させて
しまった。住民の反発がさらに広がれば、自治政府の基盤は大きく揺らぎかねない。
この日、反米・ビンラディン支持のデモがあったのは、イスラム過激派ハマスの支持者が多い
イスラム大学の近くの通り。警察は「違法デモ」として退去を求めたが、学生側の投石に、
自治政府は催涙弾で応じた。間もなく、治安部隊が実弾を発射、学生に数人のけが人が出たこと
から衝突がエスカレートした。
8日夕には、イスラム大学に近い自治政府航空管理局のビルが焼き打ちされ、ガザ市北西部の
ビーチ難民キャンプの警察署にも火が放たれた。
自治政府はイスラム大学だけでなく、パレスチナ解放機構(PLO)主流派のファタハの影響力
が強いとされるアズハル大学をも閉鎖した。
この日、自治区のハマス幹部のハサン・ユーセフ師は「イスラエルの後ろ盾となっている米国に
よるアフガン攻撃は、イスラム教徒に対する犯罪行為である」と非難。ガザのデモ隊の中核も
イスラム過激派ハマスの支持者と見られるが、一般住民にも米国への反発は高まっていた。
パレスチナ自治区では9月下旬にアラファト議長とペレス外相が合意した停戦が、3日の
パレスチナ過激派の入植地襲撃で崩壊し、その後、イスラエルは自治区の2カ所に侵攻、占拠。
一触即発の状態は続いている。自治政府は米国の強い要請を受け、5、6の両日でハマスの活動家
ら20人を逮捕した。
さらにパレスチナ警察は対米同時多発テロの際、パレスチナ人が通りで喝さいする映像が世界に
流れ、対応に追われた。今回、同警察はデモの現場から報道陣を締め出し、現場のテレビの
ビデオフィルムを押収するなどの措置をとった。デモ隊への性急な銃撃も、力で押さえ込もうと
した結果と見られる。(01:15)
http://www.asahi.com/international/update/1008/061.html


[朝日新聞10月8日]
日本国内で空爆に抗議する活動相次ぐ

日本各地で8日、空爆に抗議する街頭演説や署名、集会が相次いだ。難民の大量流出が予想される
ことから、緊急援助に取り組む非政府組織(NGO)の動きもあわただしくなった。
東京・上野の水上音楽堂。喜納昌吉さんら約40組の音楽家による集会では、出演者が危機感を訴えた。
客席では1歳4カ月の息子を抱いた大島幹子さん(34)が
「祈るぐらいしかできないけど、日々精いっぱい
生きているお母さんや子どもが犠牲になってしまう」と話した。
渋谷では都内や神奈川県内の高校生約70人が集会を開いた。町田市の高校1年佐藤知弘さん(16)は
「罪のない人々や飢えに苦しむ子どもたちが犠牲になるのは、耐えられない」。
広島市では被爆者団体などが原爆ドーム前で抗議のために座り込んだ。
パキスタンのペシャワルで活動中の「難民を助ける会」(本部・東京)は9日にも、
現地スタッフのトラックで水や5千人分の食糧を国境付近のキャンプに運ぶ。現地では空爆後、
NGOや政府の建物が焼かれたとされる。「無事に運べるか心配」と同会スタッフ。(21:18)
http://www.asahi.com/national/update/1008/010.html


[朝日新聞10月8日]
沖縄の米軍施設などの警備に本土から機動隊を派遣

nat100801.jpg沖縄の米軍基地の警備強化などのため、自衛隊の輸送機に乗り込む機動隊員ら
=8日午後0時10分、航空自衛隊小牧基地で

在日米軍の7割を超える施設が集中する沖縄県に対し警察庁は8日、周辺警備の応援に本土から
機動隊員約420人を派遣した。一部は航空自衛隊の輸送機で沖縄に入った。
今週中に計450人態勢に増強する。ものものしさを増す警備ぶりに、住民からは地元産業への
影響などを懸念する声もあがった。
沖縄県に派遣された機動隊は中部管区警察局の約120人と九州管区警察局の約300人。
中部管区からは週内に、さらに約30人が車両とともに沖縄入りする予定。約160人しかいない
沖縄県警の機動隊の応援が主な目的で、米軍関連施設だけでなく「県民も守る」という。
実際に米軍基地前に立つのは、早くても9日になりそうだ。
このうち、中部管区の機動隊は8日午後、愛知県の航空自衛隊小牧基地を飛び立った輸送機C1
計4機で沖縄に入った。自衛隊機の利用は、警察庁から防衛庁に要請した。
「民間機の手配には時間がかかる。一刻も早く隊を送りたかった」(警察庁幹部)という。
ジュラルミンの盾などの装備品が多いのも大きな理由のひとつだという。
沖縄県警によると、本土からの派遣は91年の湾岸戦争の時で約300人で、自衛隊機は使わな
かった。それを上回る警備増強ぶりだ。
防刃服をつけた警察官が警備する沖縄市の米空軍嘉手納基地の第2ゲート前では、普段着で買い
物袋を提げた米兵の姿が目立った。
この日は「コロンブスデー」の休日で、テロ直後ほどの緊迫感はない。
名護市の海兵隊キャンプ・シュワブから買い物に来たという米兵2人は
「いよいよだとは思ったけど、気持ちも特に変わらないよ」と言った。
嘉手納基地ではテロ事件以降、発着する輸送機の数が激増したが、8日は目立った動きはなかった。
基地の様子が一望できる「安保の見える丘」にはこの日も、本土からの修学旅行生がアジア最大と
言われる広大な基地内に目を凝らしていた。
米海兵隊の基地キャンプ・ハンセンが面積の6割を占める同県金武町。吉田勝広町長は同日朝、
基地の周囲を見回り、「警察の警備は少々過剰反応のような気もする。これでまた観光客が減る
ことにならないか。世界情勢が変化するたびに沖縄が揺さぶられる。基地を持っていって欲しい」
と話した。
また機動隊員が自衛隊機で到着したことについて、沖縄平和運動センターの岸本喬事務局次長は
「テロ対策特措法や自衛隊法改正への地ならしを国内向けにしているとしか思えない」と懸念を示した。(01:31)
http://www.asahi.com/national/update/1008/011.html


