2001年9月11日発生「大規模同時多発テロ事件」に関する新聞記事
カブール陥落からトラボラ制圧まで

事件以前の動向WTC崩壊から武力報復までアフガン空爆戦場はアフガンから世界へ
(直前に開催されていた、ダーバンでの国際会議の動静の情報を含みます)


この記事特集は、「アイヌは同化していなくなった」という発言に関する特集ページのオマケです。
(発生時期が、アメリカなどが横暴に振舞っていた南アフリカでの国際会議の閉幕時期などと、)
(見事にリンクしていたのと、帰属意識に関わる問題でもあるので、特集組んでみました。)

この発言に関する新聞記事特集
この発言に対するアイヌ・ウィルタからの抗議文・要望書西日本タケヲとムネヲをケトばす会
発言に関する和人の立場からの抗議文・要望書国連の会議で発表された声明文
oripakEsamanからの呼びかけダーバン2001(国連主催の人種差別に反対する世界会議)
武者小路さんの抗議文(ダーバンに政府代表の一人として参加する人)


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[朝日新聞11月 13日]
北部同盟、カブールへ進撃 ヘラート制圧

タジキスタンの北部同盟外交筋によると、アフガニスタン北部一円で攻勢を強める同盟軍は、首都カブールに向けた進撃を開始し、12日午後の時点でカブールの北20キロまで迫った。北部同盟はこの日、西部の中心都市ヘラートを制圧。この3日間で北部の大半を一気に支配下に置き、カブールへの圧力をさらに強める。ラマダン(断食月)入りを前に、タリバーンに対する戦局は大きなヤマ場を迎えた。
北部同盟外交筋は、カブール進撃の目的について、「カブールを包囲することであり、現時点で市内に入る意図はない」としている。またアブドラ外相は12日、米CBSテレビで、ブッシュ米大統領が北部同盟のカブール入りに反対したことについて、「カブールに向け進撃することとカブールに入ることは違う」とクギを刺した。外相はまた、マザリシャリフ制圧が「ドミノ効果を引き起こした」と指摘した。
北部同盟のドスタム将軍は、タリバーン後の新政権構想が固まるまで、カブール攻撃はしない考えを、トルコのテレビに示した。イタル・タス通信は同日、アフガン大使館の消息筋の話として、北部同盟軍がカブールから12キロの地点まで進軍したと伝えており、一層包囲網を強めている模様だ。北部同盟スポークスマンはAFP通信に対し、カブールへの進撃に際して北方約40キロ地点で約1時間にわたって戦闘し、タリバーン兵約100人が死亡したと語った。ロイター通信によると、カブールのタリバーン兵が12日、車両数台に乗って同市内から撤退を始めた。
アフガニスタンを実効支配してきたタリバーン政権は12日、首都カブール近郊で、北部同盟側が前線を突破したことを認めた。ただ、侵攻は止まっており、依然としてタリバーン側が首都を掌握していると主張している。
タリバーン政権のザイーフ駐パキスタン大使は、タリバーン部隊が首都カブールから撤退しているとの情報を否定した。「タリバーンはカブールを守る」と述べた。アフガン・イスラム通信(AIP)が伝えた。
ヘラートはイランとタリバーンの本拠地・アフガンのカンダハルを結ぶ交通の要衝でアフガン第3の都市。紀元前マケドニアのアレクサンダー大王が東方遠征の拠点の一つにした。現在もアフガン西部の商業の中心。現地からの情報ではタリバーン部隊の目立った抵抗はなかったという。またアフガン・イスラム通信が12日伝えたところでは、北部同盟軍は11日夜、北部ファリアブ州の州都マイアナも陥落させた。タリバーンのスポークスマンも同地からの撤退を認めた。イラン国営通信によると、北東部のクンドーズ州の州都クンドーズも陥落させた。(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111202302.html


[朝日新聞11月 13日]
北部同盟が進攻、首都カブール陥落

アフガニスタンの北部で一挙に攻勢に出ていた北部同盟の部隊は13日午前、カブール市内に進攻した。政府庁舎も占拠され、アフガン首都は陥落した。これに先立ちタリバーン部隊はカブールから撤退を始めており、本拠地カンダハル周辺に戦力を集中させ抵抗戦を強めるとみられる。アフガン新政権構想がまとまらない段階での北部同盟の首都攻略に反対していた米国などは難しい対応を迫られそうだ。タリバーン系のアフガン・イスラム通信も同日、北部同盟のカブール制圧を認めた。アフガンからの情報によると、自動小銃などを持った50人ほどの武装兵士が四輪駆動車などで入城した。タリバーン側からの目立った抵抗はなかった模様だ。北部同盟は12日からタリバーンが首都防衛の重要拠点としていたカブールの北約20キロの前線を突破し、一挙に首都に進攻した。北部同盟の首都奪還はほぼ5年ぶり。北部同盟のアブドラ外相によると、北部同盟は12日、2方面からカブールに向けて進軍。「旧道」ではカブールから6キロ地点、「新道」では20キロ地点に達し、圧力を強めていた。同外相はカブール入りについて「そのつもりはない」と述べていた。ブッシュ米大統領やパキスタンがタリバーン政権の受け皿ができる前の首都進攻に反対していたことが影響したとみられる。しかし北部同盟は10日にマザリシャリフを制圧した後、北部全域で一挙に攻勢を強めており、兵士たちの勢いが止まらなかったとみられる。
カブールからの情報によると、市内に入ってきた北部同盟軍に対し、市民の間に「神は偉大なり」と叫び、歓迎する姿も見られた。一方で略奪行為の開始や刑務所から囚人たちの脱獄など早くも無秩序化を示す情報も出ている。タリバーン兵士の姿は見られなくなった模様だが、少数の兵士が残留しているという情報もある。12日夜から13日早朝にかけて、タリバーンの戦車や軍用車両は南部のカンダハル方面に撤退を始めた。タリバーンはカンダハルを中心とした本拠地で、戦線の立て直しを図るとみられる。同政権がかくまうオサマ・ビンラディン氏の行方は依然明らかではない。カブールを陥落させた北部同盟がタリバーン後の新政権づくりに向け、政治的発言力を増すのは必至だ。国連を軸に、米国や隣国パキスタンなどの思惑も絡んでの「タリバーン後」の外交工作は今後一層活発になるとみられる。(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111100059.html


[朝日新聞11月 13日]
カブールでの市街戦回避か タリバーン将兵撤退の情報も

アフガンの首都カブールを北部同盟軍が13日占拠し始めた。現地からの情報によれば、タリバーンの将兵らは車で南部カンダハルへ脱出し始めたという。北部同盟軍の首都進攻で懸念されたのはカブール市内での市街戦だったが、今回、タリバーンはそれを回避した模様だ。今後は、タリバーンの本拠地の南部カンダハルと東部ホースト方面に重点的に布陣し、米国とのゲリラ戦に臨むとみられる。すでに米軍の空爆が始まった10月7日の時点で、タリバーン幹部らは「仮にマザリシャリフ、カブールが陥落させられても、われわれにはカンダハルもホーストもある」とパキスタン人ジャーナリストに語っていた。そのころから、カブール放棄をある程度想定していた可能性がある。
タリバーン筋が朝日新聞に明らかにしたところによれば、タリバーン側は兵士の犠牲を抑えるため北部一円の拠点を次々と放棄、地上軍投入を計画している米英軍に対してのゲリラ戦を有利に戦うための臨戦態勢を敷いたという。タリバーンの大半がパシュトゥン人だ。北部地域では大半がウズベク、タジク、ハザラ人など非パシュトゥン民族だ。このような地域で米英軍と戦うのは、住民の協力も期待できず、得策ではないと判断した模様だ。カブールはパシュトゥン人が多いが、都会化しており、反タリバーン感情もあり、住民の協力が期待できない。逆にタリバーンの誕生時期から支持してくれたパシュトゥン人のいる南部や東部で重点的に兵力を布陣し、空爆で反米感情をつのらせた住民の協力を得てゲリラ戦を効率的、有利に戦う動きに出ているという見方が有力だ。タリバーンが米英軍の攻撃の中で背水の陣を敷いているのは確かなようだ。米国や国連、タリバーンを育ててきた隣国パキスタンなどの懸念をよそに、北部同盟は地上での軍事的な存在感を示し始めた。(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111300907.html


[朝日新聞11月 13日]
東部の拠点ジャララバード、パシュトゥン人勢力が制圧か

アフガニスタン東部の拠点都市ジャララバードからの情報によると、同地域やパキスタン在住のパシュトゥン人らが結成した「東部シューラ(評議会)」が13日、同市を攻略した。タリバーン勢力は撤退し、東部シューラはジャララバード空港なども制圧した。一方、当地のタリバーン総領事館は否定している。
北東部にはパシュトゥン人が多く住み、ザヒル・シャー元国王を支持する東部シューラは、少数民族主体の北部同盟の進攻に先駆けて地域的な支配権確立を急いでいた。(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111303090.html


[朝日新聞11月 13日]
カブールの一部市民、北部同盟恐れ脱出

カブールなどに拠点を持つ日本の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」によると、カブールからは多くの市民が北部同盟を恐れて脱出しているという。同会もカブールの現地スタッフに避難を促している。現地スタッフからペシャワルにある同会の病院に入った連絡では、12日夜にカブールからタリバーン部隊が撤退を始めたのを見た市民が、カブールから避難を始めた。
避難しているのはパシュトゥン人の市民たちで、タリバーンもパシュトゥン人中心。北部同盟を構成するタジク、ハザラ、ウズベク系の市民たちは北部同盟を歓迎し、カブールにとどまっているという。カブールで大学生だったムハンマド・アミンさん(26)は「北部同盟が以前のようなことをしなければ帰りたい」と慎重だ。「(北部同盟の)ラバニ政権時代は兵士の略奪が多かった。繰り返さないとは思うが、もう少し様子をみたい」と慎重だ。北部同盟がアフガン北部の都市マザリシャリフを制圧する直前の8日、そこから逃げてきた医学生のワヒドラさん(24)は5年ほど前、北部同盟の兵士に祖父を殺されたという。「彼らがいる限り、帰れない」(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111303070.html


[朝日新聞11月 13日]
タリバーン側少年兵百人以上が処刑か マザリシャリフ

国連のアフガニスタン人道援助調整事務所(UNOCHA)の報道官は13日、イスラマバードでの記者会見で、マザリシャリフで10日夕、同市に進攻した北部同盟によって、タリバーン側の100人以上の少年兵が処刑された、との情報を明らかにした。少年兵の多くは17〜18歳とみられるが、処刑の詳細は明らかでない。「兵士は若く、戦闘中ではなかった」という。
米CNNテレビ(電子版)は、同市に近いウズベキスタン側国境の町テルメズの西側政府関係者の話として、処刑されたのは600人と伝えた。パキスタンやカシミール、チェチェンからの兵士が多かったという。(11/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111303342.html


[朝日新聞11月 14日]
米大統領報道官、カブール陥落に「大統領は大変満足」

フライシャー米大統領報道官は13日、北部同盟によるカブール陥落について「大統領は進展に大変満足している」と述べた。カブール制圧を思いとどまるようにとの大統領の呼びかけが北部同盟側から無視されたことには直接触れずに、
「人権尊重の空気が生まれなければならない。新政権にはアフガン全民族が参加する必要がある」と北部同盟をけん制した。(11/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111400039.html


[朝日新聞11月 14日]
2年後にアフガン「国民和解政権」 ブラヒミ代表構想

首都カブールの陥落などアフガニスタン情勢の急進展を受け、新政権づくりを調停している国連のブラヒミ事務総長特別代表は13日までに、アフガン暫定政権構想を固めた。各民族、宗教代表などによる暫定評議会をまず設立し、伝統的な部族指導者会議を活用しながら、約2年後に「国民和解政権」の樹立を目指している。国連高官と接触のある外交筋によると、ブラヒミ氏は、「加速度的に変化する情勢を踏まえ、緊急に暫定政権の樹立を支援する必要がある」と訴え、5段階から成る新政権への道筋を示す。アフガン人による政権づくりを、国際社会が各段階で支援する内容だ。
第1は、アフガン人による暫定評議会の設立を支援する。あらゆる民族・宗教代表を構成員に加え、タリバーン政権で人権を抑圧されていた女性の参加も求める。ブラヒミ氏は構成員の数を200〜300人と想定している。次いで、この暫定評議会から評議理事会(仮称)を選出する。メンバーを絞り込み、実質審議を促進するためだ。
第3段階で、評議理事会が国連監視のもとで、緊急のロヤ・ジルガ(国民大会議)の開催を呼びかける。これは部族指導者による伝統的協議で、憲法の規定に基づく。
第4段階でロヤ・ジルガが暫定統治機構の設立とその権限を決定する。この暫定統治機構が新憲法草案と、行政・司法・警察の再建案を定める。
最終段階で、この案を正式決定し、国民和解新政権を樹立する。新政権への移行期間は、2年程度と見込んでいる。
安保理がこの構想を支持した場合、国連は早急に20〜30人程度のアフガン指導者を集め、和平準備会議を開きたい、としている。この会議で第1段階の暫定評議会メンバーを選定するためだ。参加指導者としては、ローマのザヒル・シャー元国王派と北部同盟のほか、パキスタン・ペシャワルに拠点を置く反タリバーンのパシュトゥン人勢力代表などが想定されている。ただ国連としては、暫定政権を安定させるため、パキスタンの利害が深くかかわる南パシュトゥン人勢力代表も加え、各民族の構成をできるだけ暫定評議会に反映させたい意向だ。(11/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111400044.html


