2001年9月11日発生「大規模同時多発テロ事件」に関する新聞記事
事件以前の動向

WTC崩壊から武力報復までアフガン空爆カブール陥落からトラボラ制圧まで戦場はアフガンから世界へ
(直前に開催されていた、ダーバンでの国際会議の動静の情報を含みます)


この記事特集は、「アイヌは同化していなくなった」という発言に関する特集ページのオマケです。
(発生時期が、アメリカなどが横暴に振舞っていた南アフリカでの国際会議の閉幕時期などと、)
(見事にリンクしていたのと、帰属意識に関わる問題でもあるので、特集組んでみました。)

この発言に関する新聞記事特集
この発言に対するアイヌ・ウィルタからの抗議文・要望書西日本タケヲとムネヲをケトばす会
発言に関する和人の立場からの抗議文・要望書国連の会議で発表された声明文
oripakEsamanからの呼びかけダーバン2001(国連主催の人種差別に反対する世界会議)
武者小路さんの抗議文(ダーバンに政府代表の一人として参加する人)


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[毎日新聞7月28日]
人種差別会議:シオニズム非難や奴隷制度謝罪で米反発、欠席も 

【ワシントン布施広】米政府は27日、8月末から国連主催で開かれる人種差別に関する
国際会議が、イスラエル建国の原動力となったシオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別
主義とみなす提案などを盛り込んでいると批判し、議題などが修正されない限り、参加を
ボイコットする方針を明らかにした。
会議は8月31日から9月7日まで南アフリカのダーバンで開かれる。議題などは30日
からジュネーブで開かれる準備協議で決まる。フライシャー大統領報道官によると、会議
では「シオニズム非難」のほか、奴隷制度を持っていた国々の公式謝罪と補償を求める方
向で根回しが進んでいる。

報道官は「そうであれば、米国は出席しない」と明言し、一部の国々が会議を
「ハイジャック」して「反ユダヤ主義の会合」に変えようとしていると強い調子で非難した。

国連は75年にシオニズムを人種差別主義とする決議を採択、イスラエルとアラブの和平
の動きが強まった91年12月、同決議の撤回を採択した。報道官は今回の会議の方向性
について「10年前に否定された立場に逆戻りするもの」と批判、根本的な見直しを求めた。

しかし、中東・アフリカ諸国には、対アラブ強硬派のシャロン・イスラエル政権と、これ
を積極的に支援するブッシュ政権への反感が強い。国務省は27日、30〜40カ国の駐
米大使を招いて米政府の立場を説明したが、関係国が議題の見直しなどに応じるかどうか
は微妙で、30日からの準備協議は紛糾も予想される。 ( 2001-07-28-10:09 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-11.html


[朝日新聞2001年8月5日]
人種差別撤廃会議を前に、米国とアラブ、アフリカ諸国が対立

【カイロ4日黒田理】今月三十一日から南アフリカのダーバンで開かれる
国連主催の世界人種差別撤廃会議の宣言案をめぐり、米国など先進国と、
アラブ・アフリカ諸国との意見対立が激化している。米国はシオニズム
(パレスチナでのユダヤ人国家建設運動)を人種差別とみなす場合には、
会議への出席拒否も辞さない構えだ。

シオニズムについてはアラブ諸国が人種差別と位置づけ、
「イスラエル政府は人種差別政策をとっている。これは新しい形のアパルトヘイト
(人種隔離政策)だ」との文言を宣言案に盛り込むよう求めている。

これに対し、親イスラエルの米国は真っ向から反発、ロビンソン国連人権
高等弁務官は「この問題を蒸し返すと、会議を失敗させる」として、
アラブ側に「現実的対応」を呼び掛けている。

ジュネーブで一日に開かれた準備会合では、エジプトが必ずしもシオニズム
にこだわらない柔軟対応を表明したが、強硬派のシリアは譲歩の姿勢をみせていない。

一方、アフリカ諸国は、黒人奴隷制度や植民地支配への賠償を議題とする
よう要求している。これに関しても、国内の人種差別への「飛び火」を恐れる
米国は「過去ではなく、未来に焦点を当てるべきだ」と主張、議題化される
場合には欠席の意向を示している。

アラブ・アフリカなどを支配した英仏をはじめとする欧州諸国も植民地問題の
討議には反発しており、近現代史をめぐる深い溝は容易に埋まりそうにない。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010805/0026.200108054067.html


[北海道新聞・2001年8月7日]
国連差別撤廃世界会議の政府代表団にアイヌ民族参加

政府は六日、八月末から南アフリカのダーバンで開かれる国連の「反人種主義・差別
撤廃世界会議」へ派遣する政府代表団にアイヌ民族を加える方針を固めた。アイヌ民
族を取り巻く問題が国際的にも広く知られていることから、政府としての取り組み姿
勢を示すために必要と判断した。アイヌ民族が、政府代表の一員として国際会議に参
加するのは初めて。
同会議には各国政府や先住民族、非政府組織(NGO)が参加して、人種差別をなく
すための教育や救済方法などについて話し合い、国連宣言や行動計画を採択する予定。
現在、ジュネーブで開催中の準備会合で詳しい内容を詰めている。