[朝日新聞10月9日]
米武力行使「決議に沿ったもの」 国連事務総長が声明

アナン国連事務総長は8日、声明を発表し、米英軍による武力行使を、テロに対し
「あらゆる手段を講じる」とした9月12日に採択の安保理事会決議に沿ったものと評価。
この行動が国連憲章が保障する各国の個別または集団的自衛権の行使であると再確認した。
声明はまた、
「アフガン国民はタリバーン政権に責任があるわけではない」として、国際社会に支援を求めた。(10:16)
http://www.asahi.com/international/update/1009/004.html


[朝日新聞10月10日]
「乗っ取りテロ続く」、アルカイダが聖戦遂行呼びかけ

int101002.jpgイスラム教徒に聖戦遂行を呼びかけるアルカイダのスポークスマン。
カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」で放映された=AP

オサマ・ビンラディン氏率いる国際テロ組織アルカイダは10日までに、カタールの衛星テレビ
局アルジャジーラを通じ、アフガニスタン空爆への報復として、ハイジャック機を使った米国へ
の攻撃は今後も続くと宣言する声明を発表した。
米国での同時多発テロについても「彼らは良い仕事をした」と評価した。
アルカイダのスポークスマンを名乗るアブガイス氏が声明を発表する様子を収めた映像を同テレビ
局が放映した。収録した日時や場所は不明。
同氏は声明で、米英軍によるアフガンへの攻撃をキリスト教徒による「十字軍のテロ」と非難。
世界中のイスラム教徒に対し、ジハード(聖戦)に立ち上がることは義務だと訴えた。
ハイジャック機突入によるテロを米国の中枢に仕掛けた戦いだと称賛。
「米国は(アフガンへの攻撃によって)終わりなき戦いの扉を開けた。イスラムの地から立ち去り、
イスラエルへの支援とイラクへの制裁を終わらせない限り、戦いは続く」、
「航空機乗っ取りによる攻撃に終わりがないことを知るべきだ」とも語り、
世界各地にある米国の権益のすべてが攻撃対象になると警告した。(10:55)
http://www.asahi.com/international/update/1010/003.html


[朝日新聞10月11日]
対米闘争へアフガン入り呼びかけ パキスタン過激派

アフガニスタン・タリバーンを支持するパキスタンのイスラム原理主義派「イスラム聖職者協会」
(JUI)は10日夜、米国と戦うためにアフガン入りするよう呼びかける声明を出した。
同協会の最高指導者ラフマン師から、戦いに向けた「最後の指令」が下ったかたちで、神学生を中心
にアフガン加勢の動きが今後さらに強まりそうだ。
ラフマン師名の声明はすべてのパキスタン人に対し、アフガンに向かうよう求めている。
アフガンと国境を接するパキスタン西部チャマンの消息筋によると、神学生100人がすでにアフガン
入りしたことが確認された。ほかに300人が義勇兵志願リストに登録したという。(10/11)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101102230.html


