2001年9月11日発生「大規模同時多発テロ事件」に関する新聞記事
WTC崩壊から報復まで

事件以前の動向アフガン空爆カブール陥落からトラボラ制圧まで戦場はアフガンから世界へ
(直前に開催されていた、ダーバンでの国際会議の動静の情報を含みます)


この記事特集は、「アイヌは同化していなくなった」という発言に関する特集ページのオマケです。
(発生時期が、アメリカなどが横暴に振舞っていた南アフリカでの国際会議の閉幕時期などと、)
(見事にリンクしていたのと、帰属意識に関わる問題でもあるので、特集組んでみました。)

この発言に関する新聞記事特集
この発言に対するアイヌ・ウィルタからの抗議文・要望書西日本タケヲとムネヲをケトばす会
発言に関する和人の立場からの抗議文・要望書国連の会議で発表された声明文
oripakEsamanからの呼びかけダーバン2001(国連主催の人種差別に反対する世界会議)
武者小路さんの抗議文(ダーバンに政府代表の一人として参加する人)


このページは、アイヌ民族の生活と現在を考えるHP、Ainu puyarA上にあるページです。}{}{}{Ainu puyarA}{}{}{へ戻る


[朝日新聞9月11日]
狙われた?アメリカの象徴 NYビル激突

ニューヨーク・世界貿易センタービルで、11日、航空機2機が、110階のビルに
突っ込んだ。93年2月には、イスラム過激派が爆弾テロ事件を起こし、1000人
以上が死傷している。この超高層ビルは様々な意味でアメリカの象徴だ。アメリカを
「悪」とみるテロリストたちに再び、標的にされたのだろうか。

航空機が衝突して炎上したニューヨークの世界貿易センタービルに、現地法人が入居
している日興証券幹部は現地職員らの安否を気遣っている。

同ビルに入居している日興の現地法人「日興証券インターナショナル」は、資産運用
などを手がけている。約30人の社員のうち、日本人社員が5人前後いる。

日興証券の金子昌資社長は11日夜、朝日新聞社の質問に対して「偶然とは思えない
出来事だ。現地社員全員の無事を祈る」と答えた。
また、金子社長は「至急、現地の情報収集を始める」との考えを明らかにした。(22:55)
http://www.asahi.com/international/update/0911/017.html


[毎日新聞9月11日]
対米大規模テロ:ブッシュ政権に大きな衝撃 対外姿勢に発展も

 【ワシントン布施広】米国の政治経済の中心、ワシントンとニューヨークで11日、同時多発的に
起きたテロはブッシュ政権に大きな衝撃を与えた。ブッシュ政権は国際的に反発が強いミサイル
防衛構想を推進する一方、中東和平には消極的な姿勢を取り、特にアラブ・イスラム世界には
「米国憎し」の感情が高まっていた。米国の中枢部で起きた今回の同時テロは、ブッシュ政権の
対外姿勢に関する論議にも発展しそうだ。
テロの背景は不明だが、米国内では国際テロの黒幕とされ、アフガニスタンに滞在している
サウジアラビア出身のウサマ・ビン・ラディン氏傘下の組織か、パレスチナ過激派の犯行との見方が強い。
パレスチナ急進派のパレスチナ解放人民戦線(PFLP)は、先にイスラエルのミサイル攻撃で
議長を暗殺され、イスラエルと米国に対する報復を明言していた。

また、ビンラディン氏は、アフリカの米大使館同時爆破やイエメンでの米艦爆破事件などへの
関与が指摘されている。米大使館同時爆破事件に対して、当時のクリントン政権はアフガニスタンと
スーダンを巡航ミサイルで攻撃。これを遺恨とするビンラディン氏は、大規模な対米テロを計画
しているとの情報がしばしば流れていた。

ブッシュ政権は発足以来、国益重視の立場を取り、特にミサイル防衛構想を通じて国際的な
反発・摩擦を引き起こしてきた。先月31日から南アフリカで開かれた世界人種差別撤廃会議では、
イスラエル批判の宣言は容認できないとして途中退席。一方、パレスチナには一貫して厳しい姿勢
を取り、中東和平の「公平な仲介者」を自認してきた米国への疑問が強まっていた。

こうした外交姿勢の背景にちらつくのは、再選への思惑だ。きわどい選挙で当選したブッシュ
大統領にとって、再選を果たすのは最優先課題。イスラエル寄りの姿勢は米国内のユダヤ票の
取り込みを意図したものとの見方も強い。
第3世界から見ると、ブッシュ政権は「国益」と「再選」のために、露骨な外交政策を推進して
いるように見えても不思議ではない。

テロは言語道断としても、イスラム世界に対する姿勢や国際社会との協調という点で、
ブッシュ政権への疑問を改めて提起する事件と言える。( 2001-09-11-23:56 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/834131/93ec83A83t838a83J-0-2.html


[毎日新聞9月12日]
対米大規模テロ:米国大使館周辺を緊急警戒 警視庁

米国での連続テロ事件を受け、警視庁赤坂署は11日午後11時過ぎ、東京都港区赤坂1
の米国大使館周辺の警備体制を緊急で増強した。同日夜は機動隊員12人が通常警戒を
行っていたが、署員7人が緊急出動し、北原友行署長が現場指揮し警戒に当たっている。
12日午前0時現在、不審な車両や不審者などの情報はなく、大使館側からの特別な要請
もないという。警視庁警備部はその他、都内の米国関連施設周辺の警戒体制を強めている。

同大使館は今月7日、日本在住の米国人に対して「米軍施設にテロ行為が行われるとの
未確認情報を入手した」との警告を発表していた。大使館の報道官は毎日新聞の取材に
「(7日の警告は)今回の事件と関連がある可能性もある。今後も警戒態勢を取らざる
を得ないので、至急、措置を考えたい」と話した。 ( 2001-09-12-00:45 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20010912k0000m040203000c.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】アフガン・カブールで爆発 ミサイル攻撃か、CNN報道

米CNNテレビは11日(日本時間12日午前7時ごろ)、アフガニスタンの首都カブールで爆発
があり、複数のミサイルが飛来したと報じた。
同テレビは、カブールの夜空に走るせん光を放映。爆発は米ニューヨークの世界貿易センタービル
などへの同時多発テロから数時間後に起きたという。
ロイター通信によると、この爆発について、米当局者は、米国の攻撃によるものではない、と否定、
アフガニスタンの反タリバーン勢力によるものではないか、との見方を示した。
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091200489.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】NYビル、国防総省に旅客機 米で同時多発テロ

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航空機が激突し、空に煙が立ち昇らせ崩れ落ちる世界貿易センタービル=AP
国防総省ビルにも飛行機が突入し炎上した=AP

米国のニューヨークやワシントンなど3都市で11日午前(日本時間同日夜)、ハイジャック
された旅客機4機を使った同時多発テロが発生し、政治、経済、軍事の中枢が史上最悪の被害
を受けた。少なくとも数百人の死者、数千人規模の負傷者が出ている模様だ。ワシントンでは
非常事態が宣言され、ブッシュ米大統領は「明らかなテロ行為」と断定。米軍は国内外で厳戒
態勢に入った。旅客機2機が激突して炎上し、上層階が崩壊したニューヨークの世界貿易セン
タービルは11日午後6時(同12日午前7時)現在、なお黒煙を上げて燃え続けている。
ビル内に事務所を構える日本企業の東京本社などでは、社員らの安否を確認する作業が夜を徹
して続けられた。

ニューヨークでは同日午前9時(日本時間午後10時)ごろ、マンハッタン南端の世界貿易セ
ンタービルの南北両棟(それぞれ高さ約430メートル、110階建て)の上層階に旅客機2
機が相次いで突っ込んだ。2機ともビルに衝突したあとに爆発、炎上した。この衝撃で両棟と
も上層階が崩壊した。崩壊直前にビルの地下で爆発があったとの情報もある。

首都ワシントン郊外の国防総省では同日午前10時前、旅客機が突入し、炎上した。ペンシル
ベニア州ピッツバーグ付近では旅客機が墜落した。

世界貿易センタービルに激突したのは、アメリカン航空のボーイング767とユナイテッド
航空の同767で、いずれもボストン発ロサンゼルス行き。ペンシルベニア州で墜落したのは、
ニューアーク発サンフランシスコ行きのユナイテッド航空機。国防総省に突入したのは別の
アメリカン航空機という。 4機の乗客乗員は計266人で、生存は絶望視されている。

世界貿易センターでは5万人以上が働いているほか、1日平均15万人以上の来訪者がある。
今回の同時多発テロによる犠牲者数は日本時間12日午前7時時点で明らかになっていないが、
数千人規模の死傷者が出ている模様だ。

米民主党のジム・モラント下院議員は米フォクス・テレビに対し、米当局はニューヨークだけ
で死者が1万人にのぼると見ていると語った。ニューヨークのジュリアーニ市長はCNNテレ
ビに「膨大な数の命が失われた」と話した。
米連邦航空局は同時多発テロを受けて同日、米国内の空港から飛行機が出発するのを史上初
めて全面的に禁止した。
フロリダ州で遊説中だったブッシュ大統領は事件発生後、ルイジアナ州の空軍基地に移って
声明を発表し、「米国に対する重大な挑戦で、断固として容認しない」と語った。
「米国民を守るためにすべての治安対策をとる」「米軍は国内外で厳戒態勢に入った」とも宣言。
ネブラスカ州にある戦略軍司令部を経てワシントンに向かった。
一連の同時多発テロを受けて、ニューヨーク証券取引所は同日、取引を無期限延期すると発表した。
このほか、外国為替市場でドルが急落するなど金融市場も混乱している。

今回の同時多発テロをめぐっては、反米国際テロ活動の黒幕といわれるサウジアラビア出身の
富豪オサマ・ビン・ラディン氏の関与が取りざたされている。中東紛争でイスラエル寄りの
姿勢を鮮明にしてきたブッシュ政権に対するパレスチナ過激派の犯行との見方も一部で出ている。

米CNNテレビが日本時間の12日午前7時ごろに伝えたところでは、ラディン氏が潜伏してい
るとされるアフガニスタンの首都カブールで爆発があった。同時多発テロに対して米国が報復を
開始したかどうかは不明。

在ニューヨーク日本総領事館は事故対策本部を設置し、日本人の安否確認に追われている。
小泉純一郎首相は11日夜、事件に対する「対策室」を首相官邸に設置。12日午前には全閣僚
が参加する安全保障会議を招集し、対応を協議する。
http://www.asahi.com/national/ny/index.html


[毎日新聞9月12日]
対米大規模テロ:強力な反米組織が関与しているのは確実

【エルサレム海保真人】世界随一の超大国の軍事力の要・国防総省と世界経済の中枢
ともいえる世界貿易センタービルなどが相次いで、国際テロの標的になった。背景に
は今月末で発生以来まる1年を迎えるパレスチナとイスラエルの衝突泥沼化などの影
響を受けた反米感情があり、国際テロの黒幕とされるウサマ・ビン・ラディン氏のグ
ループなどの世界的規模で同時多発テロ事件を起こせる強力な反米組織が関与してい
るのは確実とみられる。

今回のテロの背後でウサマ氏の関与が疑われる最大の理由は、全米で多数の航空機を
ハイジャックし、その一部を超高層ビルに突っ込ませるという、計画的で手荒なテロ
を敢行できる能力を持つ組織が限られるためだ。サウジアラビアの富豪出身のウサマ
氏は豊富な資金を背景に、アラブ・イスラム世界の過激派組織との連携を図り、対米
テロを狙い、4000〜5000人規模の軍事メンバーを訓練しているとの情報がある。

昨秋以来のパレスチナ情勢の悪化に伴い、中東地域では、占領者であるイスラエルば
かりか、その最大の同盟国・米国に対する反発はパレスチナだけでなく、
アラブ・イスラム諸国全体に急速に広がっていた。特に先月27日、
パレスチナ解放機構(PLO)の反主流派、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)の
ムスタファ議長がイスラエル軍に暗殺され、イスラエル当局が公式にこれを認めたことや、
犠牲者700人にのぼる衝突激化にもかかわらず、唯一の仲介者といえる米国が調停に
消極的だったことで、中東ばかりか南アジア、中央アジアなど世界中のイスラム地域で
怒りが頂点に達していた。

今回、一時、犯行声明を出したとされたパレスチナ解放民主戦線(DFLP)や
パレスチナ解放人民戦線は70年代には過激なテロを繰り返したが、93年のパレスチナ
暫定自治合意(オスロ合意)締結後は組織がしぼみ、小規模な銃撃や爆弾テロを敢行
するのが関の山だった。

だが、昨年9月末以来の衝突激化とともに、パレスチナ勢力を支援するイスラム過激派
の輪は世界的に広がってきた、と専門家に指摘されていた。特にインターネットという
仮想世界では、世界中のイスラム・ハッカーグループが連帯、イスラエルだけでなく米
の関係サイトをハッカー攻撃、社会問題化していた。衝突の泥沼化はユダヤ対イスラム
という宗教戦争の様相を示し始めていた。

今回の犯行グループの正体は予断を許さない。だが、今回のテロの規模があまりにも大
規模なことから、一部ではイラクなど反米国家自体が関与していると疑う見方もある。
イラクは98年末以来、米英両軍による断続的な空爆を受け、多数の民間人が死傷。
また、米国などが対イラク国連経済制裁全面解除に強く反対し、アラブ諸国ではイラク国民
の窮状への同情が強く、シリア、リビアなどの強硬アラブ諸国はもちろん、最近では
サウジアラビアなど親米国も米国に批判的だった。

イスラエルの民間シンクタンク「対テロ国際政策協会」のシャハル研究員は、
今回の同時多発テロを「極めて周到に連携された手口で、世界中でも実行できる組織は
限られている。ウサマ・グループは筆頭候補だが、パレスチナ過激派の一部が何らかの
関与をした疑いを捨て切れない」と指摘した。 ( 2001-09-12-01:33 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20010912k0000m030235000c.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】パレスチナ過激派が一時犯行声明 本部が否定

米国で11日に起きた同時多発テロについて、中東では様々な情報が飛び交っている。
事件直後に一時、パレスチナの過激派組織から犯行声明が出たとされたが、すぐに本部が否定した。
それに代わって、これほどの大規模なテロ行為を、直接米国を標的にして行う組織として、
「米国への聖戦」を宣言し、アフガニスタンに本拠地を置くサウジアラビア人のオサマ・ビン・
ラディン氏に率いられる過激派グループの可能性が浮上している。

事件直後に犯行声明を欧州の通信社に出したのは、パレスチナ解放機構(PLO)過激派である
パレスチナ解放民主戦線(DFLP)だった。その後、ダマスカスのDFLP本部スポークス
マンが、関与を否定した。

自治政府のアラファト議長は事件後、事件について「恐ろしい出来事である」としてテロを非難
する声明を出した。
パレスチナ自治政府筋は、「米国に対してこれほど大規模なテロ活動を行うことができる組織は、
PLO傘下にはいないだろう」と語った。

しかし、イスラエル軍によるパレスチナ自治区の封鎖や攻撃に対する反発を強め、
「ユダヤ人と十字軍に対する国際イスラム聖戦」機構を設立したラディン氏の関与を疑う声が
出始めている。米国を敵視し、大規模なテロを行うことができる組織力、資金を持つ過激派組織は、
国際的には、ラディン・グループが知られている。
同グループは、93年に世界貿易センタービルへの爆破テロを行ったエジプトやヨルダンの
イスラム過激派グループに資金援助した疑いがあり、さらに98年10月のケニアとタンザニアの
米大使館爆破テロや昨年10月にイエメンで起きた米イージス艦爆破テロなど、大規模な対米テロ
に関与していたとされる。
元々、建設会社を経営するサウジ人の大富豪の息子として、旧ソ連軍のアフガン侵攻に対する
アラブ諸国から武装抵抗運動に加わった「ムジャヒディン」(イスラム戦士)を組織し、
「アルカイダ(基地)」を設立し、湾岸戦争後は、米軍のサウジ駐留を非難し、96年のサウジ
東岸のアルコバールの米軍住宅爆破に関与したとされる。