政府は、代表団(団長・丸谷佳織外務政務官、計十四人)の編成に当たって「民間人
枠」を二人設け、このうち一人をアイヌ民族から選ぶことにし、道ウタリ協会に打診
している。

同協会では六日、国会議員のアイヌ民族にかかわる発言への対応をめぐって理事長ら
が解任され、新役員が選ばれたが、代表を送る方針は変わらないといい、具体的な人
選を進めている。政府も「ウタリ協会の意向を尊重し、アイヌ民族に代表団入りして
もらう方針に変更はない」(外務省)としている。もう一人の民間人は中部大の武者
小路公秀教授が選ばれる見通しだ。

これまでもアイヌ民族は国連の関係会議に参加してきたが、日本政府とは一線を画し
てきた。政府筋は今回の方針について、「国連の関係会議では、民間人を政府代表団
に入れるのが世界的な潮流になっている。アイヌ民族の意見もできるだけ採り入れて
いきたいと考えた」と説明している。

http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010807/0022.200108065895.html


[北海道新聞・2001年8月9日]
外務省がアイヌ民族の政府代表団入りを正式断念

外務省は八日、国連の「反人種主義・差別撤廃国際会議」に派遣する政府代表団にアイヌ
民族を加えないことを正式に決めた。同日、人選をめぐって北海道ウタリ協会と協議した
が調整がつかず、アイヌ民族を初参加させる当初方針の撤回はやむを得ないと判断した。
同日、外務省を訪れた道ウタリ協会の秋田春蔵理事長らは代表団入りする候補として、あ
らためて秋辺得平副理事長を推した。これに対して外務省は強く難色を示し、同協会の前
副理事長を代表団メンバーとする従来の方針への理解を求めた。結局、双方の主張は折り
合わず、協議は決裂した。
協議後、外務省は「想定していた人選をウタリ協会が認めない以上、アイヌ民族の代表団
入りはあきらめる」(泉裕泰人権人道課長)と述べた。道ウタリ協会も外務省の姿勢は変
わらないとみて、今後、秋辺副理事長の代表団参加を働きかけることは断念するとしてい
る。

国際会議は南アフリカのダーバンで八月末から開催され、外務省は前副理事長を政府代表
団に加えることを予定していた。しかし、同協会が六日の理事会で、この前副理事長を解
任し、代わりの候補として秋辺副理事長を選んだため、外務省は調整の時間が足りないこ
となどを理由に計画を白紙に戻す姿勢を示していた。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010809/0023.200108098473.html


[北海道新聞・2001年8月10日]
道ウタリ協会、差別撤廃NGO会議に代表派遣へ

【釧路】国連の「反人種主義・差別撤廃国際会議」の政府代表団にアイヌ民族を加えるかど
うかの問題で、北海道ウタリ協会の秋辺得平副理事長は九日、釧路市民文化会館で開かれた
同協会主催の「フォーラム・アイヌ古式舞踊公演」のフォーラムの中で「政府代表団として
は国際会議に参加しないが、南アフリカのダーバンに行き、NGO(非政府組織)のフォー
ラムには参加する」と述べ、関連のNGOフォーラムに同協会が独自に参加団を派遣する意
向を明らかにした。
反人種主義・差別撤廃国際会議は八月末からダーバンで開かれる。
アイヌ民族の同会議への初参加について、人選をめぐって外務省と同協会との間で調整がつ
かず、協議は決裂していた。

また、同じ席上で新任の秋田春蔵理事長は「平沼赳夫経済産業相と鈴木宗男衆院議員が行っ
た差別発言は断じて許せず、厳重に抗議する」と強調した。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010810/0023.200108109527.html


[毎日新聞8月11日]
反人種主義会議:入植政策批判にイスラエル反発 準備委会合

 【ジュネーブ大木俊治】「中東紛争は政治問題で、人種差別問題ではない」。
国連主催の「反人種主義世界会議」に向けて作業を進めていた準備委員会会合で10日、
イスラエルのレビ大使が、宣言案に自国の入植政策批判が盛り込まれようとしていること
に反発、「世界会議への参加を考え直さねばならない」と述べて退席した。米国も同じ理
由でボイコットを示唆しており、パレスチナ問題の位置付けが世界会議の成否を左右しか
ねない要因になっている。
世界会議は、地球上の人種差別をなくすことをテーマに南アフリカのダーバンで31日か
ら9月7日まで開かれ、差別撤廃に向けた宣言と行動計画を採択する。これまでアフリカ
諸国が、過去の植民地政策に対する欧米の謝罪と補償を宣言に盛り込むよう要求し、大き
な対立点となってきた。