[朝日新聞10月15日]
米大統領、タリバーンの提案拒否 再度4条件突きつける

ブッシュ米大統領は14日、アフガニスタン・タリバーン政権が空爆停止などを条件にオサマ・
ビンラディン氏を第三国に引き渡す用意があると提案したことに対し、
「交渉や協議の必要はない」と述べ、同氏と幹部の即時引き渡しなど米側の4条件を改めて突き
つけた。一方、米軍の空爆は2週目に入り、首都カブールや南部のカンダハルなどのタリバーン
の拠点に攻撃を加えている。
大統領は「彼(ビンラディン氏)は有罪だ。これは交渉ではない」と述べ、
タリバーン側の提案を拒否。「タリバーンが軍事作戦の中止を望むならば、私が示した条件をの
むべきだ」と迫り、ビンラディン氏の引き渡し▽テロ組織の幹部引き渡し▽テロ組織の訓練施設
の破壊▽外国人の「人質」の解放を改めて要求した。
ホワイトハウスで記者団に語った。大統領は11日の会見で、米側の条件が満たされれば、
「我々の(軍事)行動を再検討するだろう。まだチャンスはある」と述べていた。
一方、国防総省は13日、海軍の戦闘攻撃機FA18ホーネットが12日の空爆で、カブール空港
付近の住宅地域を誤爆したことを認めた。詳細は調査中だが、目標選択の過程で起きた人為的な
ミスで、空港の軍事ヘリを狙って、衛星による誘導爆弾を投下したが、住宅地区を誤爆。
地上から得た情報によると、民間人4人が死亡、8人が負傷した恐れがあるという。
米軍は14日も空爆を継続。ヘラートの飛行場付近やジャララバード、マザリシャリフなどにも
攻撃を加えている模様だ。空爆は2週目に入り、これまでの空爆で見落とした標的などを重点的
に狙っているようだ。
ロイター通信が目撃者の話として伝えるところによると、カブール付近に対しては、4機が空爆、
タリバーンと戦う北部同盟の前線に近い地域にも数発の爆弾が落ちたという。これに関連して、
パキスタンのサッタル外相は同日、ABCテレビの番組で、北部同盟によるカブール陥落は状況
を不安定化させると警告した。(10/15)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101500506.html


[朝日新聞10月15日]
パキスタン全土でゼネスト、カラチで4人けが

パキスタンで15日、複数のイスラム政党でつくる「アフガン防衛協議会」が呼びかけたゼネスト
が行われた。
カラチでは公共バスをはじめ交通機関などがストに応じたため、住民の約半数が職場にたどり着
けなかったという。また、約1万人が参加するデモが2カ所で行われ、警察の交番を襲ったデモ
隊に警官が発砲するなどして、計7人がけがを負った。
一方、イスラマバードやラワルピンディでは、一部の店舗は朝から店を閉めたが、大半は通常通り
営業した。ペシャワルでは、デモ隊による暴力をおそれてデモ隊が通過するときは店を閉めたが、
デモ隊が去った後には再び店を開けた。(10/15)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101503312.html


[朝日新聞10月16日]
ききんや難民、アフガン最悪の事態に 国連報道官

イスラマバードの国連関係機関のバンカー報道官は15日会見し、
アフガニスタンで今後発生することが予想される大量の難民やききんなどの問題について、
「過去最悪の緊急事態が起きようとしている」と述べた。
同報道官は「ここ20年間、アフガンの状況は悪化し続けている。
今回の戦争が決定打になりかねない」と語り、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界
食糧計画(WFP)など国連各機関は総力を挙げてアフガンへの人道支援に取り組む考えを示した。
同時に会見した国連児童基金(ユニセフ)は、アフガンで今冬に10万人の子どもが寒さや飢え
のために死亡する恐れがあることを指摘した。(10/16)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101601800.html


[朝日新聞10月16日]
米国民は空爆よりテロに関心 炭そ菌事件の広がりに不安

炭そ菌感染事件で広がる国民の不安を抑えるのに米政府が苦労している。ブッシュ大統領は15日、
「米軍は熟練と正確さで行動している」と述べ、空爆の成果を誇った。
しかし、国民の関心は「外の戦争」よりも「内のテロ」にあるようだ。
ニュース番組も炭そ菌の事件に多くの時間を割いている。
「政府の役人は心配するな、パニックになるなと毎日言っているが、新たな出来事が毎日起きて
いる。我々は、どうしたらいいのか」。CNNの看板番組「ラリー・キング・ライブ」で、
司会者のキング氏が国民の気持ちを代弁した。
フロリダ州で最初の炭そ菌感染者が見つかった4日、トンプソン厚生長官は
「単独の発生と見られる。テロと結びつけるものはない」と述べたが、10日後には、
ビンラディン氏のテロ組織との関連は不明としながらも「一連の事件はバイオテロ」と認めた。
ブッシュ大統領も15日、テロ組織と「関連があるかもしれない」と踏み込んだ。
炭そ菌が送りつけられた場所が全国規模に広がり単独犯よりも組織犯罪の様相をみせている。
NBCに届いた炭そ菌入りの郵便物には米国やイスラエルをおどす言葉があった、などの情報が
テロ組織との関連を連想させている。
ワシントン・ポスト紙とABCの最新の世論調査によると、回答者の65%が炭そ菌事件を懸念し、
54%が家族や知人がその犠牲になることを不安に思っていることがわかった。
また、85%が政府の対応を満足と答えたが、初動捜査の遅れ、検査体制の不備などを指摘する
記事もふえてきた。
「バイオテロは、必ずしも多くの人を殺す必要はない。恐怖をまき散らせばいい。
だから、テロが起きてもパニックになるべきではない」。
ニューヨーク・タイムズ社で「白い粉」を浴び、その後炭そ菌ではないことがわかった、
ジュディス・ミラー記者がテレビで語っていた。(10/16)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101602558.html