[朝日新聞11月 14日]
タリバーン、カンダハルを新首都に決める

パキスタン国内のタリバーン関係者が14日明らかにしたところによれば、タリバーンの最高指導者オマール師とナンバー2のハッサン閣僚評議会副議長やオバイドラ国防相らトップクラスの幹部らは13日、カンダハルでカブール陥落後の情勢を受けて緊急会議を開き、カンダハルをタリバーン政権の新首都とすることを決めた。
すでにタリバーンは、首都カブールや北部の拠点都市マザリシャリフ、西部のヘラートなどを軒並み放棄し、今後は本丸カンダハルを拠点にし、今後予測される米英軍とのゲリラ戦を展開する構えを見せている。
カンダハルは、パシュトゥン人の郷里でタリバーンが94年に誕生して以来、本拠地だった。最高指導者のオマール師らが常駐して指令を出した本丸で、カブールは行政の中心地としていた。
この結果、アフガン国内には、北部同盟が統治する北のカブールとタリバーンが支配する南のカンダハルのふたつの首都ができることになった。(11/14)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001111403155.html


[朝日新聞11月 14日]
タリバーン支援の義勇兵3000人が脱出

アフガニスタン国境に近いパキスタン部族地域バジャウルからの情報によると、タリバーン支援のためにアフガン入りしていた義勇兵約3000人が13日夜、パキスタン側に脱出した。北部同盟の攻勢を受けて逃げてきたもので、疲れ切った様子だったという。
パキスタンでは、イスラム原理主義勢力が義勇兵を募り、約1万人がアフガンに入っていたと見られる。アフガン内ではパキスタン人の戦闘による死亡も伝えられており、マザリシャリフ、カブールで死亡した100人余りの遺体がバジャウルに向けて運ばれているという。(11/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111403154.html


[朝日新聞11月 14日]
パキスタン、タリバーンとの外交関係を当面維持

パキスタン外務省のカーン報道官は14日の記者会見で、アフガニスタンのタリバーンとの外交関係について、「パキスタンにあるタリバーンの大使館はまだ存在している。私たちは状況を見守っていく」と述べた。タリバーンが首都カブールから撤退し、政権が事実上崩壊したにもかかわらず、当面は外交関係を維持していく姿勢を示したものだ。北部同盟と敵対を続けてきたパキスタンは、「北部同盟のカブール占拠は認めない」と主張している。国連主導でパシュトゥン人を含めた多民族に基盤を置く新政権の樹立を望んでおり、北部同盟単独の政権は承認しない構えだ。
タリバーンの大使館はザイーフ大使が不在となり、外交機能を失った形になっているが、領事部だけは開いており、14日もアフガン国民の旅券更新や外国人の査証発行などの業務を続けた。カブールなどに行く人にも、査証を出している。(11/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111403138.html


[朝日新聞11月 15日]
ビンラディン主犯疑いない 英首相が議会に証拠提示

ブレア英首相は14日、議会に対し、米連続テロ事件へのオサマ・ビンラディン氏の関与を裏付ける新たな「証拠」を提示した。支持者向けに制作されたビデオで、同氏が犯行を教唆したことなどをあげ、「罪状に疑う余地はない」としている。
首相側によると、ビンラディン氏は10月20日に収録されたビデオの中で、世界貿易センターと米国防総省(ペンタゴン)への攻撃は「自衛のため、私がけしかけた。殺された仲間のため復讐する行為をテロというなら、我々をテロリストと呼ぶがいい」と話している。
さらに、「ブッシュとブレアは力しか理解しない。彼らが殺すなら、我々もやり返す。それで、恐怖の均衡が保たれる」と発言。「戦場は米国へ移りつつある。勝利を収めるまで、闘い続ける」と誓っているという。(11/15)

http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111500188.html


[朝日新聞11月 15日]
アフガン東部5州でタリバーン撤退

アフガン・イスラム通信(AIP)によると、アフガニスタンのタリバーン軍は14日、東部のナンガハル、ロガール、クナール、パクティアの各州、中部のウルズガン州から撤退し、5州が反タリバーン勢力の支配下に入った。北部同盟が首都カブールを制圧したのに刺激され、アフガン各地の反タリバーン勢力がタリバーンを駆逐する動きが広がっている。
ジャララバードを州都に抱えるナンガハル州は、79年〜89年のアフガン戦争当時のムジャヒディン(イスラム戦士)勢力、イスラム党ハリス派の支配に移った。ハリス派はアフガン戦争後、大部分のメンバーがタリバーンに加わり、両者は、かなり密接な関係にあった。ハリス派は同日声明を発表、「北部同盟やその他の勢力がこの州に進攻することは認めない」とけん制した。
一方、ロガール州はパシュトゥン人主体のイスラム原理主義勢力ヘクマチアル派の司令官が実権を握った。クナール州でも地元の反タリバーン派司令官が統治者に選ばれた。
ウルズガン州はタリバーンの最高指導者オマール師の生誕地で、これまで目立った戦闘はなかった。同州が反タリバーン勢力の手に落ちたことで、南に接するタリバーンの本拠カンダハル州も直接の脅威にさらされることになった。
また、東部のパクティア州の東の中心地コストでは、地元の反タリバーン勢力がタリバーンと話し合った後、タリバーンが引き揚げた。
北部同盟のカヌーニ内相がロイター通信に語ったところでは、東部のラグマン州でも、住民がほう起してタリバーン支配を倒したとしているが、タリバーン側は確認していない。(11/15)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111403035.html


[朝日新聞11月 15日]
カンダハル全域が騒乱状態、緊張高まる

アフガニスタンのカンダハルから14日、朝日新聞に伝えられた情報によれば、カンダハル市内でパシュトゥン人と非パシュトン人との間で殺人事件が起き、これを引きがねに市内全域が騒乱状態になり、警備のタリバーンもまったく手をつけられず、市街地から姿をくらましたという。
この混乱に乗じて米軍の特殊部隊の支援を受けた反タリバーンのパシュトゥン人勢力がカンダハル攻略を試み、カンダハル市内は緊張が高まっているという。
しかし、カンダハルが北部同盟の手に陥落するような状況ではなく、同同盟はカンダハルから約450キロ離れた位置にいるという。またタリバーンは15日にカンダハルで軍首脳部が重要会議を開く計画があるとの情報もある。(11/15)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001111500038.html


[朝日新聞11月 15日]
ビンラディン氏、ヘリで逃亡の恐れ 米国防長官

ラムズフェルド米国防長官は15日付のニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、アフガニスタンに潜伏中とされるオサマ・ビンラディン氏とテロ組織アルカイダの幹部が、ヘリコプターで国外逃亡する恐れがあると指摘した。ヘリは深い渓谷に隠してあり、見つけるのは困難だという。逃亡先としてはパキスタンが「比較的容易」で、カシミールやロシア・チェチェンのシンパと依然連絡を取り合っていると語った。
一方、同日付のワシントン・ポスト紙は、米軍機がアフガン上空から、ビンラディン氏の情報提供者に「報奨金2500万ドル(約30億5000万円)を提供する」と書いたビラをまいていると報じた。(11/15)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111502903.html


[朝日新聞11月 16日]
パシュトゥン人、アフガン北東部で地方政府樹立の動き

アフガニスタンのパシュトゥン人勢力「東部シューラ(評議会)」が掌握したアフガン東部のナンガハル州で、同勢力が地方政府樹立へ動き始めた。少数民族主体の北部同盟をけん制する一方、パシュトゥン人の多い東部を基盤にタリバーン後の新政権作りへの発言力を確保する狙いがあると見られる。
タリバーンは14日に同地域から撤退した模様だが、イスラム党ハリス派幹部で故アブドゥル・ハク司令官の兄ハジ・カディール元ナンガハル州知事や、有力司令官のハジ・ザマン氏らが15日夜、早くもジャララバードに入った。知事や地域司令官の人選などについて協議を始めた模様だ。
東部シューラはナンガハル、クナール、ラフマン3州に強い影響力を持つ政治家や司令官で構成する緩やかな連合体。タリバーン勢力の後退に伴って存在感を増しつつあり、パシュトゥン人勢力としてタリバーン後の政権作りに加わる可能性が出てきている。パキスタン政府が支援しているとされ、パキスタンのペシャワルではザマン司令官らに対する米外交官の接触も確認されている。
だが、イスラム党ハリス派がナンガハル州を掌握した際、同派が知事を独自に任命したとの情報が流れ、ザマン司令官らペシャワルの指導者が一時慌ただしい動きを見せた。ジャララバードで行われている協議でも人選をめぐる対立が伝えられており、パシュトゥン人勢力も一枚岩ではない。(11/16)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111603086.html


[朝日新聞11月 16日]
イスラム諸国の大半ラマダン入り アフガンは宣言できず

エジプトやサウジアラビアなどイスラム諸国の大半は16日、イスラム教の神聖月ラマダン(断食月)に入った。タリバーン政権が事実上崩壊したアフガニスタンは宗教界も混乱しており、国の統一見解としてラマダン入りを宣言できないでいる。
イスラム各国ではそれぞれ15日夜、宗教指導者らによる月の観測が行われ、新月を確認できた国が16日からのラマダン入りを宣言した。オマーンなど確認できなかった一部の国は、17日がラマダン初日となる。
敬けんなイスラム教徒たちはラマダンのほぼ1カ月間、夜明けから日没まで一切の飲食を断つ。(11/16)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111600325.html


[朝日新聞11月 16日]
米の対アフガン戦費、1カ月で1800億円

米国が対アフガニスタン軍事作戦で使った国防総省の「戦費」は今月8日までの約1カ月間で、約14億6500万ドル(1792億円)――こんな数字を、経済情報のブルームバーグ通信社が15日までに、「国防総省が議会あてに出した最初の見積もり」として報じた。その内訳は、3空母群の戦域派遣や補給にかかった経費が最も多く、6億3400万ドル(775億円)。
続いて、国防総省傘下省庁の支援経費の合計、5億1100万ドル(625億円)
▽誘導弾や巡航ミサイルなど弾薬費1億8500万ドル(226億円)
▽消失軍備の補給費8500万ドル(104億円)
▽空中からの食糧投下作戦経費=食糧パック110万個分を含む=2640万ドル(32億円)
▽武器輸送や補給のための空輸経費2400万ドル(29億円)、などとなっている。
以上とは別に、テロ警戒のための本土防衛作戦に要した経費は9月11日以来の約2カ月で、5億1100万ドル(625億円)に達した、という。
ただし、この数字は純粋に軍事上の経費。米軍による食糧投下作戦を除く難民支援などの人道援助や、今後のアフガン復興に要するお金は含まれていない。(11/16)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111602257.html


[朝日新聞11月 17日]
「カンダハル撤退信じていない」米国防総省

タリバーン最高指導者オマール師が、アフガニスタン南部の拠点カンダハルから撤退する声明を出したとの情報について、米国防総省のスタッフルビーム作戦副部長は16日、「現時点では信じていない」と述べた。米側は、山岳部へ敗走するタリバーンへの攻撃を免れるための戦術と見て、攻撃の手を緩めない方針だ。
副部長は記者会見で、「わが軍はカンダハルが依然、敵対環境にあるとの前提で作戦を進めている。(反タリバーンの)パシュトゥン人勢力も同様に考えていると思う」と語り、撤退決定の情報を考慮せずに攻略を続ける姿勢を示した。
米側は、数日前からタリバーンの一部勢力がカンダハルから南西方面などへ移動するのを確認している。攻撃に耐えかねて逃亡する兵士や、戦力を温存するため山岳部へ撤退する部隊が混在した動きとの見方が強い。米英軍は、撤退する途中のタリバーン軍へも攻撃を加える見通しだ。
国防総省によると、タリバーンはすでにアフガン全土の3分の2以上の支配力を失った。北部ではクンドゥズ、ジャララバードなどで、南部ではカンダハルなどで依然戦闘が続いている。米英軍は16日も空爆を続行し、15日は長距離爆撃機10機を含む計75機を出撃させたことを明らかにした。(11/17)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111700213.html


[朝日新聞11月 17日]
アフガンもラマダン入り、カンダハルへの空爆続く

アフガニスタンは16日、イスラム教の断食月・ラマダンに入った。米軍は15日夜から16日早朝にかけてタリバーンの本拠カンダハルに激しい空爆を加えた。
アフガン・イスラム通信(AIP)によれば、この空爆でタリバーン政権外務省の建物が完全破壊されたほか、カンダハル南部にあるモスク(イスラム礼拝所)が攻撃された。また、国連機関によると、地雷除去の非政府組織(NGO)事務所が空爆を受け、車や機器類が破壊された。
両日にわたる空爆で計11人の民間人が死亡、二十数人が負傷した。
パキスタンは1日遅れで17日からラマダンに入るが、アフガン国境の町クエッタやペシャワルなどに住むアフガン人らは16日から夜明けから日没までの断食に入った。
通常、ラマダン月は、戦闘は避けるが、タリバーンと、北部同盟など反タリバーン勢力は16日も南部カンダハルや北部クンドゥズなどで戦闘を続けた。カンダハルからの情報では、タリバーンは16日午後現在、カンダハルの支配を維持しているという。
一方、カブールからの報道によれば、北部同盟は15日までにタリバーンの幹部らを複数、捕らえ、最高指導者オマール師や米国が同時多発テロ容疑で行方を追うオサマ・ビンラディン氏らの行方を追及しているという。(11/17)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111602598.html