しかし、これに加えてアラブ諸国などがイスラエルのパレスチナ占領政策への非難を盛り
込むよう要求し、糾弾されたイスラエルと「特定の国を非難すべきてはない」とする米国
が反発。イスラエルのレビ大使は10日、「このまま宣言案がダーバンで採択されるなら、
国連の信用と世界会議の道徳性を損なう」と国連のあり方にも矛先を向けた。

準備委員会は同日、植民地問題とイスラエルの扱いのいずれも解決を先送りしたまま閉会
した。米国、イスラエルとの非公式協議は今後も続けられるが、解決の見通しは立ってお
らず、世界会議の成功に黄信号がともっている。 ( 2001-08-11-11:05 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-10.html


[朝日新聞2001年8月24日]
NGO、日本国内の少数派差別を国連世界会議で告発へ

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記者会見で「日本にはいろいろな民族の人がいる」と、
民族などの「旗」を示す参加者ら=22日午後、東京・衆院第2議員会館で

31日から南アフリカのダーバンで始まる国連主催の反人種主義・差別撤廃世界会
議に、日本からアイヌ民族、在日韓国・朝鮮人、被差別部落、沖縄、外国人労働者
などのNGO(非政府組織)の代表らが100人規模で参加する。参加NGOを統
括する「ダーバン2001」(武者小路公秀・共同代表ら)は、日本国内での少数
派への差別を国連会議を舞台に告発する。

会議は国連全加盟国と各国連機関、地域機関、人権機関などが参加対象。外務省は
丸谷佳織・政務官らを代表に10人規模の政府代表団を内定している。

NGO側は、鈴木宗男代議士の「アイヌ民族は全く同化されている」などの発言や
石原慎太郎・東京都知事の「三国人」発言、同知事が新聞に執筆したコラムの
「(中国人の犯罪は)民族的DNAを表示するような犯罪」との表現などは
「明らかな人種差別撤廃条約違反だ」としてダーバン会議に報告する。

また、(1)アイヌ民族に先住民族としての固有の権利があること(2)部落差別
が同条約の対象となる「世系に基づく区別=差別」にあたる(3)沖縄への米軍基
地の偏在集中などの状況が差別につながっている(4)国会議員や知事などによる
人種差別発言についてはその意図にかかわらず規制する−−などの点を日本政府が
認めていないことを厳しく批判する構えだ。

これらは、国連の人種差別撤廃委員会が今年3月、日本政府の報告書を審査した最
終所見で勧告した内容とほぼ一致するが、日本政府側はその多くに反論し、同意し
ていない。(15:53)
http://www.asahi.com/national/update/0824/022.html


[毎日新聞8月25日]人種差別会議:イスラエル非難続くなら、会議不参加 米大統領

 【ワシントン布施広】ブッシュ米大統領は24日、南アフリカのダーバンで31日から
開かれる世界人種差別撤廃会議(国連主催)について、イスラエルを批判する議題を変
えない限り「米国は代表を送らない」と言明した。一方で大統領は、テロ抑止に関する
アラファト・パレスチナ自治政府議長の努力不足を指摘、米政府は「イスラエル支援」
の姿勢をさらに強めている。

会議は、黒人奴隷への賠償問題とともに、イスラエル建国の原動力となったシオニズム
を人種差別として討議することを予定。米国務省は先月末、議題を変更しなければ参加
をボイコットする方針を表明している。

ブッシュ大統領は24日の会見で、イスラエルを「米国の友人であり強固な同盟国」と
呼び、イスラエルを孤立させる会議には出席しないと強い調子で語った。国務省が会議
の運営国と議題修正の交渉を続けているが、時間切れで米国が参加をボイコットする可
能性も強まっている。

国連は75年にシオニズムを人種差別主義とする決議を採択、91年12月に同決議の
撤回を決めており、国連主催の会議が再び「シオニズム=人種差別主義」の図式を持ち
出すことには問題もある。しかし、国際社会にはイスラエルと米国への反感が強く、議
題修正を求める声はさほど大きくならないのが実情だ。

またパレスチナ情勢に関して、ブッシュ大統領は会見で、パレスチナが対話を求めるな
ら「テロの解決に100%の努力を傾けるようアラファト氏に強く要望する」と語った。
イスラエルの大規模な武力使用については、型通り「抑制」を求めるにとどまった。
イスラエルの過剰な武力使用を批判する国際社会とブッシュ政権の温度差はさらに拡大
しつつある。 ( 2001-08-25-18:23 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-9.html