ラディン氏は、過激派として母国への帰国を拒否されているイスラム戦士たち「アフガン・アラブ」
に資金援助し、米国よりのサウジアラビアやエジプトなどの反体制過激派グループの後ろ盾になっている。
98年2月には、エジプトの過激派ジハド団(イスラム聖戦)やイスラム集団の指導者とともに、
「米国人に対する聖戦」を訴えるファトワ(宗教見解)文書を出した。文書では、サウジアラビアへの
米軍の派遣、イラクのイスラム教徒への敵対政策、パレスチナの民衆と聖地を侵害するユダヤ人国家
(イスラエル)への支援−−を攻撃の理由としている。

米国のニューヨーク連邦地裁は、アフリカでの米大使館爆破事件に関連し、ラディン氏の指示を受け
たとされる過激派4人を有罪と認定した。同氏はタリバーン支配下のアフガニスタンに潜伏している
とされ、国連安保理は昨年12月、ラディン氏の引き渡しに応じないタリバーン政権に制裁を決議した。
この春以来、パレスチナの武装勢力とイスラエル軍の衝突が激しくなるなかで、米政府は中東地域で
繰り返し、テロ警戒態勢をとってきた。(09/12)
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091200351.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】数千人の命失われた ブッシュ米大統領がTV演説で

ブッシュ米大統領は11日午後8時半(日本時間12日午前9時半)から米国民向けにテレビ演説
し、「一瞬のうちに数千人の命が失われた。我々はその行為をした者を捕らえ、裁かねばならない。
行為した者も、それをかばう者も区別しない」と報復する姿勢を示した。
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091200683.html


[朝日新聞9月12日]
「テロ超えた戦争行為」12日の米大統領の声明(要旨)

同時テロについて、ブッシュ米大統領が12日午前、発表した声明の要旨は次の通り。
昨日の計画的で多数の死者を出した行為は、単なるテロを超えた戦争行為だった。
我々は断固とした決定と解決のために団結しなければならない。自由と民主主義が攻撃されている。
米国民は、これまでとは違った敵と対決していることを知る必要がある。敵は隠れ、人命を何とも
思っていない。しかし、いつまでも隠れおおせることはできない。この敵は、我が国民だけでなく、
世界中の自由を愛する人々すべてを攻撃した。
米国は、総力を挙げてこの敵を捜し求める。全世界に協力を呼びかけ、忍耐強く焦点を定め、断固
たる決定をする。この闘いには時間がかかるだろうが、間違いなく我々が勝利する。
連邦政府は、高度の警戒の中で業務を続けている。米国は前進しており、これまで通り我が国への
脅威を注視していかなければならない。
議会に対し、ニューヨークとワシントンの救出作業や国家安全保障などのための緊急支出を要請する。
議会の団結と支援に感謝したい。米国は団結している。世界の自由を愛する国々は我々の味方である。
これは善と悪の歴史的な闘争となろう。しかし、善が圧倒するであろう。(01:32)
http://www.asahi.com/international/update/0912/035.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】首相、米大統領の報復表明を支持

小泉純一郎首相は12日、米国での同時多発テロについて「日本としてもテロに屈しないと
いう米国の姿勢を支持している。犯人を捜し出して断固たる処置をとる。私は当然だと思う」
と述べ、ブッシュ米大統領がテロリストに対して報復措置をとると表明していることを支持
した。首相官邸で記者団に語った。
政府高官も同日夜、「(米国が)報復行動に出れば、国際社会には支持ばかりでなく相当な
批判も出るだろう。そうした中で、日本がきちんと支持なり理解なりを示すことが重要だ」
と述べ、実際に米国が報復措置をとった場合も、日本政府として支持か理解を表明する方向で
検討していることを明らかにした。
http://www.asahi.com/national/ny/nippon/K2001091203484.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】証拠あればラディン氏引き渡しも タリバーン大使発言

アフガニスタンを実効支配するタリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は12日、
朝日新聞記者などのインタビューに応じ、米国が同時多発テロの有力容疑者とみている
国際的テロリスト、オサマ・ビン・ラディン氏について、「米国が犯行について公正な
証拠を示すならば、それを十分検討したうえで引き渡しも考える」と述べた。
だが、大使は、「ラディン氏は私たちの管理下にあり、電話もインターネットも使えない
状況にある。そんな人物があれほど巧妙な(テロ)事件を実行できるわけがない」と強調、
今回の事件への関与を否定した。
また、米国のアフガニスタンに対する報復措置については、「捜査もしていない段階で、
そんなことは出来ないだろう」と、けん制した。
一方、12日発行のパキスタンのハブライン紙によると、タリバーン関係筋の情報として、
ラディン氏が犯行容疑を否定し、
「今回のテロは米国人グループの犯行であり、私は関係がない」と発言していることを伝えた。
http://www.asahi.com/national/ny/K2001091203450.html


[朝日新聞9月12日]
【米国同時多発テロ 】NY商品取引所は建物損傷で「復旧のめど立たず」

世界貿易センターを狙ったテロ攻撃で、世界金融界の中心、ウォール街は大混乱に陥った。
主要市場や金融機関の支店が閉鎖され、唯一開いていた外国為替市場ではドルが急落。影響は
欧州市場にも飛び火し、比較的安全な投資先である債券や金、原油の価格は高騰し、世界の市場
が大揺れとなった。
貿易センターにハイジャックされた航空機が突っ込み火の手が上がった直後、シカゴ証券取引所
のダウ平均先物は急落。株式トレーダーの多くが勤務できないため、ニューヨーク証券取引所
(NYSE)、ナスダック市場など主要な証券、債券、商品先物取引所が相次ぎ取引停止を決めた。
NYSEやナスダックは11日に続いて12日の市場も閉鎖すると発表。NYSEが2日連続で
取引を停止するのは、45年8月の第2次世界大戦終了時以来、56年ぶり。ニューヨーク商品
取引所は貿易センターに近いため、建物の傷みがひどく「復旧のめどが立たない」という。
米国の動揺でアルゼンチン、メキシコ、コロンビアなど中南米市場の株価も軒並み急落。
6カ国の市場が取引停止を決めた。欧州でもロンドン、フランクフルト、パリなどで全面安と
なった。「米国の市場も再開されれば、相場は大幅に下落する」(米証券大手)との見方が大勢。
「投資家たちは、米国が今後もテロ攻撃の標的になることを恐れている」(英投資戦略家)という。
ニューヨーク外国為替市場ではドルに売りが殺到し、対円のドル相場は1ドル=122円台から
118円台に急落した。欧州では、金の価格が6%上昇するなど、世界を巡る投資資金の動きが
不安定になっている。
ウォール街では、大半の金融機関が従業員を避難させるため、業務を停止。地方銀行フリート・
ボストン・フィナンシャルが、ATM(現金自動預入払出機)の故障や電話の不通で、
ニューヨークの173支店を閉鎖するなど、金融機能はほぼマヒ状態に陥った。
http://www.asahi.com/national/ny/economic/K2001091201008.html


[朝日新聞9月13日]
ビンラディン氏、冷戦下に米と連携も 武力闘争、アフガン戦争から

ladin-bush.jpgビンラディン氏と国際テロ

米国民を恐怖に陥れたテロの実行犯はだれか。依然として証拠はないものの、首謀者として
オサマ・ビンラディン氏(推定44)に焦点が当てられている。何者なのか、どれほどの組織と
ネットワークを持っているのかなど、はっきり分かっていることは少ない。
サウジアラビア出身のビンラディン氏が武力闘争を含むイスラム政治運動にかかわりだしたのは、
アフガニスタンに侵攻した旧ソ連に抵抗する80年代のアフガン戦争の時からだ。当時は、米国
もビンラディン氏と連携していた。「無神論者」のロシア人と戦うビンラディン氏およびムジャ
ヒディン(イスラム戦士)は、共産国ソ連と敵対する冷戦下の米国にとって利用しがいのある勢
力だった。米国は、各地で頭をもたげてきたイスラム原理主義を押さえ込もうとする一方で、
ソ連と戦う実戦力を持つ組織とは、急進的なイスラム主義を唱えていようと、連携を強めた。
ビンラディン・ファミリーは聖地メッカなどの宗教施設修復や建築工事で財をなし、ビンラディ
ン氏の活動の豊富な資金源となった。また、「アフガン聖戦」時にサウジの情報機関の責任者
だったトゥルキー・ファイサル王子との親交は、弱体化したイスラム教の再生という使命感を、
ビンラディン氏に植え付けたといわれる。

ビンラディン一族からは後に追放されたが、当初は建築業者である父親やトゥルキー王子の資金
援助を得て、イスラム世界にソ連との戦闘への支持を求めて走り回った。その中でアフガニスタン、
パキスタンを中心にムジャヒディンとの密接な関係を築いた。米国の支援も受けながら活動拠点
としていたパキスタンのカラチのモスクで知り合ったのが、そのモスクの導師ムハマド・オマル師。
後に、アフガニスタンを実効支配しているタリバーンの最高指導者となった人物だ。
現在、タリバーンにかくまわれているのは、この時の縁による。
ビンラディン氏の活動を支えるのは反共、資本主義といったイデオロギーではなく、イスラムの
復興であり、政治や社会の腐敗に対する反感だった。ソ連という敵がいなくなった後は、米国が、
唯一の超大国として横暴な政策を押し通し、イスラム教徒に過激派、テロリストのらく印を押して
おとしめているとして、最大の敵となった。
ビンラディン氏が組織したとされる「アルカイダ・アルジハド」の規模は、3000人から
5000人程度という。へき地に引きこもった小さな組織に、今回のようなテロが実行できるの
かという疑問もあるが、信仰のためには命を惜しまないイスラム教徒は多い。組織がどれほどの
広がりをもつかはつかみきれないだけに、不気味だ。
http://www2.asahi.com/national/ny/news/010913.html


[朝日新聞9月17日]
米でついに「反中東」殺人 しかもインド系を誤解する

米アリゾナ州メサで15日夜、インド系住民を射殺したとして、地元の男(49)が逮捕された。
テロ事件でイスラム過激派に怒りを募らせ、被害者を中東出身者と早とちりして撃った疑い。
地元紙アリゾナ・リパブリックが16日報じた。
犠牲になったのはガソリンスタンド経営者バルビル・シン・ソディさん(49)。
シーク教徒で、ターバンを頭に巻き、ひげが長かった。
店内は荒らされておらず、容疑者と面識もなかった。
容疑者の男は同じ日の15日、レバノン系住民が経営するガソリンスタンドとアフガン系住民宅
でも相次ぎ発砲。駆けつけた警官に向かって「米国を断固支持する」と叫んだという。
テロ事件が起こってから、米国ではイスラム過激派に対する敵意が異常なほど高まっている。
あおりで中東系市民が様々ないやがらせを受けている。(09:51)
http://www.asahi.com/international/update/0917/003.html


[朝日新聞9月18日]
各地のイスラム過激派、米の報復攻撃に対抗声明

アフリカやアジアのイスラム過激派組織が18日までに相次いで、同時多発テロへの報復として
米国がイスラム・アラブ国家を攻撃すれば、在外の米大使館や米国市民を攻撃するとの声明を
出した。
アルジェリアでは、同国のイスラム過激派組織「唱道と闘争」が声明を発表し、米国のイスラム・
アラブ国家への報復攻撃があれば、アルジェリア国内の欧米の権益を攻撃すると警告した。
17日付の日刊紙「アルヨウム」が報じた。
声明は「米国でのテロはイスラム教徒による犯行ではない」と主張。
インドネシアのイスラム過激派組織「イスラム防衛戦線」の代表ムハンマド・リジク・シハブ氏は、
「米政府がどのイスラム諸国を攻撃しても、我々は躊躇(ちゅうちょ)せずに米大使館を襲撃し、
米市民を捜し出して一掃する」と述べた。
インドのイスラム指導者アフメド・ブハリ氏は同国最大のモスクで会見を開き、
「イスラム教徒は50年間、異世界から狙われ続けている。もし米国がアフガニスタンを攻撃すれば、
世界中からすぐに厳しい反応が返ってこよう」と述べた。
イスラム原理主義を掲げるマレーシアの最大野党「全マレーシア・イスラム党」の精神的指導者
ニク・アジズ氏も、十分な証拠もなく米が報復攻撃を行えば、
「ブッシュ大統領はギャングと受け止められよう」と述べた。(23:33)
http://www.asahi.com/international/update/0918/025.html


[朝日新聞9月18日]
ビンラディン氏、世界に連携組織 55カ国・地域に活動家「標的設定」難しい米

010918a.jpgカブール北方で昨年7月、北部前線に向かうタリバーンの兵士ら=AP

国際テロとの全面対決に入る米政府の頭を悩ませるのは、組織の膨大な広がりだ。イスラム過激派
指導者オサマ・ビンラディン氏が率いる「アルカイダ」は、世界中の組織と提携した緩やかな結合
体。活動家は55カ国・地域にちらばり、背後で支える国々のパイプはやみに包まれている。
今後の報復目標をどこに定めるのか、米国の作戦づくりは困難を極める。
ラムズフェルド国防長官は16日、「テロというものは、一人物よりはるかに大きい」と強調。
チェイニー副大統領も、米政府が現在、検討しているのは標的の設定だとしたうえで「すべての
関係する人物、小グループ、活動家が世界の至る所にちらばっており、これらを根絶やしにせね
ばならない」と語った。

「アルカイダ」に詳しい米ポトマック研究所のアレクサンダー氏らの調査によると、同組織の活動
家は世界約55カ国・地域に存在し、提携組織は少なくとも15カ国・地域31グループに及ぶ。
その結びつきは緩やかで、人材交流、軍事訓練、情報交換などを行っており、副大統領は
「インターネットのチャットルームのようなものだ」と語った。

活動資金は各国の支援者が寄せている。99年、サウジアラビア当局は、「お布施」を装って
5000万ドルを流していたイスラム教聖職者グループを摘発。米当局も過去に国内の企業による
送金を確認しているが、世界の資金集めネットワークの実態は把握されていない。

「テロ対策は麻薬犯罪の取り締まり同様、終わりがない」と米国の専門家らは言う。
世界に薄く広がる「敵」が相手の戦いは「大艦巨砲」主義では勝てない。
「経済戦であり、情報戦でもある」(パウエル国務長官)ところが、「21世紀型の戦争」と
呼ばれるゆえんだ。

タリバーン 兵力は約3万人
アフガニスタンを実効支配するタリバーン。その兵力は約3万人で、内訳は陸軍4個師団と首都
カブールを防衛する1装甲師団とされる。5万〜6万人説もあるが、その4割はパキスタンや
アラブ諸国などの「外国人部隊」だという。
最高指導者のオマール師が軍最高司令官も兼任する。だが、正規軍と呼ぶほどのまとまりはなく、
部族単位で行動しているのが実態である。
装備は79年のソ連軍によるアフガニスタン侵攻後に米中央情報局(CIA)から流れた米国製、
撤退したソ連軍が残していった旧ソ連製が混じり合っている。
しかし、90年代に激化したタリバーンと反タリバーン勢力間の内戦で、大半の兵器は破壊された
か、使用不能になったとみられる。
アフガン北部に陣取る反タリバーン勢力の「北部同盟」が時折、ヘリコプターでカブールを攻撃
していることからも、タリバーン側の対空防衛網の弱さがうかがえる。また99年以来の国連制裁
で、航空機の部品や燃料が不足し、空の戦力として使えるのは旧ソ連製ヘリくらいしかない。

「ミリタリーバランス2000〜2001年版」によると、ロシア製戦闘機ミグ21とスホーイ
22、チェコ製練習機L39を保有している。
国連関係者などの話だと、カブール空港には旧ソ連製の戦闘機が数機、待機している。
だが、タイヤがパンクしているなど整備状況は一見してわかるほど悪い。
パキスタン国境にロシア製のスカッドミサイルを配備しているとの情報もある。

タリバーンはこれまで、中央アジア諸国やロシアの支援を受ける北部同盟の補給路寸断に全力を
注いできており、兵力の大半はアフガン北部に展開している。前線を取材したアラブ人記者によ
ると、戦闘は旧ソ連製の戦車などを投入した地上の砲撃戦が主体だ。
(前中東アフリカ総局長 定森大治)