[朝日新聞10月17]
米で日本外交官がとばっちり 記号「AF」に罵声

米国駐在の日本外交官の車のナンバープレートに使われている国を識別する記号「AF」が、
アフガニスタンと勘違いされ、通行人から罵声(ばせい)を浴びせられるなどの被害が続いている。
この記号は、米国務省が国ごとに機械的に割り振っているもので、記号に特に意味はないのだが、
アフガニスタンの国名と最初の2字が一致している。
日本大使館では国務省に変更を要請しており、年内にナンバープレートの記号が変更になるもようだ。
大使館幹部は「たまたま日本は昔からAFなのだから、迷惑な話だ」とぼやいている。(10/17)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101702390.html


[朝日新聞10月17]
米、赤十字倉庫の誤爆を認める 相次ぐ「ミス」

米国防総省は16日、カブールの赤十字国際委員会の倉庫を誤爆したことを認めた。
相次ぐ誤爆は「アフガニスタン国民は敵でない」としている米軍にとって、大きな痛手だ。
タリバーン側に格好の宣伝材料を提供して、アラブ・イスラム諸国の反米感情を助長しかねない。
国防総省がはっきりと「誤爆」と認めたのは、13日のカブール空港近郊の民間住宅に続いて
2回目。13日の誤爆では、衛星の全地球測位システム(GPS)による誘導爆弾が使われた。
しかし、「目標選択」の段階でミスがあったと認めており、誤った目標情報を入力していた公算が大きい。
米軍は8日のカブールの非政府組織(NGO)の事務所についても、誤爆の可能性を認めている。
タリバーン側はジャララバード西のクラム村についても、米軍の攻撃で民間人160人の遺体が
発見されたとして、外国報道陣にも現場を公開した。だが、この件については、
米側は「わからない」(ラムズフェルド国防長官)としながらも、
「ばかげた数字で、タリバーンはうそつきだ」(同)と否定的だ。
米軍は今回の対テロ戦で、意図しない民間人の巻き添えを極力出さないよう特段の注意を払って
きた。空爆の破壊効果とともに、心理効果も重視。パニックや混乱によるえん戦ムードをあおり、
タリバーン内の離反や造反に期待をかけている。しかし、誤爆が続けば、内外の反米感情に火をつけ、
こうした狙いが狂いかねない。(10/17)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101703119.html


[朝日新聞10月18]
米バークリー市議会がアフガン空爆を非難する決議

米カリフォルニア州のバークリー市議会は16日、テロとともに米国政府のアフガニスタン空爆
を非難する決議を賛成多数で採択した。空爆支持が圧倒的な米国で、地方の議会がこれに明確に
反対する姿勢を示した例は少ない。同市議会は当初、空爆に絞って議論した。
「テロリストに対して軍事力によるのでなく、法的措置を通じて正義をもたらすべきだ」という
決議案が提出された。しかし、これでは一方的だとしてテロリストの攻撃を非難し犠牲者を追悼
する内容も加えた。採決では賛成5、反対4だった。
この採決がカリフォルニア大学バークリー校の新聞を通じてオンラインで流れ、
ウォールストリート・ジャーナル紙が報じたことから、決議を非難する電話や電子メールが
バークリー市議会に殺到しているという。
バークリー市議会は9月にも、同市を選挙区とする連邦議会のバーバラ・リー下院議員がブッシュ
大統領に軍事力行使の権限を与える決議にたった一人で反対したことをたたえる決議をした。
サンフランシスコの郊外にあるバークリーは、ベトナム反戦運動など米国の中でも歴史的に最も
リベラルな動きが強い地域。テロ事件の直後からも平和解決を求める集会が、
市民やカリフォルニア大学バークリー校の学生の中から起きていた。(10/18)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101703162.html


[朝日新聞10月18]
ユダヤ系団体がテレビ朝日に抗議 解説者の発言「不当」

米ロサンゼルスに本部を置くユダヤ系団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは17日、
テレビ朝日の番組のニュース解説でユダヤ人に関して不当な発言があったとして、
同局の川村晃司・元カイロ支局長の更迭と会社としての謝罪を求めた。
同センターによると、川村氏は米国での炭疽(たんそ)菌事件について、
「ユダヤ人が狙われた。彼らが米国のメディアを支配しているためだ」という趣旨の発言をしたが、
これは偏見に基づく誤りだと指摘している。同センターによると、初期の炭疽菌の被害者に
ユダヤ人はいないという。

川村氏は現在テレビ朝日の「スーパーモーニング」コメンテーター。
同局はこの文書を17日に受け取った。「ご指摘を受けた点については現在精査しており、
真摯(しんし)に対応したい」とコメントしている。(10/18)
http://miiref00.asahi.com/international/tanso/K2001101803106.html


[朝日新聞10月19]
空爆による死者「600人から900人」タリバーン主張

アフガニスタン・タリバーン政権のスポークスマンは18日、カタールの衛星テレビ局
アルジャジーラに対し、米英軍の空爆による犠牲者について、
「600人から900人が死亡したか行方不明になっている」と語った。
スポークスマンは被害が民間人に広がっていることを強調。
相当数の犠牲者が空爆によるがれきの下に埋もれたままの状態になっており、正確な人数の把握
は不可能だという。(10/19)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001101902996.html