[毎日新聞8月27日]人種差別撤廃:国際会議にパウエル長官は欠席の方針 米紙報道 

【ワシントン布施広】26日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、米高官の話として、31日から
南アフリカで開かれる世界人種差別撤廃国際会議(国連主催)に、パウエル国務長官が出席しない
ことを決めたと報じた。国務省当局者は毎日新聞に対し、米政府は出欠について最終決定していな
いと述べる一方、出席しても「低いレベルの代表団」になる可能性を強く示唆した。
同会議はイスラエル建国の原動力となったシオニズムも人種差別主義として討議することを計画。
ブッシュ大統領は同盟国イスラエルを孤立させる会議には代表を送らないと述べ、議題の変更を強
く求めていた。
米政府は会議を完全にボイコットして抗議の意思を示すか、実務担当者を送って議題に反対意見を
述べるか、で揺れている模様だ。
同紙によると、黒人のパウエル長官は出席に前向きだったが、ライス大統領補佐官らが出席に強く
反対しているという。( 2001-08-27-10:12 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/8d918ddb89ef8bc-0-14.html


[毎日新聞8月28日]
米国務長官:世界人種差別撤廃会議を欠席 国務省報道官が発表 

【ワシントン布施広】バウチャー米国務省報道官は27日、パウエル国務長官は南アフ
リカ・ダーバンで今週開幕する「世界人種差別撤廃会議」に出席しないと正式に発表した。
イスラエルを批判する議題の修正が絶望的になったことを受けた対抗措置だが、米政府
として代表を送るかどうかの検討は続ける。
報道官は「パウエル長官は会議に出席しない」と明言し、米国が出席する場合の
「代表のレベルや性格は明らかでない」と述べた。国務省当局者は先週末、米マスコミ
などに対し、長官が欠席を決断したと語っていた。

同会議ではイスラエル建国を後押ししたシオニズム(ユダヤ人の祖国建設を目指した運動)
を人種差別主義として批判する見通しで、米政府は7月末から、議題が修正されない限り、
会議をボイコットすると表明していた。 ( 2001-08-28-10:07 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833527/83_815b83o8393-0-8.html


[毎日新聞8月30日]
米国務省報道官:世界人種差別撤廃会議に代表団送ると明らかに

 【ワシントン布施広】バウチャー米国務省報道官は29日、南アフリカ・ダーバンで
31日から開かれる世界人種差別撤廃会議に、サウスウィック国務副次官補を首席と
する代表団を送ることを明らかにした。
同会議は黒人奴隷に対する賠償問題のほか、シオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差
別主義として討議する見通しで、パウエル国務長官は同盟国イスラエルへの配慮から
出席を取りやめた。

米政府内には会議を全面ボイコットすべきだとの声もあったが、これまで議題修正の
交渉に当たってきたサウスウィック副次官補らが会議に出席、最後まで議題や宣言草
案の修正に努めることになった。 ( 2001-08-30-09:49 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-7.html


[毎日新聞8月31日]
世界人種差別撤廃会議:ダーバンで開幕 紛糾は必至の情勢

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】世界各地の差別撲滅を目指す「世界人種差別撤廃会議」(国連主催)
が31日、南アフリカのダーバンで開幕した。アフリカ諸国が欧米諸国に対し、過去の奴隷制度と
植民地支配への謝罪と補償を求めている問題が焦点だ。
また、米国やイスラエルが、シオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別と位置付けようとする
アラブ・イスラム諸国の動きに反発、閣僚の派遣を取り止めており、最終宣言や行動計画の策定
をめぐり紛糾は必至の情勢だ。

会議は9月7日までで、約150カ国から元首級10人をはじめ、多数の閣僚やNGO(非政府組織)
メンバーら総数約6000人が参加。パレスチナ自治政府のアラファト議長やキューバのカストロ
国家評議会議長も姿を見せた。日本からは丸谷佳織・外務政務官が出席した。
開幕のあいさつで、アナン国連事務総長はシオニズムの問題に言及、パレスチナ、イスラエル双方
の立場に理解を示しつつ、「互いに非難し合うのではなく、多数の犠牲者を救うのが会議の目的だ」
と双方の歩み寄りに期待を表明した。また、同会議事務局長を務めるロビンソン国連人権高等弁務官
も会見で(宣言文書には)「シオニズムを人種主義と見なす」という文言は盛り込まないとの考えを
明らかにし、妥協点を探る決意をにじませた。

また、奴隷制度や植民地支配などの問題で、アフリカ諸国には「貧困の根は過去の歴史にある」
との思いがあり、7月のアフリカ統一機構(OAU)首脳会議で採択した復興計画を支援する形で
先進国に補償を期待する。だが、膨大な金銭負担を懸念する先進国は補償自体を拒否する構えだ。
韓国代表団は日本の従軍慰安婦や歴史教科書の問題を取り上げる方針で、日本代表団も対応を迫られそ
うだ。( 2001-08-31-21:51 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834132/83_815b83o8393-0-6.html


[朝日新聞2001年9月1日]
アイヌ差別、阪神震災後の救済などに懸念 国連社会権委

 国連の社会権規約委員会は31日ジュネーブで、雇用や福祉、住宅、教育などの「社会権」
をめぐる日本国内の状況について、日本政府が提出した報告書に対する最終所見を公表した。
アイヌなど少数グループへの差別に懸念を表明し、阪神大震災後の復興対策でも老人や貧し
い人々ら弱者に対する配慮が乏しい点に懸念を示した。