アルカイダ
79年の旧ソ連軍によるアフガニスタン侵攻を受けて、ビンラディン氏が80年代末に創設したと
されるイスラム過激派のテロ組織。 イスラム義勇兵を受け入れて訓練を施す組織として生まれた。
「アルカイダ」はアラビア語で「基地」を意味する。
「世界のイスラム教徒は米国・イスラエル同盟に苦しめられており、彼らに対する聖戦(ジハード)
はイスラム教徒の義務」との思想に立つ。湾岸戦争後は、中東に駐留し続ける米国を主な攻撃対象
にしてきた。規模は世界各地に計3000人から5000人前後とみられている。

タリバーン
タリバーンは、イスラム教の神学生の意味で、正式名称は「イスラム神学生による改革運動」。
アフガン内戦で、92年ごろからパキスタン国境地帯に逃げたパシュトゥン民族難民の青少年らが、
パキスタン軍部の支持のもとで原理主義教育や軍事訓練を受け、94年に結成した。96年9月に
首都カブールを制圧した。
現在は国土の約90%を支配するが、政権を承認しているのはパキスタン、サウジアラビア、
アラブ首長国連邦の3カ国だけ。今年3月には、世界的な仏教遺跡バーミヤンの大仏を爆破し、
各国から非難を浴びた。 (9/18)
http://www2.asahi.com/national/ny/news/010918.html


[朝日新聞9月18日]
【米国同時多発テロ 】ボクシングのアリ「テロはイスラムの教えを冒とく」

プロボクシングの元世界ヘビー級王者、ムハマド・アリ氏(59)=米国=が声明を発表し、
米同時多発テロがイスラム教徒による犯行ならば
「(実行犯は)イスラムの教えを冒とくしている」と厳しく非難した。
アリ氏はイスラム教信者として知られる。60年ローマ五輪で金メダルを獲得したときの本名
「カシアス・クレイ」を、イスラム改宗によって「ムハマド・アリ」に変えた経緯がある。
15日の米ニューヨーク・ポスト紙によると、イスラム原理主義者の犯行の可能性が高いと
される今回のテロに、アリ氏は苦悩している。(共同)(09/17)
http://www.asahi.com/national/ny/others/K2001091700153.html


[朝日新聞9月18日]
【米国同時多発テロ 】カダフィ大佐「米に報復の権利あるが泥沼に陥る」

リビアの最高指導者カダフィ大佐は16日、リビア東部で開かれた集会で、アフガニスタンへの
軍事介入に失敗した旧ソ連を例に挙げ、米国がアフガニスタンを攻撃すれば、同じように泥沼に
陥ると警告した。
大佐は「米国には報復する権利がある」と述べる一方で、
「アフガニスタンを攻撃することは勇敢なことなのか。何のインフラ施設もない国を攻撃して、
暴力をとどめられるのか」と疑問を投げかけた。
また、「米国はイスラム教の政府からの支持を得ることはできるかもしれないが、国民は同じ立場をと
れないだろう」と話した。(09/18)
http://www.asahi.com/national/ny/others/K2001091802096.html


[朝日新聞9月18日]
【米国同時多発テロ 】「ギタリスト」を「テロリスト」に聞き違いで拘束される

18日付のシンガポール紙ストレーツ・タイムズによると、同国チャンギ空港で15日、
インド人2人がテロリストと間違えられ、当局に身柄を拘束される騒ぎがあった。
空港ラウンジで、インド人の1人が米国人と会話した際、自分のことを
「ベースギター奏者(ベース・ギタリスト)」と言ったのを、
米国人が「ボスニアのテロリスト(ボスニアン・テロリスト)」と聞き間違え、
空港の警備員に通報。シンガポール航空の香港行きの便に乗り込もうとしていた2人は直ちに
身柄を拘束された。その後、誤解は解け、2人は無事香港に向かったという。(09/18)
http://www.asahi.com/national/ny/others/K2001091801335.html


[朝日新聞9月19日]
証拠なくビンラディン氏引き渡さない タリバーン指導者

アフガニスタンのタリバーン政権の最高指導者ムハマド・オマル師は19日に開かれた聖職者評議
会で、同時多発テロの首謀者と米政府が断定しているイスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン
氏について、証拠がなければ身柄を引き渡さないと言明した。
アフガン・イスラム通信が伝えたところによると、オマル師は米国がビンラディン氏をイスラム
世界に戦争をしかける口実にしている、と批判。「彼らは色々な口実で我々の息の根を止めよう
としている」と語った。(16:32)
http://www.asahi.com/international/update/0919/015.html


[朝日新聞9月19日]
テロへの報復に「?」印 NY・ユニオンスクエアで多彩なアートで反戦訴える

010919ny.jpg公園のフェンスにつないだTシャツをかけ、反戦のメッセージを伝えるアート=ニューヨークで、近藤写す
世界貿易センタービルなどへのテロ事件で、米国は愛国・戦争ムード一色になったように見える。
最近の世論調査では「テロリストに対しては武力攻撃を」と考える市民は85%にのぼった。
しかし、少数派も大きな声を上げるのがこの国の伝統。ニューヨークのダウンタウンでは、毎日、
多くの人が、アートで反戦を訴えている。(ニューヨーク=近藤康太郎)

乗馬姿のワシントン初代大統領の銅像に、チョークで様々なグラフィティ(落書き)が書かれ
始めたのは、テロから一夜明けたころ。多くが「今こそ愛を」「戦争にノー、復しゅうにノー」
といったメッセージ。「今は戦争なんだ。やり返せ」といったものもあるが、すぐ文末に「?」
と書き足されてしまった。
ユニオンスクエア。警察に封鎖されなかった地域では、最も貿易センタービルに近い公園だ。
ここだけを見ていると、武力行使の支持8割という世論調査が、にわかに信じられなくなる。
周辺は、音楽、舞台、現代アートなど芸術家が多く集う地域。それだけに、反戦の声も政治ビラ
のようにはならない。 
柵(さく)に、Tシャツ十数枚が洗濯物のように並ぶ。肩を組むように、すべてのそでが縫い
合わされる。胸には「悲しみは、分け合うと半分になる」などのメッセージや詩、絵が描かれている。

「FAITH(信頼・信念・誓約)」と題された高さ約2メートルの三角柱は、公園に集った
市民の写真を張っていくオブジェ。写真の余白に「詩と歌と愛を分かち合おう。戦いではなく」
などと文章が添えられる。
自由の女神の姿で演説する女性、ロウソクの前でゴスペルを歌うグループ、詩を朗読する人も。
「目には目を 歯には歯を。やつらの目をつぶせ。歯をたたき折れ!」といったポスターもあるが、
ここでは少数派だ。布のアートを作っていたアンナ・ハンソンさん(56)は「復しゅうは、
復しゅうしか生まない。倒壊したビルに自分の家族がいたとしても、私は同じ考えです」と話した。
ブッシュ大統領がニューヨークを訪れた14日。事件の現場で拡声機をつかんだ大統領は
「このビルを倒したやつらに、目にものみせてやる」と叫んだ。周囲は「USA!」の大合唱。
タブロイド紙は「さあ(テロリストの)クソ野郎どもを殺せ」と書いた。
同じ日の夜、ユニオンスクエアは身動きがとれないほどの人で埋まった。追悼のロウソクを手にし、
プラカードを高く掲げる人が多い。「イスラム教徒は敵じゃない」「戦争が答えなのか?」「人種差別主義者にNOを」
「憎しみに乗せられるな/エスカレートするな/報復するな」

ミニコミ紙「インディペンデント(独立)」を発行するジョン・ターレトンさんは、戦争熱で
「一枚岩のアメリカ」になることを危ぐする。「気がかりなのは、ブッシュが復しゅうまがいの
戦争を始めようとしてること。そして、彼を支持しなければ、『国への忠誠心がない』と後ろ指
をさされる雰囲気になっていることなんだ」(09/19)
http://www.asahi.com/culture/bunka/K2001091800076.html


[朝日新聞9月19日]
国際テロリスト「カルロス」、米テロを称賛

国際テロリスト「カルロス」の名で知られ、フランスで服役しているイリッチ・ラミレス・サン
チェス服役囚が作家ベルナール・ビオレ氏のインタビューに応じ、その一問一答が18日付フラ
ンス・ソワール紙に掲載された。米国の連続テロを「帝国主義に対する戦いだ」と称賛している。
カルロス服役囚は「テロの映像をテレビで見て、大きな安ど感を抱いた。私が払った犠牲(逮捕
されたこと)は無駄ではなかった」と話した。事件を「これほどの作戦を遂行できる国家はない。
断固たる戦士の集団だけが成し得ることだ」と分析。関与が取りざたされるオサマ・ビンラディ
ン氏について「関係を結んだことはないが、彼の戦いは本物だ」と評価した。
カルロス服役囚はベネズエラ生まれで、反米や反イスラエルを旗印にテロを続け、犠牲者は
80人に及ぶといわれる。潜伏していたスーダンで94年に拘束され、97年にパリ重罪裁判所
で無期禁固重労働の判決を受けた。(21:14)
http://www.asahi.com/international/update/0919/019.html


[朝日新聞9月19日]ワシントン(CNN)

Eメールの添付ファイルを開いたり、インターネット上の感染サイトにアクセスしたりするだけで、
家庭用のパソコンにも感染する強力なウイルス「Nimda(ニムダ)」が米国などで急激な広が
りを見せ、米連邦捜査局(FBI)が捜査に乗り出した。専門家らはコンピューター利用者に対し、
ウイルス対策ソフトを更新するまでネット接続を控えるよう呼びかけている。

米コンピューター・セキュリティー大手「マカフィー」がAP通信に語ったところによると、この
ウイルスによる最初の被害は、米東部時間18日午前9時、ノルウェイのサイトから報告された。
専門家の話では、今夏に流行した「コード・レッド」がサーバーだけに感染したのに対し、ニムダ
はマイクロソフトのサーバーソフト「インターネット・インフォメーション・サーバー(ISS)」
やメールソフト「アウトルック・エキスプレス」の欠陥を狙って、サーバーとパソコンの両方に
広がっている。
メールに添付して送られてくる「readme.exe」というファイルを開くと、
そのコンピューターのハードドライブが開放され、第3者による侵入が可能になってしまう。
さらに、記憶されているすべてのアドレスにメールを送ることによって繁殖を繰り返すという。
すでに感染したウェブサイトにアクセスしただけでも、感染する恐れがある。

FBIがネット業界と協力して捜査にあたっているが、当局者によると、このウイルスの発信源は
まだ不明で、先週発生した同時多発テロとの関連性も、今のところわかっていない。
http://www.asahi.com/cnn/0919/cnnj091902.html


[朝日新聞9月20日]パキスタン全土で反米運動激化 ブッシュの人形焼く

int092004.jpg反米デモでブッシュ大統領に例えた人形に火を放ち気勢を上げる人たち。
「アメリカに死を」「ビンラディン万歳」と口々に叫んだ=20日、パキスタン・ペシャワール市内で

パキスタン全土で反米運動が続いている。民族的にもアフガニスタンに近いペシャワルで20日、
地元の政党などが主催した反米デモがあり、ブッシュ米大統領の人形を焼いた。
1000人以上が参加したデモは市内の繁華街で行われた。参加者は棒切れやこぶしを振り上げ、
「ブッシュを倒せ、オサマ(オサマ・ビンラディン氏)を守れ」と叫んだ。近隣の商店は次々と
シャッターを閉め、暴動などの事態に備えていた。同日、カラチでも数千人規模のデモがあった。

21日には首都イスラマバードの南のラワルピンディやカラチ、ペシャワルなどでも反米デモが
予定されている。(00:18)
http://www.asahi.com/international/update/0920/018.html


[朝日新聞9月20日]
ビンラディン氏に国外退去を要請 タリバーン聖職者会議

アフガニスタンのイスラム聖職者会議は20日、イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏が
自主的に国外退去することを促すようタリバーン政権に勧告した。米国の強硬な身柄引き渡し要求
をかわす狙いとみられる。しかし、退去の期限や出国先は示しておらず、米側は引き渡しを求める
姿勢を変えていない。
聖職者会議は、宗教指導者や教師ら約1000人を集めた同国の最高意思決定機関。
アフガン・イスラム通信などによると、会議では身柄の引き渡しへの反対意見が相次いだ。
決定は「ファトワ(宗教見解)」と呼ばれ、最高指導者のモハマド・オマール師は事前に従うこと
を表明している。
決定は「混乱を避けるため、ビンラディン氏に適切な時期に自主的にアフガンを出国し、
彼の選んだ場所へ行くように説得するべきだ」と表明。同氏の国外退去を望む姿勢を初めて示した。

また、同時多発テロの真相解明について、国連とイスラム諸国会議機構(OIC)による調査を
提案。米国以外の第三者の関与を求めた。
一方で、アフガンへの攻撃準備を進める米国に対しては「国連とOICはブッシュ大統領が
『十字軍』という言葉を使い、イスラム信者の怒りを買ったことを留意すべきだ」と批判。
米国が攻撃に踏み切った場合は「ジハード(聖戦)が発動され、全世界のイスラム信者がアフガン
を支持するであろう」とけん制した。(21:14)
http://www.asahi.com/international/update/0920/010.html


[朝日新聞9月20日]
米同時多発テロの容疑者リストにアラブ紙が疑問提示

米捜査当局が公表している同時多発テロの容疑者リストに対し、アラブの新聞が疑問を投げかけ
続けている。
サウジアラビアの英語紙「アラブニュース」は、ペンシルベニア州に墜落したユナイテッド航空
93便の乗っ取り犯の一人とされるサイード・アルガムディ氏が、チュニジアの首都チュニスに
滞在していると報じた。
同紙やアラビア語紙「アッシャルクアルアウサト」(ロンドン発行)によると、本人と電話で連絡
が取れた。テロ発生時にはパリにいたといい、テレビで自分の写真が映されたのを見て、容疑者扱
いされていることを知った。同氏はサウジアラビア国籍で、チュニジアの航空会社で副機長として
勤務している。米国フロリダ州で操縦訓練を受けたことがあるため、疑われたのではないかとしている。

報道によると、世界貿易センタービルに突っ込んだアメリカン航空11便に乗っていたとされる
アブドルアジズ・アルオマリ氏もサウジアラビアの首都リヤドに在住しており、事件には無関係だという。
同氏は米国コロラド州に留学していた95年にパスポートを紛失しており、犯人たちがそれを利用
した可能性があるという。(22:14)
http://www.asahi.com/international/update/0920/014.html


[朝日新聞9月20日]
ビンラディン氏が馬で逃走、車で入れぬ地域に 英紙

米国で起きた同時多発テロの主要な容疑者とされ、米国側が行方を追っているイスラム過激派指導者
オサマ・ビンラディン氏がアフガニスタンの首都カブールから馬に乗ってとん走、車では入ることの
できない地域に向かったと19日、英ガーディアン紙が伝えた。
同紙によると、ビンラディン氏は17日、カブール中心部で支持者約500人を前に別れの演説を行った。
その後、護衛とともに馬で立ち去った。
同氏は国内に少なくとも3カ所のアジトを持つことで知られている。
そのうち東部ジャララバードのアジトは険しいがけをくりぬいた場所にあり、イスラム風の書斎と
寝心地のよくない三つのベッドが付いているという。
98年8月、米軍がトマホーク攻撃を軍事訓練キャンプに仕掛けて以来、同氏は携帯電話を持たなくなり、
急用がある時は部下を使うようになったという。同紙が、アラブ筋の情報などとして報じた。(22:52)
http://www.asahi.com/international/update/0920/015.html


[朝日新聞9月21日]
タイムズスクエアで反戦集会 NYは平和を望む

int092204.jpgタイムズスクエアを占拠して、反戦を訴える市民たち=21日午後9時40分
index092602.jpg「われらの声は戦争を求める声にあらす」というゼッケンを身につけアピールする芸術家達