[朝日新聞11月 17日]
ラマダン入り直後に失態、米軍アフガン東部でモスク誤爆

米軍は16日、アフガン東部の街ホーストで現地時間の同日午後7時半(日本時間17日午前0時)ごろ、テロ組織アルカイダの施設をねらって空軍機が落としたレーザー誘導弾が「誤作動で目標をそれ、モスク(イスラム教寺院)に損傷を与えた」と発表した。
米政府はあくまでテロ組織アルカイダを壊滅まで追い込む必要性を強調し、始まったばかりのイスラム教のラマダン(断食月)中も作戦を継続する方針は変えていない。その矢先に、最も反感を呼びそうな誤爆を起こしてしまった格好だ。
作戦を統括指揮する中央軍司令部の16日の、発表によると、空軍機は3発のレーザー誘導弾GBU−12をアルカイダの施設と思われる建物群に向けて発したが、そのうち1発の照準機能が誤作動した。「現段階で、モスクの損傷程度は分からない。誤爆による負傷者は分かっていない」としている。
アフガン・イスラム通信(AIP)によれば、17日朝にかけての米軍のホーストへの集中的な空爆では、タリバーン政権幹部で部族・国境担当相だったハッカーニ師の自宅や同氏が開いている神学校が標的とされた。米軍機は同時にカブールとパクチア州ガルデスにあるハッカーニ師の家をも空爆した。
AIPによれば、米軍は17日もヘラート、クンドゥズ、カンダハルの3都市に空爆を加え、カンダハルでは6人が死亡、15人が負傷した。(11/17)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111701456.html


[朝日新聞11月 19日]
北京市当局がビンラディン・バッジ販売禁止に

北京市内で、オサマ・ビンラディン氏をあしらった数種のバッジが出回り、北京市当局が販売を禁止した。
17日の北京青年報によると、中学校近くで2つの店が学生にビンラディン氏の顔のバッジを売ろうとしていたところ、区役所関係者が来て差し押さえた。別の場所の卸売市場では4種のバッジが売られていて、これらも差し押さえられた。バッジの1つには「私はラディン。だれを恐れようか」と書かれていた。
関係職員はバッジについて「法律に詳しい規定はないが、世界が協力してテロリズムと戦っている時であり、不良文化商品だ」と話している。(11/19)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001111900144.html


[朝日新聞11月 20日]
クンドゥズなど米空爆でタリバーン1000人以上死亡

アフガニスタンからの報道によれば、タリバーンと北部同盟の激戦が続くクンドゥズでは19日も米軍がB52戦略爆撃機などでタリバーン陣地に激しい空爆を加えた。イスラマバードの有力紙ドーンによれば現地では18日までにクンドゥズだけでタリバーン兵士らに800人以上の死者、30キロ東方のハナバードでも250人の死者が出ていると、タリバーンの現地司令官が話したという。
タリバーン兵士は日に日に戦意を喪失し、北部同盟側に投降し始めた。ロイター通信によれば、18日にはタリバーンのアフガン兵約200人が投降した。この動きを見た過激な外国人の部隊は、形勢不利になることを恐れ、投降しようとした兵士ら53人を射殺したという。外国人部隊にはオサマ・ビンラディン氏配下のアルカイダのメンバーのアラブ人、パキスタン人、チェチェン人らもいるという。外国人部隊たちは、アフガン兵士のように戻る場所もなく「投降は死を意味する」とためらい、「殉教者として最後の一兵まで戦う」と降伏に抵抗している。(11/20)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112000119.html


[朝日新聞11月 20日]
米軍の空爆続く カンダハルはなおタリバーンが支配

アフガニスタンのタリバーン勢力の本拠地カンダハルでは、19日夜から20日朝にかけても米軍の激しい空爆があった。タリバーン当局者によると、カンダハル明け渡しをめぐるタリバーンとザヒル・シャー元国王支持派のパシュトゥン人部族指導者の交渉は進んでおらず、カンダハルはなおタリバーンが支配している。
カンダハルから脱出してきた人の話によると、19日夜の空爆ではタリバーンの関係施設や世界食糧計画(WFP)の倉庫が破壊された。また、カンダハル州西部ではタリバーンが住んでいた学校の施設に2度の空爆があり、建物が完全に破壊され、多くのタリバーン兵士が死んだという。一方、アフガン・イスラム通信(AIP)などの報道によると、北部のクンドゥズでは20日、北部同盟が戦車などで、タリバーン軍を包囲、3日以内に投降しなければ、総攻撃をかけると通告した。19日夜には、米軍の空爆と北部同盟の攻撃により、タリバーン兵数百人が死傷した模様だ。(11/20)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112003037.html


[朝日新聞11月 21日]
アフガニスタン復興会議始まる

アフガニスタンへの人道援助と復興を話し合う日米共催の高級事務レベル会議が20日、ワシントンの米国務省で始まった。G8(主要8カ国)のほか、EU(欧州連合)、サウジアラビア、トルコ、カタール、世界銀行、アジア開発銀行などが参加。タリバーン政権崩壊で混迷しているアフガニスタン情勢を踏まえて、農業支援、難民帰還、地雷除去、保健衛生、教育、女性支援などが主な議題となる。会議の冒頭、パウエル米国務長官は、「国際社会は今後何年も続くであろう復興プログラムを支える用意がなければならない。復興援助と開発の努力との間を途切れなくつなげていかねばならない」と述べた。日本政府代表の緒方貞子・前国連難民高等弁務官も、「失敗した国家を放置してテロリズムの温床にしてはならない」「国際社会はアフガニスタンにあまりにも無関心だった。過去の失敗から学ぶべき時が来た」と述べ、和平後のアフガン復興に国際社会が責任を持つべきだとの見解を強調した。この日の会議では、米側から、次回の会議を来年の1月または2月に日本で開き、共同議長として日米に加えて、欧州からの参加国とイスラム世界からサウジアラビアを迎えることを提案、了承を得る見通しだ。
アフガニスタン復興については、世界銀行の試算によれば、地雷除去だけで5億ドルが必要。長期的には数十億ドルの経費がかかると予想されており、世界経済が減速しているときだけに、負担の分担は難しい問題になりそうだ。(11/21)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112100014.html


[朝日新聞11月 21日]
自由戻った? カブール市民、タリバーン下の5年を語る

女性への教育の禁止や音楽の放送禁止―。タリバーンは極端なイスラム教解釈によって市民生活に様々な制約を課してきたと伝えられている。タリバーンが政権を握っていた5年間、カブールの市民はどんな暮らしをしていたのだろう。自由を取り戻したかに見えるカブール市内を歩いてみた。

■隠れてテープ売る
カブール市中心部に近いフロジガル市場には、15軒の音楽テープ店が並ぶ通りがある。父親の代から音楽店を営むアロームハマドさん(26)の店には今、アフガンを始めパキスタンなど各国の音楽テープが並ぶ。
5年前、タリバーンがカブールを占領したとき、ラジオで「音楽を禁止する」という布告が流れた。即座に在庫1万本を11個の衣装箱に押し込んで倉庫に隠した。
代わりにムジャヒディン(イスラム戦士)や神をたたえる無伴奏の独唱やコーランの朗読テープを入荷した。時々、タリバーンの宗教警察が点検に来たが、音楽テープはひそかに売り続けた。「音楽抜きの人生なんて考えられないだろう」
客が目当ての歌手の名を小声で言うと、近くの街角で待たせる。手伝いの少年にテープを持たせ、その客に手渡した。
「捕まれば1カ月は独房入りだ。麻薬を売っている気分だった。でもタリバーン兵すら『音楽はないか』と聞いてきたよ」と笑う。
タリバーンが去った日の午後にはテープを店頭に戻した。売り上げは4倍にはね上がった。タクシー運転手のデルアカさん(26)は4年前、いとこと結婚した。式には付き物の踊りすら禁じられていたから、質素な結婚式だった。
体だけでなく顔も覆い隠すブルカは、以前から多くの女性が着ていたが、タリバーン政権下、女性全員に義務づけられた。
「女性の顔を見られないなんて、若い男には退屈だよ」
もともと親族間の結婚は多かったが、タリバーン政権下では、顔を見知っている親族間の結婚がさらに多くなったのだという。

■写真はいや
教育の制限と女性の就業禁止は、体育教員アティクラさん(45)とナジバさん(40)夫妻を直撃した。ナジバさんは、看護婦として15年着てきた白衣を脱いだ。
アティクラさんの学校では「イスラム的ではない」として体育の授業が禁じられた。代わりにパシュトゥー語とダリー語を教えた。女生徒は学校を去った。1500円ほどの月給も滞った。かつての教え子の女性に時々、出会う。15歳で教育を取り上げられたあと、医師と結婚した。「また学校に通い始めたいけど、子どもがいるから、もうだめだわ」と話しているという。
職を奪われたナジバさんは「自分が何のために生きているのか分からなくなってきた」と話し、付け加えた。「もっと女性のことを書いて。私たちがどんなに嫌な思いをしたかを伝えてほしいの」
夫婦の写真を撮ろうとしたが断られた。「将来どんな政権になるか分からない。危険すぎる」街角である少年に尋ねた。「タリバーンをどう思うか」。少年が「嫌いではない」と答えたとたん、周りの人々が取り囲んだ。「そんなことを言うな」と叫んでいる。
それを見ていた50歳代の男性は言った。
「音楽が戻り、気持ちにゆとりは出たけど、まだ私たちに言論の自由はないんだ」(11/21)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001112100145.html


[朝日新聞11月 21日]
米地上軍、すでにアフガンに展開 米中央軍司令官

フランクス米中央軍司令官は21日、タシケントで記者会見し、ある程度の規模の米地上軍がすでにアフガンに展開していると述べた。また、米軍がすでに展開しているウズベキスタンだけでなく、タジキスタン、キルギスなど中央アジア諸国に基地利用を拡大する方針を表明した。
司令官は、米地上軍について「アフガンでの軍事作戦では、空爆を続行しながら、海兵隊や地上部隊を投入する。一部はすでに展開した」と語った。アフガンの治安維持について、北部同盟を主体としたアフガン人に任せるのか、国際的に編成された部隊を受け入れるのか、結論を急ぐ必要を強調した。また、司令官は20日にカブール近郊のバグラム空軍基地を訪れ、北部同盟の指導部と会談したことを明らかにした。
さらに、アフガンでの政情不安定は新政権樹立後も続く可能性があるとの見方も示した。そのうえで「米軍は今後も、中央アジア諸国での基地利用を拡大する」と述べた。空爆の拠点であるウズベクのハナバード基地のほか、すでに利用を決めたタジクに加え、さらにキルギスにも展開することを明らかにした。(11/21)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112102794.html


[朝日新聞11月 22日]
カンダハル明け渡さぬ オマール師スポークスマンが会見

アフガニスタン・タリバーン勢力の最高指導者オマール師のスポークスマンは21日、カンダハルのスピンボルダックで記者会見し、本拠カンダハルや周辺地域の支配権は他の勢力に渡さないと、死守の決意を明らかにした。
同スポークスマンは、ザヒル・シャー前国王派のパシュトゥン人有力指導者との間でカンダハル州の明け渡し交渉が進んでいるとの情報を否定。「カンダハル州は我々の運動が始まった場所であり、同州など南部4州の人々は我々を支持し、共に戦うことを約束している。我々も人々の安全と生活を守る義務がある」と話した。
オサマ・ビンラディン氏との関係については、「ソ連の侵攻の際、我々を助けて戦った友人だが、米国でのテロ事件以来、連絡は途切れている」と述べた。オマール師から軍の指揮権を委譲されたとされるパシュトゥン人部族指導者のバシェル氏については、「当初からの我々に対する協力者で、今も援助してもらっているが、権力は委譲していない」とオマール師が指揮権を握っていることを強調した。(11/22)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112200033.html


[朝日新聞11月 22日]
アフガン北部最後の拠点、タリバーンが投降で合意

CNNテレビは21日、タリバーンと北部同盟の激戦が続いていたアフガニスタン北部のクンドゥズで、タリバーン部隊が北部同盟軍に投降することに同意したと報じた。クンドゥズは、タリバーン勢力が死守していた北部最後の拠点。タリバーン部隊の司令官と北部同盟のドスタム将軍との間で合意が成立した模様。投降の具体的な手順や捕虜の処遇などは今後の交渉で詰めるとしている。米政府はまだ合意を確認していない。
統合参謀本部のペース副議長は21日の会見で、北部同盟側の要請を受け、米軍がクンドゥズ近郊に空爆を続けている、と述べていた。タリバーン側は連日の激しい攻撃を受けて戦意を喪失しつつあるとされ、双方は北部同盟支配下のマザリシャリフで投降交渉を続けてきた。タリバーンのファイザル司令官は同テレビなどに「和平が訪れるだろう。暴力は起きないだろう」と述べ、投降する意向を確認した。また、北部同盟のドスタム将軍も「クンドゥズは戦闘なしで解決するだろう」と語った。
同テレビによると、投降はタリバーンのアフガニスタン兵だけでなく、アラブ諸国やパキスタン、チェチェンなどからの義勇兵も含まれる。クンドゥズでは外国人義勇兵が投降しようとするタリバーン兵を殺害した、とも伝えられていた。
だが、北部同盟のアミン駐米代表はCNNの報道に対し、外国人義勇兵が「最後まで戦う覚悟」を見せており、「まだ大きな障害は残っている」としている。ラムズフェルド国防長官は同日、外国人義勇兵の処遇について、「他国に行って再びテロを繰り返すことだけは受け入れがたい」と記者団に述べていた。
アフガニスタンからの報道によると、北部同盟の幹部は22日、同日中にも同盟軍がクンドゥズ市内に進駐するとの見通しを明らかにした。タリバーン軍の投降については「全体の97%が降伏するだろう。武装解除に応じない者とは戦闘を続ける」とした。(11/22)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112200091.html


[朝日新聞11月 23日]
北部同盟、タリバーンの抵抗拠点クンドゥズに進攻開始

アフガニスタン北部のタリバーン勢力最後の拠点クンドゥズに対し、北部同盟軍は22日、進攻を開始した。ロイター通信は、タリバーン部隊の投降とクンドゥズ明け渡しをめぐるタリバーンと北部同盟側の交渉が、主に外国人義勇兵の抵抗で決裂したと報じた。
タリバーン部隊の司令官と北部同盟のドスタム将軍は、北部同盟支配下のマザリシャリフで、投降の具体的な手順や捕虜の処遇を巡る交渉を続け、いったんは大半の兵士が投降に同意したと伝えられた。だが、アラブ諸国やパキスタン、チェチェンなどからの外国人義勇兵は依然として抵抗している模様だ。北部同盟側は、タリバーン部隊が投降を拒否すれば、22日中にも総攻撃を開始するとの方針を伝えていた。一方、アフガン・イスラム通信(AIP)によると、米軍は22日、B52爆撃機でクンドゥズ周辺やカンダハル州、パクティア州に空爆を加えた。
AP通信によると、クンドゥズの最前線では同日、戦車で攻撃をかける北部同盟に、タリバーン部隊が迫撃砲などで応戦している。(11/23)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112203254.html