 所見は日本の社会問題について広範な問題点を指摘、30項目の勧告を行った。ホームレス
問題については、大阪を中心に膨大な数のホームレスの人々がいると指摘、この問題解決に対
策が講じられていない点に懸念を表明した。阪神大震災後の復興では、家族を失ったお年寄り
が不慣れな環境で精神的なケアを受けられないでいると指摘、貧しい人々がローンなどで苦し
み、新しい住居を建てられない状況に懸念を表明。お年寄りや身障者、貧しい人々に援助やサ
ービスを提供するよう政府や兵庫県に求めた。

 また、戦時中から京都府宇治市のウトロ地区に暮らす在日韓国・朝鮮人らが、土地所有権を
持つ不動産会社から立ち退きを迫られている問題を個別に取り上げ、簡単な手続きによる立ち
退き命令が裁判所によって理由も挙げられずに出されたことに強い懸念を表明した。

 このほか、雇用面では賃金など労働条件の男女間格差解消に向けた法的措置や時短の促進を
促した。教育問題では、在日韓国・朝鮮人ら少数者に対する母国語教育の導入を強く促した。

 社会権規約の正式名称は、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」で、人権の
世界基準ともいえる国際規約だ。締約国には国内状況について報告する義務があり、日本政府
が98年8月に提出した報告書に対し、8月21日に審査が行われていた。(10:24)

http://www.asahi.com/national/update/0901/011.html


[毎日新聞9月1日]
人種差別撤廃会議:米代表、閉幕前に帰国も 最終宣言文めぐり

【ワシントン布施広】米政府当局者は31日、南アフリカで開幕した世界人種差別撤廃会議につい
て、最終宣言から反イスラエルの文言が削除されない場合、米代表団は7日の閉幕前に帰国し、
会議を事実上ボイコットする方針を明らかにした。
当局者によると、サウスウィック米国務副次官補ら3人の代表団は、最終宣言の文言を修正する
ために出席しており、討議自体には参加していない。いわば「出席すれど参加せず」の状態で、
米国の意に添わない宣言の採択が必至になれば、代表団は席を蹴って退場する構えだ。

同会議はイスラエル建国の原動力となったシオニズムを、人種差別やアパルトヘイト(人種隔離)
政策との関連で討議する方針。黒人奴隷への賠償問題も話し合う。アラブ・イスラム諸国には
シャロン・イスラエル政権への反発が強く、米国が文言修正に成功するかどうかは微妙だ。
米政府は当初、パウエル国務長官の会議出席を予定していたが、同盟国イスラエルを批判する会議
に外交首脳が出席するのは好ましくないとの声が強まり、長官は欠席を決断。
代わりにサウスウィック副次官補を送り、とりあえず出席した形を取っていた。
( 2001-09-01-15:34 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-13.html


[朝日新聞2001年9月3日]
教科書問題で日本を批判 人種差別反対会議で韓国女性相

南アフリカ・ダーバンの「人種差別反対世界会議」で2日、韓国の韓明淑・女性相が
演説し、日本の文科省が「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書を検定合格に
した問題について、差別を正当化する行為だと批判した。

女性相は、従軍慰安婦問題にふれながら「隣国に言葉に表せない痛みを与えながら、
事実を覆い、わい小化するのみならず、過去の過ちを正当化、美化する教科書を日本
が認定したことを憂慮している」と演説。「歴史は過去を語るだけのものではなく、
未来を形づくる。若い世代が事実をわい曲した教科書で誤った歴史を学べば、過去の
過ちが繰り返される恐れがある」とも述べた。

これに対し、日本の丸谷佳織・外務政務官は「過去の植民地支配と侵略に対する深い
悔恨の念に立ち、独善的なナショナリズムを排除、国際協力を進め、平和と民主主義
の原則を広めることに努める」と表明する一方、韓国女性相の演説について「政府は
学校教育を通じ、第2次世界大戦が人類全体に惨事をもたらしたことを、生徒が学ぶ
よう求める」などと反論した。

また、同政務官は今も日本国内にある差別として「同和地区、アイヌの人々、在日韓
国・朝鮮人に対する差別」を挙げた。相互理解の不足や言葉の違いから、外国人の人
権を踏みにじる事件も報告されているとした。(11:17)

http://www.asahi.com/politics/update/0903/003.html


[毎日新聞9月3日]
人種差別撤廃会議:韓国代表の批判に対し反論 外務政務官 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】丸谷佳織・外務政務官は2日、南アフリカ・
ダーバンで開催中の世界人種差別撤廃会議(国連主催)で演説した。丸谷政務官は
同会議で韓国代表が歴史教科書問題に言及して日本政府を批判したことに関連して、
「(日本は)過去の植民地支配と侵略に深い自責の念があり、独善的な国家主義を
排除することを決めた」と強調した。
丸谷政務官は、「近隣諸国が示した懸念については、日本政府としてはいま説明し
た歴史認識を堅持していると繰り返し示しておきたい」と述べた。第2次大戦前の
日本によるアジア諸国侵略を謝罪した村山富市首相談話(95年)を念頭に反論し
たものとみられる。( 2001-09-03-10:51 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-5.html