同時多発テロ事件でブッシュ大統領が強硬姿勢を示していることに対し、反対の声が出ている。
21日午後9時(日本時間22日午前10時)すぎ、マンハッタンのタイムズスクエア周辺に若者
たち数百人が集まり、プラカードを掲げて「ニューヨークは平和を望んでいる」と叫んだ。
週末が始まった夜の繁華街で通行人が徐々に参加していき、通りを埋めるほどまで膨らんだ。
ニューヨーク市立大学生のキャロリン・ブレットさん(19)によると、口コミや大学仲間の
呼びかけで集まったという。
「法的証拠がないまま、(イスラム過激派の指導者の)オサマ・ビンラディンの仕業と決めつけ、
アラブ系住民に対する差別が広がっている。暴力に暴力でこたえても、新しい暴力を呼ぶだけ」
と話した。「世界貿易センタービルで亡くなった人々の死を、戦争で汚すな」という声もあった。
通りがかりのタクシー運転手らのなかには、クラクションを鳴らして「連帯」を示す人も。
一方で、通行人には「戦争でしか解決できない」と激しく反論する姿もあり、周辺は一時、
騒然とした。混乱や小競り合いを避けるため、多数の警察官が集会の参加者を取り囲んだ。(13:41)
http://www.asahi.com/international/update/0922/015.html


[朝日新聞9月21日]
パキスタン全土で反米デモ 大統領を「裏切り者」と非難

int092104.jpgペシャワルのモスクで21日、「反米」スローガンを掲げるイスラム教徒たち=AP
米国での同時多発テロに対するアフガニスタンへの報復攻撃への動きをめぐって21日、
パキスタン各地でイスラム原理主義の宗教団体や政党が主導する反米デモが行われた。
デモ隊は、米ブッシュ政権に協力姿勢を示しているムシャラフ大統領に厳しい批判を浴びせた。
カラチでは警官隊が発砲し、死傷者が出た。今後、米軍がパキスタン領から出撃するような場合、
国内外の過激派によるテロや反政府暴動も懸念され、米軍の動静はムシャラフ政権の基盤を揺る
がしかねない。
人口1200万の南部の商都カラチでは、朝からタリバーンと同じ民族のパシュトゥン人を中心
にした約3万人の反米・反政府デモがあった。
暴徒化したデモ隊に対する警官隊の発砲などで、マドラッサ(宗教学校)の神学生ら4人が死亡、
10人が負傷した。デモ隊は「ブッシュ米大統領のタリバーン敵視や攻撃は許せない」
「オサマ・ビンラディン氏に勝利を」と叫び、ブッシュ大統領の人形や星条旗、タイヤなどを路上
で燃やして気勢をあげた。
アフガン国境、北西辺境州のペシャワルでは、約7000人がデモに参加。
口々に「ジハード(聖戦)だ」と叫び、対米協力を表明したムシャラフ大統領にも「裏切り者」
「米CIAの手先」などと容赦なく非難した。
デモ主催者は商店に抗議ストライキを強要。営業中の店を見つけると、店の壁を棒でたたき、
大声で怒鳴って、強引に店を閉めさせた。政党関係者以外の参加者も目立ち、教師のムハマド・
カミルさん(46)は、「明確な証拠を示さずに犯人扱いして引き渡しを求める方が常識外れ。
対米協力に応じる政府もどうかしているよ」と話した。
やはりアフガン国境のクエッタでもパシュトゥン系民族がデモをした。 
首都近郊ラワルピンディでは約2000人がデモをした。「アフガン問題が終わったら、
パキスタンは米国に見向きもされなくなる」。イスラム協会の呼びかけで参加したデモ隊は
「オサマは英雄。ユダヤ人は最悪のテロリストだ」などと、反米とビンラディン氏擁護の
スローガンを叫び行進した。
モスクのすぐ近くで宝くじ店を経営するマンスール・エハメットさん(32)は
「イスラムは本来平和主義。私は扇動的なことは嫌い。店を閉めて、昼飯を食って帰るよ」
とうんざり気味に話していた。(23:42)
http://www.asahi.com/international/update/0921/020.html


[朝日新聞9月23日]
【米国同時多発テロ 】パキスタンに「アフガン防衛評議会」 米や政府に対抗

パキスタン・クエッタのイスラム原理主義勢力関係者によると、パキスタンのイスラム系団体が
「アフガニスタン防衛評議会」を結成した。関係者によると「全イスラムが連帯している」といい、
米国や対米支持を表明した政府への対抗を強めているもようだ。
評議会はペシャワル、カラチなどの各都市でデモを計画している。
一方、クエッタで23日、イスラム系学生団体がデモをした。21日にカラチのデモで警官隊の
発砲を受けた神学生らが死亡したこともあって反米感情が強まっており、学生らは
「米国はイスラム世界から出ていけ」などと気勢を上げ、星条旗を燃やした。(09/23)
http://www2.asahi.com/national/ny/afghan/K2001092301771.html


[朝日新聞9月24日]
【米国同時多発テロ 】ビンラディン氏と連絡とれず AIP報道、タリバーン側

アフガン・イスラム通信(AIP)は23日、最高指導者オマール師のスポークスマンの
話として、アフガニスタンにいるオサマ・ビンラディン氏と連絡が取れなくなっている、と伝えた。
タリバーン側が同氏の所在不明を明らかにしたのは初めてだ。
AIPなどによると、「自主的な国外退去」を求めた20日の聖職者会議の決定をタリバーン側が
22、23日に同氏に伝えようとしたが、同氏の所在が分からなくなっているという。
スポークスマンは「同氏の行方を捜している。見つかれば、聖職者会議の決定を伝える。
アフガンを去るかどうかは、彼次第だ」と語った。
タリバーンは同氏の所在を明確に示さない姿勢を保ってきたが、米軍の報復攻撃が近づくこの時期
に「所在不明」を表明することでかく乱を狙ったとの見方もある。
タリバーン育ての親とされるパキスタンのババル元内相は20日、同氏が「すでに出国した」
と記者団に語っていた。(09/24)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/afghan/K2001092400027.html


[朝日新聞9月24日]
【米国同時多発テロ 】米国務省が圧力 オマール師インタビュー放送中止に

米国政府系の海外向け短波放送「アメリカの声(VOA)」が、アフガニスタンのタリバーン政権
の最高指導者モハマド・オマール師との電話インタビューに成功したが、21日に予定されていた
放送が土壇場で中止に追い込まれた。「米国民の税金で成り立つ放送が、テロ事件の容疑者たちを
かくまう勢力の宣伝に使われるのは不適切」と判断した国務省が圧力をかけた。
23日付のワシントン・ポスト紙(インターネット版)が報じた。
オマール師はインタビューで「米国は、自らを攻撃する邪悪をつくった。私や(米国が同時多発
テロの首謀者とみる)ビンラディン氏らが死んでも、その邪悪が消えることはない」と述べ、
テロ事件を招いたのは米国自身の政策だと指摘した。インタビューはアフガンの主要言語、
パシュトゥー語で12分間行われた。
VOAにオマール師側からインタビューの申し入れがあったのを国務省が把握したのは21日。
その時はスタッフがすでにインタビューを終え、ブッシュ大統領の議会演説に対するアフガン側
からの反応をテーマにしたニュースの一部として同日夕に放送する予定だった。
アーミテージ国務副長官らがVOAを監督する理事会に中止を働きかけ、現場のスタッフたちに
伝わった。(09/24)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/us/K2001092301541.html


[朝日新聞9月24日]
【米国同時多発テロ 】アルカイダの数グループが米国内に W・ポスト紙報道

オサマ・ビンラディン氏が率いるテロ組織アルカイダの4〜5グループがこの数年間、
米国内に入ってきていたと23日付ワシントン・ポスト紙が1面トップで報じた。
筆者の一人はウォーターゲート事件や数々の調査報道で知られるボブ・ウッドワード記者。
米連邦捜査局(FBI)は彼らを「セル(細胞)」と呼んで監視してきたが、合法的に入国して
いるためこれまで手出しはできなかったという。この2年間に中央情報局(CIA)がFBIに
渡したメンバーの名前は約100人にのぼるとされる。彼らが何のために米国内にいるか、捜査
当局はつかんでおらず、今回のハイジャック犯19人との接点も見つかっていないという。(09/24)
http://www2.asahi.com/national/ny/us/K2001092400044.html


[朝日新聞9月25]
【米国同時多発テロ 】テロ後方支援犯見つからず、米捜査当局に焦り 米紙報道

米紙ニューヨーク・タイムズは25日、同時多発テロのハイジャック犯19人を助けたはずの地上
の共犯グループが一人も見つかっていないと報じた。米司法当局者が同紙に明かした。
テロ実行犯19人は全員死亡している。連邦捜査局(FBI)は、後方支援をしたはずの地上班を
割り出すことで、イスラム過激派指導者オサマ・ビンラディン氏と実行犯グループとを結びつける
人的な証拠にしようと努めてきた。
地上班は、実行犯に訓練の機会を与え、乗っ取る旅客機を選び、当日は4組にわかれて行動した
実行犯の連絡調整役をしたというのが捜査当局の読みだった。
係官7000人を投じた大規模な捜査で、FBIはこれまでに352人を逮捕・拘束したが、同紙
によると、その中に地上班らしき容疑者はいなかった。実行犯と面識がある人物はいたが、いずれ
もテロの全容を知る立場にはなかったという。
FBIは、米国内に地上班の拠点を発見することができず、ドイツ・ハンブルクなどに係官を急派
して調べを急いでいる。FBI内では今のところ、「ビンラディン氏の組織アルカイダは米国内に
拠点を置いていなかった」という見方が優勢らしい。(09/25)
http://www2.asahi.com/national/ny/us/K2001092502437.html


[朝日新聞9月25]
【米国同時多発テロ 】米テロがらみの身柄拘束・逮捕、352人 司法長官発表

アシュクロフト米司法長官は24日、同時多発テロがらみで身柄拘束や逮捕に踏み切った者の数が、
計352人にのぼっていることを明らかにした。
事情聴取するため、さらに392人の行方を追っているという。
また、ニューヨークのジュリアーニ市長は同日の記者会見で、世界貿易センタービルのテロ事件に
よる死者が276人に増えたと発表した。うち身元確認できたのは206人。
行方不明者は6453人に達している。同市長は、行方不明者の家族が希望すれば死亡証明書を
発行できるよう、26日までに手続きを開始すると述べた。(09/25)
http://www2.asahi.com/national/ny/us/K2001092500181.html


[朝日新聞9月25]
イラン、報復攻撃への慎重姿勢崩さず

英国のストロー外相が25日、テヘランを訪れ、イランのハタミ大統領、ハラジ外相と、同時多発
テロ事件への対応を話し合った。英外相のイラン訪問は79年のイスラム革命後初めて。
イラン側は国連の枠組みによるテロ対策を強調し、報復攻撃に慎重な態度を崩さなかった。
ハラジ外相は会談後の会見で、「アフガニスタンで何が起きているかを無視し、目先の利益だけ考
えたことが今日の問題を生みだした」と、一時はタリバーン政権を支援した米国の外交姿勢を暗に
批判した。そのうえで「性急な行動は罪のないアフガン国民を脅かす」と述べ、米国による報復攻
撃の動きをけん制した。
ストロー外相は「イランはタリバーンによって難民流入や麻薬の密輸など被害を受けてきた」と
指摘。「地域の発展と安定のため、両国が一致して長期的に努力していきい」と述べ、タリバーン
政権崩壊後をにらんで、イランとの協力を深める考えを明らかにした。その手始めに、アフガン
からの麻薬密輸対策のため、イランに100万ドルを供与すると述べた。
英国人作家サルマン・ルシュディ氏への「死刑宣告」で、イランと英国は89年に断交。
ハタミ政権の融和外交で98年には国交が正常化したが、昨年予定された英外相の訪問が人権問題
などで2回延期されるなど、両国の関係強化は足踏みしていた。(21:31)
http://www.asahi.com/international/update/0925/024.html


[朝日新聞9月25]
【米国同時多発テロ 】街に「イマジン」流れ、痛みかみしめる 米国民

報復ムードが高まる米国で、テロ後一時はラジオの放送自粛曲になった「イマジン」へのリクエスト
が殺到している。湾岸戦争の時は全土で歌われた米国歌に代わり、真珠湾攻撃の後にも歌われた
「ゴッド・ブレス・アメリカ」が主役の座を奪っている。1814年に英国によって本土が攻撃され
て以来の「被害」を前に、米国民に意識の変化が生まれているようだ。
22日夜、タイムズスクエアの一角。市民が群がっている。近寄ると男性(32)が歩道にCDを置き、
大きな音でイマジンをかけていた。
「殺し合ったりしなければならないものなんて、何もないんだ……」(高木善之訳)
殺すことも、殺されることも拒否するこの歌は、ベトナム反戦運動でも歌われ、平和の象徴として
歌い継がれてきた。
「自粛」後も放送し続けているラジオ局「Q104.3」のディレクターが電話口に出てくれた。
リクエストが殺到しているという。
「親会社の自粛要請に、『冗談じゃない』と思った。テロ攻撃でみんな傷ついているんだ。初めての
『被害』の痛みを実感し、みんな『平和』を見つめ直している」と言う。21日に4大ネットワーク
が共同で企画した追悼コンサートでも、この「イマジン」が歌われた。

91年の湾岸戦争では、ホイットニー・ヒューストンが米国歌を歌い、50万枚を売り上げてヒット
チャート20位になった。中東に向かう軍隊を国歌と歓声で送り出した。
「要さいに勇ましくはためき続けた星条旗」。米国の誇りと力強さを象徴してきた。
だが今回の事件後はあまり聞かれない。「砲弾が空でさく裂する」という歌詞がテロを連想するという
理由だけではない。米国民の心情にマッチしないというのだ。
代わりに歌われるのが愛国歌「ゴッド・ブレス・アメリカ」だ。
「神よ、アメリカを守りたまえ。我が愛する国を」
テロのあった11日夜、国会議事堂前で大勢の議員が斉唱した。ニューヨーク証券取引所の再開時
にも歌われた。静かに流れる旋律に勇ましさはない。
小さな国旗を胸につけていた退役軍人の不動産業ロバート・グリーンウッドさん(68)は
「本土を攻撃され、かつて経験したことがない恐怖を抱いている。これまでの戦争では、米国市民
が傷つくことはなかった。戦争は嫌だが、テロリストと議論する余地もない。どうしたらいいのか」
と迷いを口にする。41年の真珠湾攻撃後も「ゴッド」が街に流れていたのを思い出すという。
友人がテロで亡くなったというコンピューター会社員のホイット・チャプマンさん(31)は話す。
「こんな苦しみを、他国の罪もない人に味わわせるのはどうか」
米国民はいま、「被害」の意味をかみしめているようにもみえる。(09/25)
http://www2.asahi.com/national/ny/genchi/K2001092501697.html


[朝日新聞9月25日]
イスラマバードで学生600人が反米デモ

int092505.jpg反米デモをするイスラム原理主義の学生ら
25日昼、イスラム原理主義の学生ら約600人が、パキスタンの首都イスラマバードの
大通りで反米デモをした。
学生らは「パキスタン人よ、聖戦に立ち上がれ」「アメリカの味方はイスラムの敵だ」などと叫び、
約1キロを約1時間かけて歩いた。このところ、パキスタンでは各地で連日のように反米デモが
続いている。(21:32)
http://www.asahi.com/international/update/0925/026.html


[朝日新聞9月25日]
インドネシアのイスラム団体が「聖戦」呼びかけ

インドネシアのイスラム指導者団体「ウラマ評議会」と約40の主要イスラム団体は25日、
「米国などがアフガニスタンやイスラム諸国を攻撃した場合は、全世界のイスラム教徒に聖戦
を呼びかける」との声明を発表した。またハムザ・ハス副大統領は同日、報道陣に
「米国がアフガニスタンを攻撃しないように願いたい」と、米国の自制を求めた。
インドネシアには人口2億1000万人の9割近くという世界最多のイスラム教徒がいる。
ウラマ評議会にはイスラム諸団体の指導者が加盟しており、影響力は大きい。イスラム団体の中
には聖戦志願の登録を始めたところもあり、「イスラム青年運動」は同日までに、若者を中心に
約240人が登録したとしている。
ハムザ副大統領は「米国が捜しているのは一個人で、国ではない」と、大掛かりな報復に反対する
考えを示した。また一方で、インドネシア国内での反米運動も批判した。メガワティ大統領は19日、
ブッシュ米大統領との会談で、米国の反テロの戦いを支持する考えを明らかにしている。(21:31)
http://www.asahi.com/international/update/0925/025.html