[朝日新聞10月20]
アフガン攻撃容認するな イスラム法学者が宗教見解

インターネット布教などで、世界のイスラム教徒(モスレム)の人気を集めているイスラム法学者
カラダウィ師はこのほど、ドーハの自宅で朝日新聞記者との会見に応じ、米英のアフガニスタン
攻撃を事実上、容認したイスラム諸国会議機構(OIC)外相会議の声明を批判し、アフガンの
モスレム同胞を助けることは、世界のモスレムの義務である、とのファトワ(宗教見解)を示した。
サウジアラビアでは、厳格なワッハーブ派の宗教権威の一人が最近、
「モスレムに敵対する異教徒を支援する者は、モスレムの資格がない」とサウド王家を間接的に
批判するファトワを出した。ワッハーブ派を自認する王家にとっては、統治の正統性にもかかわ
る一大事だ。このため、「アフガン民衆を苦しめる空爆には反対」(ナイフ内相)などと、微妙
な軌道修正を図っているようだ。
こうした動きについて、カラダウィ師は、
「同時多発テロの非難は当然だ。しかし、それを理由とした米英のアフガンに対する国家テロ
は非難すべきだ」と述べ、サウジをはじめとするアラブ首脳のあいまいな姿勢を批判した。
さらに同師は、アフガン攻撃に反対するイスラム宗教界の足並みがそろわない理由について、
「メディアを十分に利用していないからだ。それが世界でイスラムに対する誤解を招く原因と
なっている」と述べ、イスラム学者が西洋文明との対話にもっと積極的になるよう訴えた。
また、米国が新たに資産凍結を決めた39のイスラム慈善団体の中には、
テロ活動と関係のない組織が含まれていると指摘。
「証拠もなくモスレムの義務であるザカート(喜捨)に干渉するのは、
反イスラム感情をあおる政策だ」と、強い調子で批判した。(10/20)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001102000265.html


[朝日新聞10月20]
テロの最大の原因はパレスチナ問題 マレーシア首相訴え

マレーシアのマハティール首相は20日、上海でブッシュ米大統領と会談後、
「アフガニスタンへの軍事展開に賛成できない我々の立場を説明した。
テロ反対では一致したが対応の違いを互いに認めた」と語った。
首相は「テロが起こる原因を取り除くことが必要で、パレスチナ問題が最大の原因だ。
中東危機が解決しない限り国際的テロは終わらないと大統領に説明した」という。
米国はマレーシアなどイスラム諸国も参加するAPEC首脳会合を武力行使に同調する国際世論
作りの舞台にする構えだが、首相は「反テロと武力行使は別問題」というイスラム側の立場を改
めて強調した。
APEC首脳会合は21日、テロに反対する宣言を採択する見通しだが、イスラム諸国には米国
のアフガン攻撃への抗議が高まっている。首相は、こうした声も代表する形で、空爆の中止と
パレスチナ問題の解決を訴えた、と見られる。
マレーシアでは最大野党の全マレーシア・イスラム党(PAS)が、アフガン支援のジハード
(聖戦)を呼びかけるなどの動きが活発化している。(10/20)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001102001737.html


[朝日新聞10月22]
アフガンの子ども40万人死亡も ユニセフが援助訴え

国連児童基金(ユニセフ)はこのほど、アフガニスタンで救援物資が十分に行き渡らなかった場合、
子供への影響が深刻だと強調、国際社会に資金援助を呼びかけた。
ユニセフのアフガニスタン担当のラローシュ氏によると、首都カブールの子供の95%が暴力行為
を目撃し、7割が家族を失うなど子供を取り巻く環境は悲惨だ。同国全体で5割以上の子供が栄養
失調の状態で、ここ数年の子供の年間死者数は30万人にのぼる。さらに今の状態が続けば、この
冬10万人死者が増えるという。大半の原因は栄養失調や寒さ、不衛生な生活による感染症などで、
援助物資が届けば助けられる人災だという。
ユニセフは緊急に3600万ドルの資金援助を国際社会に求めたが、現在その半分しか集まってい
ない。世界食糧計画(WFP)の場合、2億5700万ドルが必要と試算、すでに7000万ドル
の資金を保持していたが、その後1500万ドル程度しか集まっていないという。(07:05)
http://www.asahi.com/international/update/1022/002.html


[朝日新聞10月22]
「ラマダンまでに攻撃終了を」 パキスタン大統領

ロイター通信によると、22日、パキスタンのムシャラフ大統領は米CNNテレビのインタビュー
番組で、米国のアフガニスタンへの攻撃が「ラマダン(イスラム教徒の断食月)に入る11月中旬
までに終わることを希望している」と述べた。
ムシャラフ氏は「もしラマダンに入ってからも攻撃をするならば、抑制してほしい。
長引いた場合には、イスラム圏全体に否定的な影響があるだろう」と懸念を語った。
ラマダンはイスラム教徒が年間で最も神聖とみなす時期で、約1カ月間にわたり、病人や妊婦など
を除くすべての信者が毎日、日の出から日没までの断食の行をする。(00:42)
http://www.asahi.com/international/update/1022/029.html