[毎日新聞9月4日]
人種差別撤廃会議:米国とイスラエルが代表団を引き揚げ 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開催中の世界人種差別撤廃会議
(国連主催)に参加している米国とイスラエルの両国政府は3日、派遣していた代
表団を引き揚げると発表した。米政府は会議で採択予定の政治宣言と行動計画に、
アラブ・イスラム諸国がシオニズム(ユダヤ民族主義)を人種差別として固執する
非難文言の撤回が困難と判断し、7日までの会期を4日残しての離脱を決定した。

激化するパレスチナ情勢のあおりを受けた米国の離脱決定だが、「強国」の論理に
根差したブッシュ米政権の姿勢に、批判が高まりそうだ。

パウエル米国務長官は「人種差別との闘いと会議での貢献の重要性を考えれば遺憾
だが、政府代表団に帰国を命じた」との声明を発表した。

一方、イスラエルのペレス外相も「ダーバンでの奇怪なショーを極めて遺憾に思う。
人権を擁護するはずの重要な会議が嫌悪の源泉となった」と述べるとともに、
パレスチナ住民側の人種差別主義だとする主張を批判した。

同会議は準備会合の段階で、イスラエル建国の原動力となったシオニズムと人種差別
を同一視する文言が提案されたため、イスラエルに同調する立場の米政府は国務長官
の出席を取りやめ、イスラエル非難の文言削除を主目的とする実務担当者を代表団と
して派遣していた。

しかし、パレスチナ自治政府のアラファト議長がイスラエルを「人種差別主義国家だ」
と非難したほか、政治宣言などの詰めの作業段階でもイスラエルを非難する文言が多数
残っているため、イスラエル代表団は2日、
「会議は(パレスチナ側に)ハイジャックされている」
「イスラエル攻撃の部分が削除されなければ、引き上げを検討する」とけん制していた。
会議は約150カ国の政府、非政府組織(NGO)関係者ら約6000人が参加して
先月31日に開幕した。( 2001-09-04-10:06 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-4.html


[北海道新聞9月8日]会議紛糾、協議を継続 反差別世界会議

南アフリカのダーバンで開かれている「人種差別反対世界会議」(国連主催)は最終日
とされていた7日、差別をなくすための政治宣言と行動計画を大会文書として採択する
はずだったが、紛糾の結果、8日も協議を続けることになった。

170カ国とパレスチナ自治政府の代表団が参加した会議は、パレスチナとアラブ諸国
によるイスラエル非難に抗議し、米国などが会期半ばで代表団を引き揚げた。
米の主張は、欧州連合(EU)が引き継いだ。過去の奴隷貿易に対する謝罪を明文化す
るよう求めるアフリカ諸国の主張と合わせ、EUは懸案となっている交渉すべての矢面
に立つ形になっている。

7日夜に記者会見したEU議長国ベルギーのミシェル外相は「交渉は続いている。
難しいがチャンスはある」などと語ったが、大会文書採択の見通しについては明言を避けた。
(13:27)
http://www.asahi.com/international/update/0908/004.html


[北海道新聞9月8日]
奴隷制は「人道への罪」 人種差別反対世界会議が閉会

ダーバンで開かれた「人種差別反対世界会議」(国連主催)は8日、各国の利害対立から
7日までの会期内に採択できなかった「政治宣言」と「行動計画」を採択して閉幕した。
この中で、奴隷貿易・奴隷制を「人道に対する罪」と確認した。奴隷制や植民地支配の
被害側にいる国が求めた明確な「謝罪」については、名誉回復策を関係国に求めながら、
「会議全体が心より遺憾の意を表明する」とするにとどまった。

採択文書は、アフリカ諸国などが求めていた「補償」にも触れなかった。
過去の不正が、いまの貧困につながったことは認め、先進国による債務の軽減や、
貧困打開策への新たな資金協力が必要だと指摘した。

米国などの撤退につながった中東紛争をめぐる項目では、イスラエルへの名指しの非難を
避け、占領下のパレスチナ人の抑圧や苦しみ、自決権に焦点を当てた。

8日の最後の全体会議では、採択文に含まれる中東紛争関連の項目などについて、
留保の表明が相次いだ。差別からの決別を全人類に呼びかける会議の趣旨から、
会期を超えて各国の合意を目指したが、溝は完全には埋まらなかった。
準備段階からかかわる西側外交官は「(会議は)失敗だ」と語った。