[朝日新聞9月26日]
タリバーン地方司令官、米軍との戦闘に自信

int092504.jpg「組織からは禁じられているが」といいながら、撮影に応じてくれた=23日、ペシャワル市内で

パキスタンのアフガン国境に近いペシャワル市内で、情報収集などのために潜伏中のタリバーンの
地方司令官と会った。アフガンでは総動員態勢がとられたことを明かし、
「米軍が地上から来ることを願う」と戦闘に自信を示した。(ペシャワル<パキスタン北西部>=野嶋剛)

――名前と年齢は。
アブドラ・ジェハルド。年は40前後としか分からない。パキスタン国境に近いアフガンの州の
3地区が私の管轄で、私の下に1800人の兵士がいる。6つの軍区にそれぞれ司令官がいて、
その下に州の司令官がいる。私はその下に位置している。

――いま、アフガン国内はどんな態勢か。
4日前、女性や子どもも含めた総動員態勢が指示された。これからは全員が兵士の心構えを持って戦いに備える。

――どんな武器を持っているのか。
対戦車砲と高度8千メートルの相手をねらえる高射砲、自走砲など。旧ソ連製の武器が中心だ。
ソ連軍侵攻の時、我々は無力だった。いまは兵器もあり、当時より強い。
聖戦である限り、我々はおそれない。米国の兵士が地上から攻めてくることを願う。
そうすれば彼らは我々の力量を知るだろう。

――アフガンは対ソ戦で、米国から多くの支援を得た。
米国の助けは忘れない。しかし、他のイスラム国からはもっと大きな支援があった。

――同時多発テロにオサマ・ビンラディン氏が関与したと思うか。
信じられない。オサマは個人だ。飛行機をビルにぶつける力はない。彼は客人として家族と暮らし
ている。アフガンでソ連と勇敢に戦った偉大なムジャヒディン(イスラム戦士)として、多くの人
が尊敬している。
米国はタリバーンがオサマに頼っていると言うが、オサマから軍事的な支援は何も得ていない。
97年に、政府や軍に電話やファクスなどが寄贈されただけだ。

――友好国のパキスタンが米軍に協力したらどういう態度をとるか。
友好は失われるだろう。しかし、我々は隣人を攻撃することはない。

――アフガン国境は閉じているが、どう行き来しているのか。
(パキスタン、アフガンにまたがる民族の)パシュトゥンの人々は山を知っている。
山には道がある。来るときも、帰るときも同じだ。(09:25)
http://www.asahi.com/international/update/0926/002.html


[朝日新聞9月26日]
「米国との戦いに備えよ」パキスタン神学生は臨戦態勢

int092502.jpgラフマン師(右)の呼びかけにこたえる神学生ら
「来るべき米国との戦いに備えよ!」。クエッタ郊外のマドラッサ(神学校)に、パキスタンの
イスラム聖職者協会(JUI)の最高指導者でアフガニスタンにも影響力を持つ
ファザルウル・ラフマン師の声が響いた。パキスタンの神学生の間で臨戦態勢が整いつつある。
「米国は地に落ちろ」。24日午後8時過ぎ。ラフマン師が到着すると、集まった数千人が一斉に
立ち上がり、大声で叫んだ。「証拠も示さずに裁きを求めることが許されるのか」。
「テロリストとの戦い」を掲げる米国の姿勢は、神学生らには「イスラムへの宣戦布告」と映る。

このマドラッサで学ぶ神学生は500人。バルチスタン州の神学生代表でもあるグリスタン・
カーン・ファルーチ氏は「すべての神学生が米国と戦う。心は一つにまとまっている」と語る。
「アフガンに入れば武器はいくらでもある。戦いに行くために荷物をまとめたものもいる」という。
クエッタはタリバーン政権の本拠地カンダハルに近いパキスタンの要衝だ。この地域の神学生の
多くはアフガンで軍事訓練を受けている。毎年4〜6カ月、志願した神学生を同国に送り、銃の
扱いや戦闘方法を身につけさせるのだ。

マスード・アーマエル君(22)はアフガンで通算4年間の実戦経験がある。
「すべての武器を扱える。戦車の操縦もできる」という。
「我々の指導者が断を下したら、身一つで飛び込み、神のために戦う」と語る。
ラフマン師は、JUIの下部組織で20万人の会員を抱えるイスラム神学生協会を中心に、対米
闘争を呼びかけて回っている。この日は国境の町チャマンでも集会を開いた。
外国人記者の取材は禁じられ、緊迫した状況になったもようだ。
「米国が攻撃すれば最後の指令を下す。水も食糧もない山の中での戦いになる。心して待つように」。
ラフマン師が呼びかけると、雲一つない夜空に大歓声が吸い込まれていった。(06:06)
http://www.asahi.com/international/update/0926/001.html


[朝日新聞9月26日]
報復作戦名を「限りなき正義」から「不屈の自由」へ変更

ラムズフェルド米国防長官は25日、同時多発テロを受け、米軍が準備を進めている海外での
軍事作戦の名称を「限りなき正義」(infinite justice)から「不屈の自由」(enduring freedom)
に変更すると発表した。
神の意味も含む「限りなき」(infinite)に対し、イスラム教関係者の間で「アラーの神」
にかかわる言葉を米軍が使うことは問題だなどと反発する声が出ていた。
長官は新名称の「不屈」(enduring)について、「すぐには解決しない」という意味を込めたとし、
国民に「忍耐」を呼びかける狙いもあると説明。テロ撲滅には軍事作戦も含め「数年かかる」との見方を示した。
(11:04)
http://www.asahi.com/international/update/0926/004.html


[朝日新聞9月26日]
米、アフガン国民に共闘呼びかけ タリバーン亀裂狙う?

ブッシュ米大統領は25日、アフガニスタンの一般市民に初めて共闘を呼びかけた。
米国の敵としては、オサマ・ビンラディン氏の組織と、引き渡しを拒むタリバーン政権に絞り
込み、国民との切り離し作戦に出た形だ。米国は武力による攻撃態勢を増強する一方で、急増
するアフガン難民向けの人道支援の支給も急ぎ、硬軟両様の対策を進めている。
大統領は小泉純一郎首相との記者会見で、タリバーンによる「女性への抑圧」などを指摘しながら、
「米国や日本の価値観には受け入れがたい」
「タリバーンと、それをカネで支える外国人らに嫌気を持つ市民に協力を求める」と表明した。
米政府は24日、急増するアフガン難民向けに小麦1万トンの支給を発表した。国務省によると、
同時多発テロ後の今月12日からパキスタン領内に女性や子供を中心に約1万5000人が流入。
さらに一部の国境検問所では約1万人が連なって入国許可を待っているとの報告があるという。
多くは米国の報復攻撃を恐れるためだが、「アフガン市民を米国が苦しめているとの批判は全く
不当だ」とバウチャー同省報道官は反論。米国はアフガンの干ばつや難民対策として食糧、
医薬品などの人道支援に年間1億7000万ドル分を支出。同国への最大の人道援助国となって
いるからだ。
しかし大統領がここでアフガン国民向けのメッセージを発した裏には、タリバーンの足場崩し
の狙いがあることは間違いない。「米国が武力に訴える前に内部の力を借りるのは悪い手ではない」
(マクファーレン元大統領補佐官)とされる。
人道物資を現地で支給する国際機関職員はアフガンから避難しており、米政府は国際開発局
などを動員してパキスタン領内での難民手当てを急いでいる。「罪のないアフガン国民が犠牲
になるならば、米国の反テロ闘争は無意味だ」(アサド・シリア大統領)とするアラブ諸国の
声をなだめるためにも、米国は非軍事面での対策に懸命だ。(00:25)
http://www.asahi.com/international/update/0926/016.html


[朝日新聞9月26日]
ビンラディン家の寄付は被害者に ハーバード大に要求

米ハーバード大学があるマサチューセッツ州ケンブリッジ市の市議会は24日、オサマ・ビンラ
ディン氏の実家から受けた寄付金を含む500万ドル(約5億8600万円)をテロ事件の被害
者に贈るよう同大学に求める決議を採択した。
「大学が受け取った寄付は、テロ資金と同じ汚れた金だ」というのが提案理由。
9人で構成する同市議会で、8対1の賛成多数で可決された。
同大学は「オサマ氏は勘当された身。ビンラディン家が経営する企業からテロのはるか前に受け
取った寄付にやましいところはない」と反論しながらも、世論を意識してか100万ドル
(約1億1700万円)をテロの遺族に寄贈すると決めた。
ビンラディン家の実家が経営する「サウジ・ビンラディン・グループ」は同大学に対し、93年に
「イスラム法の研究にあてて」と100万ドルを寄付。翌94年には「イスラム芸術の研究に」と
100万ドルを贈った。
大学当局によると、オサマ氏の弟と思われるアブドラ・ビンラディンという学生が94年に法律
大学院を修了している。その縁もあって、土木建築の大企業を経営する実家が大金を贈ったらしい。
(23:26)
http://www.asahi.com/international/update/0926/014.html


[朝日新聞9月26日]
カブールで反米デモ、旧米大使館に放火

アフガニスタンのカブールで26日、数千人から数万人が参加して、軍事行動に向けた米国の動
きに抗議するデモが行われ、カブール空港に近い旧米国大使館が放火された。米同時多発テロ以
降では最大規模の反米行動となった。デモには学生や政府職員らが参加。
「米国に死を」「ブッシュ(大統領)に死を」「イスラム万歳」などと叫んで街頭を行進した。
カブールの国連事務所にも投石があった。
米大使館は内戦の間も被害を受けず、現地スタッフが管理していた。
カブールでは政治活動が許されていないため、大規模な抗議デモはタリバーン政権の動員の結果
とみられる。
タリバーン政権はテロ発生後、カブールなどの国連事務所で通信設備を封印し、現地職員の国外
の通信を禁じた。タリバーンの国際社会からの孤立が進むにつれ、国連も米国同様に激しい批判
の対象となっている。(21:05)
http://www.asahi.com/international/update/0926/012.html


[北海道新聞9月26日]
特殊部隊投入は危険 旧ソ連軍人が「悪夢見る」と警告

【モスクワ20日本田良一】「アフガニスタンで戦闘を仕掛けたら悪夢を見る」―一九七九年、
当時の親ソ政権を支援するため軍事介入に踏み切った旧ソ連は、十年間の泥沼の戦闘を経て、
八九年、撤退を余儀なくされた。ソ連側の死者は約一万四千人。不毛で凄惨(せいさん)な戦闘
を経験した帰還兵らは、米中枢同時テロの「主要容疑者」ウサマ・ビンラディン氏の身柄確保の
ため、米国が計画するアフガニスタンへの陸軍特殊部隊の投入に関し、「極めて危険だ」と警告
を強めている。
「アフガン戦争に比べれば、ベトナム戦争はピクニックみたいなもの。十倍ひどい戦争になる」。
約五年間、アフガニスタンで旧ソ連軍の現地司令官を務めたシャマノフ将軍はこう断言する。
アフガニスタンの国土の四分の三は険しい山岳地帯で、複雑な地形だ。ミサイル基地など軍事目標
もない。「空爆は何の成果ももたらさない」と当時の親ソ・アフガニスタン政府の軍事主任顧問
だったガレイエフ氏は語る。
さらに、ビンラディン氏の身柄を拘束するには地上軍の派遣が不可欠だが、長年の内戦で、
同国内の道路は破壊され、現在も満足な道路はない。戦車や装甲車の使用は極めて困難だ。
一方で、激しい抵抗も予想される。軍事作戦の指揮を執った一人であるモスクワ州知事のグロモフ氏は
「高い山岳地帯で、何回も待ち伏せ攻撃を受けた」と振り返る。
さらに「(アフガニスタンを実効支配するタリバン主流派の)パシュトゥン人は必ず、徹底抗戦する」
と語り、民族の結束の堅さも指摘する。タリバンは長い内戦を戦い抜いた実戦経験も豊富だ。
ロシアの戦闘経験者、専門家たちは「陸上作戦は数年続く」との見方で一致している。
ただ、ガレイエフ氏は「ビンラディン氏をもし排除できたとしても、テロ組織は根絶できない」と言い切る。
米軍は奇襲作戦も検討中とされるが、アフガニスタンの軍事外交筋は十九日、すでにタリバンは攻撃
に備え、タジキスタンの国境から五十キロの街に二千人規模、別の国境付近に千人規模の武装勢力を結集。
抗戦態勢に入ったことを明らかにしている。
http://search.hokkaido-np.co.jp/News/20010921/0026.200109219946.html


[朝日新聞9月27日]
「アフガンへの敵対行動には加わらず」 パキスタン

パキスタン外務省報道官は26日、「わが国はアフガニスタンへのどんな敵対行動にも、絶対に
加わらない」と述べ、港湾の提供などで米国の軍事行動に協力はしても、共同作戦はあり得ない
との姿勢を明示した。
報道官は「我々はパキスタン、アフガン両国民の運命を深く懸念する。テロリズムに対する戦い
であり、アフガンに対する戦いではない。アフガン政府は、国際社会の要望に責任を持って答え
て欲しい」と述べた。(08:46)
http://www.asahi.com/international/update/0927/001.html


[朝日新聞9月28日]
【米国同時多発テロ 】世論二分のパキスタンで「結束の日」 各地で政府支持会

米同時多発テロへの対応をめぐり世論が割れるパキスタンで27日、政府が呼びかけた
「結束の日」の集会がイスラマバードなど各地で開かれ、約3万人が参加した。
一方で、対米協力に反対するイスラム原理主義勢力は、「見せかけの支持だ」と反発した。
国会議事堂前で、学生らが「愛国心を持とう」「分裂でなく団結を」との横断幕を掲げて行進。
イスラム教団体から参加した女性は
「大統領を支持する。国際社会の一員として対米協力以外に選択肢はない」と言う。
参加者の中には「対米協力には賛成だが、オサマ・ビンラディン氏がテロに関連した証拠
を示す必要がある」(23歳の大学生)と、軍事行動に慎重さを求める声もあった。
一方で、イスラム原理主義に近い保守派政党のイスラム協会幹部は、
「賛成しているのはほんの一握りの人。政府は見せかけの世論を作っている」と批判している。
(09/28)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/afghan/K2001092800279.html


[朝日新聞9月29日]
「西欧文明はイスラムに勝る」伊首相発言に関係国猛反発

西欧文明はイスラムに勝る−−イタリアのベルルスコーニ首相がこう発言し、イスラム諸国
が猛反発している。首相は28日、「文脈をそれて一部の言葉が曲解された」と苦しい釈明
をしたが、米国でのテロ事件後、イスラムへの偏見が広がることに神経をとがらせる関係国
の怒りはまだ収まりそうにない。
首相はドイツ訪問中の26日、「私たちの文明は繁栄をもたらし、人権尊重も保証している。
優越性を意識しなければならない」と語った。「こうした価値はイスラム諸国にはない」
「(イスラム諸国は)1400年前の段階にとどまっている」とも続けた。
これに対し、アラブ連盟のムーサ事務局長は「人種差別的な発言だ。10億人のイスラム教徒
に謝るべきだ」と抗議。イランやエジプト、レバノンなどの各政府が相次いで説明を求めた。
欧州連合(EU)のプロディ欧州委員長は「我々はみな平等だ」と火消しに回った。
ベルルスコーニ首相はイスラム諸国の大使と近く会談し、「真意」を説明するという。(09/29)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/others/K2001092900339.html


[朝日新聞9月30日]
【米国同時多発テロ 】「48時間以内に攻撃開始」 英紙報道

9月30日付の英日曜紙オブザーバーは、米軍とこれに協力する英軍部隊が48時間以内に、
アフガニスタンにあるオサマ・ビンラディン氏やタリバーンの軍事拠点への攻撃を開始すると報じた。
同紙によると、この作戦はビンラディン氏の殺害と、同氏が率いるテロ組織アルカイダの
壊滅をめざすもので、タリバーンの軍事基地への攻撃と並行して進められるとしている。
作戦は、アラビア海に展開する米空母の艦載機やミサイルで、タリバーンが保有する航空機
や対空防衛網、戦車などの軍事目標に対して爆撃を実施。あわせて、アフガン国内ですでに
活動を始めているとされる米英の特殊部隊、さらに米第82空挺(くうてい)師団などが参加
する機動的なものになるとしている。(09/30)
http://www2.asahi.com/national/ny/afghan/K2001093001514.html