[朝日新聞10月24]
反タリバーン「第2勢力」結集 パシュトゥン人決起集会

アフガニスタンの元ムジャヒディン(イスラム戦士)や部族の長老らアフガン社会に影響力を持つ
アフガン人たちが24日、反タリバーン勢力の結集を目指した決起集会をペシャワルで開いた。
参加者の大半はパシュトゥン人で、タジク人らが中心の北部同盟と一線を画す第2の勢力の形成を
狙っている。
集会を主催したのはパシュトゥン人の名士で、今月上旬に元ムジャヒディンらが結成した
「アフガニスタン和平国家統一連合」(APNUF)の指導者のサイード・アフマド・ゲラニ氏。
集会の冒頭、ゲラニ氏はザヒル・シャー元国王をロヤ・ジルガ(国民大会議)の議長に指名する
ことに賛意を示し、「議長は国のトップになれる」と語った。
パキスタンのペシャワルなどには過去の内戦やタリバーン政権を嫌って逃げ出したアフガン人の
有力者が大勢いる。集会にはそうした有力者1000人が参加。タジク人やウズベク人もいたが、
地理的にも近いパシュトゥン人が大半を占めた。
集会では、パシュトゥン人政党「アフガン国民党」のアノワル党首が「北部同盟が新政権の評議会
で半分の議席を占めるのは民族の人口比からしてもおかしい」と訴えるなど、元国王の擁立を旗頭
とする「パシュトゥン団結」の雰囲気が色濃く漂った。集会は25日に決議を採択する予定。(10/24)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001102402912.html


[朝日新聞10月25]
アイヌ民族に平沼経産相がおわび、鈴木宗男氏も「理解」

pol102501.jpg平沼経済産業相の「単一民族」発言に抗議するため、
同省ロビーに集まった北海道ウタリ協会の幹部たち=25日、東京・霞が関で

アイヌ民族の最大組織・北海道ウタリ協会の幹部らが25日、アイヌ民族の存在を否定する発言
をしたとされる平沼赳夫・経済産業相と鈴木宗男・自民党代議士に東京都内で会い、抗議した。
両氏は今後アイヌ民族への協力を約束したという。
「(日本は)単一民族」と発言した平沼氏は、大臣室で協会幹部と面会。協会幹部らによると、
「発言で不快な思いをさせたことはおわびする」と述べ、アイヌ民族への認識不足を認めて
「このような発言は二度としない」と頭を下げたという。
秋田春蔵理事長は「率直に謝っていただいて驚いた」と話した。
「アイヌ民族は今はまったく同化された」などと発言した鈴木氏は、議員会館で面会。
協会幹部によると、「生活の中で仲良くやっていると言いたかった」と説明。
幹部が「差別は今もあり、同化の言葉にアイヌ民族は痛い思いをする」と指摘すると、
驚いた様子だったという。
鈴木氏側は「今回は抗議ではなく、話し合いだと受け止めている」と話した。(21:22)
http://www.asahi.com/politics/update/1025/004.html


[毎日新聞10月26日]
アイヌ民族差別:平沼経産相、ウタリ協会に陳謝 

「日本は単一民族」などと講演で発言しアイヌ民族の最大組織・北海道ウタリ協会の抗議を
受けていた平沼赳夫経済産業相は26日の定例会見で、
「ウタリ協会の幹部と25日に会い、
『私の発言が不快な念を与えたことについては謝らなければならない』とお話しした」と、
協会に陳謝したことを明らかにした。
平沼経産相は7月に札幌市内で行った講演で
「日本ほどレベルの高い単一民族で詰まっている国はない」などと発言し、同協会が反発していた。
平沼経産相は「25日に同協会幹部の訪問を受け、長い歴史の中で培ってきた伝統・文化を否定
するつもりで話したのではなかったと、私の真意を伝えた」と述べた。 【荒木功】( 2001-10-26-12:46 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/836768/83A83C83k-0-1.html


[北海道新聞10月26日]
道ウタリ協会幹部らが鈴木、平沼両氏と和解 単一民族発言問題

北海道ウタリ協会の秋田春蔵理事長ら役員約二十人は二十五日、「日本は単一民族」と発言した
平沼赳夫経済産業相、「アイヌ民族は同化されている」「一国家一言語一民族」などと述べた
鈴木宗男衆院議員と相次いで個別に東京都内で面会。話し合いはともに非公開だったが、
秋田理事長らは事実上、両者と和解したことを明らかにした。
秋田理事長らはまず経産省に平沼氏を訪ねた。秋田理事長は面会後、
「大臣は『迷惑をかけたことはおわびする』と言ってくれた」と平沼氏側の対応に理解を示した。
経済産業相秘書官は平沼氏に代わり、
「大臣は(アイヌ民族の皆さんに)不快の念を与えたことに遺憾の意を表した」と説明している。
このあと一行は衆院議員会館に鈴木氏を訪ねた。鈴木氏は「同化と言ったのは、(お互いが)
仲良くなったということ。一国家は日本国、一言語は日本語、一民族は国民という意味で使った。
私はアイヌ民族をちゃんと認めている」と説明。これを受けて秋田理事長は
「先生の真意が分かった」と話した。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20011026/0022.200110252407.html