会議は、先住民族、外国人労働者や、出自などによる差別、障害者、エイズなど、
多様な差別とその被害者に焦点を当てようとする初めての試みだった。
170カ国とパレスチナ、約950の非政府組織(NGO)が参加した。(01:20)
http://www.asahi.com/international/update/0908/007.html 2001/09/09 01:20


[毎日新聞9月8日]
人種差別撤廃会議:「謝罪」盛り込みで合意 決裂回避も 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開催中の「世界人種差別撤廃会議」
は最終日の7日、奴隷貿易と植民地支配について、アフリカ諸国が求めていた「謝罪」
の文言を最終宣言に盛り込むことで旧宗主国側の欧州諸国側が同意した。補償問題に
言及するまでには至っておらず、最終決着の行方は不透明だが、会議は土壇場で決裂の
危機を回避する可能性も出てきた。
奴隷制度などの「過去の清算」の問題をめぐっては、会議議長のズマ南アフリカ外相の
委任でケニア、ブラジルの両国代表が仲介役として調整を図ってきた。

「謝罪」や「遺憾」などの表現について、経済のグローバル化の下、深刻な貧困にあえぐ
アフリカ側、金銭的負担を警戒する欧州側に議論のスタート時から距離が大きく、
6日から具体的文言の検討に入り、閉幕予定の7日になっても、ぎりぎりの調整が続いていた。

「欧州の発展の踏み台にされた」との被害意識が強いアフリカ諸国は正式な謝罪を受けた
上での欧米諸国の経済開発支援、債務帳消しなどの形で補償を要求。特に奴隷貿易を
めぐっては「人道に対する罪に値する」との主張も出始め、
「準備会合に比べ、元首自らが出席した本会議で要求がエスカレートした」(西側外交筋)という。

これに対し、欧州諸国は「(奴隷制度が行われれた)過去の世代の行為をどの範囲まで
さかのぼって償うのか」と巨額の金銭補償要求になりかねない議論への戸惑いや不信が広がり、
補償問題をめぐって詰めの議論が続けられている。

一方で、シオニズム(イスラエル建国の原動力となったユダヤ民族主義)に関する宣言案
の文言をめぐり、フランスのジョスパン首相が5日、
「(アラブ・イスラム諸国が)イスラエルを人種差別国家として非難する表現にこだわるなら、
離脱を考える」と警告、先に退席した米国、イスラエルに追随し、欧州連合(EU)諸国が
退席する恐れも出ており、宣言文作りを一層複雑なものにしている。

南アがイスラエルの名指し非難を削除した文案を提示し妥協点を探っているが、
逆にアラブ側の抵抗を招いている状況だ。( 2001-09-08-02:05 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-3.html


[毎日新聞9月9日]
人種差別撤廃会議:閉幕 最終宣言で奴隷貿易に深い遺憾の意

 【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】南アフリカのダーバンで先月31日から開かれ
ていた世界人種差別撤廃会議(国連主催)は8日、アフリカ諸国の要求を受け、過去の
奴隷貿易や植民地支配について深い遺憾の意を表明し、中でも奴隷貿易については
「人道に対する罪」と認める最終宣言と行動計画を採択して閉幕した。この認識に立ち、
先進国などがアフリカへの経済支援策を講じることも盛り込まれた。
アフリカ諸国が求めていた金銭的な補償にまでは踏み込まなかったものの、欧州諸国が自らの
「過去の汚点」と初めて向き合い、その清算に乗り出した歴史的意味は大きい。

一方、イスラエルを名指しはしなかったものの、最終宣言には衝突激化に伴うパレスチナ人
の窮状を訴える文言も盛り込まれた。

最終宣言は
(1)悲劇を生んだ奴隷貿易や奴隷制度は「人道に対する罪」だ
(2)アフリカやアジアの人々やその子孫が犠牲となった植民地主義は非難されるべきだ
(3)債務救済、貧困撲滅、投資促進、エイズやマラリアなどの撲滅、
   子どもと女性の人身売買根絶などに向け、先進国や国連が支援する――などをうたった。

宣言は従来、奴隷貿易を行った責任を回避し続けてきた欧州諸国が、15世紀から19世紀
に侵した「汚点」を認め、虐げられた奴隷やその子孫の「尊厳」回復に向け、一歩を歩み出
した点で画期的といえる。「人道に対する罪」の概念は、第2次世界大戦後のニュルンベル
ク裁判でナチスのユダヤ人虐殺などを裁いた際や、ユーゴスラビア連邦コソボ自治州の紛争
で起きたアルバニア系住民の集団虐殺などでミロシェビッチ前ユーゴ連邦大統領が旧ユーゴ
国際戦犯法廷から起訴された際にも提起された。

会議は、冒頭からアラブ諸国がイスラエルを人種差別国家と非難する文言を要求、米国と
イスラエルの代表団が引き揚げるなど紛糾した。反イスラエル感情の高まりを受け、アラブ
諸国は南アフリカが示した妥協案にも激しく反発、一時は決裂の危機に直面した。
世界中のあらゆる差別撤廃を掲げ、日本を含む150カ国からの約6000人が、
会期を1日延長して9日間にわたり議論を重ねた会議は、終始、国際政治の荒波に揺さぶられた。
( 2001-09-09-01:04 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-2.html