[朝日新聞9月30日]
反戦訴え、全米各地で「同時多発デモ」

int093001.jpg
武力行使への緊張が高まる中、全米各地で9月29日、反戦デモがあった。
首都ワシントンでは「戦争しても犠牲者は生き返らない」などと訴えるプラカードが掲げられた=AP

同時多発テロに対する報復として米国政府が軍事作戦を準備する中、ワシントンや米国西海岸
のサンフランシスコ、ロサンゼルスなどで9月29日、平和解決を求める市民の「同時多発デモ」
が行われた。
ワシントンでは約1万人が、テロ事件後では最大規模の「反戦デモ」を繰り広げた。
武装警官が道の両わきを警備、上空では警察のヘリコプターが旋回する中、
「戦争では何も解決しない」と訴えながら行進した。
この週末、ワシントンでは国際通貨基金(IMF)と世界銀行の総会が予定されていたが、
テロ事件のため中止された。デモの参加者の多くは、この総会への抗議行動を予定していた。
サンフランシスコでは町はずれの公園に、市民約5000人が集まった。手作りのプラカードには
「アフガニスタンを第2のベトナムにするな」などと書かれていた。
主催したのは「戦争をやめ人種差別をなくすため、いま行動を」という名の市民団体のネット組織だ。
学生が多いが、ベトナム戦争の帰還兵ら年配者も目立った。アラブ系の顔立ちの人々も多かった。
参加者は次々に前に立ち、「戦争は罪もない人々を殺すことになり、新たな敵を生み出すだけだ」
などと訴えた。
サンフランシスコや隣接したバークリーなど一帯は、ベトナム反戦運動の中心となった地域だ。
今回のテロ事件でも発生直後から様々な市民団体が生まれ、平和解決を求める小規模な集会を連日
のように開いてきた。そうした組織がまとまっての大集会となった。
ロサンゼルスでも中心部の連邦政府ビル前で約300人が同様の集会を開いた。(00:14)
http://www.asahi.com/international/update/0930/010.html


[朝日新聞9月30日]
「攻撃に国土を使わせない」 サウジ国防航空相

サウジアラビアからの報道によると、同国のスルタン国防航空相は9月29日、
「ムスリム(イスラム教徒)やアラブと戦うために、外国軍隊がわが国に駐留することを容認しない」
と述べ、予想されるアフガニスタン攻撃のために、米国がサウジ内の基地を使用することに否定的
な態度を示した。同国の日刊紙オカズなどが報じた。同国の最高実力者の一人である同国防航空相
の発言で、同国が米軍にサウジ内の米軍基地の使用許可を与えるのか、一層不透明となった。
報道によると、スルタン国防航空相は同国北西部での会合で演説した。米空軍司令部が置かれると
予想されるプリンス・スルタン空軍基地など具体的な名称は挙げていないが、
「いかなる外国軍の駐留」も拒否するとしている。
サウジは米国の報復攻撃に対し全面協力を表明している。その後、米軍基地の使用許可をめぐって
一時、許可しない方針が報じられたが、同国政府がすぐにその報道を否定するなど、対応が二転
三転している。イスラム教の二大聖地を抱える同国では、王族の一部にも外国軍の駐留を容認しない声が強く、親米派との間で激しい議論が続いているとみられる。(00:12)
http://www.asahi.com/international/update/0930/009.html


[朝日新聞10月1日]
米軍の基地使用、サウジ王家内で対立続く

湾岸での米軍作戦に不可欠となるサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地の使用許可をめぐって、
サウジ王家内部の意見統一が遅れている。同時多発テロ後に訪米したサウド・サウジアラビア外相は、
米作戦への全面的な協力を約束した、と伝えられたが、同国のスルタン国防相が
「基地使用許可の報道はナンセンス」と否定するなど、揺れ動いているのが実情だ。
湾岸戦争以来、同基地はイラク上空からの偵察行動を中心とする指揮統制センターを完備し、空中
警戒管制機(AWACS)などによる情報収集・分析の中枢となってきた。米がアフガニスタンへ
の本格的な作戦を開始すれば、同基地からの米軍機の発進に加え、前線での作戦指揮に重要な役割
を果たすことになる。だが、いまのままだと米軍の活動が制約される恐れも出ている。
スルタン国防相は9月30日、「モスレムもしくはアラブ人との戦争に、(異教徒の)兵士一人で
あっても我が国を使うことは許さない」と述べ、メッカ、メディナの2大聖地を抱えるイスラム
国家サウジの立場をサウジ紙に説明した。
さらに「サウジ領空の通過は認めるが、地上施設は使わせない」とも付け加えた。
サウジ各紙は、基地使用の合意を伝える米報道に対し、「サウジを困惑させる意図で流された」
と一斉に反発、パレスチナに対するイスラエルの「国家テロ」を引き合いに出して反米ムードを
あおっている。
スルタン国防相の息子であるバンダル駐米サウジ大使は、父親の発言後、
「(反テロ作戦に関する)米とサウジの立場は一つである」と米国で釈明した。
しかし、サウジ政府の意図は、米国向けとサウジ国内向けで大きく隔たりがあり、米を含めた西側
政府の「頭痛の種」となっていることは否めない。(19:57)
http://www.asahi.com/international/update/1001/013.html


[朝日新聞10月1日]
タリバーン政権打倒鮮明に 米政府

米政府は30日、アフガニスタンのタリバーン政権打倒を目指す方針を鮮明に打ち出した。
ブッシュ大統領は同日、反タリバーンのどの勢力にも積極支援に乗り出すことを承認した。
タリバーンがオサマ・ビンラディン氏らの引き渡しを明確に拒否したことで、米国は同政権を
テロ組織と同列にみなし、攻撃の第1標的に含めるとの見方が強まっている。
週末に開かれた米国家安全保障会議は、タリバーンについての政府内指針の草案を作成。
「タリバーンはアフガン国民を代表していない。米国はアフガンの支配者を選びたくはないが、
平和的で経済発展する国家を目指す者たちを支援する」などとの方針を固めた。
米国はこれまで表面上は政権のすげ替えにテコ入れする意図はない姿勢を保っていたが、
タリバーン側は「米国には我々を攻撃する理由はない」と対決姿勢に出た。米政府は交渉の
余地はほぼなくなったとし、政権打倒を決めたとみられる。
1日付ニューヨーク・タイムズ紙によると、米政府は「北部同盟」だけでなく、アフガン南部
のパシュトゥン人グループにも、兵士の徴用や武器購入などの金融支援をする見通し。
また、米政府は在ローマの元アフガン国王との協議を進める一方、タリバーン内の離反組とも
接触し、内部の切り崩し工作に着手したという。
米上院のレビン軍事委員長(民主党)は30日のテレビ討論番組で、タリバーンの引き渡し
拒否を受けて「これで間違いなくタリバーンも米国の標的だ。タリバーンは政府ではなく、
カルトだ」と表明。テロ組織と同様に軍事攻撃の対象に含むべきだとの考えを示した。(01:28)
http://www.asahi.com/international/update/1001/027.html


[朝日新聞10月1日]
10万人以上が失業、流出の恐れ NYでテロの影響深刻

テロ事件に直撃されたニューヨーク市で、最大で計10万8500人の就業者が、隣接地域へ
流出したり失業する恐れがあることが分かった。同市の調査機関、財政政策研究所が1日まで
に試算をまとめた。
ウォール街の金融関連業界で働く約2万人がすでに、バックアップ拠点のある隣接のニュージャージー州
に移ったとみられる。このほか、ウォール街を支えた小売業界の1万2200人、レストランで
働く1万1900人が失業し、観光客の激減で、ブロードウェーなど劇場街の7800人、
ホテルの4300人なども失業すると予測している。
いずれも10月半ば時点の見込みで、11万人弱はニューヨーク市の労働力の2.4%に相当する。
同研究所は「ニューヨーク経済が景気後退期に入った可能性が大きい」としている。(22:04)
http://www.asahi.com/international/update/1001/021.html


[朝日新聞10月1日]
「ことばに気をつけろ」米報道官の発言に批判

テロ事件の発生以来、米社会は星条旗であふれかえり、国民的結束が高まっている。
その中で、「危機」の際の言論の自由を考えさせる事件があった。
テレビ司会者のビル・マー氏が番組で米軍を批判したことについて、フライシャー大統領報道官が、
「ことばに気をつけるべきだ。そういう発言をする時ではない」と発言。
これに、ニューヨークタイムズ紙のモーリン・ダウド記者が、
「大統領に臨時に大幅な権力を与え、人権の制約を認めるいまこそ、討議が必要なのだ」と
コラムでかみついたのだ。

問題の発言は、9月17日のトークショー。ブッシュ大統領がテロリストを再三「臆病者」
と呼んだことが話題になった。

ゲスト「彼らは臆病者ではない。命を投げ出し、だれもひるまなかった」
マー氏(自軍に死傷者を出すことを恐れるあまり)巡航ミサイルを2000マイルも
離れた所から撃っていた我々の方が臆病だった」

この発言が抗議を呼び、マー氏は謝罪。番組のスポンサーから2社が降りた。
そこでとどまらずに、大統領報道官のコメントにまで発展した。ダウド氏が反論したのは、
ことが最高権力者の報道官だったからだ。同氏は9月30日付けのコラムでこう書いた。

「我々が標的になっている時こそ思想の対立を抑圧してはならない。
コラムニストと喜劇人の職が異論ゆえに危うくなる空気こそ恐れるべきだ」
ホワイトハウスは、公式記録から報道官の「ことばに気をつけるべきだ」という部分を
削除している。(19:26)
http://www.asahi.com/international/update/1001/012.html


[毎日新聞10月2日] ( 2001-10-02-23:00 )
米同時テロ:NATO、アルカイダの犯行と断定 米が証拠提出

【ブリュッセル森忠彦】北大西洋条約機構(NATO)は2日、大使級理事会で、同時多発テロが、
ビンラディン氏と同氏が率いるテロ組織「アルカイダ」の指揮によるものと断定。条約第5条に
よる「集団的自衛権」の発動条件を満たしたことを確認した。同理事会の席上、米国務省の専門官
がビンラディン氏らの事件関与を示す証拠を開示し、これを受けて判断した。NATOの集団的自
衛権が発動されれば1949年の設立以来初めてとなる。
NATOは9月12日に憲章第5条の集団的自衛権について、
(1)攻撃が外国からの指揮によることが明確である(2)米国の要請がある――の2条件を満た
せば発動する方針を示していた。米国の説明を受けたロバートソンNATO事務総長は
「テロがアルカイダによって引き起こされたことは明らかだ。
ビンラディン氏をかくまっているタリバンの関係も立証された」と語り、攻撃の責任がタリバン
政権にも及ぶとの見解を示した。
この日、米国からの第5条の発動要請はなかったが、今後、要請を受ければ自衛権を発動し、
NATOとして攻撃に参加することになる。

■北大西洋条約第5条 NATO加盟19カ国(米国、カナダ、欧州各国)の、1カ国もしくは
複数の国が外部から武力攻撃を受けた場合、加盟国全体に対する攻撃とみなし、国連憲章にある
集団的自衛権として軍事行動を含めた支援を認めた条項。


[朝日新聞10月2日]「ポリティカにっぽん」(コラムニスト早野透の連載コラム)
アフガンの民衆と文明の逆説

アメリカでの同時多発テロの報復でアフガニスタンが攻撃にさらされるのかどうか、その緊迫の
地から帰った日本人医師、中村哲さんの話を聞く集会が9月26日、衆院議員会館の会議室で
あった。中村さんの旧知の社民党の阿部知子さんの企画だった。

「アフガニスタンでは全土から集まるには、歩いて1週間、ラクダで3日間かかるんですよ。
タリバーンが聖職者集会で時間かせぎしているとか言われたけれど、時間の流れが違うんです」
中村さんはもともと山好きでこの地に縁ができて、以来17年間、パキスタンのペシャワルを
本拠にアフガニスタン各地にらい診療所を開いて治療にあたってきた。中村さんは、差別の根底
に触れずに代用語を使うのはよくないとハンセン病という呼び方をしない。病気と貧困に苦しむ
下層の人々に長く接して来ての考え方なのだろう。
「新聞記者の情報は雲の上の話です。貧富の差が激しくて貧民は外国へ逃げるカネもない、
まともな医者にはかかれない。大干ばつ、飢餓、難民、マラリア。冷たくなっていく子どもを
抱いて離さない母親の悲しみ」中村さんはそこまで話して言葉を詰まらせた。

『アフガニスタンの診療所から』(筑摩書房)や『医は国境を越えて』(石風社)など中村さん
の著書を読むと、アフガニスタンがいかに長い間、戦乱のちまたにあったかがよくわかる。
19世紀から20世紀にかけて南からイギリスが侵食した。3次にわたる戦争でアフガニスタン
はこれを撃退した。1979年からはソ連がアフガニスタンに10万の軍隊を送って親ソ派政権
に肩入れした。対抗するイスラムゲリラにアメリカがパキスタンを通じて武器供与した。
アメリカがつくった土壌の中から、ゲリラを組織したビンラディンも、内戦を制したタリバーン
も育ったともいえる。

「なんで我々がおたがいに殺し合わねばならないんだ。コサックとカウボーイを直接シベリアで戦わせろ」
中村さんの著書には、反英闘争以来の老闘士の葬列に居合わせ、
そんな声があがるのを聞いたと書いてある。

いま、アメリカのブッシュ大統領の「善と悪の戦いだ」との大義のもとに、テロリストの
ビンラディンをタリバーン政権がかくまっている、タリバーンも同罪だ、テロ支援国家はやっつ
けろという論理だけでいいのかどうか。タリバーンに対抗する北部同盟にまた外国が軍事的応援
をするというならば、もう外国に翻弄(ほんろう)されたくないというアフガニスタンの民衆の
思いも募ることだろう。

昨今のテレビでは、タリバーンが女性を閉じこめて教育の機会も与えないなどの抑圧をとりあげて、
石原慎太郎東京都知事をはじめ「われわれの文明では許されない」とさかんに論難している。

それはその通りだが、だからといってただちに「文明十字軍」ともいうべきものに、わが自衛隊
を派遣する理由になるとは思われない。われわれの敵は憎むべきテロリズムの犯人と組織である。
アフガニスタンの地に根を下ろした中村さんの著書は、人々が外圧に果敢に武器をとり、
それが終わると農作業に戻る姿を描いている。「近代文明」の側がアフガニスタンの打ち首処刑
や復讐(ふくしゅう)の残虐性を非難しながら、その一方で戦争をいとわず民衆の膨大な死をも
たらし、それが一段落すると「人道的援助」を口にする、こうしたことに偽りを感じていること
もうかがわれる。「文明の逆説」というべきか、考えるほど悩ましい問題提起である。

ニューヨークの摩天楼とアフガニスタンの山地をさまよう難民。かたや自由と民主主義、貿易や
金融の世界。かたやアラーへの信仰を重んずる宗教的社会。文明とは何かと考えあぐねていると、
作家の小田実氏が慶応義塾大学で9月28日から半年間、「現代思想」というテーマで講義する
ということを聞いたので、取材にでかけてみる。
かつてベトナム戦争に反対し、阪神大震災の中で市民立法をてがけた彼がいま何を考えているか、
それは次回でたどってみたい。(2001.10.02)
http://www.asahi.com/column/hayano/ja/index.html


[朝日新聞10月2日]
米大統領「パレスチナ国家は常に視野にある」と発言

ブッシュ米大統領は2日、ホワイトハウスで記者団に、中東和平構想について、
「イスラエルの生存権尊重が前提」としながら、
「パレスチナ国家の構想は常に視野に入っている」と述べた。
テロ対策で米国を支援する前提として、中東和平への積極的な関与を求める穏健派
のイスラム諸国などを念頭に置いた発言とみられる。
ニューヨーク・タイムズ紙などは同日、先月の同時多発テロが起きる前、米政府が
中東和平に関する新たな提案を用意し、共和党政権として初めてパレスチナ国家創
設を支持する準備を進めていた、と報じた。大統領のこの日の発言はこの報道を認
めた形。新提案はパウエル国務長官が国連総会での演説で発表する計画だったが、
テロのため実現しなかったという。(01:15)
http://www.asahi.com/international/update/1002/026.html