[北海道新聞11月30]
「日本は単一民族」尾身沖縄・北方相が発言

尾身幸次沖縄・北方担当相は29日、都内で講演し、日本社会の特徴について
「日本は単一民族だ。日本人といえば大和民族だ。多少の例外はあるが、人種と
国が大体合っているという意味で、日本の実情は世界の基準から見たら全く特殊な国だ」
と述べた。
小泉内閣では、平沼赳夫経済産業相も今年7月、同趣旨の発言を行い、アイヌ民族
でつくる北海道ウタリ協会などから抗議を受けている。
尾身担当相は日本の社会構造について「同質性、同一民族、ホモジーニアス(同質)な社会
で、競争よりも協調性を重んじるようなシステムがある。これが戦後50近く強みだった」
と強調した。
その上で「日本は米国のような人種のるつぼになる可能性は無い。ホモジーニアスな人種
構成をとっている日本が、そのことをしっかり自覚して効率的、競争的、弾力的な社会に
変えていかなければならない」と述べた。

「許せない」ウタリ協会理事長

尾身幸次沖縄・北方担当相の発言について、北海道ウタリ協会の秋田春蔵理事長は
「ふざけた話しだ。平沼、鈴木両氏の発言に私たちがどれほど心を痛めたか、両氏に
直接会って話ししたばかりだそれを百も承知で、あえて『単一民族』という言葉を使う
のは、アイヌ民族をばかにしており、断じてゆるせない」と憤慨し、早急に三役会議や
臨時の理事会を開く考えを示した。
また「抗議文を送るか、場合によっては直接面会して真意をただすことになる』と述べた。


[朝日新聞12月2]
「傷つける意図ない」尾身沖縄・北方担当 単一民族発言で

尾身幸次沖縄・北方担当相は30日午前の閣議後の記者会見で、29日の講演で
「日本は単一民族だ。日本人といえば大和民族だ」と発言した事について
「アイヌ(民族)の方々の民族としての誇りを傷つけるような意図はまったくなかった」
と釈明した。この上で
「どういう表現を使ったか記憶が定かでないので、きつんと確認した上でコメントしたい」と述べた。

講演の趣旨について
「経済、社会の国際化の中で日本がこれから発展していくためには(日本が)他の国に比べ均質性
の高い社会で、これをどういうふうに受け止めていくかという問題提起をしたかった」と補足した。
アイヌ民族については「よくわかっているつもりだし、これからも(アイヌ民族を)大事にして
いかなければならないと思っている」と述べた。


[北海道新聞12月2]
尾身担当相 道ウタリ協会に陳謝 単一民族発言「不適切な言葉」

尾身幸次沖縄・北方(科学技術)担当相は1日、北海道ウタリ協会の秋田春蔵理事長ら
6人と札幌市内のホテルで会い、「日本は単一民族」と発言したことについて、
「不適切な言葉を使い反省している。おわび申し上げる」と陳謝した。
尾身氏は、北海道産学関連携サミット出席のため札幌市を訪れた。

会談ではまず、同協会の秋辺得平副理事長が
「発言は信じがたく、日本国民を構成するあらゆる民族に対する配慮を欠く。強く反省を求める」
などとする抗議文を読み、発言の意図、アイヌ民族に関する認識、日本が単一民族で無い
認識を国民に周知する具体策について、文書での回答を求めた。
これに対し尾身氏は発言を陳謝し、文書回答を約束した。

会談後、秋田理事長は
「大臣や国会議員から次々とこういう発言が出るのは遺憾。握手はしたか礼儀としてしたまで」
と述べ、尾身氏と若いしたわけではないとの認識を示した。
また、同協会は同日、小泉純一郎首相に適切な対応を求める文書を郵送した。


[朝日新聞12月16]
[取材メモから 2001] B 相次ぐ「単一民族」発言

何が過ちか 明示せずあいまいな形で幕引きを図る政治家たち。
不信感だけが募る

「大臣は謝罪していません。陳謝、おわびはしましたよ。
不本意ながら(アイヌ民族の人たちに)不快な思いをさせたんですから」
平沼赳夫・経済産業相の秘書官の説明に、私の頭の中は「?」だらけになった。
「(日本は)単一民族」と発言した平沼氏に抗議するため、10月25日、
北海道ウタリ協会の約20人が大臣室で面会した。報道陣は中に入れなかったが、
秋田春蔵理事長ら協会幹部は面会後、「大臣が率直に頭を下げ、謝罪した」と誇らしげに語った。
ところが、会談内容を確認しようと大臣側に取材した際に飛び出したのが、冒頭の説明だ。
「謝罪とおわびの違いは何か」との質問に秘書官は直接は答えず、
「とにかく謝罪はしていない」の一点張り。
協会幹部も「謝罪を認めないのはプライドからなのか。
我々には謝罪もおわびも同じなんだが」と苦笑した。