[朝日新聞11月 24日]
クンドゥズからタリバーン兵、続々投降 外国人義勇兵も

アフガニスタンからの報道によると、北部に残るタリバーン最後の拠点クンドゥズから24日、タリバーン兵士約1300人が相次いで北部同盟に投降した。アフガン人部隊だけでなく、そのうち約600人は頑強に抵抗していた外国人義勇兵という。本格的な投降が始まったとの見方もあるが、戦闘は続いている模様だ。
クンドゥズのタリバーン部隊は約20000人で、そのうち外国人義勇兵はパキスタン、アラブ諸国、チェチェンなどの約3000人とされる。北部同盟の司令官の一人は「投降は今後も続く」との見方を明らかにした。だが、タス通信によると、戦闘は続いており、ドゥシャンベの軍事筋は完全制圧までは一両日かかるとしている。
投降した外国人義勇兵たちは、北部同盟のドスタム将軍の部隊が北部の要衝マザリシャリフに連行した。自国民が義勇兵に多く加わっているパキスタンのムシャラフ大統領は、「捕虜が非人道的な復しゅうの対象になってはならない」と主張、米英政府や国連、赤十字国際委員会に投降兵の安全確保への協力を求めた。
イスラマバードの米英軍報道官も「投降兵は赤十字の監視のもと人道的に扱われるべきだ」と述べる。しかし、「外国人兵士はアフガン内で拘束、武装解除されるべきで、祖国への帰還を許してはならない」とも強調し、捕虜の扱いは北部同盟軍にゆだねる姿勢を示している。(11/24)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112401478.html


[朝日新聞11月 25日]
スペインが米に反旗 軍事法廷ならテロ被疑者移送を拒否

24日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、スペイン政府が、9月11日の同時多発テロ事件の共犯として拘束しているイスラム過激派8人について、「ブッシュ米大統領が設けた特別軍事法廷で裁く方針を変えない限り、移送を拒否する」との方針を米国に通告した、と報じた。
同紙は、欧州連合(EU)に加盟するほかの諸国も、同様に米国の特別軍事法廷に反対する可能性があると伝えている。EU各国は死刑制度を廃止しており、この問題もテロリストに死刑宣告も可能な米国への移送のハードルとなりそうだという。
同紙によると、米側はまだ公式には移送を要請していないものの、すでにスペイン駐在の米連邦捜査局(FBI)代表らが21日、事件の捜査を統括する予審判事と会談した。だが、同判事はこの場で「欧州のどんな国も、軍事法廷にかけられる可能性がある限り、被拘束者を米国に移送することはできない」と言明した。
スペイン外務省の報道官も、軍事法廷は欧州と同じ水準の公正な法手続きを保証していないと指摘し「移送は不可能だ」と述べた、という。(11/25)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112500030.html


[朝日新聞11月 26日]
ビンラディン氏は馬で逃げ回る、部下数人同行 英紙報道

25日付の英紙インディペンデント・オン・サンデーによると、ウサマ・ビンラディン氏は数千人の警護部隊と離れ、数人の部下を連れてアフガニスタン北東部ジャララバード近くの岩山地帯を馬で逃げ回っているという。ジャララバードの治安部隊司令官ハズラト・アリ氏が24日、明らかにした。(時事)(11/26)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112500160.html


[朝日新聞11月 26日]
捕虜のタリバーンほう起、400人死亡の情報

アフガニスタン北部の要衝マザリシャリフ近郊の捕虜収容所で25日、タリバーン兵ら捕虜が一斉ほう起した事件で、少なくとも400人が死亡した模様だ。時事AFPが地元司令官の話として伝えた。ほう起した捕虜は約800人とみられ、ほとんどはアフガン北部のクンドゥズ付近で身柄を拘束された外国人兵士だった。北部同盟側でも、少なくとも20人が死亡したという。(11/26)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112600032.html


[朝日新聞11月 27日]
米地上部隊、カンダハルへ本格攻勢

アフガニスタンからの情報によると、同国南部のタリバーンの本拠カンダハルに対して、米軍は26日、激しい空爆を行った。25日夜から26日にかけて展開した約500人の米海兵隊員がすでに同市近郊の滑走路を確保、前線基地の設営を始めており、米同時多発テロの最重要容疑者オサマ・ビンラディン氏の捕そくとともに、カンダハルへの本格攻勢に入った模様だ。
米国防総省当局者は26日、地上部隊の規模が最終的には1000人余りになる見通しを示した。アフガン・イスラム通信(AIP)によると、米軍はまず、カンダハル空港から約25キロ南東のタクタプルに対して激しい空爆を加え、その後、反タリバーンのパシュトゥン人勢力がここを制圧した。タクタプルに多数の米兵が駐留しているのが目撃されているという。米軍はカンダハル近郊の民間の滑走路を確保し、大砲や軍用車両などの重火器をヘリコプターで次々と運んでいる。戦車が運び込まれているとの情報もある。
米海兵隊のマティス司令官がアラビア海の米強襲揚陸艦ペリリュー艦上でロイター通信などに語ったところによると、地上部隊の作戦名は「迅速な自由作戦」と命名された。パキスタンの国境の町チャマンの消息筋が本紙に伝えたところによれば、チャマンから西方約10キロのスピンボルダックには約200人のタリバーン兵士が集結しており、反タリバーンのパシュトゥン勢力が投降を呼びかけ、交渉が続いているという。(11/27)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112603190.html


[朝日新聞11月 27日]
ビンラディン氏チェチェンに逃走か パキスタン国防省筋

パキスタン国防省筋によると、オサマ・ビンラディン氏はアフガニスタン北部のクンドゥズでタリバーンの投降が始まった23日から24日にかけて、混乱に乗じてウズベキスタン側に脱出し、同国とタジキスタン国境の間の山地伝いにチェチェン方面に向かったという。
国防省筋の情報によれば、ビンラディン氏は昼間はくぼみなどに隠れて日没後、護衛の兵士とともにロバなどで山岳地を進み、アフガンを出国したという。
この情報は確認できないが、クンドゥズではチェチェン人ゲリラがタリバーンに加わっており、ビンラディン氏はこのグループの手引きで出国したとの説が流れている。(11/27)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112701068.html


[朝日新聞11月 27日]
インドネシアからの義勇兵50人が行方不明に

インドネシアからアフガニスタンのタリバーン支援などへ向かった義勇兵約50人が行方不明になっている。義勇兵を募集したイスラム青年運動(GPI)幹部が27日、明らかにした。GPIは、カブール陥落後に北部同盟に捕らえられたのではないかとみて、同盟側に解放を呼びかけている。
GPIは約300人の義勇兵を送り、うち約150人がパキスタンに、約100人がパキスタン、アフガニスタン国境付近にいることがわかっている。だが、残り約50人とは1カ月間連絡が取れないという。GPIは「我々の敵は米国などであり、北部同盟ではない」としている。(11/27)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001112701858.html


[朝日新聞11月27日]
暫定政権樹立めざしアフガン代表者会議始まる ボン

アフガニスタンのタリバーン政権崩壊を受け、和平の実現と暫定政権樹立のため、アフガン国民の代表者会議が27日、ドイツのボン郊外で始まった。アフガン内政の空白を埋めるため、広範な民族を基盤にした政権樹立への道筋を論議する。仲介役の国連は「暫定行政機構(政府)」の設立を提案しており、指導体制のあり方や、20〜30人とされる閣僚ポストの配分などが焦点になる。さらに、アフガン国内の治安維持にあたる多国籍軍の展開についても協議される。20余年続く内戦に終止符を打ち、破壊し尽くされた国土の復興につながる安定政権をつくれるか、その第一歩になる。
ボン郊外の政府迎賓館の会場には、反タリバーン勢力の北部同盟など4派から32人の代表が出席。仲介役の国連のほか、米国、ロシア、日本など19の国・機関がオブザーバー参加した。
冒頭、国連のブラヒミ事務総長特別代表が、アナン事務総長の声明を代読し、「今がアフガンに平和と国民団結を実現する歴史的チャンス」と呼びかけ、参加した4派代表には「アフガン国民のより明るい未来のために妥協と協力の精神で臨んでほしい」と要請した。
各派の代表も演説し、北部同盟のカヌニ内相は「相互の理解と忍耐が大切。権力の分担が考慮されるべきだ」と述べた。ザヒル・シャー元国王の側近で「ローマ・グループ」のサッタル・シラト氏は「国土の復興に、イスラム教の精神で力を合わせていくべきだ」と強調した。
また、外国に亡命・在住するアフガン人代表として、「キプロス・グループ」のフマユン・ジャリル氏は、「アフガン問題は単なる地域問題でない。他国の支援が必要」と、主要国や周辺国の協力を要請。「ペシャワル・グループ」のハミド・ゲラニ氏は、「アフガン国民自身が希求しない限り、平和は長続きしない」と指摘した。
国連は、11月中旬の北部同盟カブール攻略後、暫定政権づくりを緊急課題として代表者会議を呼びかけた。ファウジ報道官は「各派が協議を急ぐことが最重要だとの考えで一致している」と記者会見で述べた。
だが、アフガン国内で内戦を戦ってきた北部同盟には、自派主導での政権樹立に固執している。ファウジ報道官は、「私たちはロードマップ(道筋)を示しても、青写真があるわけでない」と述べており、合意が容易でないことも予想している。(11/27)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112702942.html


[朝日新聞11月 28日]
「オマール師は無事」 米の空爆についてタリバーン言明

タリバーンのザイーフ前駐パキスタン大使は28日、米軍がカンダハルの「タリバーン指導部施設」を空爆したことについて、「標的となった建物に最高指導者のオマール師はおらず無事だった」と述べた。アフガン・イスラム通信(AIP)に語った。
ザイーフ前大使は、米軍が27日夜に爆撃したのは、タリバーンの地方行政官の建物で、オマール師やテロ組織アルカイダの幹部らが潜伏している場所ではない、とした。
オマール師は28日、タリバーン兵に対する無線メッセージで、「どの地域からも撤退してはいけない」と呼びかけた。パキスタンのタリバーン筋の話として、ロイター通信が伝えた。オマール師は「これは部族の問題ではない。イスラムの問題だ」とも述べたという。
米同時多発テロの主要な容疑者とされるオサマ・ビンラディン氏については「どこに居るかは知らないが、われわれの支配する地域にはいない」と述べた。
一方、アフガンからの報道によると、カンダハル州東部のタクタプルでは27日から、タリバーンと、パシュトゥン人の反タリバーン武装勢力が激しく衝突している。タクタプルはカンダハル市から約50キロ南東にある。カンダハル市とパキスタン国境スピンボルダクとを結ぶ幹線の中間地点だが、戦闘のため道路の封鎖が続いているという。(11/28)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001112802531.html


[朝日新聞11月 28日]
捕虜収容所の投降兵暴動で調査要求 アムネスティが米に

国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは28日、アフガニスタン北部カライジャンギにある北部同盟の捕虜収容所で起きたタリバーン投降兵による暴動の原因などについて、北部同盟や米軍に対し緊急に調査するよう求めた。
暴動は25日午後、アフガン北部のクンドゥズから連行されたタリバーンの投降兵が、捕虜収容所で北部同盟兵の武器を奪ったことから始まったとされる。投降兵には外国人義勇兵も多く、約700人が戦闘で死んだ。
アムネスティは、北部同盟や米軍に対し、暴動時の北部同盟による投降兵の扱い、さらに空爆など米軍の暴動鎮圧の対応について調査し、結果を公表するよう求めた。(11/28)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112802671.html


[朝日新聞11月 28日]
天然痘ワクチンの担い手、千葉県血清研が閉鎖へ

千葉県は28日、全国で唯一、公営企業としてワクチンを製造している同県血清研究所(市川市)を来年9月に閉鎖すると発表した。行財政改革の一環で、今後の設備投資が県の財政を圧迫すると判断した。米国テロ事件の関連で一躍注目が集まった天然痘ワクチンの製造も手がけてきた。県は閉鎖に併せて民間への技術移転も検討する。
血清研は陸軍の施設を引き受ける形で46年に設立された。県職員78人で運営され、人体、動物用製剤など25品目を製造している。県は、ほとんどの製品を民間が扱っていることも閉鎖の理由に挙げている。
また、この3年でインフルエンザワクチン約11万3000本、はしかワクチン約14万3000本が国家検定不合格になり、日本脳炎ワクチン約6万2000本が自主回収となるなど不手際が続いていた。
天然痘ワクチンについては、独自に開発した安全性の高い製造ノウハウを持っている。81年を最後に製造を中止しているが、テロ事件を受けて厚生労働省が250万人分の備蓄を決め、血清研が受注する予定だ。すでに準備に入っていて「今年度中に製造を終えるので問題ない」という。(11/28)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112802495.html


[朝日新聞11月 29日]
「人道」物資が民家直撃、2人死亡 アフガンで米軍

アフガニスタン北部で現地時間28日午前5時(日本時間同9時半)ごろ、米軍機が投下した食糧など人道援助物資の大型こん包が民家を直撃して破壊、女性と子供の計2人が死亡した。対アフガン作戦を進めている米中央軍が発表した。「この悲劇的な事故の詳細は調査中で、適正な対策をとる」としている。
アフガンでの人道援助物資の投下で死者が確認されたのは初めて。同軍によると、現場はマザリシャリフから北東約190キロで、ウズベキスタン国境に近い。小麦や毛布などの大型こん包にパラシュートをつけて高高度から投下したが、その一部が民家に落下したという。
米軍は10月7日にタリバーンとテロ組織を標的に空爆を開始して以来、「アフガン国民は敵ではない」として大量の人道援助物資の投下を続けている。「投下地の選定は時間をかけて慎重に行っている」と釈明しているが、作戦当初から、民家や人々を直撃する恐れがあると人権団体などが指摘していた。(11/29)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112900549.html