[朝日新聞10月2日]
米の性急な軍事行動をけん制 サウジ皇太子が高村特使に

小泉純一郎首相の特使としてリヤドを訪れている高村正彦元外相は2日、リヤドの王宮でファハド・
サウジアラビア国王を表敬訪問した後、アブドラ皇太子と会談した。皇太子は、同時多発テロに
対する米国の軍事作戦について「米国が冷静になり、十分に考えるよう求める」と述べ、性急な
軍事行動をけん制した。
皇太子は「ビンラディン氏の名が出ているが、世界的な規模の策略であり、ほかにも
(テロ指導者が)いるはずだ。信頼できる捜査を望む」とも語り、テロの真相究明が最優先され
るべきだとの考えを示した。
高村特使は3日、イランでハタミ大統領らと会談する予定だ。(01:51)
http://www.asahi.com/international/update/1002/029.html


[朝日新聞10月2日]
「パレスチナ弾圧に利用の声も」 国連反テロ決議に懸念

国連総会は1日、米国での同時多発テロを受けたテロ撲滅策討議に入り、米国、
ロシア、英国など30カ国の大使らが一様にテロを非難した。この中で、穏健アラブ
諸国のリーダー格のエジプトは、28日に安保理で採択された「テロ包囲網強化決議」
を支持しつつも、その施行の細部があいまいだと懸念を示した。
エジプトのアブルゲイト国連大使は、決議について「重大な懸念を持っている」
として、決議内容の履行をどう監視するのか、違反した場合はどうなるのか、と疑問
を呈した。さらに、イスラエル内の一部に、今回の事件で国際社会に反テロ機運が高
まっていることを利用し、パレスチナの抵抗を弾圧しようという声があると指摘した。
また、キューバのパリーラ国連大使は、テロは過激派や個人によるもので自衛権行使
にはそぐわないと指摘し、「大国(米国のこと)が自衛権をたてに、単独行動で戦争
を起こしてはならない」と力説した。また、安保理決議についても、テロリストや
テロ行為をどう規定するのか、疑問を表明した。
総会の討議や決議は拘束力を持たない「意思表明」だが、今月半ばに始まる包括的
テロ防止条約の論議の「地ならし」となる。
発言希望国はさらに増えて160カ国を超えた。(15:56)
http://www.asahi.com/international/update/1002/008.html


[朝日新聞10月3日]
タリバーンの内部分裂工作に着手 パキスタン

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバーンを支援していた隣国パキスタンが、米国に対
する強硬方針を変えないタリバーン指導部を見限り、タリバーンの内部分裂をひそかに誘い出す
方針に踏み切った。タリバーン指導部に近いパキスタン情報筋が2日、朝日新聞に明らかにした。
同筋によれば、パキスタンのムシャラフ政権は、自分たちが望むように動かなくなったタリバーン
最高指導者オマール師やナンバー2のムラ・ハッサン師ら最強硬派の失脚を目指して動き始め、
もっと柔軟な指導部へのすげ替えも視野に、分裂工作に着手している。具体的には、情報手段が
発達していないアフガニスタン社会では影響力が大きい反体制のビラ配布などを支援している模様だ。
こうした工作は、間近に迫っているとみられる米国などの攻撃によるタリバーン弱体化を見越し
た地方のタリバーン将兵らの自発的な離脱の動きとも呼応しているとみられる。離脱が目立つの
はジャララバードのあるナンガルハール、パクティア、ラグマンなど、パキスタン国境に近い東部
アフガン諸州で、9月下旬から100〜200人単位で反タリバーンの北部同盟側に寝返っている。
やはりパキスタン国境に近い要衝ホーストなどでは、地元のパシュトゥン族の長老らが、
ザヒル・シャー元国王のアフガン帰国を求める声を上げたり、タリバーン内に加わっている
アラブ人兵士やアラブ人住民に出ていくよう求めたりし始めたという。(08:05)
http://www.asahi.com/international/update/1003/002.html


[毎日新聞10月3日]テロの定義で対立

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1日、開幕した国連総会で、テロ撲滅に向け各国の協調を呼びかけるアナン国連事務総長=AP

米国での同時多発テロ事件は、テロの手法に関する常識を粉砕してしまった。今後は生物・
化学兵器や核兵器さえ使われるのでは、という恐怖が増幅している。
1日に始まった国連総会での討議は、こうした恐怖から世界を救うための法的枠組みとなる
「包括的テロ防止条約」の採択などを目指すものだ。しかし各国代表の演説や水面下での交渉は、
「テロとは何か」を定義する段階から紛糾の様相を呈している。
テロ撲滅に向けた国際協力は可能なのか。 【ニューヨーク上村幸治】

テロの定義を巡る対立は、初日にさっそく表面化した。エジプトなどイスラム諸国の代表が
「パレスチナの民族自決運動とテロを同一視するな」と主張したのだ。

 インドが昨年提案し、同時テロを受けて米国も強く後押ししている「包括的テロ防止条約」の
原案は、「手段のいかんを問わず、人の身体もしくは経済的損害を狙った犯罪」をテロ行為とみ
なしている。イスラム諸国の主張は、パレスチナの対イスラエル抵抗闘争が、すべてテロとして
断罪されかねないという懸念を背景とするものだ。
http://www.mainichi.co.jp/news/journal/photojournal/


[朝日新聞10月3日]
反テロの国際会議を提唱 国連総会討議でイスラム諸国

国連総会は2日、テロ撲滅策の2日目の討議を行い、サウジアラビアやイランなどの
イスラム諸国を中心に、テロ問題に関する国際会議の開催を求める声がでた。
こうした国々には、イスラム教徒全体がテロ行為と結びつけられがちなことや、
パレスチナでの反イスラエル行動がテロと見なされかねないことへの懸念が強く、
会議で「テロとは何か」を定義する必要がある、との指摘が相次いだ。
米軍による基地使用を認めるかどうかで注目されるサウジアラビアのショボクシ国連
大使は、9月11日の同時多発テロを強く批判しつつも、
「テロはこの日に初めて起きたわけではない」
「軍事力だけでは根絶やしにはできない」と指摘。
テロと闘うには国連が最も適切な機関としたうえで、できるだけ早く国際会議を開くよう求めた。(13:56)
http://www.asahi.com/international/update/1003/009.html


[朝日新聞10月3日]
タリバーン排除までは正当化せず 国連決議で事務総長

アナン国連事務総長は2日、米ABCテレビに出演し、同時多発テロを受けて国連安保理が採択
した一連の決議は、アフガンを実質支配するタリバーンを排除することまでは正当化していないと語った。
司会者の「テロリストの排除にタリバーン政府を倒す必要がある場合」という前提の質問に答えた。
アナン氏はしかし、
「飢餓と干ばつのために、アフガンの人々自身が変革を求めていると承知している」と付け加えた。
アナン氏はさらに、米国が新たな国連の決議なしに軍事力を行使できるか、との問いに、
「(9月12日と28日に採択された)安保理決議は、テロ攻撃を世界の平和と安全への脅威
として、個別及び集団的な自衛の権利を再確認している」と述べた。(10:09)
http://www.asahi.com/international/update/1003/005.html


[朝日新聞10月3日]
米大統領のパレスチナ国家容認を歓迎 アラファト議長

パレスチナ自治政府のアラファト議長は2日夜、ブッシュ大統領の「パレスチナ国家」
を容認する発言について「感謝と歓迎を表明する」との声明を出した。
議長は「米国のこのような姿勢は、中東全体の安全と安定を実現する公正で包括的な
和平の礎石となる」と評価し、「パレスチナ人に平和が戦略的な選択肢であることを
確信させるもの」とした。(18:40)
http://www.asahi.com/international/update/1003/011.html


[朝日新聞10月3日]
証拠提示でもビンラディン氏引き渡さず タリバーン大使

アフガニスタン・タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は3日、米国が同時多発テロ
の最重要容疑者とするオサマ・ビンラディン氏について「米側から関与の証拠が提示されれ
ば、イスラム諸国会議機構(OIC)の裁判に引き渡す」と語った。米国はパキスタンなど
関係諸国に証拠開示を進めているが、タリバーン政権に証拠が示された場合でも米国への引
き渡しは拒否する考えを示したものだ。テレビ朝日のインタビューに答えた。
大使は2日夜の記者会見で米側に証拠開示と対話を呼びかけ、対話次第では第三国への引き
渡しの可能性もあるとしていた。米側はタリバーン政権との対話を一切拒否しているが、大
使は朝日新聞記者の取材に対し「対話は可能だと思う」と繰り返した。(23:32)
http://www.asahi.com/international/update/1003/018.html


[朝日新聞10月4日]
米国防長官、サウジ首脳と会談 軍事作戦に協力要請

中東、中央アジア4カ国を歴訪中のラムズフェルド米国防長官は3日、最初の訪問先
サウジアラビアで、ファハド国王、アブドラ皇太子らと会談した。長官は、米の同時多発
テロに対する米の軍事作戦などについて協力を求めた模様だ。
長官は、いま最も必要なものは「行動に移せるような情報だ」と記者団に強調。
オサマ・ビンラディン氏の所在について
「感触は若干得ているが、座標の特定はできていない」と語った。

サウジのスルタン国防航空相は会談後の記者会見で
「我々は(アフガニスタンの)タリバーンに対する攻撃があるとは思っていない」と表明。
米空軍がアフガン攻撃にサウジ国内の基地を使うことを認めるかどうかについては
「そうした要請は米国から受けていない」と語った。
長官は「サウジの支援には感謝している」と述べ、具体的な言及は避けた。
また、サウジ政府は、米がテロ事件の主犯と断定したサウジ出身のビンラディン氏とその組織
アルカイダを公式に敵として見なすことをためらっている。

同国で実権を握るアブドラ皇太子は2日、日本政府が急派した高村正彦特使との会談で、
「(主犯は)ほかにもいるはずだ」と述べ、テロ事件の真相究明にもっと時間が必要なことを強調した。
「無実の者に容疑がかからないようにしなくてはならない」とも述べ、自爆テロの実行犯に
サウジ人が多くいたとする米当局の発表に対する不満を隠さなかった。
米側の発表をそのまま受け入れれば、「イスラム教2大聖地の守護者」であるサウド王家やサウジ
の国際的なイメージ失墜は免れない。
ばく大な石油収入を土台にした海外投資・事業にも障害が出てくる恐れもある。
テロ封じへの協力と反米感情の「板挟み」になっているサウジを、米の描く作戦シナリオに同調
させるには難題が多すぎるとみられている。(12:23)
http://www.asahi.com/international/update/1004/010.html


[朝日新聞10月4日]
パキスタン政府にもビンラディン氏関与の証拠提示

パキスタン外務省報道官は3日、米政府から同日、米同時多発テロに対するオサマ・ビンラ
ディン氏の関与を示す証拠を提示されたことを明らかにした。報道官は「内容を吟味している」
として、証拠への評価については言及を避けた。
米政府は、北大西洋条約機構(NATO)などにも証拠を示したが、同じものかどうかには
触れなかった。報道官は、「米国とタリバーン政権との仲介はしない」と述べ、アフガニスタン
に証拠の内容を伝える考えは、現在はないと語った。
ムシャラフ大統領はCNNとのインタビューで、
「米側からビンラディン氏が米国テロにかかわっている証拠はまだ得ていない」と述べていた。(16:02)
http://www.asahi.com/international/update/1004/014.html


[朝日新聞10月5日]
タリバーン「北部同盟取材の記者の中にスパイ」

アフガンイスラム通信は5日、アフガニスタンの反タリバーン「北部同盟」の支配地域に入った
外国人記者の中に、米英のスパイが交じっているとするタリバーン政権情報省当局者の見方を伝
えた。この地域では約300人の記者が取材中といい、同政権もカメラや携帯電話を持った記者
の姿を確認しているという。当局者は「すべてが記者とは信じがたい」などと同通信に話した。
(02:25)
http://www.asahi.com/international/update/1005/025.html


[朝日新聞10月5日]
タリバーン、崩壊の兆しに内部引き締め 兵士離反続く

5日のカブールからの情報によれば、最高指導者オマール師の右腕のモハマド・ハッサン師は4日、
カブールで緊急閣僚会議を招集し、ほころびが伝えられるタリバーン内部の規律の引き締めを指示した。
また、オマール師は「タリバーン政権の転覆をたくらむ者や、米の支援を受けたザヒル・シャー
元国王を支持する者は死刑に処す」という厳しい警告を出している。
反タリバーン勢力は攻勢を強めている。ラバニ前政権時代、故マスード将軍と並ぶ実力者だった
ヘラート州前知事のイスマイル・カーン将軍は、アフガニスタン西北部のゴール州とバドギス州
を中心に、戦闘を展開。タリバーン側についていた地元武装勢力の司令官3人と兵士ら約70人
がイスマイル将軍の部隊に加わったという。
タリバーンに敗れ、国外に逃れたドスタム将軍も北部同盟の攻勢に加担し、マザリシャリフ奪還
を目指して、北部でタリバーンに攻撃を加えている。
東部アフガンのナンガハル州やラグマン州などでは北部同盟側に200人、100人の単位で
寝返る動きが続いている。
一方、94年から96年にかけてタリバーンに駆逐されパキスタンや米国に逃れた旧ムジャヒディン
勢力は、パキスタンの国境の町ペシャワルやクエッタに次々と結集している。
タリバーン政権の内部分裂や崩壊を目指す米国とパキスタンの情報機関の工作が着々と進んでいる
ようだ、とパキスタンの情報筋は指摘している。(03:04)
http://www.asahi.com/international/update/1005/019.html


[朝日新聞10月6日]
【米国同時多発テロ 】米政府がイスラエルに異例の不快感表明

「首相のコメントは受け入れ難い」。ホワイトハウスのフライシャー大統領報道官は5日の会見で、
シャロン・イスラエル首相のブッシュ外交批判に強い不快感を表明し、
「イスラエルにとって、米国ほど強い同盟国はないはずだ」と諭した。
ことの発端はシャロン首相の前日の発言。同首相は第2次世界大戦前夜の38年、欧州諸国が
「チェコスロバキアをナチの犠牲にすることを決めた恐ろしい間違い」を例にあげ、反テロ包囲網
にアラブ諸国を取り込むことに必死な米国を痛烈に批判した。
同報道官は「イスラエルを犠牲にして、アラブと宥和(ゆうわ)するようなことはしていない」と
猛反発。パウエル国務長官が首相に直接電話し、不快感を伝えたことを明らかにした。
同時多発テロを受け、アフガニスタン攻撃を準備している米政権は、中継基地や領空の使用などで
アラブ・イスラム諸国の理解を得ようと奔走。反米感情が広がらないように努力を重ねている。
そのためには、中東和平での前進が不可欠と判断。ブッシュ大統領が「パレスチナ国家構想」を
口にしたり、和平の包括的提案を検討しているとされる。また、米国が「テロ支援国家」認定する
イランやシリアとも情報提供などでの協力を呼びかけている。
反テロ包囲網形成のためなら、何でもありと受けとめられることを警戒してか、同報道官は
「首相の発言は中東和平との関連で出てきたようだ」と説明。パウエル長官も
「もう終わったことだ。(両国の)関係に影響はない」と、一時的な「夫婦げんか」に過ぎないと
語っている。(10/06)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/us/K2001100600442.html


[朝日新聞10月6日]
【米国同時多発テロ 】テロ実行犯がビンラディン氏の片腕と接触 米誌報道

米週刊誌タイム(インターネット版)は5日、米情報当局が、同時テロ・ハイジャック実行犯の
中心人物とみられるモハメド・アタ容疑者ら数人について、アフガニスタンへ渡航し、オサマ・
ビンラディン氏のテロ組織「アルカイダ」の訓練拠点で、ビンラディン氏の片腕とされる
アイマン・ザワヒリ容疑者と会っていた証拠を入手した、と伝えた。
同誌は、アルカイダは幹部の訴追を逃れるため命令系統を明確にしない傾向があり、この証拠は
捜査上大きな進展だとしている。(10/06)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/us/K2001100600631.html