念のため、辞書で調べてみた。
「陳謝=わけを述べてあやまること」「おわび=あやまること」
「謝罪=罪やあやまちをわびること」とある。
大臣側が「謝罪」という言葉を避けたのは、「罪やあやまち」をはっきり認めないで、
ただ「おわび」したからだろうか。後味の悪い、あいまいさだけが残った。
同じ日に抗議した「同化」発言の鈴木宗男・自民党代議士の場合は、もっとあいまいだった。
鈴木氏が面談を許したのは協会の理事長、副理事長ら4人。約1時間半の話し合いについて、
鈴木氏は「発言を(最初に)報じた朝日新聞の取材には応じない」と拒んだ。
協会側も歯切れが悪い。
秋田理事長は「よく話し合い、悪意が無かったと分かったので和解した」と言う。
だが、同席した別の幹部は「明確な謝罪は最後までなかった」と明かす。

11月29日、今度は尾身幸次沖縄・北方担当相から、またもや「単一民族」発言が飛び出した。
私には、尾身発言は平沼、鈴木両氏のあいまいな幕引きが影響しているように思えてならない。
抗議を受ければ、発言の何が過ちだったかを明確にしないまま、ただおわびして、和解する。
政治家のこうした対応が、その言動をますます軽くしていく。
アイヌ民族の人たちの不信感が募るのも当然だろう。
尾身氏もすぐに謝罪した。
だが、ウタリ協会が要望した具体的な再発防止策については15日現在、回答がない。
どのような具体策を提示してくるのか。アイヌの人たちと共に、私も待ちたい。
(小西 正人)(12/16)
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news02.asp?c=5&kiji=371


[北海道新聞12月23日]
■卓上四季 アイヌ副読本(12月23日)

<一つの国の中には、一つの民族だけが住んでいるのではありません。
日本国民だからといって、同じ民族であるとは限りません>
▼「アイヌ民族 歴史と現在」は今春、小学四年と中学二年生の社会科の副読本として、
市町村教委を通じて道内の小中学校に十二万冊配布された。
「未来を共に生きるために」の副題に願いがにじむ
▼四年前のアイヌ文化法制定を受け、財団法人アイヌ文化振興研究機構が、アイヌ民族の
識者中心の執筆体制を組んで作成した。言語まで奪おうとした明治以降の政府の過酷な同化政策や、
いまだに残る偏見にも触れている
▼アイヌ民族の子弟が多い日高地方では、郷土史の補助教材として使われている。
札幌でも「教える側が知らなければ」と、教師たちの研究サークルが学習会を開いた。
文化法が描く<民族の誇りが尊重される社会>を目指す努力の輪が広がる
▼そんな共生の新芽を摘み取りかねない無神経な発言が繰り返された年でもあった。
「アイヌ民族は同化された」「日本人といえば大和民族」。
元道開発庁長官や現職閣僚ら自民党の政治家だ
▼この人たちは「単一民族」発言の自己矛盾に気づいていない。
文化法は衆参両院の全議員の賛成で成立したのだ。こんな調子では、アイヌの人々が
「差別禁止法」を求めるのも当然ではないか。
腹の中に差別の虫がいる政治家にこそ副読本を読ませたい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/sch-kiji.php3?&query=アイヌ&dd=20011225&kiji=0033.200112254486


[毎日新聞3月2日]
鈴木宗男議員:会議への参加拒否 関与の有無調査 ウタリ協会

北海道ウタリ協会(秋田春蔵理事長)が昨年8月、「国連反人種主義・差別撤廃世界会議」への参加を外務省に拒否された問題をめぐり、同協会は2日までに、鈴木宗男衆院議員の関与の有無を調査する方針を決めた。鈴木氏の「アイヌ民族は同化された」発言への対応をめぐり、鈴木氏の有力後援者の前理事長が直前に解任され、その後、参加拒否問題と鈴木氏の関連について一部で報道されたため。鈴木氏は昨年7月2日、「アイヌ民族はいまは全く同化された」と発言。同協会は発言を問題視したが、鈴木氏の帯広市の後援会長を務める当時の理事長が鈴木氏に抗議しなかったため、8月6日の理事会で解任された。南アフリカで開かれた同会議に政府代表団のNGO(非政府組織)枠で参加する予定だった同協会副理事長も一緒に解任された。同協会は参加者の交代を外務省に要望したが、外務省は交代を認めず、同協会の参加は見送られた。同協会の参加問題をめぐり、外務省の担当課長が鈴木氏に説明に行った際に、解任された前理事長が同席していたとの一部報道があり、同協会はこの問題を改めて重視し、事実関係を調査することにした。 【武藤佳正】( 2002-03-02-20:52 )


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