[朝日新聞11月 29日]
タリバーン兵160人を処刑 パシュトゥン人勢力司令官

アフガニスタン南部カンダハル州でタリバーンと戦っているパシュトゥン人武装勢力の司令官は28日、ロイター通信に対し、投降を拒んだタリバーン兵160人を処刑したと述べた。
証言したのは、反タリバーンのグル・アガ前カンダハル州知事が率いる部隊の司令官。証言によると、「処刑」があったのは1週間ほど前。カンダハル市とパキスタン国境からカンダハルに至る幹線の中間にあるタクタプルで、包囲したタリバーン兵に対しコーランの言葉を引用し、「カネを渡すから」と言って投降を促した。しかし、従わなかったため、捕らえたうえ一列に並べて自動小銃で殺害したという。
現場には情報収集にあたる米兵7、8人がいて処刑を止めようとしたが、できなかったという。(11/29)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112902576.html


[朝日新聞11月 29日]
タリバーン、カンダハル死守へ本格的に反撃か

アフガニスタンからの情報によると、南部カンダハル州の要衝タクタプルやスピンボルダックで、タリバーンとパシュトゥン人勢力との対立が深まっている。
アフガン国境のパキスタン側チャマンの消息筋が本紙に伝えたところでは、カンダハル市の南東約50キロにあるタクタプルでは28日の激しい戦闘でタリバーン側が優位に立ったという。タリバーンの最高指導者オマール師が「徹底抗戦とカンダハル死守」を部隊に指令したとの情報があり、本格的な反撃に出た模様だ。
タクタプルはタリバーンの本拠地であるカンダハルとスピンボルダックを結ぶ幹線にある。パシュトゥン人武装勢力が1週間以上にわたって断続的に攻撃をかけ、米軍機による激しい空爆も続いている。スピンボルダックでも、パシュトゥン人勢力に包囲されたタリバーン側がいったん明け渡しを決めたものの交渉は決裂。再び両勢力が戦闘の構えを見せている。
支配勢力が不在となったため、国連などからの援助物資の強奪が相次いでいるという。アフガン・イスラム通信(AIP)は「タリバーン兵がいなくなると、人々が一斉に援助物資を奪い始めた」との目撃情報を伝えている。(11/29)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001112902883.html


[朝日新聞11月29日]
「新政権はカブールで決められるべきだ」北部同盟外相

アフガニスタンの北部同盟のアブドラ外相は28日、カブールで朝日新聞記者と会見し、ボンで開かれているアフガン代表者会議について「新政権の形はカブールで決められるべきだ」と語り、会議を重視しないという北部同盟の姿勢を明確に示した。オサマ・ビンラディン氏の居場所は「カンダハル周辺だが、発見には時間がかかる」と述べた。
同外相はボンでの代表者会議を「最初のステップに過ぎない」と位置づけ、2回目の代表者会議をカブールで開き、暫定政権の具体的な陣容などの重要事項はそこで決められるべきだとの見解を示した。
新政権については「(アフガンの最大民族である)パシュトゥン人を含めた幅広い勢力の結集が望ましい。パシュトゥン人にも、タリバーンに抑え込まれた者が大勢いる」と語った。
米軍が包囲網を強めるビンラディン氏とタリバーンの最高指導者オマール師の居場所についてはカンダハル周辺と指摘。「あの一帯は山岳で隠れる場所も多い。米軍は特殊部隊を投入しているが、発見には時間がかかるかも知れない」とし、国外逃亡を伝えた一部報道を否定した。
同外相によると、タリバーンの現支配地域は国土の10〜15%。「南部のタリバーンはまだ強力」とし、北部同盟は「カンダハルに複数の司令官を政治工作に送ったが、軍隊は派遣していない」と明かした。
タリバーンを支援し、北部同盟とは敵対してきたパキスタンとの外交関係については「今後は相互に尊重し、干渉しない形に両国関係は見直されるべきだ」として、条件つきながら関係修復に前向きな姿勢を示した。(11/29)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112802961.html


[朝日新聞11月29日]
アフガニスタンで新聞が復刊

今月上旬から発行が止まっていたアフガニスタンの地元紙「アニス・デーリー」が26日、発行を再開した。「第一号」はタリバーン時代には使えなかった写真を紙面にふんだんにあしらった。
同紙はアフガンで最も人気がある新聞。ダリ語とパシュトゥー語を併用している。今月上旬から発行が止まっていたが、26日に約1万部を印刷してカブール市内各地で販売した。
初日の1面は北部同盟のラバニ前大統領の写真つきで「ラバニ氏を中心にロヤ・ジルガ(国民大会議)開催へ」がトップ記事。マーケットがにぎわう様子やブルカを外した女性の姿を使った写真も大きく掲載された。
勤務歴33年というカメラマンのアブドゥル・ナビさん(53)は「タリバーンのときは人だけでなく動物の写真もだめだった。仕事がないので会社の事務や守衛をやっていたよ」とうれしそう。
アフガンには同紙や英字紙の「カブール・タイムズ」などがあるが、識字率は2〜3割と言われ、読者も限られている。新しい編集長のシャフィクさんは「今度の政府は教育を普及させ、多くの人が新聞を読める社会にしてほしい」と話していた。(11/29)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001112901702.html


[朝日新聞12月 1日]
カンダハルの攻防大詰め 地元部族進撃狙う

アフガニスタン南部のタリバーンの本拠地カンダハルの攻防が大詰めを迎えている。米軍の空爆と同時に反タリバーン・パシュトゥン部族の攻勢、さらにタジク系、ウズベク系などからなる北部同盟も進撃をもくろんでいる。タリバーンは徹底して戦うのか、これまでのようにカンダハルをあっさり放棄するのか予断は許さない。
タリバーン指導部は16日夜、いったんは、アフガン・イスラム通信(AIP)を通じて、カンダハルの放棄を宣言した。後継支配体制まで決め、オマール師の後継者にイスラム党ハリス派に属するバシェル司令官とイスラム協会のナキブラ司令官を決めた。そのうえでオマール師以下強硬派は山間部にこもって米軍にゲリラ戦で対応するという腹づもりだった。
しかし、オマール師は翌日、一転して「カンダハルを放棄するつもりはない。死ぬまで戦う」と否定。米軍の攻撃で日々、判断が変わる指導部の迷いを見せつけた。だが、結果的には今なお、オマール師が力を握っていることは否定できないようだ。
現在、米軍はカンダハル郊外の空港周辺などに先発投入した特殊部隊約400人前後に加えて25日夜から海兵隊約千人を投入し、1500人前後がカンダハルに布陣し、包囲網をせばめている。米軍の作戦展開のためにはパキスタン国境チャマンからカンダハルにつながる約110キロの幹線の確保が不可欠だった。このため米軍は、幹線上の要衝タクタプル、スピンボルダックなどの攻略を反タリバーンのパシュトゥン人勢力にゆだねた。だが、幹線の完全制圧にはなお時間が必要だ。
米軍は本丸カンダハル市街地にすぐ進攻するより、まず反パシュトゥン勢力や北部同盟による露払い的な攻勢を期待している。むしろ米軍はカンダハル州や隣接するウルズガン州、ザブール州などを攻撃しながら、オサマ・ビンラディン氏やオマール師の包囲網をじりじりとせばめる作戦を取っているとみられる。(12/01)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120100077.html


[朝日新聞12月 1日]
前駐パキスタン大使、タリバーン亡命政府を否定

アフガニスタン・タリバーン勢力のザイーフ前駐パキスタン大使は29日、タリバーンがアフガン国外に脱出して「亡命政府」を宣言する考えはない、と述べた。パキスタン英字紙ニューズが伝えた。
ザイーフ前大使は「オマール師は、侵入者をアフガン国外に追い出すまで戦い続けるだろう」と述べ、徹底抗戦の構えを強調した。また、オマール師は今もカンダハルにおり、定期的に連絡をとっていると述べた。
オサマ・ビンラディン氏の居場所については「連絡をとっていない」とした。また、ビンラディン氏もタリバーンも「核兵器は持っていない。持っていたら使っているだろう」と述べた。(12/01)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120100083.html


[朝日新聞12月 1日]
捕虜収容所で数百人殺害「調査必要」 国連弁務官

アフガニスタン北部カライジャンギの捕虜収容所で起きた暴動で捕虜のタリバーン側兵士数百人が殺害された問題で、国連のロビンソン人権高等弁務官は30日、戦争捕虜の扱いを定めたジュネーブ条約に照らした国際的な調査が必要だと表明した。英BBCに対して語った。
ロビンソン氏は、現地から報道された暴動と鎮圧の模様が「非常に気がかりだ」とし、「だれによって何が起きたのかを十分にあとづけることが重要」と述べた。また、戦闘にかかわっているアフガニスタンの諸勢力に対して、投降した捕虜への虐待を禁じたジュネーブ条約を徹底する必要があり、「違反した軍の指導者は将来のアフガン政権に参画する資格がないし、悪質な違反は法廷で裁かれるべきだ」とも指摘した。
25日に起きたカライジャンギでの暴動を鎮圧するための、米英の特殊部隊に支援された北部同盟軍と米軍機による武力行使が適切だったかどうかが国際的な関心を呼んでいる。ロンドンに本拠を置く民間の人権保護団体アムネスティ・インターナショナルも同条約違反の疑いがあるとして、調査を求める声明を発表したが、米英両国政府ともその必要を認めていない。(12/01)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120100195.html


[朝日新聞12月 3日]
タリバーンに米国人青年がいた 7日間地下室に潜み救出

アフガニスタン北部マザリシャリフ近郊の捕虜収容所で先月下旬に起きたタリバーン兵の暴動事件で、生き残った20歳の米国人タリバーン兵ジョン・ウォーカーさんが、救出までの模様を明らかにした。米CNNテレビなどが2日、伝えたところによると、今回の暴動では、ウォーカーさんは当初、投降するつもりでいたが、タリバーン兵の一人が手りゅう弾を投げて爆発させたため、北部同盟兵士側と銃撃戦になったという。この銃撃戦で右足を撃たれ、他のタリバーン兵とともに地下室に逃げ込み、7日間、何も食べずに潜んでいた。この間、地下室にガソリンをまかれて火を付けられたり、水を流し込まれたりし、さらに何個かの手りゅう弾も放り込まれた。地下室はタリバーン兵の死体でいっぱいだったという。
暴動は11月25日に起きた。数百人のタリバーン兵捕虜のうち、生き残って降伏したのはわずか約80人で、あとは全員、殺害されたという。暴動では、米中央情報局(CIA)の作戦部員1人も巻き込まれて死亡した。
ウォーカーさんは現在、米特殊部隊の監視下で治療を受けている。
ウォーカーさんは16歳の時にイスラム教に改宗。18歳で故郷を離れ、イエメンに渡りアラビア語を勉強したという。その後、パキスタンに移り住んでイスラムを学び、ここでタリバーン支持者らと接触してタリバーンに傾倒した。
その後、カブールに行き、支持者らの勧めで半年前にタリバーン部隊に加わり、アフガン国内の訓練キャンプでカラシニコフ銃の撃ち方などを教わったという。米軍が空爆を始めた時、クンドゥズまで約160キロを徒歩で逃げた。そこで3千人以上のタリバーン兵とともに捕虜として捕らわれ、マザリシャリフ近郊の収容所に入れられたという。(12/03)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120303054.html


[朝日新聞12月 3日]
盲目のライオンの世話係アクバルさんは殺されていた

アフガニスタンのカブール動物園で、手りゅう弾を投げつけられて盲目になったライオンのマルジョーンを必死に世話して有名だったモハマド・アクバルさん(当時51)が、タリバーンが首都の支配を始めて間もなく、何者かに園内で絞殺されていたことが3日、同僚らの証言でわかった。アクバルさんは元気で健康そのものだった。だが、97年になって動物園の職員から「心臓病で急死した」と聞いた。今回、動物園を再訪して初めて死の真相がわかった。
タリバーンは事件捜査もせず、犯人は逮捕されていない。だが、同僚たちは、世界中のメディアに取り上げられて人気者になったタジク民族のアクバルさんに何らかの敵意を持った者の犯行と見ている。いまごろになって同僚らが重い口を開いたのは「タリバーン政権が崩壊したので、もう話しても大丈夫と思った」からだという。タリバーン統治時にはアフガン人が外国人記者に会ったり、話したりすることは厳禁されていた。
マルジョーンは70年代後半に西ドイツから寄贈された。雌のチューチャと2頭で園の人気者だった。しかし、95年春マルジョーンはライオン舎に飛び降りた男にからかわれ、男をかみ殺した。その男の兄が「敵を討つ」としてマルジョーンに手りゅう弾を投げつけ、顔面一面に重傷を負い両目を失明した。
妻のチューチャはその後病死した。しかし、10月から始まった米軍の空爆にも耐えて生き残った。現在、毎日約10キロの肉をもらい、暮らしている。ムハマド・アジジ園長(56)は、「2年前、タリバーンは園内のライオンもサルもみんな殺せと命令した。しかし、タリバーン指導部で反対の声が出て、マルジョーンは生き延びることができた」と語っている。(12/03)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120302328.html