[朝日新聞10月6日]
ビンラディン氏と6組織が関係 テロ組織リスト公表

米国務省は5日、2年ごとに見直している海外テロ指定組織の新リストを公表した。米国が同時
多発テロの首謀者と断定したオサマ・ビンラディン氏が率いるテロ組織、アルカイダやオウム真理
教(アレフに改称)など前回からの継続を含む28組織。このうち、アフガニスタンのタリバーン
政権が支援しているといわれるイスラム運動ウズベキスタンなど6組織がアルカイダとかかわりが
あると同省はみている。
同省がアルカイダとつながりがあると見ているのは、同運動のほか、エジプトのジハード団や
フィリピンのイスラム過激派アブ・サヤフなど6組織。バウチャー報道官は5日の会見で、
いずれもビンラディン氏の「傘下にあり、資金援助を受けている」と述べた。
今回、イスラム運動ウズベキスタンと極右のコロンビア自警軍連合(AUC)など3組織が新たに
リストに加えられた。
前回リストから消えたのは、日本赤軍とペルーの日本大使館公邸人質事件を起こした
トゥパク・アマル革命運動(MRTA)など2組織。同省は日本赤軍が指定から外れたが、
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は「テロ支援国家」のままだとしている。(14:27)
http://www.asahi.com/international/update/1006/009.html


[朝日新聞10月6日]
米国務省が発表したテロ組織新リスト

●米国務省が発表したテロ組織新リスト(★はアルカイダと関係があるとみられる組織)
(1)アブ・ニダル機構(ANO、中東・西欧など)
(2)★アブ・サヤフ(フィリピン)
(3)★武装イスラム集団(GIA、アルジェリア)
(4)オウム真理教(アレフに改称、日本)
(5)バスク祖国と自由(ETA、スペイン)
(6)★イスラム集団(エジプト)
(7)ハマス(イスラム抵抗運動、パレスチナ)
(8)★ハラカト・ムジャヒディン(HUM、パキスタン)
(9)ヒズボラ(神の党、レバノン)
(10)★イスラム運動ウズベキスタン(IMU、ウズベキスタン)
(11)★ジハード団(エジプト)

(12)カハネ・ハイ(Kach、イスラエルなど)
(13)クルド労働者党(PKK、トルコなど)
(14)タミル・イーラム解放のトラ(LTTE、スリランカ)
(15)ムジャヒディン・ハルク(MKO、イラン・イラク)
(16)民族解放軍(ELN、コロンビア)
(17)パレスチナ・イスラム聖戦(PIJ、パレスチナ)
(18)パレスチナ解放戦線(PLF、パレスチナ)
(19)パレスチナ解放人民戦線(PFLP、パレスチナ)
(20)パレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLPGC、パレスチナ)

(21)アルカイダ(中東、アジアなど)
(22)真のIRA(英国・北アイルランド)
(23)コロンビア革命軍(FARC、コロンビア)
(24)革命中軸(旧革命人民闘争、ギリシャ)
(25)11月17日革命機構(ギリシャ)
(26)革命的人民解放党・戦線(DHKP−C、トルコ)
(27)センデロ・ルミノソ(輝く道、ペルー)

(28)コロンビア自警軍連合(AUC、コロンビア)(14:54)
http://www.asahi.com/international/update/1006/011.html


[朝日新聞10月6日]
無関心が生んだアフガンの悲劇 緒方貞子さん語る

この数年、アフガニスタンは「見捨てられた国」だった。昨年末まで国連難民高等弁務官を務め、
いまニューヨークの民間機関で研究する緒方貞子さんはそう憤る。同時多発テロで、そのアフガン
に国際社会の目が向いた。軍事行動で「テロの根源」を排除し、周辺国も含めた安定策をとり、
そこで日本は自衛隊の派遣を含めて積極的な役割を果たす−−。
緒方さんの主張は、難民救済の現場で鍛えられた国際人ならではの説得力を持つ。

――米国は4日、アフガン難民に3億2000万ドルの緊急人道援助を決めました。
今回の事件まで米国はアフガン問題に熱心ではありませんでした。
「なかったと思いますよ。でも、どこの国も私どもの出したアピールにほとんど答えてくれなかった。
アフガンというのは、極端にいって見殺しにされた人々だという印象を持っています」

――見殺し?
「まず難民を受け入れていたパキスタン、イランへの資金要請に反応がない。だったら、アフガン
の安全な所に帰ってもらうしかないが、アフガン国内の活動は国連制裁で制限している。
ロシアもアメリカも『制裁、制裁』では一致する。アフガン内には反国連、反国際社会の気分が高まる。
結局帰すこともできない。国際社会は見捨ててしまったのだな、と怒りを感じたこともあります」

――なぜ、そんなに冷淡だったのでしょう。
「一つにはタリバーンが非常に弾圧的で人権をじゅうりんして、
極端な暴力を振るう望ましくない政権だということが大きかった」

――それでも5年間も実効支配している。
「望ましくはないのだけれど、多くの人には『戦争がなくなった』ということで、我慢する風潮があった」
「アフガンは国として成立することがなかった大きな部族社会。国連が提案した緩やかな連邦を
つくる案は実現しなかった。独立性の強い、難しい人たちです」

――タリバーンはバーミヤンの石仏も破壊してみせました。
「非常に残念なことと思います。ただ、3年も続くものすごい干ばつなんですね。昨年9月に現地
を訪れたときも、干ばつを逃れてきて、テントもなくて座り込んでいる人がたくさんいた。
石仏を壊したとき、あんなに急に国際社会が何とかしようと言い出すなら、生きている人間が
悲惨な状況にあるときに、もう少し何かしてくれてもいいのにと思った。
その点では私、タリバーンに賛同することもありますよ」

――今回のテロ犯と名指しされるオサマ・ビンラディン氏もアフガン紛争が生んだ人物です。
「サウジアラビアから、(米国が支援する反ソ連の)ムジャヒディン(イスラム戦士)に。
そして次の段階に行ってしまうんですね」

――テロ撲滅にどんな対応が必要でしょう?
「短期的にはタリバーンに圧力をかける。周辺国からも情報をとって、ビンラディンの居場所など
をきっちりつかむ。目標に対し効果的な行動をとるのが軍事行動で一番大切。
米国も最初は激しい怒りで対応していましたが、いまは情報取りを一生懸命やっている。
犠牲を最小限にして、効果のある攻撃ができるか。ビンラディンの引き渡しがあれば最高です」
「長期的には、アフガンでも、中東でも、多くの人が安全も安定もなく、日常生活にも困っている。
これを直さないと。アフガンでは周辺の国も全部、国内に抵抗分子を抱えています。
そこまで視野に入れた安定策を作っていくことが大事。国造りではなく『地域造り』。
そのためにはおカネも技術もいる。それが私たちの安全につながるという意識が必要です」

――「平和と人道の象徴」の緒方さんが効果的な軍事行動を説くと日本の人々が驚くでしょう。
「私が難民の保護と救済のため話し合ってきた人は相当のしたたか者ばかり。難民に制限を加える
とか、追放するぞと脅すとか。どっちがより悪くないかの選択を迫られてきたんです。きれいごとじゃありません」
「日本の方々はあまりに現実を知らない。平和の国にいたから。政治家の方に
『もうちょっと現場を見に行ってほしい』と言ったことがある」

――米の軍事行動にどれだけ協力するか、日本で論議になっています。
「支援するときには、どんな形の軍事力の行使かをまず考えないと。そういうことこそ政府間で
話し合われていると信じています。何か、ひとごとみたいですよね。米軍のいろいろなシナリオ
に『こういうことなら私はできる』『こういう風にしたらどうか』と、同盟国間なら話し合って
いるものだと思う」

――自衛隊の武器使用を緩和する新法は?
「自衛隊が何をするか。空輸だけなら武器を持たなくともいいが、陸上輸送して難民がいっぱい
いる地域に行くなら、それは武器を持っていた方がいい。難民も聖人ばかりじゃないですから。
生きた人間が集団で動くときには、隊長に判断の権限を与えるのが大切なんじゃないですか」

――今の事態を「文明の衝突」と見る向きもあります。
「単純すぎますね、あの論は。もっと複雑な利害が絡んでいます」

――タリバーン後の「受け皿」に提言を。
「部族を無視しては政権はできません。(民族、部族の)協調というより妥協。
アメとムチがないとだめです。アメには大きな経済復興計画がないとだめでしょう」

――アフガン以外にも、難民はまだまだたくさんいます。
「いちばんの問題は中東だと思いますね。テロとも関係している。大きな不公正とか、大きな暴力
があるところは、なかなかテロは抑えられません。軍事力と同時に政治解決も必要でしょう。
それと安全と安定。このままいけば明日は今日より少しよくなるのでは、という感情を、
たくさんの人が持つことが平和には必要でしょう」(13:17)
http://www.asahi.com/people/update/1006/001.html


[朝日新聞10月6日]
炭そ菌感染男性が死亡 米フロリダ

生物兵器にも使われる炭そ菌感染が分かった米フロリダ州の男性(63)は5日、同州内の病院
で肺炭そのため死亡した。炭そ菌を吸い込んで起きる肺炭その発生は極めてまれで、米国では発生、
死者とも76年以来25年ぶり。男性は2日から入院していた。
米連邦捜査局(FBI)、米疾病対策センター(CDC)などが感染源を調べているが、まだ見
つかっていない。ほかに患者が出ていないことから、米政府は「テロと結びつけるものはない」
としている。(14:23)
http://www.asahi.com/international/update/1006/008.html


[朝日新聞10月7日]
在日アフガン人、思い複雑 攻撃開始に

アフガニスタンから日本に移ってきた人たちの思いも複雑だ。タリバーン政権から逃れてきた人
たちが「祖国が解放されるきっかけになれば」と米国を支持する一方で、
「新たな対立を生み出すだけだ」「一般市民が戦火に巻き込まれる」と懸念する声もあがる。
千葉県北西部の市で建築資材置き場の仮設住宅に住むM・ダウドさん(26)は
「タリバーンやビンラディンの行動は非人間的だ。米国の行動がアフガン人を圧政から解放する
 きっかけになれば」と話した。期待で口調が早くなる。
8月中旬に日本へ来た。アフガン中部に住んでいたハザラ人だという。
「5カ月前、タリバーン兵に妹を殺された。父親も行方が分からない」。
テレビやラジオで米国の動きを注視する日々が続く。
タリバーンが首都カブールを制圧した96年、アフガニスタンから日本に逃れてきたウズベク人の
グル・アハマッド・バハドルさん(53)は「タリバーンから逃れてきた人は、みな米国の行動を
支持している。政権が倒れた後、すべての民族が平等になる社会を作りたい」と言った。
一方、静岡県島田市の医師でパシュトゥン人のレシャード・カレッドさん(51)は、
米国の攻撃にはあくまで反対だ。
「結果としてテロ対策が終わっても、火種によって、
 この先100年の間、アフガニスタンは殺し合いの場と化してしまうだろう」
アフガニスタンからの難民がたえない背景には、パシュトゥン、ハザラ、ウズベク、タジク人と
いった民族が敵対してきたこの国の苦難の歴史がある。
「米国は、かつての旧ソ連のように民族間や部族間の憎しみを再燃させようとしている」と
カレッドさんは心配する。(02:54)
http://www.asahi.com/national/update/1007/016.html


[朝日新聞10月7日]
東京で相次ぎ報復攻撃反対の集会

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集会に参加した市民グループの人たち=AP
米国の同時多発テロをめぐり、米国の報復攻撃や日本政府のテロ対策に反対するグループが
東京都内で7日、相次いで集会を開いた。
有楽町の路上では、沖縄の米兵による少女暴行事件を機にできた
「NO!レイプ NO!ベース女たちの会」が呼びかけたリレートークがあった。
10数人が「報復が報復を呼ぶ連鎖を断ち切ろう」などと訴えた。
渋谷の宮下公園では、「許すな!憲法改悪 市民連絡会」(代表・奥平康弘東大名誉教授ら)
など約150の団体が集会。1500人が集まった。
国会に提出されたテロ対策特別措置法案について
「専守防衛が火事場泥棒的に崩されるのを防がなければ」と訴えた。(19:39)
http://www.asahi.com/national/update/1007/012.html


[朝日新聞10月7日]
【米国同時多発テロ 】パキスタン、イスラム原理主義指導者を自宅軟禁に

パキスタン当局は7日、タリバーン支持のイスラム原理主義派・イスラム聖職者協会(JUI)の
最高指導者ファザルウル・ラフマン師を自宅軟禁措置にした。JUI報道担当者が朝日新聞の取材
に対し明らかにした。JUIはパキスタン各地で大規模な反米・反政府デモを組織していた。
反政府の度合いを強めている原理主義勢力へのムシャラフ政権の取り締まりは今後強まる見通しだ。
JUIによると、ラフマン師はパキスタン中部のデラ・イスマイル・ハンにある自宅で無期限の
軟禁状態に置かれたという。警察官約100人が自宅を取り囲んでいる。
容疑は明らかにされていない。
ラフマン師はパキスタン西部のクエッタなどで神学生らにアフガニスタンで米国と戦う準備を進
めるように指示。「米国が攻撃すれば最後の指令を下す」などと話していた。(10/07)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/afghan/K2001100701462.html


[朝日新聞10月7日]
【米国同時多発テロ 】ヒゲそった男殴るのが仕事 タリバーン末端の宗教警察官

極端なイスラム原理主義を堅持するアフガニスタン・タリバーン政権に退陣を迫る国際的な圧力が
強まる中、同政権下で宗教的な取り締まりを通じて、支配体制を末端で支えてきた宗教警察官らが、
避難民としてパキスタン側に逃れてきている。2人の元警察官が、朝日新聞記者に対し、その実態を証言した。
7日前に家族11人とペシャワルに入った元宗教警察官のアクバル・シャーさん(48)は、
アフガンの首都カブールを車や徒歩で巡回し、女性のブルカと呼ばれる布と男性のヒゲの違反者を
見つけては牛革製の棒で殴り、刑務所に送ることが仕事だった。
タリバーンの厳しい宗教規則によると、女性は外出時、ブルカで全身を隠し、目の部分は網で覆う。
男性は「預言者マホメットにならって」ヒゲを蓄え、原則的にそることは許されない。
1日に最低でも数十人、多い日は100人以上を殴ったという。
「殴ることが仕事。ヒゲを少しでもそれば3日間、長いヒゲを短くすれば10日間、あなたのよう
にヒゲがない者は、30日間は刑務所に入れた」
山岳地帯を8日間家族とさまよった末、2日前にペシャワルに着いたムハマド・ラーさん(40)
は、東部ナンガハル州の宗教警察の地区主任で、違反で捕まった人の刑期を決める仕事だった。
連日数百人の「犯罪者」を裁いたという。
タリバーン上層部が、禁止事項や罰則について、オマール師の布告として度々変更するため、
ここ1、2年は覚えきれないほど煩雑になっているという。
取り締まりでは市場や交差点など人込みを狙った。
「罪人を刑務所に入れると国際赤十字から4米ドル相当の補助が出ると説明された。
上からはできるだけ多く捕まえて長く拘留し、金をプールしろと指示があった」と話した。

2人のような最低限の生活を保障された公務員ですら避難民となって山を越えてパキスタンに逃げ
込んでいるのは、米国の軍事攻撃の可能性が強まったのに伴い、タリバーンによる強制徴兵から逃
れるためと見られる。
シャーさんは、21歳の一人息子に先月20日ごろ、徴兵令が下った時点で国外脱出を決めた。
一方、ラーさんの17歳と20歳の2人の息子は、徴兵令を拒否して、1人につき100万
アフガニー(約1500円)の罰金を払ったが、先月末に軍人に自宅に踏み込まれ、
どこかへ連行されてしまったという。

コーランに反する行為を取り締まる宗教警察は多くのイスラム国家に存在する。
だが、タリバーンの特異な実施方法は厳格で独特な宗教的解釈に基づくと言われる。
あまりにも特殊で、イスラム諸国との間でも物議を醸す場合もある。昨年、公の場で半そでや
短パン姿でサッカーをしたパキスタンのサッカー選手が逮捕された事件が起きた。
今年に入ってイスラムの教えに反する情報から身を守るとの理由でインターネットのアクセスを禁じた。(10/07)
http://miiref00.asahi.com/national/ny/afghan/K2001100700236.html


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