[毎日新聞9月10日]
人種差別撤廃会議:宣言作りに「時間を浪費」 米大統領補佐官 

【ワシントン中井良則】ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)は9日、米テレビ番組で
南アフリカで開催されていた「世界人種差別撤廃会議」閉幕を受け、「過去をいかに認識するかという
本質的ではない問題に多くの時間を浪費し、将来に向かってどう行動するかは取り上げなかった」
と述べ、シオニズム(イスラエル建国の原動力となったユダヤ民族主義)などをめぐる最終宣言作
りに長時間を要したことを批判した。
米国は途中から会議をボイコットしたが、同補佐官は「会議はイスラエルだけを特定して非難する
ために時間を費やした。米国が退席したのは正しい決定だった」と述べた。
さらに「この会議は(イスラエル非難派に)乗っ取られ、扱うべき問題を取り上げなかった」と
アラブ諸国の強硬な反イスラエルの動きを批判した。

さらに、米国内で、黒人奴隷制に対する補償を求める運動が黒人に広がっていることについて
「現在の問題にどう対応すべきかを考えるべきだ。特に貧しい黒人の子供の教育を考えるべきだ」
と述べ、補償には同調しない立場を示した。( 2001-09-10-09:56 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-4.html


[毎日新聞9月10日]
人種差別撤廃会議:「差別終了への一歩」 国連弁務官が総括 

【ダーバン(南アフリカ東部)城島徹】ダーバンで開かれていた世界人種差別撤廃会議
(国連主催)は8日、奴隷貿易について「人道に対する罪」と認めるなどの最終宣言と
行動計画を採択し、閉幕した。記者会見したロビンソン国連人権高等弁務官は
「この会議は差別を終わらせる長い道のりの一歩になるはずだ」と総括した。
最終宣言は
(1)アフリカやアジアの人々や子孫が奴隷貿易や植民地支配で被った多大な苦しみと
   悲劇を認め、深い遺憾の意を示す
(2)債務救済、貧困撲滅などで先進国や国連が支援する――などとうたった。

アフリカ諸国が求めた奴隷貿易などへの明確な謝罪や金銭的補償にまでは踏み込まな
かったが、会議の議長を務めた南アフリカのズマ外相は「最も大切なのはお金ではなく、
人間としての尊厳だ」と述べ、歴史的意義を強調した。

会議は、冒頭からアラブ諸国がイスラエルを人種差別国家と非難する文言を要求、
米国とイスラエルの代表団が引き揚げるなど紛糾した。イスラエルを直接非難する文言が
削除され「外国の支配下にあるパレスチナ人の窮状」を訴える妥協案を示し、最終的に
アラブ側が応じた。

あらゆる差別撤廃を掲げ、日本を含む150カ国からの約6000人が、
会期を1日延長し9日間に渡り議論を重ねた会議は終始、国際政治の荒波に揺さぶられた。
( 2001-09-10-15:33 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/833526/83_815b83o8393-0-1.html


[朝日新聞9月11日]
■《天声人語》 09月11日

壮大な失敗だったか、ささやかながらも一歩を踏み出したのか。この国際会議についての
評価は分かれる。何しろテーマが大きかった。たとえば「奴隷貿易や植民地支配について
欧米は謝罪すべきかどうか」が議論になった。
国連が主催した「人種差別反対世界会議」である。南アフリカで開催された。
「謝罪」という言葉を宣言に盛り込むかどうかをめぐって紛糾した。かつての奴隷貿易・
奴隷制について、欧米に「謝罪」を要求するアフリカ諸国にたいし、当初西欧側は足並み
がそろわなかった。
英紙によると、ポルトガル、スペイン、オランダの支持を得た英国が「謝罪」に反対した。
なるほど、かつて順番に「世界支配」をした「帝国」連合である。ベルギーを中心にした
11カ国は「謝罪やむなし」の方向だった。ところが途中アフリカ側が要求をエスカレート
させたため、反発を強めて英国案に傾いた。
米国は、といえば「途中退場」だ。イスラエル非難の動きに反発したといわれるが
「奴隷問題」への思惑もあったようだ。この退場がアフリカ側を刺激して、要求強化に
つながったともいわれる。
コンゴから来たピグミーの女性は「私たちは人前で裸にされ踊りをさせられた」といまも
続く差別を訴えた。そうした様々な訴えがあった。しかしそれらは大テーマの前にかき
消されていく。
「謝罪」の件は、結局「遺憾」という妥協の表現に終わった。いろいろあいまいさを
残したが、奴隷貿易など人類史の「汚点」を国際会議で論議するところまで来たのか
という感慨も深い。 2001/09/11 07:00
http://www.asahi.com/paper/column2.html


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