[朝日新聞12月 4日]
米国人名乗るタリバーン兵は計3人 米国防総省当局者

米国防総省当局者は3日、アフガニスタンのタリバーン部隊から見つかった米国人を名乗る兵士は、マザリシャリフ近郊の暴動事件で生き残った1人を含めて計3人、とAP通信に語った。全員、米軍と北部同盟の管理下にあるという。
暴動事件で生き残ったジョン・ウォーカーさん(20)について、米カリフォルニア州に住む両親はテレビの映像で本人と確認した。国防総省はまだ調査中とし、捕虜として扱うか、帰国させるかは決めていないという。ほかの2人は北部同盟の監視下にあり、身元などは分かっていない。(12/04)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001120400197.html


[朝日新聞12月 5日]
空爆で負傷の子供40人、ただ1人入院続ける10歳少年

カブール市内のインディラ・ガンジー子ども病院には、米軍による空爆開始後、巻き添えや誤爆に遭った子ども40人が運ばれた。重体の7人は数日で死亡、32人は今も通院や自宅療養を続ける。1人入院中のモハマド・サレイム君(10)はすねから下で切断された右足をさすり、空爆でひびの入った天井を眺めていた。
サレイム君は10月15日夜、カブール南部のベネサル地区の自宅で寝ていて被害に遭った。隣のタリバーン軍事施設が爆撃され、自宅の壁の下敷きに。隣人の車で子ども病院に運ばれた。「学校に戻りたい。友達に会いたい。自動車工になる勉強をしたい」。血のにじむ包帯をさすりながらそうつぶやいた。母親のライロマさん(30)と5人の兄弟姉妹が交代でやって来て、話し相手になったり、ゲームをしたりしている。
再手術や義足作りのため、近くドイツの提携病院へ転院する。ドイツの財団が援助するという。家族とは数カ月会えなくなる。6カ月の赤ん坊を抱いたライロマさんはうつむきがちだった。
「タリバーンは僕らの食糧を奪った。アメリカは僕らを空爆した。なぜ僕を空爆するんだ」とサレイム君は言った。
子ども病院は、インド政府の援助で15年前に設立された小児科専門病院。隣地の軍事施設への爆撃で、窓ガラスが割れ、壁にひびが入った。ムスタファ・ズマレイ院長は「子どもたちは毎晩震えていた。空爆による心の傷はなかなか消えない」とため息をついた。(12/05)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001120501404.html


[朝日新聞12月 7日]
オマール師、カンダハル明け渡す タリバーン全面投降へ

タリバーンのザイーフ前駐パキスタン大使は6日、アフガニスタンのタリバーン勢力の最高指導者オマール師が、最後の拠点カンダハルを地元のパシュトゥン人部族指導者に明け渡すことを決めた、と述べた。武器の引き渡しは早ければ7日にも始まると話している。アフガン・イスラム通信(AIP)も同日、タリバーンの広報担当者の話として同様の内容を伝えた。タリバーンの実質的な全面投降で、タリバーンは政治勢力としては消滅することになった。
AIPによると、オマール師はパシュトゥン系部族の指導者で、ラバニ政権下でカンダハル地区の司令官を務めたナキブラ氏に、カンダハルを明け渡すことを決めた。タリバーン指導部とイスラム教聖職者、部族指導者らが合議し、同氏がカンダハルの知事になることも決めたという。
ナキブラ氏は、ラバニ前大統領が属する北部同盟の一派、イスラム協会の幹部。アフガン戦争当時から、カンダハルではよく知られた有力ムジャヒディン(イスラム戦士)だ。
アフガンからの情報によると、タリバーン部隊の一部は、すでにカンダハルから撤退を始めている模様だ。
カンダハル郊外では、アフガン暫定行政機構の議長(首相)に決まったハミド・カルザイ氏の率いるパシュトゥン人部隊が、タリバーン勢力に投降の説得を続けていた。カルザイ氏は、「すべてのタリバーン兵に恩赦を与える」との姿勢を示している。
また、一連の動きを受けて、カンダハル州内でタリバーンと戦闘を続けていた反タリバーンのパシュトゥン人勢力は6日、即時停戦を発表した。(12/07)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001120602784.html


[朝日新聞12月 7日]
オマール師免責に反対 カンダハル明け渡しで米政府

フライシャー米大統領報道官は6日の会見で、カンダハル引き渡しを決めたタリバーン勢力の最高指導者オマール師について、「ブッシュ大統領はテロリストをかくまう者は正義の裁きにかけられるべきだと確信している」と述べ、免責することに反対する立場を示した。明け渡し交渉の過程で、オマール師への恩赦を認めないことを反タリバーン勢力に求めた形だ。
ラムズフェルド国防長官も同日の記者会見で、オマール師が投降後、「尊厳を持って生きることを認めるという条件」は受け入れ難いと強調した。恩赦はテロリストを撲滅し、アフガニスタンがテロの温床にならないようにするという米政府の方針に反するという考えも明らかにした。
ただ、長官はオマール師の米政府への引き渡しが望ましいが、「要は懲罰を受けるべきだ」と述べ、必ずしもそれにこだわらないことを示唆した。(12/07)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120700651.html


[朝日新聞12月 8日]
米大統領、アフガン攻撃成果誇る 真珠湾60周年で演説

ブッシュ米大統領は日米開戦を告げた日本海軍によるハワイ真珠湾攻撃の60周年にあたる7日、バージニア州ノーフォークの海軍基地に停泊中の空母エンタープライズで演説し、「我々はアフガニスタンの解放に成功しつつある」と対アフガニスタン攻撃の成果を強調した。オサマ・ビンラディン氏とテロ組織アルカイダには「わずかな洞くつしか残されていない」として、「(テロリストを)一人ひとり見つけだし、テロ組織網を一つひとつ打ち破る」と語り、今後の戦いへの決意を示した。
大統領は「真珠湾奇襲で米国は決意を固め、自由の擁護者となった。この使命はこの瞬間に至るまで続いており、今も米軍の兵士がアフガニスタンで戦っている」と述べ、「テロとの戦いは休戦や協定では終わらない」と強調した。
また、「(太平洋戦争中の)4年間はだれひとりとして戦争の大義を疑わなかった。勝利の追求にひるむ者はなかった」と述べ、大戦中の経験と結びつけて、今回の戦争の正当性を訴えた。
日本については「かつての敵国が、今日最良の友人になったことを特に誇りに思う。両国の海軍はテロとの戦いで協力している」と語り、謝意を示した。(12/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120800179.html


[朝日新聞12月 8日]
米軍、ビンラディン氏の潜伏地のトラボラに猛攻撃

オサマ・ビンラディン氏の身柄確保を目指す米軍は、8日もパキスタン国境に近いアフガニスタン東部ナンガハル州のジャララバード南西約60キロのトラボラの山地に激しい空爆を加えた。反タリバーンの部族勢力も現地にたてこもる数千人のアルカイダを攻撃している。
トラボラ地区は険しいサフェッコー山脈の中にある岩山に無数の洞穴やトンネルが入り組んでいる。自然の壕(ごう)でもあり、空爆でも破壊することは困難だ。79年から89年にかけて、ソ連軍とアフガン人ゲリラ勢力が戦ったアフガン戦争時に、ムジャヒディン(イスラム戦士)らがソ連軍の空爆にも耐えてゲリラ戦の拠点とした所だ。
パキスタンとの国境にも近く、山脈には標高3000メートル〜4000メートルの高山もある。同時に奥深い渓谷も多く、ゲリラ戦に最適な地だ。
現地の部族勢力の間で流れている情報によれば、ビンラディン氏に似た人物が数日前、4人の手下とともに馬に乗ってトラボラの前線を視察したという。一方、トラボラの包囲作戦をしている東部の部族勢力は、ビンラディン氏がパキスタン側に逃れた可能性があるとしている。トラボラにある無数の洞穴やトンネルには、大勢のアルカイダの外国人兵士らがこもり、アラブ人の女性や子どもらも生活しているという。ビンラディン氏の子どもたちが洞穴に住んでいるという情報もある。
米軍の空爆が激化して以降、多くのアルカイダ兵士らが山岳地帯からパキスタン側に越境逃亡しているとの情報があるため、パキスタン軍はトラボラに近い国境地帯の警備を厳重にしているという。パキスタン政府は、オマール師、ビンラディン氏の越境は認めず、射殺すると公言している。(12/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120801348.html


[朝日新聞12月 8日]
ビンラディン氏の母、「息子のことを怒ってはいない」

リヤド発時事AFP通信によると、同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディン氏の母親は8日、サウジアラビア紙アルマディナのインタビューで「息子のことは怒っていない」と、母としての心情を語った。
母親は「息子が抱いているという野心や理想、またはその行動に賛成はしない。しかし、母親ならだれでもそうであるように、私も息子に満足しており、神が正しい道に導いてくれるよう祈っている」と話した。
オサマの母親は、10人以上いたとされる父ムハンマドの妻の中では、パレスチナ人説など、異なる出自であるとの指摘がある。(12/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120801565.html


[朝日新聞12月 8日]
米上院、国際刑事裁判所への協力禁止法を可決

米上院は7日、紛争下での非人道行為に対する個人の責任を問う国際刑事裁判所(ICC)について、「海外派遣の米兵が不当に扱われる」と、米国政府の協力を全面的に禁ずる法案を可決した。下院はすでに同様の法案を可決しており、ブッシュ政権も支持の意向。対テロ戦線で国際協調を呼びかけてきた米国だが、こうした犯罪を国際的な場で裁くための試みについては、自国の利害をたてに議会、行政府そろって反対を打ち出した形だ。
保守派の重鎮ヘルムズ上院議員が、02年国防総省予算の付帯条項として提出した「米軍要員保護法案」で、賛成78、反対21で通った。
その中には、訴追対象から米兵が除外される確約がない限り、国連の平和維持活動(PKO)に参加しない▽米国領土での捜査活動は禁止▽ICC条約を批准した国に対しては、共同訓練も含む米国の軍事援助を停止▽米兵が戦犯容疑で拘束された場合、軍事行動を意味する「必要なあらゆる手段」を取る権限を大統領に付与する、などの強硬策が羅列されている。
ICC条約は、英仏独など欧州主要国はそろって批准している。このため、「ヘルムズ法案は、米国への同盟国からの信頼を傷つけるもので、反テロ同盟の消失につながりかねない」(国連駐在の欧州外交官)などと警戒する声が出ていた。
ICC促進を進めてきた「ヒューマンライツ・ウオッチ」のリチャード・ディッカー法務担当は「オランダ・ハーグに置かれるICCで米兵が戦犯容疑の被告になった場合は、奪還のため『ハーグ侵攻』すら可能になってしまう」と話している。(12/08)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120801283.html


[朝日新聞12月 9日]
オマール師を取り逃がす カルザイ派の部隊

アフガニスタン南部のカンダハルの情報筋からパキスタン治安当局に8日夕入った情報によれば、タリバーンの最高指導者オマール師が8日未明、カンダハル市郊外で反タリバーン勢力ハミド・カルザイ氏の部隊によって包囲され、身柄を拘束されかかった。だが、同師を護衛していたタリバーン兵士ら100人以上とカルザイ派の兵士らが戦闘を繰り広げ、このすきにオマール師は逃げたという。
同治安当局筋によれば、オマール師は投降の前提として身の安全を求めたため、ナキブラ元カンダハル州知事がカンダハル州内の安全な場所にオマール師を保護することになっていたという。
しかし、ナキブラ氏は米軍がカンダハル市近郊に迫っている以上、長期間保護することは不可能と判断し、深夜にカンダハルを脱出するよう助言した模様で、結果的にオマール師はカンダハルからヘルマンド州方向に逃げたという。
しかし、その途中でカルザイ派の部隊に発見され、身柄を拘束されそうになったという。(12/09)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001120900035.html


[朝日新聞12月 9日]
ザワヒリ氏の妻の両親が、娘と孫を悼む死亡広告

オサマ・ビンラディン氏のテロ組織アルカイダのナンバー2であるアイマン・ザワヒリ氏の妻アザ・ヌエラさんの両親らが、7日のエジプト紙アルアハラムに、ザワヒリ氏の家族の死を悼む死亡広告を出した。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが5日、ヌエラさんと3人の娘がアフガニスタンのカンダハル付近で米軍の爆撃により死亡したと報じていた。
エジプト出身のザワヒリ氏は、家族と共にアフガニスタンに潜伏。5日、本人の負傷説も流れた。(12/09)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001120900033.html


[朝日新聞12月11日]
「北部同盟と呼ばないで」 「統一戦線」幹部がクレーム

アフガニスタンの北部同盟幹部から「北部同盟と呼ばないでほしい」との声が上がっている。タリバーン政権を倒して全土の半分以上を支配した以上、正式名称の「統一戦線」で呼ばれることがふさわしいとの主張からだ。
北部同盟はタジク人のイスラム協会、ウズベク人のアフガニスタン・イスラム運動、ハザラ人のイスラム統一党の反タリバーン3派が97年に結成した。正式名称は「アフガニスタン救国イスラム統一戦線」だが、通称で北部同盟と呼ばれてきた。
タリバーンにアフガン北部に追い詰められていた時期にはぴったりの名称で、幹部も自ら使っていた。だが、新政権づくりの中核となる以上、「北部」に限定される印象を与えるのは好ましくないとの判断だ。
しかし、定着した名称を変更することは容易ではなく、当面は行政官庁などで「統一戦線」を使う。(12/11)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121102426.html


[朝日新聞12月12日]
トラボラ主要部を制圧 アルカイダ、崩壊始まる

アフガニスタンの反タリバーン部族勢力は11日、オサマ・ビンラディン氏が潜伏していると見られているアフガン東部の山岳地帯トラボラの主要部をほぼ制圧した模様だ。米軍機の空爆と部族勢力の攻撃で山頂に追いつめられたテロ組織アルカイダの部隊に対し、部族勢力は12日午前8時(日本時間午後0時半)までに投降するよう最後通告を突きつけた。タリバーンに続き、アラブ系の外国人兵士を中心とするビンラディン氏の「親衛隊」も崩壊し始めた。
アフガン・イスラム通信(AIP)によると、部族勢力はトラボラ制圧に先立つ10日夕、隣接する要衝メラワ渓谷を制圧した。この渓谷には最近までビンラディン氏が出入りしていたという情報があった。
メラワ渓谷を制圧したのは、東部シューラの部族勢力ハズラット・アリ司令官らの部隊。AIPによれば、部族勢力は数千人の部隊を動員し、戦車や大砲などで総攻撃。アルカイダ兵士らは敗走し、部族勢力側も25人が死傷した。
アルカイダ側が11日になって投降の意向を示したことから、部族勢力は攻撃を一時中断、直接交渉を始めた。投降を表明しているのが推定1000人とされるアルカイダ部隊のすべてか一部かは不明。パキスタンの治安当局は投降する兵士を200人前後とみている。部族勢力の軍事責任者ザマン司令官は11日、AP通信に「投降兵は国連に引き渡す」と述べた。
米軍は11日朝からトラボラ地域にB52爆撃機で激しい空爆を加えた。イスラマバードのキース米国報道官は会見で「トラボラでは11日も戦闘は続き、アルカイダ兵士たちは頂上方面に退却している」と語った。
アルカイダ兵士らは山岳地帯の洞くつやトンネルなどにたてこもって抵抗してきた。だが、米軍や反タリバーン勢力の攻勢で、一部は山を越えてパキスタンに逃亡する動きも見せている。このためパキスタン軍は国境警備を強め、ビンラディン氏やアルカイダ兵士の越境を封じる構えをみせている。(12/12)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121200315.html


[朝日新聞12月13日]
アルカイダの投降交渉難航、部族勢力期限延長

アフガニスタンの東部のトラボラ地区に立てこもったテロ組織アルカイダの部隊は12日、反タリバーン部族勢力が突きつけた「最後通告」の期限を過ぎても投降を拒み、交渉は難航。アフガンからの報道によると部族勢力のハズラット・アリ司令官は期限を13日朝まで延長したが、同時に戦闘再開の準備も始めており事態は流動的だ。一方、米軍は12日もトラボラ周辺への空爆を続けた。
トラボラ地区の主要部を制圧したアリ司令官は英BBC放送に対し、「アルカイダ部隊には、国際テロリストに指定されている最高幹部らを引き渡せば、自由にすると伝えた」と述べた。しかし、現地からの情報によると、最高幹部らが同行しているかは不明。
アフガン東部に影響力を持つ「東部シューラ(評議会)」の部族勢力は11日、アルカイダ部隊側に、12日の午前8時(日本時間同日午後0時半)を投降の期限として通告、攻撃を中断した。期限切れ後も投降の動きは見られなかったが、両者は停戦状態を継続した。
アフガン・イスラム通信によると、アラブ系外国人義勇兵が主体と見られるアルカイダ部隊側は、(1)投降後は国連に引き渡されること(2)投降兵の母国の外交官が引き渡しに立ち会うこと、の2点を条件として提示したという。
部隊の中にオサマ・ビンラディン氏が残っているかは不明だが、アルカイダの幹部らがトラボラ地区と国境を接するパキスタン側に逃げ込む可能性があるとして、パキスタン政府は国境警備を強化している。
一方、米軍は12日もトラボラ地区周辺に空爆を続けた。米軍などによるアフガン軍事作戦を広報するキース米報道官は12日、イスラマバードの記者会見で、「交渉は中断し、アルカイダ部隊は投降していない。反タリバーンの部族勢力とわれわれは、攻撃を継続する」と述べた。(12/13)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121300040.html


[朝日新聞12月13日]
部族勢力が攻撃を再開 アルカイダ投降に応ぜず

アフガニスタン東部トラボラで、テロ組織アルカイダの部隊を包囲した部族勢力の司令官は13日、投降交渉を断念し、攻撃を再開したと語った。AP通信が伝えた。米軍の空爆は続行する中で、部族勢力は12日朝に設定した投降の期限を13日正午(日本時間午後4時半)に延長、宗教指導者らによる代表団も加わり、「最後の説得」を試みたが失敗に終わった模様だ。
アフガン・イスラム通信によると、トラボラ地区のあるナンガハル州のイスラム聖職者や有力者らによる評議会は12日夜、アルカイダ部隊と交渉をするために代表団を派遣した。この交渉が決裂すれば攻撃を再開する、としていた。
評議会は代表団派遣に先立ち、アルカイダ側が提示していた投降の条件を拒否、無条件投降を呼びかけることを決めた。アラブ系外国人らが中心のアルカイダ部隊は、投降後は国連に引き渡され、その際、母国の外交官が立ち会うことを条件として提示していた。
また、部族勢力の前線で指揮をとるハズラット・アリ司令官は、オサマ・ビンラディン氏ら最高幹部を引き渡せば他の兵士は自由にするとアルカイダ側に伝えていたが、応じなかった。
アフガンからの情報によると、アルカイダ部隊は、部族勢力への投降後の虐待や殺害を恐れ、無条件投降には激しく抵抗していた。アルカイダ側は部族勢力の交渉団に対し、北部カライジャンギで、外国人を含むタリバーンの投降兵数百人が暴動を起こしたとして殺害された事件に触れ、「同じ目に遭いたくない」と言っているという。
一方で、決断を先延ばしにしたのは、アルカイダ幹部を逃がすための時間稼ぎではないか、との見方も出ている。
米軍は、部族勢力とアルカイダ側の交渉が行われた12日夜から13日にかけて、トラボラ地区周辺を激しく空爆。隣接するパキスタン側への逃亡を阻止するため、パキスタン軍は13日までに国境地帯に数千人規模の陸軍部隊を進駐させた。(12/13)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121302397.html


[朝日新聞12月13日]
良心的兵役拒否者を市が手助け 米バークリー市

米カリフォルニア州バークリー市議会は11日夜、良心的兵役拒否者の組織や兵役拒否のノウハウを問い合わせる市民向けに、職員を用意する法案を可決した。同市議会は10月中旬、連邦政府のアフガニスタン空爆を非難する決議を行っている。
この決議により、アフガンへの派兵を含む兵役に対して、良心的な理由から拒否しようとする人はだれでも、同市に電話などで情報を尋ねることができるようになった。
同市は60年代にベトナム反戦運動で全米の先頭に立つなど非暴力、平和運動の伝統がある。アフガン空爆非難決議のあと全米から抗議の声が届いたが、めげるどころかいっそう平和路線を明確にした。
同市のディーン市長は「市民に市が情報を与えて何の問題があるのか」と決議を擁護している。(12/13)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001121302105.html


[朝日新聞12月14日]
ビンラディン氏を包囲か アフガンの部族勢力と米軍

CNNテレビなど米メディアは13日、アフガニスタンでオサマ・ビンラディン氏らの掃討作戦を展開している米軍と部族勢力が、ビンラディン氏が潜伏していると見られる東部トラボラ地域の洞くつを包囲した模様と報じた。
米軍はこの地域に連日、激しい空爆を継続するとともに、特殊部隊員を投入して部族勢力による進撃を支援。同氏らに対する包囲網を一段と狭めている。
CNNは米軍当局者の話として、部族勢力と米軍が、オサマ・ビンラディン氏の潜伏先と見られる洞くつに「効果的な包囲網」が形成されつつあると伝えた。米中央情報局(CIA)の要員と英特殊部隊員も包囲作戦に参加しているとの報道もある。
だが、同テレビが当局者の話として伝えるところによると、ビンラディン氏がこの洞くつにいないか、すでに逃走した可能性もあるという。国防総省当局者もAP通信に対し、「もし彼がそこにいれば、動き回る余地はほとんどない」と語っている。
ビンラディン氏の所在について、ラムズフェルド国防長官は同日の記者会見で、「逃げたらしいとの報告もあるが、アフガニスタン内で潜んでいると見ている」と語った。
トラボラ地域での戦況については、会見に同席したマイヤーズ統合参謀本部議長は部族勢力とアルカイダの部隊との「戦闘はかなり激しい」との見方を示し、アルカイダ部隊が無条件に投降することを望んでいると述べた。
これに関連し、同長官も米軍と部族勢力はアルカイダ部隊と投降の条件をめぐる交渉は行っていないと強調。あくまでも米側は攻撃を継続し、その過程で投降すれば、テロ組織の活動に関する情報を獲得できると述べた。
また、カンダハル陥落後に行方不明になっているタリバーンの最高指導者オマール師については、1000万ドルの報奨金をかけて捕そく作戦を強化する意向を明らかにした。(12/14)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121400168.html


[朝日新聞12月14日]
アフガン東部トラボラのアルカイダ部隊、さらに南へ後退

アフガニスタン東部トラボラの山岳地帯に立てこもるテロ組織アルカイダ部隊は14日、米軍の激しい空爆と、部族勢力の攻勢に追いつめられ、さらに南へと後退した。米軍はこの部隊にオサマ・ビンラディン氏がいると見ているが、「すでにトラボラを脱した」との情報もあり、所在はつかめていない。
米軍は、空爆で地上の部族勢力の攻撃を支援する一方、トラボラ南部のアガム渓谷などに特殊部隊員を投入している。
部族勢力側もアルカイダ部隊を一カ所に包囲したと主張、アルカイダ側に投降を促す交渉が決裂した後は激しい戦闘が続いている。アフガン・イスラム通信(AIP)によると、アルカイダ部隊は14日、部族勢力の攻撃に追いつめられ、これまでの陣地を放棄、山岳地帯の奥地に撤退を始めているという。
部族勢力の指揮をとっているハズラット・アリ司令官の側近は朝日新聞の取材に対し「あと1、2日で戦闘は終わるだろう。トラボラからはアルカイダ部隊がほとんどいなくなり、多くの地域がわれわれの支配下にある」と述べた。700から1500人が南の山岳地帯で戦闘を続けているという。
しかし、対アフガン軍事作戦のキース報道官(米外交官)は14日、「入り組んだ洞くつでの軍事作戦は困難で、完全制圧には数週間かかる」との見方を示した。
しかし、立てこもるアルカイダ部隊の中にビンラディン氏がいるかどうかは、部族勢力側にも確かな情報はない。AIPは14日、消息筋の話として「ビンラディン氏は11月25日ごろまでトラボラにいたが、別の場所へ逃げた」と報じた。アリ司令官の側近も「2、3日前までトラボラにいたとの有力情報があるが今は分からない」と語った。
パキスタン側に逃げたとの情報もあるが、パキスタン政府はこれを全面否定。アフガン国境付近に陸軍6000人を配備し捕そくに協力する態勢をとった。(12/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001121403221.html


[朝日新聞12月14日]
公開ビデオでのビンラディン氏の発言全文

vido.jpgビンラディン氏がテロ事件を回想したとされるビデオは世界中の国々で公開された。
写真はスペイン・マドリードのスーパーマーケット店頭=AP

米国防総省が13日に発表したオサマ・ビンラディン氏がテロ事件を回想するビデオテープの内容は次の通り。ビデオの会話はアラビア語だが、以下は国防総省が発表した英文版からの翻訳。ビンラディン氏の発言は全文。同席者の発言は要旨。

聖職者「あなたは我々に武器を与えた、希望を与えた。アラーに感謝します。だれもがあなたの行ったことをたたえています。アラーのお導きによるものです」

ビンラディン氏「アラーに感謝します。そちら(サウジアラビア)では、モスクの立場はどうですか」


聖職者「正直申し上げて、みんな肯定的です。アル・バーラニ師は日没のお祈りでよい説教をしました。ビデオテープに撮ってあるので、お持ちするはずだったのですが、残念ながらすぐに出発しなければならなかったものですから」

ビ氏「事件の日にですか」

聖職者「ちょうど米国への攻撃の時です。すばらしい説教でした」

ビ氏「アラーに感謝します」

聖職者「彼(バーラニ)は若者に言いました。『あなた方は殉教を求めており、どこに行ったらよいか迷っている』。アラーは彼らに行けと促しているのです」

ビ氏「アラーに感謝します」

聖職者「彼の立場にはほんとうに励まされます。最初、1年半前に訪問したときに、『ビンラディン師はいかがですか』と尋ねられた。あなたによろしくお伝えするようにとのことでした」

ビ氏「アル(ラヤン)師はいかがですか」

聖職者「お会いしませんでした。私の行動はほんとうに限られているものですから」

ビ氏「アラーの祝福がありますように。歓迎いたします」

聖職者「(面会に来るまでの旅を説明して)こっそりと私を連れだしてくれたのですが、てっきり山間部の違う洞穴に行くのかな、と思ったら、清潔で居心地の良いゲストハウスで驚きました」

ビ氏「(音声不明)強い馬と弱い馬を見たら、人は強い馬を選ぶものです。目標は一つ。人々に主を尊敬してもらいたいと思う人は、ムハンマドの教義に従うだろう。彼に平和のあらんことを」
(ビンラディン氏はムハンマドの言行に関する伝承を集めた『ハディース』から次のように引用する)
「私はアラー以外に神がいなくなるまで戦えと命じられた」
「こう尋ねる者もいるだろう、なぜ我々と戦うのかと」
「唯一の神と、神の預言者であるムハンマドを信じると言う者の間には、ひとつの結びつきがある。信じない者には(音声不明)」
「真のフィクフ(イスラム法学)に従わない者。ムハンマドの、本当のフィクフに従わない者、彼らは言われていることをその額面通りに受け取っている」


ビ氏「作戦を行った若者たちは、通常のいかなるフィクフも受け入れなかった。彼らは預言者ムハンマドがもたらしたフィクフを受け入れた。彼らは、ニューヨークとワシントンで、彼らの行動を通じて語った。それは、これまで世界で語られたすべての言葉を凌ぐものだ。彼らの話はアラブ人だけでなく、アラブ人以外にも、中国人にさえ理解された。メディアの語ることを上回るものだ。オランダのイスラムセンターのひとつでは、作戦の後にイスラムに改宗した人間の数は、それ以前の11年間より多かった。イスラムのラジオで、米国で学校を持っている人がこんなことを言っていた。『イスラムを学びたいとイスラムの本を求めてくる人の需要に応じる時間がないほどだ』。この事件は、人々を(真のイスラムについて)考えさせ、そのことがイスラムにたいへんな恩恵をもたらしている」

ビ氏「我々は事前に、タワー(ニューヨークの世界貿易センター)の位置に基づいて、殺される敵の死傷者数を計算した。(飛行機が)ぶつかるのは3階分か4階分だと計算した。私の計算が一番楽観的だったが、この分野の私の経験に照らして、航空機燃料から発生する火災がビルの鉄の枠組みを溶かし、飛行機がぶつかったところとその上の階だけが崩壊するだろうと思っていた。我々が望むのは最大限でこのくらいだった」

聖職者「アラーをたたえよ」

ビ氏「事件が起きたときに我々は(音声不明)にいた。我々はその前の木曜日に、事件がその日に起こるという通告を受けていた。その日の仕事をすませ、ラジオをつけた。ここの時間で午後5時30分だった。私は、アーマド・アブアル(カイール)博士と一緒だった。すぐに1機の飛行機が世界貿易センターにぶつかったというニュースが入った。ワシントンからのニュースの入る局に切り替えた。ニュース番組が続いたが、最後まで攻撃の話はなかった。ニュースの最後に、飛行機が1機、世界貿易センターにぶつかったと報じた」

聖職者「アラーをたたえよ」

ビ氏「しばらくしてからもう1機が世界貿易センターにぶつかったとアナウンスがあった。ニュースを聞いた同志たちは大喜びした」

ビ氏「アブダラ・アザム、アラーが彼の魂を祝福せんことを、彼は私に何も記録しないように言った。(音声不明)だから、私はそれは良い前兆だと思った。アラーが我々を祝福するだろう。(音声不明)アブ・アル・ハッサン・アル(マスリ)は、数日前にアルジャジーラ放送に出て、米国人にこう言った。『ほんとうの人間ならば、ここにやってきて、我々と向き合え』。(音声不明)彼は1年前に私に『夢の中で、米国人を相手にサッカーをしていた。我々のチームが競技場に現れると、みんなパイロットだった』と語った。彼は『これはサッカーの試合なのか、パイロットの試合なのか』と言った。彼(アブ・アル・ハッサン・アル)は、ラジオで聞くまで、作戦のことはなにも知らなかった。彼が言うには、試合は続き、我々のチームが相手を負かした。それはよい前兆だった」

聖職者「テレビが大きな出来事を放映していた。それはエジプトの家族が、居間で喜びを爆発させていた。サッカーの試合で自分のチームが勝った喜びと同じだ。字幕には『オサマ・ビンラディンが米国への作戦を決行した』とあった」

ビ氏「彼は作戦のことを知らなかった。みんなが(音声不明)知っていたわけではない。エジプトのモハメド(アタ)がグループを統括していた」

聖職者「ビルに飛行機が突っ込むとは、だれも想像が及ばなかった。すばらしい仕事だ。かれは我々の組織の中でも敬謙な男だ。彼は殉教者となった。アラーが彼の魂を祝福されんことを」

ビ氏「作戦を行った同志たちは、みんな殉教の使命があることを知っていた。我々は一人一人に米国に行くよう頼んだ。しかし、作戦のことはまったく何も知らなかった。彼らは訓練を受けており、飛行機に乗る直前に、作戦を明かした」

「(音声不明)そして、彼は言った。訓練を受けた連中は、他の連中を知らなかった。違うグループの人間はお互いを知らなかった」

(夢の話をして)「我々はカンダハルにある同志の護衛のキャンプにいた。この同志は、グループの多数派に属していた。彼が近づいてきて、私にこう語った。夢の中で米国の高いビルが見えた。そして、村長が彼らに空手を教えていた。その時点で、私は心配になった。もしみんなが夢に見るようになったら、秘密がばれてしまうのではないか。だから、私は話題を取りやめた。私は彼に、もし夢を見てもだれにも語ってはならない。みんなが彼に腹を立てるだろうから」
(別の人が、2機の飛行機が大きなビルにぶつかる夢を語り始めた)


ビ氏「最初の飛行機がビルにぶつかったとき、大喜びした。そこで私は彼らに言った。まだ、待っていなさい」
「最初の飛行機と2番目の飛行機がタワーにぶつかったのは、20分の差があった。最初の飛行機とペンタゴン(国防総省)にぶつかった飛行機の時間差は1時間だ」


聖職者「米国人はクーデターが起こったと思って縮み上がった」

ビ氏(詩を朗唱する)
「我は見る、彼ら(イスラム教徒)が鋭いやいばに立ち向かい、困難に直面し、団結するのを。暗やみが我らに襲いかかり、鋭い歯でかむとき、我は告げる。
『我らの家に血の洪水が押し寄せ、暴君が思うがままにさまよう』。戦場からは剣の輝きと馬が消える。泣き叫ぶ声の向こうから、太鼓の響きとリズムが聞こえてくる。彼らは暴君のとりでを襲い、叫ぶ。
『おまえが我らの土地を解き放つまで、我らは攻撃をやめない』と」
(12/14)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/us.html


[朝日新聞12月14日]
米、ビンラディン氏一族のDNA入手 米TV報道

米ABCテレビは13日、オサマ・ビンラディン氏が殺され、遺体が見つかった場合に身元を確認するため、米政府が同氏の一族からDNAを入手したと報じた。(12/14)
http://miiref00.asahi.com/international/kougeki/K2001121400760.html


アルカイダ部隊、一部投降 トラボラの攻防が最終局面に

アフガニスタン東部トラボラの山岳地帯に立てこもるテロ組織アルカイダ部隊の一部が、15日までに投降を始めた。現地からの情報によると、部隊を包囲したアフガン人部族勢力は一時的に戦闘を中断し、投降交渉を進めているが、難航している。
前線で指揮しているハズラット・アリ司令官は15日、朝日新聞の電話取材に対し、14日に投降を申し出てきたアルカイダ兵の多くが同夜にパキスタン国境方面に逃走を図って戦闘になり、25人が死亡したことを明らかにした。投降したのは6人程度で、約300人が投降せずに山中にこもって抵抗しているという。
アリ司令官によると、アルカイダ兵は投降の際、「われわれは同じイスラム教徒だ。命を奪うな」と叫んで、一度は服従の姿勢を見せたという。だが、同司令官は「彼らはうそをついて逃走を図った」と述べ、投降交渉が不調に終わっていることを指摘した。
トラボラ地区に潜むアルカイダ部隊の全体数は数百から千人規模と言われ、部族勢力の攻勢と米軍の激しい空爆で、山岳地帯の1カ所に追いつめられている。
また、投降を希望しているのは、多くがアルカイダ部隊と行動を共にするアフガン人兵との情報もある。今後、アルカイダの中心であるアラブ系などの外国人兵が最後まで投降を拒み、徹底抗戦に臨む可能性もある。
部族勢力とアルカイダ部隊はこれまでも断続的に投降交渉を行ってきたが、アルカイダ側が、投降後は国連に引き渡されること、その際に母国の外交官が立ち会うことを要求し、不調に終わっている。(12/16)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121501425.html


[朝日新聞12月16日]
投降拒んだアルカイダ兵と激しい戦闘 トラボラ

アフガニスタン東部トラボラで、テロ組織アルカイダの部隊を包囲したアフガン人部族勢力は16日、再び本格的な戦闘を開始した。現地からの情報によると、アルカイダ側に数十人から100人の死者が出た模様だ。追い詰められた部隊からは逃亡兵も出ており、パキスタン国境では15日午後、31人が拘束された。
アフガンからの情報によると、部族勢力側は15日に投降を説得したが、拒んだアラブ兵らとの間で戦闘が激化した。アフガン・イスラム通信によると、部族勢力の司令官の1人は米軍の空爆と部族勢力の攻撃で、「50人余りのアルカイダ兵が死亡した」と述べた。約100人が死亡したとの情報もある。
一方、パキスタン当局によると、トラボラを逃れたとみられるアルカイダ兵31人が15日午後、隣接するパキスタン国境の部族地域で身柄を拘束された。31人は全員が若者で、国籍はイエメン人とシリア人との情報がある。武器は持っておらず、負傷もしていなかった。
こうしたアルカイダ兵の越境を阻止するため、パキスタン軍は国境警備を強化。米軍もトラボラへの連日の空爆で、アルカイダ兵の逃亡ルートをふさいだ。アフガン国境では13日にも、アラブ系アルカイダ兵とみられる9人が拘束されている。(12/16)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121601236.html


[朝日新聞12月16日]
無線傍受、ビンラディン氏依然洞くつ内に潜伏 米軍認識

米ワシントン・タイムズは15日、米政府当局者の話として、アフガニスタンに展開している米軍特殊部隊が過去1週間の間に、ビンラディン氏が潜伏していると見られるアフガン東部のトラボラ地区で、ビンラディン氏が無線で部下に命令しているのを傍受したと報じた。米側はビンラディン氏が依然、同地区の山中の洞くつに隠れていると見ている。
ビンラディン氏のビデオテープの音声と、この無線の声を照合した結果、ビンラディン氏の肉声と断定した。米軍特殊部隊が備える設備や航空機、衛星によって、無線交信の傍受が可能だという。(12/16)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121600069.html


[朝日新聞12月17日]
逃げたアルカイダ兵を追跡 トラボラで部族勢力など

アフガニスタンからの情報によると、東部の山岳地帯トラボラで17日、アフガン人部族勢力や米軍が洞くつなどを捜索、逃亡したと見られるアルカイダ兵を追跡したが、オサマ・ビンラディン氏の行方は分かっていない。部族勢力は16日にトラボラの制圧を宣言したが、米軍は「時期尚早」として断続的に空爆を続けた。
トラボラの部族勢力のアリ現地司令官の側近が17日に朝日新聞と電話で話したところによると、現在、トラボラ地区の90%を同勢力の支配下におさめ、残り10%は山の頂上部にあたり、雪や悪路のために捜索が及んでいない、という。米軍の空爆は16日夜、部族勢力のナンガハル州総司令官のザマン氏が「制圧宣言」をした後に再び激しくなったという。部族勢力側の兵士にも空爆による負傷者が出た模様。
ザマン総司令官によると16日までの戦闘でアルカイダ兵200人が死亡し、25人を捕虜にした。しかし総司令官は「ビンラディン氏を含めどれだけの兵が、どこへ逃亡したかは分からない」としている。また、「戦闘は終わったが、掃討作戦の仕上げは続いている」と述べた米軍とともに洞くつなどを捜索。新たに数人のアルカイダ兵を捕虜とした模様だ。(12/17)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121702720.html


[朝日新聞12月19日]
足跡見えぬビンラディン氏、地元が逃亡支援の見方も

テロ組織アルカイダ部隊が立てこもったアフガニスタン東部の山岳地帯トラボラで、米英軍は17日、部隊が敗走した後の洞くつの捜索作業を本格化させた。組織的な抵抗はほぼやんだためだが、米国が追うオサマ・ビンラディン氏の姿は見つかっていない。所在をいぶかる記者団に米国防総省高官は「いろんな見方があろうが、どれも当て推量だ」といら立ちを隠さなかった。
米国防総省によると、トラボラを放棄したアルカイダ部隊約2千人がパキスタン国境方面へ逃走中。米英軍の特殊部隊は放棄された地下拠点を調べているが、「犬のノミを一つ一つ調べるようなもの。一つを見る間に、ほかの残存兵が逃げる」(スタッフルビーム統合参謀本部作戦副部長)状態という。
焦点のビンラディン氏についてパウエル国務長官は17日、「アフガン国内か、国外に逃げたか、死んだか、新たな情報はない」と述べ、所在は分からないことを認めた。先週に同氏とみられる指示無線を傍受したことで米側は期待を高めたが、アフガン部族勢力は米CNNに「もういないようだ」と語った。
国防総省は、戦闘中に南側のパキスタン領内に逃げた可能性を否定しない。作戦副部長は記者会見で「アフガンには忠義を取引する歴史がある」と述べ、ビンラディン氏に親近感を持つ住民や部族勢力が代償をもらって逃がしたことも考えられると指摘した。
地元勢力が米軍の意向に従わずにアルカイダやタリバーン兵を逃がす例はアフガン南部のカンダハルでもあったという。同地にいたはずのタリバーン最高指導者オマール師の行方も不明のまま。地域の支配権を取り戻すのが目標の地元勢力と、組織幹部の捕そくを狙う米英軍の戦闘目的の違いが次第に浮き出ている。依然、ビンラディン氏がトラボラに潜んでいる可能性も捨て切れない。米英軍は、洞くつの捜索とともに、投降兵の尋問を強化。米軍機は17日も空爆を続けた。
ブリュッセルを訪問中のラムズフェルド米国防長官は、ビンラディン氏の所在について「もともと所在は確定されていなかったのだから、答えようがない」と言明。「重要なのは、アフガンにはまだアルカイダが残存していることだ」と述べ、戦闘の続行を強調した。(12/19)
http://www2.asahi.com/international/kougeki/K2001121900162.html


[朝日新聞12月19日]
最後の外壁引き倒される NY貿易センタービル

同時多発テロのニューヨークの現場で15日午後、最後まで残っていた世界貿易センタービル北棟の外壁が引き倒された。ニューヨーク市は、すでに除去済みの南棟の外壁とともに、歴史的惨事を後世に伝える記念物として保存する方針。
ケーブルにつながれた高さ約15メートルの外壁が、何百人もの市民が見守る中、引き倒されると、大きな音とともに粉じんが舞った。9月11日にハイジャックされた航空機2機が次々と同ビルに突入して崩壊した南北両棟の面影はこれでなくなり、がれきだけが残った。(12/19)
http://www2.asahi.com/national/ny/K2001121601059.html


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